先週は、父と初めて江戸に向かった栄一。少年でありながら商才を発揮し、藍を買い付けました。
「やったー!」
そう叫ぶピュアな栄一が印象的だったでしょうか。
一方、幕府では、将軍候補として慶喜の名があがります。ペリーの黒船が襲来し、12代将軍・徳川家慶も逝去。そこで慶喜は「将軍になる気はない」と反発するのでした。
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尾高家で夜通し語る栄一
資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、今日も爽やかに、ニコニコと道を歩いてゆきます。
藍の買付に成功して、血洗島の救世主となっていました。
そんな栄一は、尾高惇忠と日本の歴史や未来を語ります。
白熱して夜通し話すことも。
そのまま尾高家で寝過ごしてしまい、お千代が栄一の寝顔をジッと見つめます。
千代にときめいた栄一は、思わず仕事に遅れてしまうほど。働き者の栄一がそうなってしまうほどの美少女ですね。
橋本愛さんのフレッシュな魅力が光ります。
アバンのあと、徳川家康が出てきます。もう毎週の定番となるのでしょう。
◆ 「青天を衝け」遅れて登場した家康にどよめき 「これがないと始まらない」(→link)
先週のおさらいをしてくれますから、安心できます。
家定将軍では危機を乗り切れない
ここで13代将軍・徳川家定が出てきます。
ひと目で愚鈍だとわかる素行の家定。
こんな将軍では日本の危機を乗り切ることはできない。慶喜を待ち望む気持ちが高まります。
阿部正弘、川路聖謨ら幕臣は、不安そうに徳川斉昭とそのブレーンである藤田東湖に先行きの不安を語ります。
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こんな脆弱な幕府よりも、水戸藩が前に出て欲しい。そんな演出ですね。
慶喜と小姓
水戸藩は、平岡平四郎を慶喜の小姓としました。
粋な江戸っ子はどう振る舞うのか?
慶喜に小姓として給仕する平四郎ですが、ご飯ひとつ準備するにしてもまるでうまくいきません。
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そんな平四郎に、身分の分け隔てなく接する慶喜。
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平四郎は閉じ込められるのは性に合わないと言います。
それでも受け入れる慶喜。平四郎は一橋家に入ったのでした。
福井の名君である松平春嶽も、なぜか風呂場で慶喜は素晴らしいと橋本左内を相手に噂しています。
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巷は慶喜の素晴らしさの噂で持ちきりです。人相がいい、将軍になるとみんな語り合っています。
平四郎も夢見てしまいます。
主君が将軍になったらどれだけ嬉しいか。そう妻の前で話す。当初は反発していた平四郎が、不自然なほど慶喜に魅了されています。
ペルリが! ペルリが!
血洗島では、栄一が商才を発揮し、父同様に活躍。仕切りを任されていました。
一方で従兄弟の喜作は商いより剣術に興味があるとか。
千代は栄一を意識してしまいます。初々しい初恋でしょうか。大人の階段をのぼっています。
彼女を意識する喜作は金持ちになりたいと夢を語ります。
しかし時代は動いています。
嘉永7年(1854年)、永井尚志が叫んでいます。
「ペルリが! ペルリが!」
一度は去ったペリーが再び来襲。礼砲におそれおののいた幕府は、開国しかないと言い出します。あの井伊直弼もすっかり怯えている。
そんな中で一人、「異人は潰せ!」とばかりに胆力を見せる徳川斉昭。
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しかし外圧に負けて阿部正弘は、日米和親条約を締結したのでした。
一問一答のようにテンポよく日本の歴史が進んでゆくその頃、栄一は悪代官の横暴に怒りを覚えていました。
彼らはなにかあればすぐに御用金と題して銭をふんだくる。
なぜ? 百姓が貯めたお金を奪う代官は何なのか?
