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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第40回「罠と罠」】
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義村と対峙の政子 一歩ずつ距離を詰め
政子との対峙を終えた義時が、大江広元のもとへ向かいます。
そして、尼御台にはいずれわかってもらう、和田を焚きつける手を思いついたと言い放つ。
政子も、そんな義時の考えを察知していたのでしょう。
彼女は彼女で義村を呼び出し、小四郎が和田を滅ぼすつもりだと訴えます。
義村は政子に理解を示しつつ、対処は難しいと答えますが、政子も簡単には引きません。
「どちらに味方するつもりか?」
そう義村に尋ね、小四郎とは固い絆で結ばれている、といった返事を引き出しますが、政子もそう単純ではありません。
「弟と違って私はすぐに人を信じないの」
本音はどこにあるのか。少しずつ義村との距離を詰めようとする政子です。
義時と義村のことを「刎頸の友」と紹介する記述を見かけたりしますが、そんな麗しい仲でもないでしょう。そして政子もそう感じているのでしょう。
もう一度、どちらに味方するか、と踏み込んでいくと、義村もしれっと言い返します。
「そう言われて向こうにつくと答える馬鹿はいない」
政子は、三浦が味方にならなければ和田が孤立するとテキパキと計算しています。そうなれば戦を回避できる。ゆえに義村にもそんな対応を求めるのですが……。
「見返りは?」
「あなたを宿老にします」
そんな独断で決められるのか。小四郎の許しはいらないのか。そう問われた政子も強気です。
「私は尼御台ですよ」
「謹んでお受けいたします」
ようやく話はまとまりました。
義村は、前回悔しがっていた様を思い出すと、自分をなるべく高く売りつけたい、値札をつけたい欲求が理解できます。価値があると示したい。
その機会を掴んで安売りしない気概が満ちていた。これぞ山本耕史さんだ。
そして政子。
「私は尼御台ですよ」と言われ、思わずウンウンと頷きたくなる、そんな迫力を出し切った。小池栄子さんが鳳凰のようだ。
政子には野心も権力欲もない。ただただ器が大きすぎて相手がひれ伏してしまう。
そういう聡明さや気量、人徳がある人物、そんな尼御台がここにいます。
思えば政子はずっと魅力的でした。
品を作って頼朝を誘惑するところ。征夷大将軍とはしゃぐところ。黒髪を伸ばし着飾った姿は美しかった。
しかし今回の、墨染の衣に尼削ぎで頭巾を被った姿はそういうことを飛び越えて尊い。小池栄子さんは最高です。
僭越ながらこのシーンを総括させていただくと、室内のスタジオ撮影の会話だけで火花を散らせ、見る側に満足感を与える――非常に良い場面だったのではないでしょうか。
費用対効果もあり、大河はもっとこういう場面づくしでもいい。この技法を突き詰めて欲しい。
そのためには脚本と、演者と、演出の実力が必要ですが、今回は全部揃っていた!
実朝と千世が歩き巫女のもとへ
北条邸では泰時が謹慎になったと寝転んでいます。
すると朝時が戻ってきていました。なんでも初がこっそり呼び戻したとか。
初は彼女なりにきな臭さを察知し、呼び戻していたようです。本作は女性の知性が出ています。
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父に女絡みで追放されても力になると朝時が笑顔を浮かべると、寝転んだままの泰時が父の育児の苦悩に思いを馳せます。
泰時は謹慎。
朝時は鎌倉追放。
戦になるのか?と朝時が尋ねると、泰時はまだわからぬと返すのでした。
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源実朝が千世を連れて永福寺にいます。
二人きりで花を愛でることができないと詫びる実朝。
歩き巫女のもとへ向かいます。
側に仕えていた阿野時元が「鎌倉殿に気安く触るな!」と横槍をいれたことで、正体が判明してしまいます。
それでも歩き巫女は予言をする。
実朝と千世は互いを敬っているけれども、さみしい。幸せ3と寂しさ7。それでも寂しさ10よりはよい。
そして夢を語る巫女。
戦が始まり、鎌倉は火の海となり、死ぬ、みんな死ぬ。由比ヶ浜には髭面の首が並ぶ。
不吉な予言が語られるところへ、平盛綱が入ってきて、御所に戻るよう伝えてきます。
そのころ義時の挑発が炸裂します。
和田胤長の館が没収されました。こういうときは同族に渡されるはずが、義時のものになった。
実朝も耐えきれず義時を糾問します。
そんなことをすれば義盛が怒る!と詰問すると、義時はそれが狙いだと返します。
なぜか?
