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【テルマエ・ロマエ】
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古代ローマの温泉事情
さて、話が脱線したが、ローマ、今でいうイタリアにも温泉は存在する。
有名なのは露天風呂。日本人と違い、水着を着用して入浴するのが現代スタイルである。
サトゥルニア温泉などは保養地として現地の方にも人気のスポットで観光客も多い。
イタリアには火山があり温泉も湧き出ている。
しかし、である。
実はヨーロッパで最も温泉施設が多い国は意外にもドイツだ。
温泉は何もローマだけのものではない。ヨーロッパ各地に古代ローマ人の軌跡と共に温泉は存在している。
イギリスのバースには、古代ローマ期、イギリスを制圧したローマ人によって開かれた温泉が存在する。現在でも現役の温泉地だ。
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他にもドイツ、フランス、スイス、オーストリア、等ヨーロッパの各地に温泉が存在し、温泉地として発展。
ベルギーにはスパという街が有り、これも同様にローマ期に発展した温泉地だ。
そう。
気付いた方も居るかもしれないが「Bath」「Spa」という今でも使われる単語は、実は古代ローマ期発展した温泉地の土地名に由来するのだ。
当たり前のように使っている単語が実は古代ローマから続いていたのである。
平たい顔族=奴隷?
ルシウスは最初、日本人を見て「平たい顔族」「奴隷」と勘違いしている。
実際ローマでは奴隷制度があった。
実にその数10万人規模。
ローマ市民が15万人という記録もあるほど多くの奴隷が存在していた。
奴隷というと、エジプトのピラミッド建設に借り出され過酷な肉体労働者をイメージするが、ローマではかなり違っていた。
もちろん、肉体労働に借り出される奴隷も居たが、家庭教師や学者といった立場を持った奴隷もおり、難しい役職にあればあるほど報酬は相当のものがあったとされている。
高齢になったり、任務を終えた奴隷の中には主人から解放される者も居た。
中には官僚や属州の長官の立場にまで上り詰める者や、借金の肩に奴隷の身分になるというパターンもあったというから、一概に「○○族だから奴隷」という、現代のような民族差別が定着していたとは言いにくい。
あくまで貧富の差から起こる主従関係もあったのだ。
もちろん、テルマエでも奴隷は活躍している。
主人の着替えを手伝う者、垢すりなど富裕層の入浴に対しサービスをする者などが居た。
ルシウスの設定を見るかぎり、奴隷を一人か二人抱えても良いような身分だと思うが、作中で奴隷を使う所を見ないのは、現代人向けにアレンジされているためだろう。
しかし、奴隷市場や差別があったのは事実で、古代ローマにおいても奴隷の発起した戦いが何度か起こっている。
古代ローマ終焉の理由は未だに不透明な所も多いが、身分差別の社会が終わったという意味も含んでいるのかも知れない。
ともかくこれだけ広く深い知識を運んできてくれる同作品には感謝しかない。
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春原沙菜・記