屈辱に震え、世を正す決意を固める栄一でした。
MVP:平岡平四郎
フレッシュな魅力と江戸っ子らしさを持ち合わせた粋な男でした。
総評
テンポよくスッキリといったところでしょうか。日本史をすんなり学べる――そんなドラマが求められている、という観点から物語が進んでいるようです。
日本男児の高潔さを語る栄一たち。
そこに気持ちよさを感じる方はここでページを閉じてください。
一方、そんな世界観についていけない方は先へお進みください。
『彼岸島』と『彼、岸島』
まずは大河と関係ない話で申し訳ありません。
吸血鬼サバイバルホラー『彼岸島』のスピンオフ『彼、岸島』が始まりました。
あの超展開を見せる名作にツッコミを入れていく斬新な漫画です。
もう今年の大河は、その主人公気分で見るしかなくなってしまいました。
◆「彼岸島」がギャグマンガに、人間目線でツッコミ入れるスピンオフ「彼、岸島」1巻(→link)
真面目な話、『青天を衝け』と『彼岸島』には似ている部分があります。
説明セリフが多いこと。
ずーっと思ったままのことをそのまま会話にしている。そこがそっくりです。
演出もわかりやすい。冒頭の栄一なんて、観客を意識しているとしか思えないほどの笑みを浮かべて歩いてきます。
日常生活で、あんな笑顔をして歩いている人、います?
前から歩いてきたら、怖くありません?
『彼岸島』感覚でいえば、日米和親条約のところなんてすごかった。
「大砲すごいぞ!」
「戦か!」
「戦は避けるぞ!」
こういうことを立ち話感覚で進めて、その次には条約を結んでいる。思わず、えっ???となる。
本作でペース配分など考えてはいけないのでしょう。『麒麟がくる』の合戦スルーよりはるかに悪質です。
というのも幕末の外交ともなれば、戦国時代の合戦よりも視聴者の知識がないことは顕著。
それをタップしただけでクリアするようなゲーム感覚で進めるって問題があるのでは。
条約の一件が、栄一の周辺にも瞬時に伝わるかのような世界観もフシギです。
ネットも無い時代にどうしたことか。
と、そういう超展開が『彼岸島』のようでエモい。
永井尚志が「ペルリが! ペルリが!」と叫びながら走るところなんて、見ているだけで知性が奪われていくようで圧巻でした。
瞬時に重要な情報が駆け巡る世界――そこから見ると、大正時代になってもカラスで伝達している『鬼滅の刃』って不便ということになるのでしょうか。
英雄史観万歳ワールド
そういうしょうもないネタで語れるレベルなら微笑ましいものですが、本作は色々と危険なこともはらんでいます。
まずは尊王攘夷思想の美化でしょう。
説明セリフでちゃっちゃと江戸幕府の歴史を進め、気がつけば日本男児を連呼。
皇国史観の原産地である水戸藩由来の危険思想については、現代人は批判的目線も一緒に持ち合わせねばならないところでしょう。
慶喜が才能があるから将軍にしたい――そう誘導するあたりも、おかしな話です。
本日(8日)にBSで再放送される『柳生一族の陰謀』は、徳川家光と徳川忠長の継嗣問題を描いています。
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あれにはどういう意味があるのか?
