『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

2018大河『西郷どん』感想あらすじ総評・前編「チェスト関ヶ原!」

2018年の大河ドラマレビュー――『西郷どん感想あらすじ総評』で捧げる言葉は?

「チェスト関ヶ原!」
正直、これしかありません。

本来の意味である「島津豊久公の関ヶ原撤退(島津義弘島津の退き口)を思い出してがんばろう!」ではない。

『衛府の七忍』はじめ、『ポプピピテック』やらインターネットでおなじみ「島津家の隠語で”ぶち殺せ!”を意味する」ものですね。

むろん関係者の皆様を脅したいワケじゃありません。

ただ本作に、これほどふさわしい言葉があったか?

そう痛感すると同時に、そもそも今年の総評は、もう【繰り返さなくても】よい気すらしています。

何を繰り返すか?
って、その対象は『花燃ゆ』総評です。

2015年の『花燃ゆ』からわずか3-4年。
短期間のうちに2度もやりよった西郷どんは、コケた理由がだいたい同じで、より悪質とも言えます。

なんせ
・維新三傑の一人が主役
・明治維新150周年記念
・豊富な番宣、持ち上げ記事
という素晴らしい素材が整っていたのに、花燃ゆと比して、わずかばかり視聴率が上回っただけ。

【大河・平均視聴率ワースト3】
2012年「平清盛」12.0%
2015年「花燃ゆ」12.0%
2018年「西郷どん」12.7%

とにかく残念な結果しかありません。

そこで今年は『花燃ゆ』の総評を踏まえつつ、
・より悪くなった点
・逆に良くするには?(不幸にして本作に関わった方や大河枠の大逆転を探る!)
そんなところに注目したいと思います。

前向きでしょっ!

もちろん甘い言葉で包む気は一切ありません。
薬丸自顕流の如く、猿叫しつつ前進あるのみ――新選組すらビビらせた覚悟で筆を持ちます。

 

もちろん作品の好き嫌いは自由ですから、西郷どん肯定派の皆様を否定はしません。

甘い思い出と共に本作を振り返りたい方は、ここでお帰りくいやんせ。

 


一の太刀「事前予想がバッチリ的中しもしたなあ!」

今年の大河は、初めから駄作になるとわかっておりました。
ちょっとおさらいしてみましょう。

最初にダメだ……と思った時期。
それは2015年の『花燃ゆ』総評を書いていた頃です。

私はこんな風に記しておりました。

大河を政治利用をしようと目論む人がいて、さらにNHK上層部がその誘いにホイホイ乗り、まともな神経の周囲が逃げ散るという状況になりますと、あの器用な二人が再登板することは大いにありえると思います。あれだけの大失敗をしておいたのだからもう繰り返さないだろう、というのは楽観的な見通しで、また胡散臭い状況が重なると何度でも同じことが繰り返されると思うのです。

そしてその悲劇が再度起こりうる最初のピンチは、明治維新150周年であり、二年連続の戦国大河のあとにあたる2018年です。

もう『花燃ゆ』のことなんて忘れたい。『真田丸』のことだけ考えたい。そんな思いを抱きつつ、しつこくこの原稿を書き上げたのは、2018年に悪夢を繰り返さないためです。この予言がどうか当たりませんように!!

予言が当たらないで欲しい><;

妙な考えで明治維新150周年をやったら、駄作間違いナシやで!
と宣言し、そしてその予感は、西郷どんの情報が小出しになればなるほど、見えて参りました。

それが以下の『西郷どん率直予想』記事です。

2018年大河ドラマ『西郷どん』を率直予想! 大いに期待したいけど悪夢が頭をよぎるのです

続きを見る

私は決して『西郷どん』に失敗して欲しいと思っているわけではありません。
昨年の『花燃ゆ』総評の時点で、2018年大河も作り手の姿勢によっては、同じ轍を踏みかねないと警戒しておりました。その予感が、現実となってもまったく嬉しくはありません。

