『おんな城主 直虎 完全版 第壱集 [Blu-ray]』/amazonより引用

おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第30回「潰されざる者」

「井伊は今川から潰されますからね!」

龍雲丸に激怒されながら、開き直る方久。

「徳政令があろうがなかろうが、井伊は今川から潰されますからね!」
しまいには捨て台詞を吐く始末です。

龍雲丸は怒るものの、政次は感情を秘めつつ冷静です。徳政令はいつになるか、と迫るのでした。

この場面での龍雲丸と政次の対比が見事でして。
直情径行でカッとなる龍雲丸に対して、腹の底にマグマのような煮えたぎる怒りを隠しつつ、冷静にふるまう政次なのです。
怒りながらも、頭をフル回転させて直虎と井伊を救う策を考えているのでしょう。

井伊谷には、その徳政令を持って、関口氏経がやって来ていました。

有無を言わさず徳政令(第14回)を蒸し返し、実行するように迫る氏経。
何故今更そんなことを、と焦り反論する直虎。
徳政令を願うのは方久だと氏経から聞いて、驚く直虎です。

氏経は井伊の怒りが方久に向くよう煽っていて、両者まとめて潰す気まんまんです。せめて少し考えたいと直虎は引き下がります。

「長逗留する気はないゆえ、明日までには」
そう言い、氏経はひとまず去ります。

その様子を百姓の甚兵衛が眺めていました。

 

今川館が焼けるかもしれない そうすれば井伊復活も

苦悩する直虎、直之、六左衛門の元に、政次がやって来ます。
冷たい口調で、
「徳政令で潰すのはむしろ温情。どのみち潰すつもりなのだから」
と、今川の目的を解説するのでした……その胸中やいかに。

直虎は南渓和尚に苦境を打ち明けます。
己の考えの浅さに呆れ、悔やむ直虎。政次のように慎重にふるまえば良かったと、涙声になります。

南渓は、昔もそうだったな、と笑います。
あのときは慰めに「明日は今川館が焼ける」と言ったが、今はどうだろう、とヒントを出す南渓。

確かにそう遠くない日に、今川は潰れ、その館が焼け落ちてもおかしくない——。
直虎はそのことに気づきます。

井伊を潰した今川が潰れたならば、井伊は復活できる。
直虎と政次は碁盤を通したテレパシー(としか言いようがない)で、意見をまとめます。
おそらくこれが二人にとって最後のテレパシー囲碁……!

 

「俺を信じろ、おとわ」

敢えて井伊を潰し、今川の懐に入り、関口氏経の首を手土産に徳川に寝返る。
そうすれば井伊は復活できる——全てを捨てて生まれ変わるのだ!

なかなかえげつない策を思いついたものです。これだと直虎が思ったそのとき、予想外の事態が起こります。

瀬戸・祝田の百姓が氏経の寝所に押しかけたのです。

「わしら瀬戸・祝田の百姓は、徳政令を望まんに!」
「徳政令を望まんに!」

響き渡る百姓たちの声。

暴力で排除しようとしても、彼らは踏ん張ります。
感動的ではありますが、これで徳政令を敢えて受け入れる直虎の案が失敗することに。

すると突然、政次が直虎の喉に刃を突きつけたのでした。

「俺を信じろ、おとわ」

一体何を信じればよいのか。緊迫したまま、次週へ!

 

MVP:瀬戸方久&今川氏真&関口氏経

来週から涙の小野政次無双確定なので、敢えてこの三人で。
共通点は「偽悪的」なところだと思います。

むしゃむしゃと鮎に食らいつきながら悪を為す武田信玄
涙を情感たっぷりに流しながら相手を殺すリストに入れる寿桂尼
そして昨年、エンジョイしながらカジュアルに策略をかましていた真田昌幸

そういう根っからの、「呼吸するようにワルになれる人々」と彼らは違う。どこか無理をして、一生懸命悪くなろうとしている。そういう凡人のあがきが愛おしく思えましてねえ。

氏真なんか吹っ切れて悪い笑顔を作っていますが、先週まで寿桂尼に勝てないとふてくされていたところを見ているわけですし、例の「死の帳面」を見ながら必死なことがわかっているわけですし。方久は企むそばからバレるし。氏経も必死で強面にしようとしているのがわかって、こうなんともそこが愛おしいわけです。

普通の人でも、悪いことをしたら眠れなくなるような人でも、悪の道に踏み入れねばならなかった戦国時代。
そういう背伸びが残酷で、なんとも辛いことだなあと思ったわけです。

 

総評

今週は45分かけて来週への前振りであったというか、インパクト全てが予告の小野政次の「地獄へは俺がゆく」に食われてしまったといいますか。
二周連続で戦国ビッグネーム寿桂尼と武田信玄が出てきただけに、今週の凡人たちの戦国は儚くて、なんとも見ていて哀しいといいますか。
化け物たちに踏みつぶされる悲哀をより感じさせました。

今週で直虎と政次にとっての幸せだった日々も終わるわけです。
直親の死(第十二回)は、おとわ・亀・鶴三人の絆に深い亀裂を入れました。これを境にして幸せな幼なじみの日々は終わったわけです。

そしてもう一度、亀なしでも築き上げたおとわ・鶴の日々も終わりを告げるわけです。
ある意味、亀退場以上の深い悲しみが待っているわけです。

ジブリぽいと言われつつ、序盤に幼なじみ三人の絆を描いて来た痛みがずしんと来ます。

「綿花栽培をダラダラやりやがって」
そんな風に思っていた視聴者が
「待ってくれ、政次退場とは聞いてない」
と、オロオロし始める場面ではなないでしょうか。

私も正直、これは辛い。
来週からのカウントダウン。小さな国衆の大きな痛みをハラハラしながら見守ります!

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著:武者震之助
絵:霜月けい

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【参考】
おんな城主直虎感想あらすじ
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link

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