将軍の資質は問わない。人形を将軍の座に据えていようと、幕閣が揺るがない。
そういう国家作りが近代の課題で、イギリスの王政はこの典型例です。
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家光の方が弟より愚鈍だろうが、長子相続を守る。このことこそ徳川将軍家を磐石にすることだ。
そういう歴史観が反映されているわけで、柳生宗矩が腹黒いだけの話でもありません。
それなのに、嗚呼、それなのに。安っぽいRPGかオカルトのように、
「おお、慶喜こそ勇者の血筋……」
みたいなことを延々と説明セリフで語らせる。
家定はテンプレ通りのバカ殿描写。一体いつの時代のドラマなのかと焦燥感が募るばかりなのです。
エンタメを楽しみながら歴史が勉強できるどころか、視聴者の脳内に毒を注ぎ込んでいるような作品と申しましょうか。
こういう英雄史観は日本の特有の古い価値観であり、かつ危険なのですが……。
悪代官のテンプレ描写も凄まじいですね。本作の感想を読んでいると、間違った歴史を植え付けているのかわかってしまってつらい。受験生はむしろ見ない方がよさそうです。
とにかく最近気になるのが慶喜の聡明さ。しつこいばかりに口頭で説明されています。
『麒麟がくる』の場合、主人公の明智光秀がそこまで口だけで賢いとは言われてはいません。
具体性を伴っていた。
例えば、主筋の嫡男にあたる斎藤高政よりも早く、儒教の教典である四書五経を読みこなしていたり、斎藤道三に話を振られたときは数珠玉の計算方法もスッと思いつくといったシーンがあった。
何をどうしていたのか? 周囲と比べて優秀なのがわかりました。
家康の幼少期にあたる松平竹千代も、幼くして信長の弟・織田信勝より将棋ができることが示されていました。比較対象を示すことで、具体性がありました。
それが栄一の場合、具体性が乏しい。比較対象もない。明瞭とはいえない。
慶喜にせよ、セリフでただ「賢いです! すごいです!」と言われる。
どこが? と教えてもらいたい人は少なくないのでは?
慶喜の場合、テンプレバカ殿描写をされる家定より賢いとしつこいほどに示されますが、そりゃ、あれと比べたら誰だってそうだろうとしか思えないんですよね。
まだ戊辰戦争に期待してるの?
こんなニュースがありました。
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本能寺は心配ご無用でした。
じゃあ今年は?
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心理劇重視だったので、コロナのせいで合戦が減ったかわかりませんが、それよりも注目したいのはここです。
『青天~』では、5億円以上をかけて東京ドーム5個分の敷地を群馬県で貸し切ってロケをしています。
これから描かれる戊辰戦争でも、同じくらいの規模のセットを作ることになっている。
『青天を衝け』ではそもそも戊辰戦争をしっかりやるとは思えません。なぜか?
徳川慶喜は、当時の江戸っ子も呆れ果てるほど腑抜けた態度で戦争を放棄し、その結果、新政府軍の憎悪とはやる血気は東北諸藩が血で贖(あがな)われた。
それが戊辰戦争です。
そこをあからさまに描けば、慶喜も、それに賛同する栄一も、福沢諭吉流に言えば「痩せ我慢もしない根性なし」に思えます。
そんな都合の悪い場面を徹底的に描くとは、到底思えません。
栄一周辺には参戦者もいますし、それこそ町田啓太さん扮する土方歳三は戦死を遂げます。
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彼らが凄絶な散り際を見せれば見せるほど、栄一は何をやっているんだとなりかねない。
ゆえにそこは“スルー”一択です。
そりゃ福沢諭吉も明治以降文句タラタラになりますよ。
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https://bushoojapan.com/baku/2019/11/30/115131
慶喜は偉いから戦争回避できたけど、東北諸藩は要領悪くて自滅した。
そしてその東北から北海道に送り込まれた屯田兵が苦しみながら開拓した北海道をビジネスチャンスにする。
それが明治の金です。
作風からして、そういう落とし所を探りそうな気がします。
なんのかんのいって、このドラマの目的は「上級国民は明治から偉かった」と描くことでしょうね。
それに……私の推測だけでなく、そのヒントも今回ありました。
ペリーの黒船の姿が見えない。スタジオ撮影をちょこまかと誤魔化しているだけ。礼砲を発射する場面すら出さない。
別に本物の船なんて必要ありません。VFXと音響で表現できます。でも、それすらしない。
スルーするにしたって、取捨選択はできます。
幕末もので黒船をろくに描かないとは?
インパクトが伝わりません。
要するに、歴史を描く気がないんですね。
これではマトモに戊辰戦争が描かれるはずもなく、すでに私は諦めました。
裸体無双&キュン死で鉄壁の布陣だ!
