お前が欲しい――千代に告げた先週のラストからどんな展開を迎えるか?
喜作がやってきて、千代を賭けて剣術勝負をすることになります。
「栄一さん気張って!」
これぞ青春ってやつでしょうか。
オープニングで激しい勝負。なかなか長い間、道場で戦いが続き、ついに尾高惇忠がやってきて結果は喜作の勝利でした。
しかしなぜか喜作は栄一に勝利を譲ります。
二人の事情を把握した尾高惇忠は結婚を快諾。ついに栄一と千代の結婚が決まりました。
なお、栄一・喜作・惇忠の三人はこの先も行動を共にします(よろしければ惇忠の記事を併せてご覧ください)。
-

栄一の嫁兄・尾高惇忠は学問に通じるも実業はサッパリ?富岡製糸場で大赤字
続きを見る
では、そのころ幕府はどうなっていたか?
井伊の大老就任と栄一の祝言
赤備えの鎧兜と共に、北大路欣也さんの徳川家康が登場、井伊家のことを説明します。
井伊直政から始まり井伊直弼のことまで。
そして将軍継嗣問題(本作では将軍世継ぎ問題)へと行くのですが、今回も説明セリフで進んでいきます。
そんな中、岩瀬忠震(いわせ ただなり)が「違勅」で日米修好通商条約を結んだから大変です。
岩瀬は、交渉相手のハリスらに感心されるほどのやり手でしたが、強引に押し切られたかのような、どことなく臆病な表情を浮かべて調印していましたね。
-

実はアメリカを圧倒していた幕臣・岩瀬忠震の交渉術|日米修好通商条約の真実
続きを見る
当然ながら開国反対派の徳川斉昭は激怒。
水戸藩士らもザワついています。
-

徳川斉昭は幕府を揺るがし滅ぼす問題児だった?そして水戸藩も崩壊の憂き目へ
続きを見る
そんな中、家定が慶喜に嫉妬し、慶喜推しメンを処罰するよう井伊直弼に言い残します。
慶喜は家茂を認めていたのに酷いなぁ。
◆磯村勇斗:引っ張りだこの“最旬俳優” 「青天を衝け」徳川家茂役で大河デビューへ(→link)
不穏な空気に包まれる幕府に対し、血洗島村では栄作と千代がほっこりキュンキュン祝言です。
オナゴがキュン死で倒れそうな展開なんでしょうか。
そんな夜に誰かが来るようです。
井伊直弼は血を吐いて倒れると予告で判明しました。来週は【桜田門外の変】ですね。
-

