麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第35回 感想あらすじ視聴率「義昭、まよいの中で」

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『万葉集』の歌詠では誰が好きか

栗に指を伸ばすその相手は、三条西実澄でした。

帝を知りたい明智様だと伊呂波太夫が紹介すると、実澄は上の空で栗に指を伸ばす。

光秀は『古今和歌集』を極めた三条西家当主に畏れ多いと前置きしつつ、何事も学べしと思い、不躾ながら推参したと挨拶します。

光秀の教養が凝縮されていますね。

秀吉ならこうはいかないでしょう。

それでも実澄は無言。伊呂波太夫が何かおっしゃってくださいな、と促します。帝のことならば、いつも言っていると実澄は返す。

「御心に一点の曇りもない。古の帝にも匹敵する。それが全てじゃ」

そう言い切る三条西実澄です。それから彼は『万葉集』の歌詠では誰が好きかと尋ねます。光秀は柿本人麻呂であるると言い切ります。

理由を問われると、光秀はすぐに答えます。

国と帝、家と妻への思い――そのどちらも胸に響く。

近衛前久が光秀に鼓を打つように迫ったり、本作ではこういう試す場面が多い。心、精神が透き通っているかどうか、試し続ける場面が多いのです。

心、精神。そういうものは、過大評価もできるし、過小評価もできるから、頼りにしすぎるのはよろしくない。

けれどもやはり、問われる不思議で根本的なものなのかと思ってしまいます。

本作の出演者は、ともかく現場で互いに学んでいると熱心に語る。

わかる気がします。ドラマの現場がどうなのか、それは子役の演技に一番出ていると思えます。

演技のメソッドを確立する前の子どもは、一番現場の空気を反映してくる。今週もたまの演技が素晴らしかった。きっとよい雰囲気だと思えるのです。

役者はプロとはいえ、現場が空気を作らねば綺麗に咲けないはず。綺麗に咲いた上で、そのことを語る出演者が多いということは、本作は極めて丁寧に、心が花開く場を作り上げているのでしょう。

三条西実澄を演じる石橋蓮司さんも、栗を取る指先、食べる舌までお見事としか言いようがありません。

『十三人の刺客』でも切腹をふくめて出番全てが輝いていた。

時代劇とは、日本の伝統とは、こういう生きた人間の血肉を通さないと伝るのだと、彼を見ていると思えてきます。

この演技を長谷川博己さんや尾野真千子さんが共演して引き継ぎ、その下の世代に伝えてゆく。

不思議なことがあります。

海外の時代劇を見ていると、一体この人ら何者なんだと唸ることがある。

皇帝に拝謁する前に、剣を預ける曹操とか。

王に対して諫言をお聞きくださいと叫ぶ、朝鮮の家臣たちとか。

伯爵としてふるまう英国貴族とか。

彼らが動くことで、歴史が継承できている。そういう瞬間を感じてビリビリすることがあるのですが、石橋蓮司さんからもそれを強く感じます。

『麒麟がくる』は、これぞ日本の時代劇だと胸を張って出せる、そんな作品になりました。

 

なぜ帝が知っている?

さて、内裏では。

三条西実澄が驚いています。

実澄の館に明智光秀が訪れたことを帝が知っていたからです。

信長も一目置く武将をなぜ追い返したのか? しかも、栗を食べるのに忙しいからとまで言う帝。

嗚呼、なんだか恐ろしいことになっていませんか。

栗がそこにあったかどうか、そう断言できるのは情報網でもないとできませんよ。

実澄は追い返してはいないと言う。

柿本人麻呂がよいと言い、2~3首淀みなくあげ、私もそれには同感であった。久しぶりに歯応えのある武士に会うたと思いつつ、栗の歯応えもよろしく、気づけば日も暮れていて、お帰り願うた次第。そう説明します。

帝は、何用あって明智は実澄の元へ向かったのかを知りたがっています。

実澄は帝がいかなる方かお聞かせ願いたいと。それはこちらは聞きたい話、よくも抜け抜けと。そう答える実澄に、帝は折を見て連れて参るがよいと言います。

実澄すら困る中、帝は微笑むのでした。

雪が降る中、光秀は城の図面を見ています。

そこへ左馬助が伊呂波太夫が来たと告げるのですが……ここで振り向く伊呂波太夫の美しさよ。

ほんとうに本作は、役者を綺麗に撮ります。

尾野さんをどれだけ魅力的に撮って見せるか、毎回挑んでいるのはよくわかる。本当に美しい。

そんな伊呂波太夫は、実澄の伝言を告げます。

内密だと前置きしつつ、御所に行くから一緒に参りませんかと問いかける。

光秀も御所という言葉に動揺します。

そして場面は実澄の邸宅へ。

御所に行くから書き付けを用意していたのだが見つからないと慌てる実澄。

伊呂波太夫が「これじゃございません?」と紙切れを見つけ、手渡していると、そこへ着替えを済ませた光秀がやってきます。

いかにも三条家の御用人のようでよろしいと笑う太夫、

光秀は戸惑っています。

微笑ましいようで、恐ろしいものがある。

あれだけ帝に入れ上げている信長です。

もしも「光秀が帝に会った」と知ればどうなることか……。

 

MVP:足利義昭

迷いました。藤吉郎の母・なかと迷いに迷いました。

なかの世間話あってこそ、光秀暗殺計画までたどり着けた。素晴らしい存在感でした。

そのうえで、今回の義昭は圧倒的でした。

義昭といえばすぐネタにされてしまう。散った義輝と比べ、なんと哀れなのだろうと。

それを滝堂賢一さんは見せ切った。

義昭の悲しさ、悔しさ、矛盾。命を吹き込みました。

時代に流される愚かな像に、生々しいまでの命が吹き込まれる。そんな瞬間を見られて、感無量です。

 

総評

終盤に、信長が出てこない回。それでも意義が深い回でした。

義昭のみならず、光秀も苦悩のど真ん中にいる。

藤吉郎にように、武士としての誇りは横において、とりあえず目的達成を目指せばよい、麒麟を呼べばよいのに。

しかし光秀は武士の誇りがあればこそ、公方様を立てたい。

そう思うからこそ、信長と徹底的に対立してしまいます。

天皇制まで絡め、奥深く描く本作。

義昭ができなかった、決定的に両者を割くことを、正親町天皇がやってのけるよう……。その点義昭より上手です。

どこまでおそろしいのか。

※著者の関連noteはこちらから!(→link

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
麒麟がくる/公式サイト

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