作家性を薄くし、ターゲット層を広げる。
本作は、クリエイターの個性ではなく、広告代理店が考えそうな手法を使っています。
案の定、こんなニュースが速攻で出されていました。
◆「青天を衝け」要潤、小池徹平の湯浴みシーンにネットざわつく「どんな気持ちでみれば…」(→link)
それは浴場で慶永が目を閉じて「水戸はほかの徳川とは違い頼りになる」などと語り、福井藩士・橋本左内(小池徹平)が慶永の右腕を洗いながら同調している場面。
半裸で登場した2人にSNS上では「この入浴シーンどんな気持ちでみれば…」「福井勢のBL感…」「福井勢のサービスシーン」「サービスシーンきた笑」「えっ何このシーン!?何のサービス!?」「良い背中やな」といった声が上がっていた。
もう演じる方へのハラスメントで絶句します……。
あの会話は別にお茶を飲みながら交わしてもよかった。
書物を読みながらでもよかった。
福井県民への嫌がらせとしか思えない。
地元の英雄・松平春嶽と橋本左内が、『西郷どん』に続いてこの扱いってどういうことでしょうか。
「計算通り……」とほくそ笑んでいる誰かの顔を想像してしまいます。
40代以上女性をメインターゲットとしていますから、長州に『花燃ゆ』あらば、水戸に『青天を衝け』ありですね。
その辺は出演者も織り込み済みです。
◆ 橋本愛「キュン死に度が高い」青天を衝けで妻役(→link)
『麒麟がくる』では、出演者が孔子のことを語っていて流石だと思いました。
今年はキュン死ですか。
これは役者の問題じゃない。
「キュン死しちゃった顔で演じてください〜」
みたいな言葉が飛び交う現場が想像できて辛い!
それがニーズですからね。この手のニュースを見ていて感じてしまうセンスの古さ。このあたりがもうとにかく辛い。
まぁ、本編もセンスが古いですから仕方ないですかね。まるで昭和の少女漫画です。
栄一の顔をのぞきこむ千代なんて、もうあれはなんなのか。
日米和親条約をスピード締結して、しょうもない少女漫画もどきは長々としつこくやる。
もう何度でも問いたい。これは歴史を描くドラマなのですか?
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◆<青天を衝け>玉木宏“高島秋帆”の変わりぶりに反響「まるで白馬の王子様!」(→link)
「まるで白馬の王子様!」
って、一体いつの時代やねん。
◆ 「王子様はいない。最後のひと踏ん張りを諦めないで」女性が多様な選択肢の中で幸せに生きるための現実的ヒント(→link)
お姫様路線を徹底して押してきたディズニーですらそれを捨て去り、ありのままに生きるエルサがあれほど人気があるというのに……どういうことなのか。本当に信じ難い。
高島秋帆に注目を集めたい意図はわかりますが、「きゃーイケメン!」で終わったらただのコスプレでしょうに。
「明治維新で敗北した側にもスポットライトを当てます!」
「へえ。没落士族や屯田兵の苦労でもやるのか」
「いや、そういう暗い話、難しい話は、イマドキ視聴者の需要ないんで! 幕臣から経済人になった渋沢栄一、明治以降趣味人ライフを満喫した慶喜をイケメンとして描ききゅんきゅんさせます!」
「はぁ?」
こんな問答を脳内再生しちゃいますよね。
明治以降の慶喜の心境に関しては興味深い話はいろいろありますが、
このドラマに期待するのは無駄だろうとは思います。
本作の制作サイドが選択した手法は、これまでの大河固定層を逃し、流動性の高い新規層を確保するものでしょう。
それをそのまま固定させられたらよいものの、できなければただの損害。大河不要論が再燃するのではありませんか?
流動性の高い新規層にせよ、40代女性ならば層が厚いわけでも、新たなトレンドを生み出す可能性も高くはない。
大丈夫でしょうか?
資本主義の父を描くにあたり、本人とは似ても似つかない美形にして、13歳時に強引な展開で下着一枚にする。
その未成年の下着姿だの、裸体が「ご褒美!」「えっちすぎますぅ!」「どういう気持ちで見たらいいの」だのなんだの大人が表明し、それをニュースメディアが取り上げる。
なにひとつとしてまともな要素がなく、めまいがするばかりです。
本当に若いか、トレンドを追える女子はこっちですけどね。
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そうそう、脚本家つながりの『あさが来た』ですが。華流『月に咲く花の如く』は上位互換ではるかに面白い。Amazonプライム他VODで見られます。
論語読みが論語を知らないどころか……
そういえば今週は漢籍出てきましたっけ?