悪役にされがちな大老・井伊直弼は一本気で能力も高かった?今こそ真の評価を
続きを見る
-

前代未聞の暗殺事件「桜田門外の変」水戸だけでなく薩摩も密接に関わっていた
続きを見る
総評
幕末も現在の私たちと変わらない青春がある――そんなほっこりする展開でしたね。
やはり日曜の夜は爽やかでありたいということでしょうか。
幕末のややこしい政治外交は省いてポンポンと先へ進んでいくため、恋の剣術勝負や祝言をじっくり描ける。
ということで、この先は厳しい意見になりますので、本作を楽しまれている方はここでページを閉じていただければと思います。
愛のない世界
愛はどこにあるのか?
千代役女優の名前ですかね?
胸キュンだのなんだの言っている告白タイムも、一方的にガーッと喋るだけ。
『麒麟がくる』のように、相手が寒いと気遣って温石(おんじゃく)を差し出すような思いやりはない。もう栄一がただただ欲に突き動かされているように見えてつらいです……。
そもそも未婚の男女が二人で会っている時点で、彼からは思いやりを感じられません。
例えば会津藩士が幼少期に習う「什の掟」では、屋外で女性との会話は禁じられていました。
男尊女卑? と単純には言い切れません。女性保護の意味もある。密通を疑われるようなリスクを無くすためにそんなルールがあったのです。
『八重の桜』では、八重と山川浩がそこを踏まえた会話をする場面もありました。
たしかに八重と川崎尚之助が屋外で出会う場面はあります。あれは型破りな八重が木登りをしていて、その下を尚之助が通りがかるという演出があるから許容範囲です。
しかし『青天を衝け』では、時代ならではの制限を無視して、ベタな青春ドラマが展開される。
そして剣術勝負。
防具なしで戦うとは、セキュリテイ意識がまるでない。
しまいには観戦している千代まで危険にさらす。
大岡越前なら「お前ら全員愛がないよ!」と裁きますね。
こんな話があります。
「この子は私の子だ」と言い張る二人の母親がいて、両方から子供の手を引っ張らせます。そして先に離した方が本物だと認定する。
同様の話はソロモン王にもあって「この子を剣で真っ二つにして、お前ら二人で分けろ」というもの。
そこで本物の方が「裂くくらいなら譲ります!」と叫ぶ。
要は奪い合いをする対象(ここでは子供)の身を案じているかどうか。
それが『青天を衝け』では、どいつもこいつも愛がありませんでした。
何よりも製作者の知性への愛、歴史への愛がない。演出も良いものを作る愛がない。
臭いスローモーションにベタなBGM。いちいちぎこちない役者の所作。
私は何を見せられているのだろう……と疑問だらけになってしまいます。
ジェンダー監修者招聘が急務です
最近、大河がジェンダーがらみで大変なことになっております。
どうやらまだ燃え足りないようで、ヒロインを賭けた勝負って、一体いつの時代でしょうか。
主役・吉沢亮さんが天陽役で話題になった朝ドラ『なつぞら』。
あの作品でもヒロインを賭けたクロスカントリースキー勝負があり、天陽が競いました。
しかし、ヒロインは勝負した相手の両方を断る。
むしろ自分の夢を選ぶ。
そもそもヒロインの同意を完全に取りもしないで、男同士が勝手に戦って一体何なの? と、古臭いラブコメ展開をキッパリと否定し、21世紀らしいジェンダー感を見せました。
そこから『青天を衝け』で一体どれだけ後退したのやら。
剣術勝負からお千代を幸せにすると惇忠に頭下げる栄一までのひたすら長いシーンがくどい。
そして千代から去った喜作には、都合よく美女・よしが出てきてアタック(死語)ですからね。
手作りスイーツを差し出すあたり『花燃ゆ』文ちゃん精神を感じましたよ。彼女の魂が継承されたのでしょうか。
◆青天を衝け:情熱的な喜作に一目ぼれ 成海璃子“よし”初登場 千代の良き相談相手にも(→link)
闘犬は狆になった
栄一パートが一番いらないのはその通り。
では徳川慶喜パートはどうか?というと、これも不要に思えてきました。
-

