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敵に勝ちたきゃ水を断て!瓶割り柴田伝説の始まり【戦国浮世絵ANARCHY13】

目の前には敵の大軍。

自軍は寡兵であり、普通に戦っても勝ち目がない。

どうする?

こうなったら川を背に、死物狂いで戦うか。

普段の倍以上の力を出せれば、万に一つでも勝機が見いだせるかもしれない――。

そんな絶体絶命の戦い(背水の陣)は『横光三国志』などでお馴染みかもしれませんが、日本の戦国時代にも同様の作戦で勝利をもぎとった勇将がいます。

織田軍にあって鬼柴田として恐れられた柴田勝家

【瓶割り柴田】の伝説をご存知でしょうか?

 

長光寺城で囲まれた柴田軍

時は元亀元年(1570年)6月――。

柴田勝家は長光寺城にて六角義賢らの軍に囲まれていました。

この城には弱点がありました。

「水」です。

ご存知、籠城で最も大切なのは水。

兵糧不足であればある程度の日数は持ち堪えられるけれど、もしも水分を一切摂取できなければ人は3日で死ぬとも言われます。

ゆえに城は井戸等の水源確保が最重要項目の一つとなりますが、この長光寺城では谷から桶で掬っており、それを六角軍にストップされ、柴田軍は窮地に立たされます。

このとき場内には、水の入った瓶が三つ。

味方の救援を待っていては、いずれ喉の渇きに耐えられず、ボロボロになって死ぬことは間違いナシ。

そこで勝家はどうしたか?

 

瓶割り柴田

「今ならまだ存分に戦えるだろう! こうなったら水を割って退路を断ち、六角軍を突破すべし!」

そう言って瓶を割り、見事、敵陣を突破した――。

そんなエピソードから勝家は【鬼柴田】だけでなく【瓶割り柴田】なんて異名もお持ち、以下のように『絵本太閤記』にも記されているわけですが……。

瓶を割る柴田勝家(絵本太閤記)/wikipediaより引用

すみません、残念ながらこの逸話は後世の創作でございます。

確かに柴田勝家は、元亀元年(1570年)6月4日に六角義賢軍と激突したことが『信長公記』にも記されていますが、佐久間信盛と共に野洲川で敵を引きつけて打ち崩したとされます。

【落窪の戦い】とか【野洲河原(やすがわら)の戦い】と呼ばれていて、詳細は以下の記事にもございます。

野洲河原の戦いと信長の愛刀「実休光忠」~超わかる信長公記70話

続きを見る

なんだよ作り話かーい!

そう落胆させて申し訳ありませんが、フィクションをフィクションとして楽しむのであれば、そう悪いことでもないはず。

ということで、弊サイトで独特の世界観(SAMURAIアート)を手掛けている鞘ェもん氏に、このときの勝家を描いてもらうことにしました。

それがこちらです!

ジャーンジャーンジャーン!

瓶割り柴田

給水車の背面をハンマーでズドン!

瞬く間に水が溢れ出し、いよいよ窮地に立たされた軍の将兵らとは思えないほどに表情は生き生きとしております。

「六角軍をぶっ叩け!」とばかりにテンション上がってるんでしょうね。

ていうか、この給水車を何台か置いておけば、そもそも水不足にならなかったよな……とは突っ込むなかれ。

【給水車】という文字の上にある【鳥】のイラストが、それっぽくていいじゃないですか。柴田勝家の家紋【二つ雁金】をアレンジしたものですが、なんだか東京都や各県のマーク(県章)みたいにも見えます。

明智光秀豊臣秀吉、あるいは丹羽長秀前田利家など。

織田家の有力家臣は文武のバランスがよく取れた武将が多く見受けられますが、その中にあって「我は武に生きる!」というイメージな柴田勝家さんは、不器用そうなところがいいですよね。

だからこそ【瓶割り柴田】という逸話も作り出されたのではないでしょうか?

これが秀吉や光秀でしたら、住民をうまく誘導して水を確保したエピソードになりそうな気がします。

よろしければ勝家さんの他の記事もございますので、あわせてご覧ください。

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※なお、↓こちらのページは本サイトの公式ECサイト(BASE)で【瓶割り柴田】グッズの取扱も始めました

→bushoojapan BASE shopはコチラから

絵・鞘ェもん(ツイッターサイト
文・五十嵐利休

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