こちらは3ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【ラファエロ】
をクリックお願いします。
お好きな項目に飛べる目次
お好きな項目に飛べる目次
熱、咳、下痢に、ぜんぶ瀉血
さて、最初のうちは、傷や骨折、皮膚の炎症や頭痛に対して行われていた瀉血。
時代が下るにつれて伝染病や敗血症、果ては循環器障害にまで積極的に使用されるようになりました。
「熱が出たら瀉血」
「咳が出たら瀉血」
「下痢したら瀉血」
こんな風に何にでも瀉血をする医者がたくさんいたそうです。
無意味を通り越して、さすがに有害ですね。
当時は不衛生だったため、瀉血の切開部が感染症を起こすことも多かったようですし、体力が落ちた患者に瀉血を行い、消耗して死ぬケースも稀ではなかったのこと。ガクブル!
瀉血にトドメを刺された有名人としては、ラファエロの他にモーツアルトやジョージ・ワシントンなどがあげられます。
しかし一世を風靡した瀉血療法も、18世紀に入ると廃れて参ります。
「なんか消耗しちゃうし効果ないんじゃない?」
そんな風にようやく気がついたのですね。
随分と長い時間がかかったことですが、当時の医療の進歩状況では仕方ないのかも。
現代では、赤血球が増える「真性多血症」や臓器に鉄が沈着する「ヘモクロマトーシス」に対し瀉血を行うことがありますが、普通の病気を瀉血で治すことはありません。
死が2人を分つとも、壁画の中で永遠に愛は続く
死因は何であれ、ラファエロが瀉血から数週間のうちに死亡したのは事実。
葬儀は盛大に行われましたが、身分の低かった恋人マルガリータは参列を許されませんでした。
しかしラファエロの死後60年、彼の私物から「若い女性を描いた1枚の絵」が見つかりました。
ラファエロがずっと手元に置いていたこの絵のモデルは恋人マルガリータと言われています。
また、先に述べましたヴァチカン宮殿の「署名の間」にある壁画『アテネの学堂』には、プラトンやアリストテレスなど古代ギリシャの著名人が描かれています。
ラファエロは同世代の画家ダ・ヴィンチとミケランジェロに敬意を表し、壁画に描かれた人物のモデルにしています。
そしてこの絵、隅っこに小さくラファエロ自身が描かれているのですが、同じ絵の反対側には、なんと恋人マルガリータの姿が……。
現世では結婚できなかった2人は、500年の時を経て今も同じ壁画の中に生きているのです。
なんとなくラファエロがモテモテだった理由が分かるような気がしますね!
あわせて読みたい関連記事
ルネサンス建築の始まりが想像以上に壮絶だ!ブルネレスキvsギベルティの大聖堂
続きを見る
謎多きモーツァルトの死因は何だ?最期の『鎮魂歌』は誰のためだったのか
続きを見る
戦国武将の痔・エンド! 榊原康勝は鞍に血を溜め 梅雪は馬に乗れず殺される
続きを見る
秀吉と官兵衛の「鳥取の渇え殺し&三木の干し殺し」がエグい 人は飢えると◯肉も喰う
続きを見る
綱吉の命も奪った“はしか”は「命定め」と呼ばれ 江戸時代に13回も大流行した
続きを見る
文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
本人のamebloはコチラ♪
◆拙著『戦後国診察室2』を皆様、何卒よろしくお願いします!
【参考】
ラファエロ・サンティ/wikipedia
Epitome of Artists(→link)
ルネサンスの天才達(→link)
日経おとなのOFF(→link)
瀉血/wikipedia
サインポール/wikipedia
『人間臨終図巻 上 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)』(→amazon)