『麒麟がくる』の方がよほど出てきていることは確かです。
そしてこんな疑念にも答えを推察しておきました。
「かつては『論語と算盤』が経営者の定番だったのに、最近の日本ではそうでもないなあ。なんでかなぁ?」
昨年の『麒麟がくる』では『論語』はじめ漢籍を引用し、伏線にしていたにも関わらず、大手メディアですらそこに触れない。漢文力の低下を痛感しました。
無理もないことかもしれません。
書店にいけば、儒教を学んでいたのは中国人と韓国人だけであるかのような誤誘導ベストセラーが並ぶわ。作家が漢文不要論を展開するわ……。
要するに、漢文力の底が抜けるという、明治以来でも直面しなかった危機に日本は直面しているということです。
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私の意見と前置きしますが、渋沢はじめ明治から学べることなんて現代人にさしてあるとも思えないのです。
当時、彼の自伝を書いた幸田露伴も「時代の子」と評しています。
『論語と算盤』現代語訳は読みました。
正直なところ、中国文学者による翻訳付き書籍の方が応用できると思います。ましてや漫画版となれば使えるかどうか、ちょっと想像つきません。
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イギリスでは、大英帝国時代を懐かしむ連中は『モンティ・パイソン』で茶化されているもの。そういう恥ずかしいイメージが定着しているとか。
最近は世界的にそういう時代を懐かしむ愛国主義者もいるものですが、要するに時代錯誤とみなされるわけです。
できるビジネスパーソンを自認する方は、帝国主義礼賛『坂の上の雲』だの、渋沢栄一から学んでいると公言する状況は、世界規模ではかなり特異なものだと自覚しましょう。
それにしてもこのドラマって、女性雑誌の官能特集と経済誌が並んだ棚のようで圧巻ではあります。
上司が部下の生気を吸い取る世界へようこそ
本作関連のニュースはエモいと思います。
なんかこう、部下の活躍を見守る上司目線がエモいんですね。
この記事はおもしろいので、ちょっと分析してみましょう。
幅広い視聴者層をターゲットにするだけに、展開が早くテンポがいい。
吉沢の肉体美や恋愛模様で女性ファンのハートをつかむ傍ら、竹中や草ナギ剛のシリアスなちょんまげ頭で時代劇好きも飽きさせない。
「大人から子供まで、皆さんに楽しんでいただける物語」(脚本の大森美香氏)というコンセプトが伝わってくる。
ここです!
幅広い視聴者層をターゲットにするというのは、世界戦略的に見ると間違っています。
VODで配信がここまで発達すると「みんなでテレビを見る」という機会はむしろ薄れる。
各人がスマホなりタブレットを持ち鑑賞する。
となればむしろ作家性を濃くし、流動性の低いファンを掴んだ方が得策なのです。
視聴率だって計測方法が変化しています。
「大人から子供まで、皆さんに楽しんでいただける物語」と持ち上げてしまうとすれば、『ゲーム・オブ・スローンズ』ブームすら把握できない、アップデートできない作り手が揃ってしまったということです。
これは戦略時点で間違っています。
万人受けを狙って仕掛けた『100日後に死ぬワニ』が大失敗。ヒットすると予測すらできなかった『PUI PUI モルカー』が万人受けしている。
ヒットのセオリーも変化したと読み取れます。
それすらできなければ百戦百敗は当然の帰結でしょう。
次に……。
登場するたびにネット民は大騒ぎだ。
「ネット民」とか「ネットでは」という言い回しを、そもそも物心ついたころからネットのある世代は使いません。
ネットはただの道具でしかありません。
何を特別視しているのでしょうか。
そういえば、先週は諸葛孔明と斉昭のコラージュじみた絵がバズっておりましたっけ。
当時の技法でああいう画風はありなのか、風刺画はもっと複雑なものではないか、そもそも江戸の絵師があんなにも詳細に殿様の顔を知っているものなのか、疑念がつきませんが……ま、でもバズればいいってことでしょうか。
そしてここだ。
40代になると全力で走る機会が減るからか、他人の全力疾走を見ていると気持ちいい。物語全体を包む明るさの一因は、栄一の走りっぷりだと感じている。
要するに若いもんががんばっている姿がいいなあ〜と微笑む。
そういう昭和上司接待ドラマということ。
本物の若者はVODに流れ、そして、それに対応できそうもないい昭和世代が「やはり若者の走りっぷりがいいなあ」「ふんどしにきゅんきゅん〜」しているという、どうしようもなさが見えてきました。
私としては、そんな「剣闘士の戦いに声援を送るローマ市民」じみた楽しみ方はしたくないんでッ!
