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【麒麟がくる第34回感想あらすじ】
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穏やかな国を取り戻すため戦う混沌
駒は二条城で、比叡山から逃れてきた人々の治療をテキパキとこなしています。すっかりたくましくなりました。
筒井順慶がそこにやってきます。
比叡山の戦から逃れた人の窮状を語る駒に対し、順慶は、大和の松永久秀のことを語ります。
東大寺、興福寺……と南部が焼かれてしまった。公方様の力で、大和を穏やかな国に戻したい。そのために松永との戦をしていると言い切るのです。
やむを得ませぬ――そう語る筒井順慶の、この倒錯した状況よ……宗教の矛盾を感じさせます。
混沌とした状況は、門脇麦さんと駿河太郎さんの演技で際立っていますね。
光秀は、比叡山での虐殺を見ています。
瓦礫が崩れ、女子どもの屍が見えてくる。逃げ惑う人の姿がフラッシュバック。
その中で、彼の愛娘である岸とたまも見える。
「父上!」
「父上!」
「岸、たま!」
そう叫ぶと……実は、突っ伏して寝ていただけで、夢だったとわかる光秀。乳母の腕の中では、光秀嫡男・十五郎があやされているのでした。
現実の岸は、左馬助と手習いをしています。光秀がホッとした顔で、娘を見る。と、そこにたまの姿がありません。
煕子といるのかと尋ねると、市場に行ったと聞かされます。
伝吾とともに、珍しい鳥を見に行ったそうです。
石つぶてが当たり額から流血するたま
たまは市場で、鸚鵡らしき南国の鳥を見ています。
一見、微笑ましいようで、すぐそばには槍を持った男が護衛として付いています。こういうところに乱世がありますね。
鳥を見て喜ぶたまの額に、どこからか投げられた石つぶてが当たり、頭部から血が流れました。
「たま様、たま様!」
「明智光秀、鬼ッ、比叡の山で何人殺した、鬼め!」
罵倒する者たちを、明智家の護衛たちが追いかける中、藤田伝吾は、医者なら望月東庵の家が近いと聞かされます。
直後、光秀がナンバ走りをしつつ、道を急ぐのでした。
東庵の家につくと、伝吾は「警護を怠るな」と声をかけています。
光秀はホッとしつつ、たまの顔を見ます。そして市場で鳥を見たのかと声をかけます。
「はい」
「どんな鳥だ?」
「南の島からきた鳥で、大層綺麗でございました」
「それはよかった」
たまが丁寧に、はきはきと、敬愛をこめて父に語ります。同時に、伝吾が叱られないよう、市場に連れて行くようせがんだのは自分だと庇うあたりが、たまの優しさです。
そして、南西の国から来た神の教えに美しさを見出すのが、たまの未来でもあります。
光秀は、そんな愛娘にこう言います。
「わかっておる。悪いのは父だ。父が叡山で戦をしたからだ」
ここで駒の横顔がチラリと映る。彼女も、そこはわかっているのです。
8文のために死んだ少年
光秀は語ります。
この京都には、身内を失った者が数多おる。そうさせたのは父だ。そなたを左様な目にあわせたのも父だ。
そう謝りる光秀には、娘たちへの愛情が純粋なようで、どこか苦さも滲んでいる。比叡山で見た女子どもたちだって、誰かの妻であり、母であり、子であっただろうに……そんな苦い味が漂っています。
東庵は大きな傷でなくてよかったと笑い、三日後またおいでなさればよいと言います。
東庵と駒に礼をする光秀。
駒が、たまにお手玉を教えようとすると、光秀も美濃の時代を思い出します。
まだ少女だった駒が、伝吾の子どもたちにお手玉を教えていた。
思えば遠くに来たものです。
ここでたまはお手玉を手にして、横に置いて、父にこう言います。
「母上がおっしゃいました。父上はやむを得ず戦をされている。父上は悪くない」
そう無邪気に笑い、お手玉を弾ませる。
すると駒が、十兵衛様にお話があると呼び出します。
話題は、平吉のことでした。
家が貧しく、延暦寺で芳仁丸を500粒を売っていた子。昨日、その母親が息子が死んだことを知らせてくれた。
14歳で、前の日に売り上げを駒にくれた。たった8文! 14歳の子が、8文を残して死ぬのが戦なのだと。
高度な技法です。少年がわずかな金を残して死ぬ。14歳の少年が8文を残して死ぬ。同じことでも、ディテールが細かくなることで、生々しさが増してきます。
戦が起こすそんな責任を、よりにもよって駒から聞かされる光秀。かつて光秀の父が、戦で死にかけた少女として助けた女性が、そう静かに言ってくる。
絶対に逃げられない。運命が人の姿をしてやってきたかのようだ。
おそろしい構図が、そこにはあります。
順慶としても板挟みは困る
それから彼女は淡々と語ります。
公方様の側にいれば、何故戦が起きるのかわかる。幕府は信長から離れようとしている。以前のようにはいかない。
そう聞かされた光秀も未然に防ぐと言いますが、駒からその離反の策を聞かされます。
大和での【代理戦争】――これはなにもヤクザ用語でもなく『仁義なき戦い』当時に頻繁に使われていた言葉です。現代でも使いますよね。
筒井vs松永を使い、離反をするつもりだと駒は語ります。
それがまことならば止めねば! 焦り、早速動くことにする光秀。筒井はまだ下京の寺にいると聞かされ、その宿所へ向かうのでした。
光秀を迎えた順慶は「困りましたね……」と言います。
「松永久秀と筒井順慶、敵対する2人がついに直接対面!しびれるような腹の探り合いで、ヒリヒリとしたシーンになっていると思います。でも僕としては、ずっと共演したかった吉田鋼太郎さんとお芝居できてうれしかったです」(駿河太郎)#麒麟がくる
今夜放送!
[総合/BS4K]夜8時 [BSP]午後6時 pic.twitter.com/vjF4VovNFI— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) November 29, 2020
仮に幕府から支援を受けたところで、信長が松永を支援すれば困るわけです。
秀吉ならば、あの目をぎらつかせつつ、信長を敵に回してどうするつもりかと脅しそうに思えますが、光秀はそこまで厳しくはない。
順慶は信長の上洛以来、織田支持だとは言う。
とはいえ、父祖伝来の地に踏み込む松永は捨て置けぬのだと。
そこで光秀は提案します。順慶が大和に戻る前に、堺へ寄り道せぬか?と。堺には今井宗久がいて、茶席を開こうというのです。
なるほど、戦国時代に茶道が発展する理由がよくわかりますよね。
茶にかこつけて、密談ができる。飲食ってそういう経緯で発展してきた一面がありますね。西洋のコーヒーハウスも、世論形成に役立ったそうです。
順慶が、駒殿も付いてくるのかと尋ねると、彼女も丸薬の商いで向かうと言います。
「駒殿もご一緒でしたら……」
順慶はそう言いました。公方様の信任あつい彼女は、いわば幕府側交渉窓口ということでしょう。駒は極めて重要な人物になってきています。
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