そうならないためには、いくつかの条件が必要でしょう。幕末だけではなく薩摩専門の考証、できれば複数名をつけること。歴史が好きで敬意を払える脚本家を起用し、脚本家は考証の意見を取り入れ誠実に作品を仕上げてゆくこと。今からでもこの条件がクリアできるのであれば、望みはあると思います。

しかし残念ながら、公式発表の時点で篤姫や坂本龍馬の名はあっても、大久保利通の名がない時点で、嫌な予感は的中するのではないかと思います。
この予想が大きく外れることを、私は心より願っております。

いかがでしょう。
結局は、歴史好きな脚本家どころか、考証が反映されたようなストーリーには全く見えないお粗末な描写。

そして、西郷どんの第一回放送が始まる直前の2018年1月6日に書いた記事が以下のものです。

大河ドラマ『西郷どん』超直前予想! BLやモテ要素で、やっぱり不安は拭えない

続きを見る

私個人としては、来年の大河は「凶」と見ます。
視聴率はそこそこでも、ドラマの質は厳しくなりそう……という意味です。

目に見えた地雷はありません。
しかし、一昨年『真田丸』と昨年『おんな城主直虎』よりも不安要素が多めに感じられます。

一昨年と昨年は、予想が難しいなりに、ワクワクする手応えがあって、これはいけるのではないかと思ったのですが、今年は残念ながら、正直なところ……雨が降る前の、暗雲が目の前に見えるのです。

全部当たったわ、うん。
まあ、驚きはないかな。

◆プラス材料がズラリ NHK大河「西郷どん」期待大のワケ(→link


この記事を書いた方、今どんな気分かな?
まぁ、本人が面白いと思っているならばそれでいいっす。

ただし私の予想も全部的中したワケじゃなく外れたところもあります。

視聴率はそこそこでも、ドラマの質は厳しくなりそう……という意味です。

【視聴率はそこそこ】取れる……と思ったのに、なんじゃこれ!

なんつっても主役は西郷隆盛ですよ。
どう転んだって、激しくつまらなくはならないだろうし、元々の人気も高い。

しかし……。

実際に始まった第1回放送。
以下が、そのレビュー記事です。

『西郷どん』感想あらすじ第1回「薩摩のやっせんぼ」

続きを見る

上記の中ではどんな風に、その先を予測していたか?
再び引用させていただきますと。

そんな状況を受けて、今後の大まかな流れを予想しますと……。

2月までは絶賛記事が出るでしょう。
叩かれるとしたら3月以降(ただし1~2ヶ月程度のズレあり)で、急死する島津斉彬はじめ、序盤の豪華キャストが抜けた分、補えるかどうかがポイントになります。

後はざっとこんな感じでして。

・視聴率は『八重の桜』のプラスマイナス1~3パーセント程度
・歴史ファンの評価としては、幕末大河だと『八重の桜』よりかなり下、2015年のやや上に落ち着く
・歴史に興味がないファンの評価としては、『八重の桜』より上に落ち着く
・SNSでの熱気は『真田丸』、『おんな城主 直虎』には及ばない
・観光への貢献度は、明治維新150周年も重なため『直虎』以上、しかし『真田丸』以下に落ち着く
・幕末版『軍師官兵衛』という立ち位置になる

といったところです。

もうね。
視聴率も悪いどころか、一桁達成も果たし、ワースト3にランクインじゃないですか。

大河ドラマ館も入場者数は最低クラスですし、放送期間中に島津家現当主から駄目出しもされました。

井伊直政も活躍させたにせよ、無名の女性主人公・井伊直虎を下回るって、維新三傑でどういうことなん?
おかしいでしょ?