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そもそも「大人の階段上る」の『想い出がいっぱい』って1983年の曲じゃないですか。
これが懐かしいってなる年代って……いやまあ、やめておきましょう。
◆『青天を衝け』応援したくなる“栄一”吉沢亮のピュアさ 草なぎ剛も無敵の透明感 (1)(→link)
ピュアか……『麒麟がくる』の信長や光秀もある意味ピュアでしたけれども、そういう屈折のないぴゅあぴゅあ感ですよね。
ピュアといい、透明感といい、それって演じる方の年齢を踏まえると、そういう褒め方って果たしてよいものなのかどうか疑問は湧いてきます。
公共放送の意義を自ら破壊するストロングスタイル
そんなキュン死狙いだけではない。
「デキるビジネスマンならやはり渋沢栄一!」と言いたげなニュース。
狙いはわかります。こちらは流動性が低い。
◆ 渋沢栄一が興して今も残っている会社 150年後の「勝ち組」「負け組」(→link)
◆大河『青天を衝け』好発進 「渋沢栄一銘柄」は買いか否か(→link)
◆大河スタートが業績を後押ししそうな「渋沢栄一」関連銘柄(→link)
◆渋沢栄一が調整役となり成立した「銀行制度」「株式会社制度」が明治以降の日本の発展を支えた(→link)
◆ 渋沢栄一の不思議 なぜ“名を冠した企業”が1社しかないのか(→link)
だいたい想像もできると言いますか。
愛読書はまず間違いなく司馬遼太郎でしょう。『坂の上の雲』なんか大好きでしょうね。
◆右も左も口をつぐむ“司馬遼太郎タブー”の実態(→link)
彼らのビジネスマナーが、ニュースからも見て取れます。
◆【大河ドラマコラム】「青天を衝け」第三回「栄一、仕事はじめ」庶民の日常を見つめるドラマと大河ドラマらしいスケール感が一体化した作品の魅力(→link)
庶民の日常を見つめるドラマと大河ドラマらしいスケール感が一体化した作品の魅力――って、実は『麒麟がくる』にも当てはまりますよね。
駒パートが該当しますね。それがどうこの手のビジネス層から評価されていたか?
◆「麒麟がくる」で長篠の戦いがスルー クライマックス「本能寺の変」は大丈夫か(→link)
「駒さん(門脇麦)や伊呂波太夫(尾野真千子)、そしてナイナイの菊丸(岡村隆史)ら、実在しない人々のシーンが多く、しかも活躍しすぎです。
帝(みかど)や将軍にまで会うことができたり、歴史を動かしているのはこの人たちになってしまっているから、視聴者は納得いかないまま話が進んでいく。
松永の死後、平蜘蛛が無事に残っていて、光秀の元に持ってきたのが伊呂波太夫ですからね。またかよ、と……」
一体なんなのでしょう?