だから徳川慶喜を将軍にしたらヤバい 父の暴走と共に過ごした幼少青年期
続きを見る
今週のオープニング家康は、井伊直政トークから井伊直弼について語っておりました。
井伊直弼は、初代大河の主役にも選ばれたぐらいなのに、その扱いがあまりに酷くありませんか?
大河を作り始めたころは、歴史に挑む気概があった。
当時が闘犬だとすれば、今年の大河はさしずめ狆ですね。かわいい。それだけだ。
そしてその井伊直弼らの雑トークがあんまりだ。
何度も指摘してきましたが、なぜ本作の幕臣は歩きながら重大事を話すのです?
謎は深まるばかり。
説明セリフラッシュでテロリズムを押し切る
しかも本作の人物たちは、往来でも平気で思ったことを口に出します。
居酒屋で会社の機密情報もペラペラ喋るダメなサラリーマンではないですか。
「くっそうおもしろくねえ」
こんなセリフを堤真一さんに言わせないでくださいよ……。
美賀君の京都ことばは今週も壊滅的。家定はわかりやすいバカ殿。説明セリフラッシュ。
将軍継嗣問題(本作では将軍世継ぎ問題という呼び方……)も説明セリフで畳み掛ける。
前述のとおり岩瀬忠震も無能扱いされていてなんとも渋い表情になるばかりです。
そして徳川斉昭の暴れっぷり。
思わず突っ込みたくなりませんか?
国の大事だというのに、自分のことばかりをぶちまけ、叫び、暴れ回る。水戸藩って一体何なのだ?と。
幕末はスゴイ人が出てきて国難を乗り切った――そういう歴史観は有害かつ時代遅れですが、本作はそういうものをバンバン流してきます。
大河が「教養の証」って、一体いつの時代のことなのか。
権力争いに天皇やら朝廷を利用しておき、何を正義ぶっているのでしょう。
そのくせ、紀州様で良いとペラペラ語る慶喜。ボソボソと喋る場面はセリフが聞き取りにくく、なんだか演技指導がおかしい。
家定が「むきーっ! みんな処分してえ!」と語るから【安政の大獄】になるとは……あまりに酷い……。この調子で天狗党もやっちゃうんですかね。
安政の大獄で命を落とす橋本左内が、平岡円四郎と話をしている。その場面に木村佳乃さん演じる妻までわざとらしくいるのはなぜなのか。
絶望的なまでに機密意識はなく、よってリアリティなんてものは何も感じられません。
まるでお笑い芸人に「ショートコント!時代劇!」と言われているような錯覚すら覚えます。
突如、水戸藩士が叫び声をあげ、テロをすると言い出すのも痛々しかったですね。『花燃ゆ』以来のテロっぽさ。
それを緩和するように、38分で千代が嫁入りしてました。
めでためでたのお嫁入り♪ ほのぼの嫁入りをウダウダと長い時間かけて……これがオナゴ泡ふきタイムなんですか?
そこへわざとらしい男の登場。
来週は『栄一と桜田門外の変』とは強引なサブタイトルで突き進みます。
幕末人に「お前が欲しい」と言わせるとは……
今週もニュースに注目してみましょう。
◆NHK大河「青天を衝け」リアル胸キュンに過酷登山…演技を超えた役者の表情が次回見どころ(→link)
◆岡田健史 大河「青天を衝け」の平九郎役に「愛情を持って寄り添う」(→link)
◆岡田健史×藤野涼子が『青天を衝け』に新風吹き込む 『ひよっこ』ファンには嬉しい一コマも(→link)
何度でも言うたる。
朝ドラのノリを持ち込んで勝てるなら、『いだてん』は負けてへんよ。
こういう褒め方も危険です。
「こんばんは、徳川家康です。いやあ、インテリ武士が争いましてね。ヤンキー漫画なら殴り合って解決ですが、そこは幕末。処刑しまくるわけですよ」(※背後に燃える家屋や刀を振り上げる武士の絵)
ドラマ全体に思いやりがあったとして、その果てが天狗党の乱だとすれば、地獄としか言いようがない。
【水戸学】をほっこりきゅんきゅん扱いするのは、手榴弾でお手玉するくらい危険でしょう。
◆『青天を衝け』“インテリ農民”栄一、己の生きる道を見出す! 恋も動き出し… (→link)
↑
こちらの記事は、のっけからこんな一文が掲載されていました。
大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか』第7回「青天の栄一」(脚本:大森美香 演出:村橋直樹)で印象的な言葉は「インテリ農民」by 徳川家康(北大路欣也)。
士農工商を雑否定しておいて、「インテリ農民」アゲという、この調子。
幕末でもなかなか難しい問題を、世界史的な視野からも探りたい問題を、無茶苦茶雑駁に表現されています。
大河で教養を身につけたなんて今は昔、むしろ今回は毒のような雑知識が流れ込んでいて危険ではないでしょうか。
本作で身につけた歴史知識をドコかで披露すると火傷しかねませんので、ご注意ください。
『麒麟がくる』の斎藤道三は土岐頼純に毒入り茶を飲ませましたが、今年は大河ドラマそのものが毒入りの何かです。
本記事については、まだまだ芳しいところがあります。
「私は青天を衝く勢いで白雲を掴む勢いで進む!」
若く体力のある栄一は険しい山をぐんぐん登っていく。
はあはあとした荒い息遣いがふと静寂になり、360度の青い空。OP曲に乗って手を青天に突きつける。映画のようなワンシーンだった。
帰宅した栄一は猛然と走って、千代に「お前が欲しい」と告げる。
この「お前が欲しい」が……古い上に、当時の時代背景からしても不思議でなりません。
例えば近藤勇は、わざわざ見栄えのよろしくない女性を妻としました(京都の女遊びはさておき)。
-

近藤勇が新選組で成し遂げたかったことは?関羽に憧れ「誠」を掲げた35年の生涯
続きを見る
女の色香に迷い、しかも真昼間から堂々と叫ぶって、幕末の規範からいけばかなり恥ずかしいことだったんですね。
男女の色気がダメとは言いません。しかし、せめて日が沈んでからにしませんか。
この辺、少年誌に掲載されている『鬼滅の刃』の方が、はるかに時代考証が真っ当です。
あの作品では善逸の女性への執着心が恥ずかしいものとして周囲に認識されていました。
恋柱・甘露寺蜜璃に対しては、他の男性柱から「ちょっと肌出しすぎてるなぁ……」と困惑していることがファンブックで明かされた。
-

