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【青天を衝け第8回感想あらすじ】
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天ぷら蕎麦が売りなのに「タピオカ混ぜちゃえ!」
とりあえずNHKはこういう取り組みを見習ってはいかがですか?
◆性的なシーン、俳優が安心できる撮影のために。「NO」と言える環境を作る、専門コーディネーターの仕事(→link)
ハリウッドでは俳優たちのため、ひいては作品のために新たな取組が進んでいるのです。
一方で日本では?
◆ NHK青天を衝け、吉沢亮演じる栄一の告白にネット興奮「大河で胸キュンするなんて」「日曜夜に月9を見ているよう」(→link)
まるで恋愛ドラマのようなシーンにネットは大盛り上がり。
ツイッターで「青天を衝け」がトレンドに入るなか、吉沢、橋本の両ファンから「栄一が千代にあんな伝え方するとは…!!」「よっしゃ、お千代ちゃんにとうとう栄一言ったかぁー…!」「キュンが過ぎる…心臓に悪い。ハァ…」「目頭が熱くなりました」「思い出の神社で告白なんて、素敵ね」「千代ちゃんでもないのにフリーズしてしまいました」などのコメントが殺到した。
民放のラブロマンスのような、大河ドラマらしらぬ展開に「きゃぁあああ大河ドラマで胸キュンするなんて!」「大河でこんなキュンとしたことあったっけ?」「大河でキュンキュンする事あるのねw」「ドキドキする!大河ってこんなに面白いのね」といった書き込みも寄せれた。
もう迷走以外の何物でもないでしょう。
現実社会でもよくある話ですよね。
独自路線が人気だったレストランなのに「ファミレスのように親しみ持てる味にして客を増やそう!」とリニューアルして、古くからの常連が「あの味やないなら別の店行くで、ほな!」となって、ぶっ潰れる。
NHKだって他人事ではありません。今はVOD、Youtube、あるいはAmebaTVがある。
なぜ『ゲーム・オブ・スローンズ』があんなにヒットしたか?
結婚式での殺戮。大聖堂爆破。犬の餌になる悪党。そういう現代ドラマではありえないドえらい場面も持ち味の一つだったからですよ。
NHKでは、最近の大河作品にそうした取り組みもありました。
祝言暗殺、家臣磔にして主人公が刺す、お茶に毒盛り。まぁ『真田丸』『おんな城主直虎』『麒麟がくる』ですね。
しかし今年は違う。
おそらくや制作陣の首脳部に「コンビニスイーツみたいなテイストで!」と言い出した誰かがいたのでしょう。
渋い味わいの天ぷら蕎麦が売りだったのに「タピオカ混ぜちゃえ!」とかアホなことにさせた誰かがいた。
その者の責任を明確にして何らかの処置を取らないと大河のジリ貧敗北は終わりませんよ。
受信料を原資に、未来ある役者を傷つけるなんて、一体何の罰ゲームなのか……。
私はあらためて聞きたい。
「ドキドキ」だの「キュンキュン」だの、本気で支持されると思っているのでしょうか?
昭和平成の少女漫画による刷り込みではありませんかね。
浮世絵を見ていて、江戸時代の人はなんでこんな顔を美女と思っていたのか……と不思議に思うことはありません?
人間の感情の動きとは、多かれ少なかれ、文化による刷り込みがあるもの。
そこを踏まえてこんな古臭い少女漫画路線にしているのは、革新を捨て、特定懐古層を得れば良いと逃げに入ったのでしょう。
ネットニュースなどで「具体的な演技を褒めなくなった」というのは危険な兆候。それが早くも出ています。
兵糧と弾薬は尽きかけている
朝ドラを見ている知人が、しみじみとこう言いました。
「あの夫役の若い俳優、あれは将来大河主演やるだろうね」
まったくその通りで、杉咲花さんと成田凌さんは、大河主演も視野に入れてNHKが育てているのではないか?と感じます。
和装、日本髪も似合うし、所作も見事。将来が楽しみでなりません。
しかし……それを言うならば『なつぞら』の天陽を見て、吉沢亮さんにも非常に大きな可能性を感じていました。
それがなぜこんなことになっている?
第7回放送の視聴率は14.2%をキープ。
同時期の『西郷どん』が14.3%であり、幕末ものとしては一定の数字は保っています。
青天を衝け全視聴率推移12/28更新 麒麟がくる/いだてん/西郷どん/直虎/真田丸/比較
続きを見る
しかし、ネットニュースも褒める点が似たり寄ったりになっており、いわば兵糧と弾薬が尽きた動きになっています。
この先視聴率があと少し下がったら、ジワジワと形勢逆転して「やっぱり失敗すると思っておりました」ムーブが始まるでしょう。
心配なのはヒロイン千代です。
2020年代とは思えない造形であり、いったん叩かれ始めたら悲惨なことになりかねません。
ただでさえジェンダー問題で大河が厳しく見られているのに、大丈夫でしょうか?
◆橋本愛:吉沢亮に「同じ匂い」「青天を衝け」千代役“にじみ出る愛情”意識 女子のキュン死も予言?(→link)
千代には知性もさしてない。自我もない。やりたいこともない。
良妻賢母になりたい気持ちすら感じられない。
空っぽでただニコニコしていて、ミッションはイケメン攻略をすること!
