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『麒麟がくる』では描かれなかったお嬢様の強心臓【戦国浮世絵ANARCHY12】

大河ドラマ『麒麟がくる』で、戦国ファンが意外に思ったキャラNO.1は誰?

それは細川ガラシャこと明智たま(明智玉子)ではないでしょうか。

劇中では芦田愛菜さんが演じた可愛らしい女性であり、芯の強さも確かにあるけれど、普段は周囲をホッとさせる和み系という印象で、気性の激しいタイプではない――。

なんて申し上げると、史実の明智たまは違ったの?とツッコまれそうですが、ある意味その通り。

後世に伝わる彼女のエピソードはなかなか印象的なものです。

 


夫忠興 歌仙兼定で36人を手討ち

明智たまのエピソードとは、旦那・細川忠興との間に起きたトラブルです。

これまた『麒麟がくる』では、可愛い奥さんにデレデレする若き日の忠興が描かれ、非常にスイートな雰囲気でしたが、実際はさにあらず。

彼自身に奇想天外な逸話が残されており、例えば

・家臣たちに「天下一気が短い」と恐れられる

・実際、何人もの下僕や奉公人を斬っている

・36人の家臣たちを手討ちにしたときの刀が【歌仙兼定】と呼ばれる ※三十六歌仙(和歌の名人36人)になぞらえて

とまぁ、ニコニコしていた若者からは程遠いイメージです。

こんな男性と結婚すれば、毎日がDVになりかねない――そんなところへ芦田愛菜ちゃんが嫁いで大丈夫だったの?><;

そう感じるかもしれませんが、明智たまも全く負けてはおりませんでした。

 


生首を投げつける

象徴的な例として挙げられるのが、キリスト教の洗礼でしょう。

彼女の場合、改宗自体に問題があるというより時期が悪かった。

豊臣秀吉がキリスト教の締め付けにかかっていた頃であり、豊臣政権の中枢にいた忠興としてはたまったもんじゃなく、当然ながら「やめろ!」と激怒しますが、彼女はそのまま強行してしまいました。

また、別のあるときには、例によって忠興が脳みそプッツンモードに入り、彼女に対して

「生首を投げつける」

という意味不明なことをしたところ、彼女は彼女で平然としていたというのですから余計に意味がわかりません。

内心ではビビっていた?

いや、夫のせいで血に馴れすぎていたのではないでしょうか。

極めつけは、彼女の最期でしょう。

 


関ヶ原

徳川家康石田三成の主導で行われた関ヶ原の戦い

忠興は東軍(徳川方)に参戦するのですが、戦前から常々、妻のたまに対して

「敵の人質になるぐらいなら自害せよ」

と伝えており、実際、このときたまは石田方の西軍に取り囲まれてしまいます。

そこで自害&屋敷を爆破!

彼女はキリスト教に改宗していたゆえ自害はできないという指摘もあり、実際の死に方については諸説定まりません。

しかし、その候補の一つとして胸を突き刺したという話が伝わっています。そこで、いよいよ本チャン。

当コーナー『鞘ェもんのSAMURAIアート』にて、明智たまの最期をイメージしてもらいました。

それがコチラです!

一見、女性が目を閉じ、安らかな死を迎える……構図かと思いきや、ぶっ刺さってる!!!

心の臓に!

奇想天外な忠興の行動にも耐えた強心臓――。

『鬼滅の刃』では、極みに到達した者だけしか見えない世界が我々凡人にも可視化されたと言いましょうか。

イラストのモデルは芦田愛菜ちゃんとはとても思えず、なんなら『菜々緒さんかな?別のドラマだけど』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

なお、妻のたまが自害したことを知った忠興は、その後またもやブチ切れています。

なんだかんだ言って彼女を深く愛していたんですね。束縛があまりに行き過ぎたようで、たまは離婚したがっていたようですが……。

そんな史実の細川ガラシャと細川忠興をもっと知りたい!という方は、以下の関連記事をご覧ください。

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絵・鞘ェもん(ツイッターサイト
文・五十嵐利休

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