甘露寺蜜璃のピンクと緑は今どきバッド・フェミニストの象徴|鬼滅の刃恋柱
続きを見る
-

我妻善逸が義勇をも上回る人気の秘密は「強さと成長」がカギ|鬼滅の刃
続きを見る
萌えだのそういうことを露骨に表現するのは“軟派”であり、みっともないという認識が昭和初期あたりまではあったのです。
そのへんの兄ちゃんがデレデレするなら、別にいいですよ。
しかし、近藤勇にせよ、渋沢栄一にせよ、それこそ“インテリ農民”とか、他とはちょっと違うという認識を持つ者であれば、女が欲しいなんて絶叫するのは相当恥ずかしい。
まったくもって幕末規範じゃありません。
昭和か平成の「アオハルかよ」センスですね。
こうした状況に対して『アナと雪の女王』やBTSが大好きな今時の若者ならば、こうなりかねないでしょう。
「お前とか見下し感出てるし、欲しいって欲望丸出しっていうか。相手の気持ち尊重してないし、どうなんだろう?」
『青天を衝け』を幕末ものと呼ぶには、知識と時代考証が少年漫画以下ですし、若者向けとするにも古い。
そんな、どうしようもないドツボに陥っています。
天ぷら蕎麦が売りなのに「タピオカ混ぜちゃえ!」
とりあえずNHKはこういう取り組みを見習ってはいかがですか?
◆性的なシーン、俳優が安心できる撮影のために。「NO」と言える環境を作る、専門コーディネーターの仕事(→link)
ハリウッドでは俳優たちのため、ひいては作品のために新たな取組が進んでいるのです。
一方で日本では?
◆ NHK青天を衝け、吉沢亮演じる栄一の告白にネット興奮「大河で胸キュンするなんて」「日曜夜に月9を見ているよう」(→link)
まるで恋愛ドラマのようなシーンにネットは大盛り上がり。
ツイッターで「青天を衝け」がトレンドに入るなか、吉沢、橋本の両ファンから「栄一が千代にあんな伝え方するとは…!!」「よっしゃ、お千代ちゃんにとうとう栄一言ったかぁー…!」「キュンが過ぎる…心臓に悪い。ハァ…」「目頭が熱くなりました」「思い出の神社で告白なんて、素敵ね」「千代ちゃんでもないのにフリーズしてしまいました」などのコメントが殺到した。
民放のラブロマンスのような、大河ドラマらしらぬ展開に「きゃぁあああ大河ドラマで胸キュンするなんて!」「大河でこんなキュンとしたことあったっけ?」「大河でキュンキュンする事あるのねw」「ドキドキする!大河ってこんなに面白いのね」といった書き込みも寄せれた。
もう迷走以外の何物でもないでしょう。
現実社会でもよくある話ですよね。
独自路線が人気だったレストランなのに「ファミレスのように親しみ持てる味にして客を増やそう!」とリニューアルして、古くからの常連が「あの味やないなら別の店行くで、ほな!」となって、ぶっ潰れる。
NHKだって他人事ではありません。今はVOD、Youtube、あるいはAmebaTVがある。
なぜ『ゲーム・オブ・スローンズ』があんなにヒットしたか?
結婚式での殺戮。大聖堂爆破。犬の餌になる悪党。そういう現代ドラマではありえないドえらい場面も持ち味の一つだったからですよ。
NHKでは、最近の大河作品にそうした取り組みもありました。
祝言暗殺、家臣磔にして主人公が刺す、お茶に毒盛り。まぁ『真田丸』『おんな城主直虎』『麒麟がくる』ですね。
しかし今年は違う。
おそらくや制作陣の首脳部に「コンビニスイーツみたいなテイストで!」と言い出した誰かがいたのでしょう。
渋い味わいの天ぷら蕎麦が売りだったのに「タピオカ混ぜちゃえ!」とかアホなことにさせた誰かがいた。
その者の責任を明確にして何らかの処置を取らないと大河のジリ貧敗北は終わりませんよ。
受信料を原資に、未来ある役者を傷つけるなんて、一体何の罰ゲームなのか……。
私はあらためて聞きたい。
「ドキドキ」だの「キュンキュン」だの、本気で支持されると思っているのでしょうか?
昭和平成の少女漫画による刷り込みではありませんかね。
浮世絵を見ていて、江戸時代の人はなんでこんな顔を美女と思っていたのか……と不思議に思うことはありません?
人間の感情の動きとは、多かれ少なかれ、文化による刷り込みがあるもの。
そこを踏まえてこんな古臭い少女漫画路線にしているのは、革新を捨て、特定懐古層を得れば良いと逃げに入ったのでしょう。
ネットニュースなどで「具体的な演技を褒めなくなった」というのは危険な兆候。それが早くも出ています。
兵糧と弾薬は尽きかけている
朝ドラを見ている知人が、しみじみとこう言いました。
「あの夫役の若い俳優、あれは将来大河主演やるだろうね」
まったくその通りで、杉咲花さんと成田凌さんは、大河主演も視野に入れてNHKが育てているのではないか?と感じます。
和装、日本髪も似合うし、所作も見事。将来が楽しみでなりません。
しかし……それを言うならば『なつぞら』の天陽を見て、吉沢亮さんにも非常に大きな可能性を感じていました。
それがなぜこんなことになっている?
第7回放送の視聴率は14.2%をキープ。
同時期の『西郷どん』が14.3%であり、幕末ものとしては一定の数字は保っています。
-