あのですね。
「私の予知能力すごいでしょ!」なんて言いたくないんです。

むしろ外れて欲しかった。

編集さんも大いに嘆いておりました。

『大河の駄作だけは本当に勘弁して! ドラマが盛り上がらないとアクセスに響く!』

いや、そんな編集サイドの事情を言われましても――と皆さん思うでしょうが、ともかく私が言いたいのは……。

よくもまぁ、こんなクソ路線を予想そのままに突き進みおったな!ということです。

大河主演歴のある方が
「明治維新150周年には、くだらないお上主導のイベントがあるだろう」
という予想を、はるか以前からしておりました。

仁義なき幕末維新
菅原文太兄ぃは仙台藩士の末裔だった『仁義なき幕末維新』に見る賊軍子孫の気骨

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そうです。
文太兄ぃと半藤一利さんです。

お二方の【先見の明】には驚かされるばかりです。

 


二の太刀「わっぜアツか【幕末最低薩長同盟】でござおいもす!」

そんな本作にも意義はありました。
マトメてみますか。

『八重の桜』
『真田丸』
『おんな城主 直虎』
といった良作を再認識できたのがその一つとして、あの『花燃ゆ』ですら「西郷どんよりはマシな部分もあったかもしれない」と思わせたところですね。

数字的にも『花燃ゆ』だけが視聴率一桁を達成するわけではない――そんな熱い薩長同盟を見せてくれました。

同盟だけでは物足りません。
これを機に【最低大河ドラマ四天王】も決めておきましょう。

【大河ワースト四天王】
戦国男性主人公部門:『天地人』(2009)
戦国女性主人公部門:『江〜姫たちの戦国〜』(2011)
幕末女性主人公部門:『花燃ゆ』(2015)
幕末男性主人公部門:『西郷どん』(2018)

どうでしょう?
大河好きの多くは異論はないのではありませんか。

ただ、言っておきますよ。

あくまで四天王だからね!
五番目はいらんからねッ!

最終回のあと、とある山口県民の方から、こんなツイートを見かけました。

「『花燃ゆ』で味わった地獄を味わうがいい、フハハハ!」

いやぁ、目頭が熱くなりましたよ。
終わってみれば、長州だけがドン底ではないと手を差し伸べた――そんな「薩長同盟」効果が発揮されたのですから。

ただし、これが幕末のリアル「薩長同盟」と違う点は、会津を倒すどころか、会津大河『八重の桜』が最高だったと確認するためのものになったことですかね。
150年を経て、会津が大河ドラマで薩長に勝利したと考えれば、意義はバッチリあったかもしれません。

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実は2015年と2018年、私には確実に当たると思っていた予想がありました。

それが『八重の桜』の再評価――です。

2013年の同作放映中は、
「日曜夜八時にはヘビーすぎる」とか
「負ける連中の話なんていやだ」とか
「薩長を悪役にしやがって」とか
とにかく色々言われました。

けど、なんなんですかね。
2015年と2018年の薩長同盟大河を踏まえて、八重の評価が爆上げじゃないですか。

「会津サイドから見た薩長が嫌なら、今度はそちらから語ってください」とバトンを投げられた花燃ゆと西郷どんは、、真正面から歴史と向き合うのを放り投げ、挙句の果てにオニギリやウナギに逃げ込んでいるのですから目も当てられません。

まぁ、避けて通りたい都合の悪い歴史もありますからね。
それでも真摯に向き合えば、いくらだって名シーンにできたのに、結局、逃げた。

んなもん、駄作になるに決まってるじゃないですか。チェストーーーーーー!!

あ、あと他に良かった点がまだあります。

『あさが来た』再放送の五代友厚(薩摩藩士)
『ゴールデンカムイ』の鯉登少尉
『ドリフターズ』の島津義久
『衛府の七忍』のぼっけもん

彼らがやたらカッコ良く見えるようになりました。

それもこれも『西郷どん』を最低最悪の薩摩に仕立て上げてくれたからで、無意識のうちに本当の薩摩隼人を欲していたからかもしれません。

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