戦には大義名分が必要である。謀反を起こせば鎮圧できる。
そう迫ると実朝は「ならぬ」と返すばかり。
義時は聞き流すようにして、実朝には「出歩かず、いつものように御所でゆっくりしていろ」と一方的に言い放ち、あとは私が対処すると伝えるのでした。
義時は何に怯えているのか
和田が挙兵する。きな臭い噂はいよいよ抜き差しならぬものとなり、鎌倉の御家人も武装を始めます。
それでも実朝はなんとかして止めたい。
そう実朝に訴えられた政子は「あの手しかない」と言い出します。
北条家に伝わる一戦一敗の秘策――と、それは女装でした。女性用の衣服に身をまとった和田義盛が御所へ。
いきりたつ義盛に対し、実朝は「死なせたくない」と訴えます。
「死なない」と義盛が返すと、実朝は歩き巫女がそう言ったと伝えるのですが……あのばあさん、近頃は誰にでも死ぬと言っているようです。
それでも実朝は折れません。
義盛の手を取り、いつまでもそばにいて欲しいと伝え、小四郎も鎌倉を思ってのことであり今度は二度と行きすぎた真似はしないよう釘を刺します。
「ウリン!」
「またうまい鹿汁を食べさせてくれ」
そう言われ、号泣する義盛です。
和田義盛こそ鎌倉一の忠臣である。それは一番わかっている。実朝の力強い言葉に義盛もついに折れました。
こうなればいざ当人同士の和解へ。
実朝を中心に、義時と義盛が並び、三人揃っての交渉が始まります。
実朝が、北条と和田あってこその鎌倉だと義時に伝え、今回は私に免じて許してほしいと懇願する。
義時も、和田殿は歴戦の強者、これ以上のことはないと納得していますし、ここはそう答えるしかないでしょう。
実朝は、義盛に御家人を束ねて欲しいと続け、せっかく久々に会えたのだから双六でもしようと誘います。
しかし、政子はまだ安心しきっていません。
義時がまだ和田を滅ぼしたいことを彼女はわかっています。
「鎌倉のためだ」という弟に対し、「鎌倉のためは聞き飽きた!」と怒りを隠さない政子。
「戦をせずに治めろ」と願いを伝えると、義時は「甘い」と答えます。
そんな弟の心を見抜いたのでしょう。政子は「何を怯えているのか?」と訴えます。
そんなことしなくとも皆をまとめていけるはずだ、と……。
政子との話が終わり、義時がやってくるのを廊下で待っていた義盛。
考えてみれば皆死んじまったと話しかけます。
残っているのは俺と平六くらい。
時の流れを感じると返す義時に「ようやく俺らは理想の鎌倉殿を手に入れたんじゃねえか?」と義盛が語りかけます。
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義時が同意すると、義盛は「ウリンが待っている」と去っていくのでした。
義村の起請文
そのころ和田邸では武装した連中で溢れていました。
あまりに遅い帰りに、父・義盛に何かあったのではないか?とざわめいています。なんせ比企能員という前例もありますからね。
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こうなれば、もはや戦しかない!
そんな風に和田軍が盛り上がる中、義村は失敗すると言い切ります。そして義盛に手を貸すなと周囲にも告げているのですが……。
義村の真意を知らない義盛の子供たちは、父を救うため攻め入る話をしています。
まずは手はず通り、大江広元の館を襲うとか。
「共に北条を倒すぞ!」
テンションは上がる一方です。
そのころ北条時房は、戦を回避できて良かったと兄に話しかけています。
和田を滅ぼすチャンスだったのに……と義時が悔しがっていると、思ってもいないくせにと言い返し、こんな言葉をつなぐ。
「和田殿が好きなくせに」
「おい!」
「和田殿が嫌いな方なんていませんよ」
鋭い時房、彼は本当に鋭い。
義盛のように愛嬌満点なタイプは好かれるし、時政にも愛嬌があった。そして時房にもありますが、それがない奴もいるわけで……。
ともあれ御所の守りを解くようにする一方、義時は、トウに和田の様子を探らせ、義村の兵を引き上げるよう命じます。
しかし、すでに計画には異変が生じていました。
義村は、巴から起請文を書くよう迫られ、断れない状況に。焼いた灰を入れた盃を飲み干すと、「もう寝返ることはできない」と、あの八田知家も告げます。さあどうなる?
義時はそのころ双六をしているのでした。
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