麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第35回 感想あらすじ視聴率「義昭、まよいの中で」

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摂津の密談

摂津晴門が密談を開き、家臣の者たちにこう伝えております。

4日後、本国寺で茶会が開かれる。明智十兵衛も来る。

そこで十兵衛を討ち取ると決めた。

明智は幕臣でありながら、信長と朝廷寄りの政治を頭越しにしている。

明智を討って、織田の力を削ぐのだ。

となれば、織田との戦も覚悟の上。

甲斐の武田、朝倉、浅井。皆一斉に攻めよる手筈をつけている。

悪意の詰まった表情で摂津はそう言い切りました。

たまは駒の治療を受け、綺麗に治ったそうです。傷が残らなかったことを煕子が喜んでいます。

丁寧に駒にお礼を言う母と娘。

煕子は駒に挨拶をしたかったものの、光秀が戦続きでそれもできなかったと詫びます。

駒も薬作りが忙しくて、なかなかそうはできなかったと返答する。たまのおかげと言っては何だけれど。そう語り合うのです。

そこへ、一人の派手な老女が「東庵先生!」と言いながら入ってきました。

銀粉蝶さんが扮する藤吉郎の母・なかです。

 


秀吉の母の圧倒的な母親感

ここからは、もうなかの独走状態です。

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東庵先生に鍼を打っていただく約束だったのに肩が凝って首が回らない。

たまをかわいい子だと褒め、お前様の子かと煕子に聞いてくる。お手玉をやってごらんなさいとグイグイたまに勧めてくる。

駒が困惑して薬を作る小屋があるとそれとなく追い払おうとしても、わかっていると断固拒否。うるさいから向こう行けと言う。

倅の藤吉郎もそう。でもみんなと話したい! 飲んだり食べたりしながら! 白湯いただきたい、喉からから!

そして倅の木下藤吉郎の話を始める。

この親子、何がすごいって、その倅が母親に似ているとすぐさまわかるところではありませんか?

営業部向きの性格だなぁ。

こんな営業さんが家に来たら、もうどうしたらいいのかわかりませんよ!

煕子はここで「木下様!」と驚いています。

なかは誇らしげに、京では皆倅をご存知だと言い出します。

えらい武将、織田のお殿様から近江の横山という城も預かる。出世頭!

といいつつ、息子の出世もほどほどがいいと言い出します。

理由は嫉妬。周りの妬みがつらいんだそうです。

「でもうちはまだいいほう!」

そう言い出します。

なんでも坂本城主になる明智様は、幕府に睨まれているのだと。奥方様や子を近江には連れていけない。人質として留め置け。これも妬み! 公方様の妬み!

公方様は信長様が嫌いだから、信長様に引き立てられる明智様に嫌がらせをしている。そう息子が言っておりました。って、おい! おいおい!

一気にペラペラと、重要機密を話してしまう秀吉の母。

煕子もたまも困惑し、駒は怒りを見せています。

それでもやっと東庵が来たものだから、その場を凍結させたなかは、肩こりの話を始めてしまいました。

なかは重要情報を話しただけでなく、秀吉という男の背後にある愛憎すら見せてきて、おもしろい存在ではあります。

ありがたいかあちゃん。自分を産んで育ててくれた人。役に立つ。賢さも、口のうまさも、母の血あってのもの。

とはいえ、どうにも気品が足りん。

うるさい。愛おしくて、憎らしくもなる。自分にそっくりな存在。

派手な服装で、艶っぽい魅力もあり、自分の魅力をよくわかっている。

あの息子にして、この母あり。そういう存在感と、長いセリフを演じ切った銀粉蝶さんが圧巻でした。

 


駒に問い詰められる苦悩の義昭

公方様こと足利義昭は写経をしていました。

墨が薄い、もそっと力を込めて墨を擦れ! これでは経文の心もこもらん!

そう八つ当たりをされた相手は、駒でした。駒はこれ以上は手が痛くて擦れないと言い切ります。

変わりましたね。

蛍を一緒に見ていたころは、駒にだけは嫌われたくない――。

そんな純真な少年のようだったのに。今日のそなたは奇妙だと駒にくってかかる義昭です。

駒も負けてはいません。

奇妙なのはどちらか? 書き損じを墨のせいにしていると言い返します。

すると、露骨にムッとして激昂する義昭。

「申してみよ。今日はわしに不満がある顔じゃ。何が不満か申してみよ」

駒はキッとした目をして、義昭の前まで来て座ります。

光秀が坂本に城を持ち移る際に妻子を連れていけない、公方様が人質にするつもりなのか?と怒りを見せる駒は、それほどまでに光秀を疑っているのか、と義昭に問いかけます。

公方様は昔から変わった!