要するに、乙女ゲーの主人公みたいなんですね。
『八重の桜』のヒロインは、前半は銃、後半は知性で戦う意思があった。
『おんな城主 直虎』のヒロインは、井伊谷を守り抜く強さがあった。
さんざんいろいろ言われている『麒麟がくる』の駒は、麒麟の到来を信じている。明国由来の最先端医療技術を用い、自分の目に見える範囲で人を救う目的があった。立派な女性ですよ。
駒以外、例えば帰蝶だって、夫を将棋の駒のように動かし天下を見据えるふてぶてしい野心があった。
それが千代の頭上に輝くミッションといえば……。
【イケメンときゃーっ!】
これだけだ。アプリかスマホ漫画の世界に戻って欲しいものです。
いや、スマホ漫画だって悪役令嬢ものが人気のある時代ですからね。千代の居場所なんて、もう淘汰されつつあるのではないでしょうか。
世の流れとは残酷なものです。
演じる役者のせいじゃない。こんな設定をした制作陣がその責めを負わねばなりません。
◆【年末年始】乙女ゲーの「主人公」が可愛くてツラい!!男そっちのけで愛でたいヒロイン特集(→link)
かくして麒麟は到来しポリアンナは微笑む
主人公の栄一が山頂に立ち、腕を青天に向けて掲げるあのシーン。
◆青天を衝け:「私は青天を衝く勢いで…」早くもタイトル回収 山頂シーンに感動の声「ほとんど映画」(→link)
あれは映画に見えました?
私はNHK得意の自然番組『グレートトラバース3 日本三百名山全山人力踏破』を思い出しました。
吉沢亮さんが自転車で日本を回る番組なんてあったらいいなぁ。
ともかくドラマのタイトルについて、『麒麟がくる』では初回で回収かつ最終回まで引っ張っておりました。
しかし、悲しいことに、日本人は儒教を忘れた。麒麟といえばビールのマスコットを思い出す。ゆえに、朝日新聞のような大手メディアでもこうなる。
◆「青天を衝け」7話「お前が欲しい!」恋愛スキル小学生なみの吉沢亮、橋本愛に告白(→link)
人名タイトルはともかく、普通は終盤近くなって「ああーっ、このドラマのタイトルはこういうことだったのかー!」とスッキリさせるのがお約束だろう。
前・大河ドラマ『麒麟がくる』は、「いつくるんだ、麒麟?」……と思ったまま最終回を迎えてしまったが。
横光三国志の「この報告は孔明にとってはショックだった」顔になります……。
麒麟はそうホイホイとは来ません。
儒教における麒麟の意味合いを知っていれば『麒麟がくる』に一切のミスはないとわかります。
その辺、長谷川博己さんは儒教を勉強し、それをふまえて演じておられましたが、誰もがそうなれるわけでもないのでしょう。
この儒教知識の不足が、今年の陽明学の扱いにおいて不安でたまらないものがあります。
どうしたものでしょう。大河はまだ燃え足りないのでしょうか。
推察するに『麒麟がくる』の時代考証がお粗末であるとか。あのドラマを荒唐無稽と評する向きには、中国史知識の曖昧さがあるのかもしれません。
自分は日本史好き、お城や戦国武将、それに大河には詳しくて、周囲からは「歴史好きスゴーイ!」と感心されている。
それなのに『麒麟がくる』は、守備範囲外の儒教だの漢文だのを賢しらげに使っていて、なんだかムカつく!
でも、それをけなそうにも欠点をキッパリ指摘できないし、漢文なんてツッコミようがないし……。
そうだ、駒を叩こう!
生意気女叩きならみんな乗ってくるぞ!
ついでに実在の大物男性大河『青天を衝け』は褒めなくちゃ。
『麒麟がくる』より傑作だって大手掲示板やSNSで言い続けなきゃ!
特定の層においてこんな心理状態があるんではないか?と感じてしまうんですよね。もちろんやってる方は無意識の可能性が高いので否定されるかもしれませんけど。
それに『麒麟がくる』は、その出来において幸福をもたらしたのですから、立派なものです。
◆長谷川博己がクラフトビール新商品発表会で「ようやくキリンが来た!」と語った理由(→link)
渋沢栄一の評価にも疑念を呈する本『エラい人にはウソがある ―論語好きの孔子知らず』(→amazon)等が部数を伸ばしているとか。
ドラマになれば、隠したいところまで注目されて、暴かれる。
そのあたりを『まんぷく』と『エール』あたりから学べなかったNHKが残念でなりません。
『まんぷく』では、日清食品が掲げている「即席ラーメンの発明者は安藤百福氏である」という話が嘘だと暴かれ、雑誌でまで報道されました。
『エール』では、時代考証の甘さ、ドラマ作りにおける隠蔽体質が暴露され、新聞紙面でまで記事になった。
なぜこうした失敗から学べないのか。
本作のニュース傾向は【ポリアンナ症候群】でまとめられそうではあります。
ポリアンナ症候群(ポリアンナしょうこうぐん、英: Pollyanna syndrome)は、直面した問題に含まれる微細な良い面だけを見て負の側面から目をそらすことにより、現実逃避的な自己満足に陥る心的症状のことである。
別の言い方で表すと、楽天主義の負の側面を表す、現実逃避の一種だと言い換えることもできる。
Wikipediaより(→link)
ちなみに私は【赤壁の戦い】直前みたいな気分でいます。
船を繋いでウェーイしている場合でしょうか?
まだまだ東南の風は吹きますよ。
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
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◆青天を衝け感想あらすじレビュー
◆青天を衝けキャスト
◆青天を衝け全視聴率
文:武者震之助(note)
絵:小久ヒロ
【参考】
青天を衝け/公式サイト