まだ幼い栄一がいきなり道端で役人に逆らおうが、秋帆の牢屋に入り込もうが、ファンタジーとされない。
なぜなら彼は出世する実在の男だから。
こんなの要するに「偉い人相手には弁えよう」というビジネスマナーの類じゃないですか。
『麒麟がくる』では、信長の正室と側室がいがみ合うようなノイズはありませんでした。
本作はそこをじっくりと描きそうだと、登場人物一覧を見ていると思えてきましたが。ま、でも実在人物ならばどんなにダラダラしようがありですかね。
“青天の呪い”がくる
まずは、私個人としては、怪力乱神を語らずだと断っておきますが。
◆渋沢栄一も思わず苦笑い?「青天を衝け」放送直後に流れたニュースに「なんてタイミングなの」(→link)
これは「青天の呪い」がきますな。
本当に来ているようで洒落になっておりません。
◆ みずほ銀行 再びATMなどでトラブル 午後1時半ごろまでに復旧(→link)
それは非科学的な迷信でなく、近現代かつ企業が絡んでいるから。受信料を受け取り、かつ企業と関係している。公共放送そのものの倫理に反することを堂々とやらかす。
前回の呪いだって、オリンピックという現実のイベントと密着しすぎたことが一因です。
◆ 大河の最低記録だけじゃなかった…昨年の「いだてん」終了後も続く“呪い”(→link)
なぜ渋沢栄一が大河にならなかったのか?
これだけ企業と関係していたら当然のことでしょう。自縄自縛したのです。
NHKは大河出演者の不祥事が相次いだためか、身体検査を厳しくするといった情報もあります。
先ず隗より始めよ。
出演者の前に、ドラマの題材選びから慎重になった方がよいのではありませんか?
明治維新敗北側の『八重の桜』は褒めておいて、『青天を衝け』に厳しいのはどうしてかなんて言われますが、題材の清濁を踏まえたら当然のことでしょう。
幕臣の再評価をしたいのであれば、小栗忠順あたりでよかったのではありませんか?
経済をテーマにしたいのであれば、上杉鷹山でよいのではありませんか?
吉田松陰の妹。マラソン選手。大手新聞記者。こうした人物の方が、まだしも大河主人公としてはマシなんですよ。
◆ 橋本愛“不思議ちゃん”ゆえ大河「青天を衝け」でハマらず?(→link)
そしてゲンダイさんには、こう指摘したいのです。
「“ん”がつく近代大河の呪いですな……」
彼女が悪いというよりも、“ん”がつく近現代大河の呪いでしょうな。2018、2019、2021……圧倒的な呪いを感じますぞ!
明哲保身という言葉の意味を噛み締めます。
大河ほどのブランドでも、題材をあやまったら危険なのです。
「SNS自分の周囲では盛り上がっているのに!」という謎
本作にせよ、2019年にせよ、こういう意見はあります。
「どうして悪く言うんだ! 私の周囲では、SNSでは大盛り上がりだ!」
ドラマの意見ならば、無害な話とも言えます。
けれどもこれが陰謀論ですと有害です。
私の周囲では盛り上がっているけど、世間ではそうではない。そんな不思議な状況は、インターネットだからこそ形成されます。
【エコー・チェンバー】
【フィルターバブル】
【ポリアンナ症候群】
あたりでも調べてみてください。
インターネットって、人間の配慮を超えた叡智のように誤解されておりますけれども、使用されるアルゴリズムにせよ、どうしたって人間の判断は入ります。
となると、意図的な情報操作もできる。
なまじ生まれた時からネットがある世代はそこまで危険でもありませんが、高年齢層ほど「ネットには世間が知らない裏事情や真実がある!」と思い込んでしまいます。
その弊害の研究はまだ始まったばかり。
くれぐれも騙されないようにご注意くださいね。
どうにも本編よりも周辺がおもしろくなってきてしまう。そんな歳です。
とりあえずもう半裸はいらない。出演者がかわいそうだから、とりあえず服を着せてセリフを言わせてください。
見ていて辛くなってきます。悲しくなってきます。
何よりもまず、役者を守っていただきたい。
これは高望みでしょうか?
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【参考】
青天を衝け/公式サイト