そんな失望も告げます。

義昭は困っている。光秀はそうでなくとも、信長が信用できない。光秀と信長は一体。晴門は放って置けないと言うのです。

しかし……。

光秀を大事に思っていたのに身内と引き裂いたら、光秀は公方から離れてしまう。

それでいいのか?

書き損じを乱暴に散らしつつ、義昭は「やむを得まい」と言うしかない。幕府を動かしているのは摂津、摂津が光秀を追い出したいのであれば、やむを得ぬ。

そしてこうもこぼします。

「斬りたいといえば、ああそうかと言う他あるまい……」

「斬りたい?」

例えばの話じゃと義昭は言う。

そういう摂津が好きになれぬとこぼす。憎いとさえ思う。けれども、摂津を除くことはできない。わしには味方が誰もおらぬ。憎くて嫌いでも。摂津を側に置いておく他あるまい。

そのうえで、光秀は坂本に行くと決め、城を作り始めたとこぼす。

「わしから離れるつもりぞ……」

義昭はそう悲しげにいい、自らの首を絞め始めます。

「わしは時折、己の首を絞めたくなる! 何が大事で、何が大事でないか、迷うのじゃ。摂津はわしが優柔不断だと責める。責められても返せない己が口惜しい。駒、わしの首を絞めてくれ。哀れなわしをいっそ絞め殺してくれ」

そんな義昭を見る駒の目から、涙がすっとこぼれてゆきます。

哀れだ……。

なんて悲しいのか。何もできない、進むことも退くこともできない。兄である義輝のように、美しく散ることもできない。

勝手に人生を決められて、操られて、自分自身が誰かすら忘れてしまった。

駒の前だけでは自分の心を思い出せたのに、そんな駒にすら八つ当たりをするようになる。駒だからこそ見抜かれてしまい、隠せない死にたい気持ちすら出してしまう。

今年の大河は、新境地を目指しているとわかる。

それが合戦よりも人の心の揺れを表現することではないかと思うのです。

義昭と駒のゆれる心がよく表現された、圧巻の場面でした。

 

駒→太夫→藤孝へと伝言は届けられ

紅を塗る唇が映ります。

伊呂波太夫が幼い少女に紅をさし、木の実も赤い方が美味しそうに見えると説明しています。

鳥も人間も、赤いものに群がるのだ。

たしかに東洋の美女といえば、色は赤・白・黒が基本ですね。

そこへ駒が頼み事があるとやってきます。銭が入った袋を渡しながら、光秀を討ち取る動きがあると言います。

助けるために力を貸して欲しい、太夫しか頼れる人がいない。そう打ち明けるのです。結構な大金を渡され、伊呂波太夫もその気になったようです。

本国寺では、摂津晴門が仏像の祈りを捧げています。

一方、細川藤孝が渋い顔で廊下を歩いている。

そこへ光秀がやって来て、藤孝殿も茶会に出るのかと聞いてきます。

藤孝は伊呂波太夫が風流踊りをするから、城から馬を飛ばしてきたと言います。

ほう、太夫が。

光秀がそう言うと、藤孝は本題を切り出すのです。

「今日の茶会にはお出にならぬほうがよい。ここから奥は危ない」

摂津晴門の謀殺計画を伝え、すぐに帰るように促してきます。

表には藤孝の家臣がいる。裏は摂津家臣。三淵藤英はまだ来ない。

そう聞かされ、だから左馬助が足止めされたのかと光秀は納得します。そして公方様が奥にいることも確認します。

で、ここでの眞島秀和さん。細川藤孝役なのに、教養より熱血ぶりを強調されているとのことですが、いや、それができるのも眞島さんだからですね。

彼は黙ってそこにいるだけで、十分知性と教養が出るから、特に強調しなくてもよいのでしょう。

この藤孝の賢さって「私がわかるのだから、周囲もきっとそうだ」という思いこみに出ていると思う。

自分が優れていることに無自覚で、世界中が自分みたいに思えると自然と思っちゃってる。

そういう空気が読めないというか、不器用さが出ていて、嫌味になりそうなギリギリにいつもいて、リアリティのある細川藤孝だと思えます。

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そこを見越して彼をキャスティングしたとしか思えないんですよね。

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