青天を衝け全視聴率推移12/28更新 麒麟がくる/いだてん/西郷どん/直虎/真田丸/比較
続きを見る
しかし、ネットニュースも褒める点が似たり寄ったりになっており、いわば兵糧と弾薬が尽きた動きになっています。
この先視聴率があと少し下がったら、ジワジワと形勢逆転して「やっぱり失敗すると思っておりました」ムーブが始まるでしょう。
心配なのはヒロイン千代です。
2020年代とは思えない造形であり、いったん叩かれ始めたら悲惨なことになりかねません。
ただでさえジェンダー問題で大河が厳しく見られているのに、大丈夫でしょうか?
◆橋本愛:吉沢亮に「同じ匂い」「青天を衝け」千代役“にじみ出る愛情”意識 女子のキュン死も予言?(→link)
千代には知性もさしてない。自我もない。やりたいこともない。
良妻賢母になりたい気持ちすら感じられない。
空っぽでただニコニコしていて、ミッションはイケメン攻略をすること!
要するに、乙女ゲーの主人公みたいなんですね。
『八重の桜』のヒロインは、前半は銃、後半は知性で戦う意思があった。
『おんな城主 直虎』のヒロインは、井伊谷を守り抜く強さがあった。
さんざんいろいろ言われている『麒麟がくる』の駒は、麒麟の到来を信じている。明国由来の最先端医療技術を用い、自分の目に見える範囲で人を救う目的があった。立派な女性ですよ。
駒以外、例えば帰蝶だって、夫を将棋の駒のように動かし天下を見据えるふてぶてしい野心があった。
それが千代の頭上に輝くミッションといえば……。
【イケメンときゃーっ!】
これだけだ。アプリかスマホ漫画の世界に戻って欲しいものです。
いや、スマホ漫画だって悪役令嬢ものが人気のある時代ですからね。千代の居場所なんて、もう淘汰されつつあるのではないでしょうか。
世の流れとは残酷なものです。
演じる役者のせいじゃない。こんな設定をした制作陣がその責めを負わねばなりません。
◆【年末年始】乙女ゲーの「主人公」が可愛くてツラい!!男そっちのけで愛でたいヒロイン特集(→link)
かくして麒麟は到来しポリアンナは微笑む
主人公の栄一が山頂に立ち、腕を青天に向けて掲げるあのシーン。
◆青天を衝け:「私は青天を衝く勢いで…」早くもタイトル回収 山頂シーンに感動の声「ほとんど映画」(→link)
あれは映画に見えました?
私はNHK得意の自然番組『グレートトラバース3 日本三百名山全山人力踏破』を思い出しました。
吉沢亮さんが自転車で日本を回る番組なんてあったらいいなぁ。
ともかくドラマのタイトルについて、『麒麟がくる』では初回で回収かつ最終回まで引っ張っておりました。
しかし、悲しいことに、日本人は儒教を忘れた。麒麟といえばビールのマスコットを思い出す。ゆえに、朝日新聞のような大手メディアでもこうなる。
◆「青天を衝け」7話「お前が欲しい!」恋愛スキル小学生なみの吉沢亮、橋本愛に告白(→link)
人名タイトルはともかく、普通は終盤近くなって「ああーっ、このドラマのタイトルはこういうことだったのかー!」とスッキリさせるのがお約束だろう。
前・大河ドラマ『麒麟がくる』は、「いつくるんだ、麒麟?」……と思ったまま最終回を迎えてしまったが。
横光三国志の「この報告は孔明にとってはショックだった」顔になります……。
麒麟はそうホイホイとは来ません。
儒教における麒麟の意味合いを知っていれば『麒麟がくる』に一切のミスはないとわかります。
その辺、長谷川博己さんは儒教を勉強し、それをふまえて演じておられましたが、誰もがそうなれるわけでもないのでしょう。
この儒教知識の不足が、今年の陽明学の扱いにおいて不安でたまらないものがあります。
どうしたものでしょう。大河はまだ燃え足りないのでしょうか。
推察するに『麒麟がくる』の時代考証がお粗末であるとか。あのドラマを荒唐無稽と評する向きには、中国史知識の曖昧さがあるのかもしれません。
自分は日本史好き、お城や戦国武将、それに大河には詳しくて、周囲からは「歴史好きスゴーイ!」と感心されている。
それなのに『麒麟がくる』は、守備範囲外の儒教だの漢文だのを賢しらげに使っていて、なんだかムカつく!
でも、それをけなそうにも欠点をキッパリ指摘できないし、漢文なんてツッコミようがないし……。
そうだ、駒を叩こう!
生意気女叩きならみんな乗ってくるぞ!
ついでに実在の大物男性大河『青天を衝け』は褒めなくちゃ。
『麒麟がくる』より傑作だって大手掲示板やSNSで言い続けなきゃ!
特定の層においてこんな心理状態があるんではないか?と感じてしまうんですよね。もちろんやってる方は無意識の可能性が高いので否定されるかもしれませんけど。
それに『麒麟がくる』は、その出来において幸福をもたらしたのですから、立派なものです。
◆長谷川博己がクラフトビール新商品発表会で「ようやくキリンが来た!」と語った理由(→link)
渋沢栄一の評価にも疑念を呈する本『エラい人にはウソがある ―論語好きの孔子知らず』(→amazon)等が部数を伸ばしているとか。
ドラマになれば、隠したいところまで注目されて、暴かれる。
そのあたりを『まんぷく』と『エール』あたりから学べなかったNHKが残念でなりません。
『まんぷく』では、日清食品が掲げている「即席ラーメンの発明者は安藤百福氏である」という話が嘘だと暴かれ、雑誌でまで報道されました。
『エール』では、時代考証の甘さ、ドラマ作りにおける隠蔽体質が暴露され、新聞紙面でまで記事になった。
なぜこうした失敗から学べないのか。
本作のニュース傾向は【ポリアンナ症候群】でまとめられそうではあります。
ポリアンナ症候群(ポリアンナしょうこうぐん、英: Pollyanna syndrome)は、直面した問題に含まれる微細な良い面だけを見て負の側面から目をそらすことにより、現実逃避的な自己満足に陥る心的症状のことである。
別の言い方で表すと、楽天主義の負の側面を表す、現実逃避の一種だと言い換えることもできる。
Wikipediaより(→link)
ちなみに私は【赤壁の戦い】直前みたいな気分でいます。
船を繋いでウェーイしている場合でしょうか?
まだまだ東南の風は吹きますよ。
あわせて読みたい関連記事
-

栄一の嫁兄・尾高惇忠は学問に通じるも実業はサッパリ?富岡製糸場で大赤字
続きを見る
-

北武蔵の天狗と呼ばれた剣士・尾高長七郎|渋沢栄一の従兄弟で義兄だった
続きを見る
-

千葉道場の天才剣士・千葉栄次郎|日本一と評判の北辰一刀流継承者の実力
続きを見る
-

渋沢栄一には実際どんな功績があったのか「近代資本主義の父」の生涯
続きを見る
-

実はアメリカを圧倒していた幕臣・岩瀬忠震の交渉術|日米修好通商条約の真実
続きを見る
【参考】
青天を衝け/公式サイト














