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【安芸国虎】
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名門の管領・細川家や一条家との深い繋がり
安芸家は、室町時代後半からグーンと力を伸ばしていきます。
まず安芸国虎さんの父・安芸元泰が大永6年(1526年)、隣接する香美郡の香宗我部家を攻撃。西に勢力を拡大していきました。
跡を継いだ安芸国虎さんは、歴代安芸家の当主と同じく室町幕府の管領・細川家から偏諱(名の一字)である「国」を貰います。
当時の管領は細川高国。
歴史好きには“魔法使いになりたかった男”としてお馴染み細川政元の養子で、第10代将軍・足利義稙(別名「足利義材」)を擁立した実質的な天下人でもあります。
高国は、対立した三好之長(大河ドラマ『麒麟がくる』で話題の三好長慶の曽祖父)を死に追い込むものの、逆にその孫・三好元長(長慶の父)に攻められて自刃しています。
将軍擁立にまつわる室町時代の権力争い、詳しくは『ヘッポコ征夷大将軍』(→amazon)で!
宣伝ばかりでダメですね、こりゃ(笑)。
ともかく安芸国虎さんと繋がりのあった権力者は細川高国だけではありません。土佐国の盟主である一条家とも強い繋がりを持ちました。
土佐湾を挟んだ西の一条家から正室(名は「峰子」とも・一瞬感じるルパン三世感)を迎え、名門の親戚となったのです。
これにより安芸家の存在感はぐぐーんとアップ!
父の代で香美郡を支配下に置いていたため、新たに領地を接した長宗我部元親が敵となります。
ちなみに、長宗我部元親は天文8年(1539年)生まれなので、安芸国虎さんの9歳年下。
両者は永禄年間(1558〜1570年)のはじめ頃(1560年前後?)、初めて本格的なご近所トラブルへと発展していくのでした。
岡豊城に攻め込み落城寸前まで追い込むが……
土佐国に夜須(香南市)という地域があります。
この地域は安芸国虎さんが支配していたのですが、長宗我部元親が侵攻して重臣の吉田重俊(幕末の土佐藩士・吉田東洋はその末裔!)を派遣していました。
安芸国虎さんは、これを奪還しようと画策。長宗我部家と一触即発の緊張関係となります。
そして両者が激突したのが1563年(永禄6年)のことでした。口火を切ったのは長宗我部……。
この年、ライバルの長宗我部元親は、北部・本山城(本山町)の本山茂辰を攻めていました。
前述の通り、本山茂辰は【長浜の戦い(元親の初陣)】で長宗我部に大敗した後、海岸部の拠点である浦戸城だけでなく、平野部の拠点・朝倉城まで奪われ、かつて本拠地だった山間部の本山城に逃れていました。
そこへ長宗我部元親が「トドメを刺そう」とばかりに出陣した、その隙を突いたのが安芸国虎さん!
政略結婚により同盟を結んだ一条家と共に挙兵して、東西から長宗我部元親の居城である岡豊城に攻め寄せました。
安芸国虎さんの軍勢は約2,000。
そこに一条軍が加わり合計約5,000。
手薄だった岡豊城を囲い込み、長宗我部家は苦境に追い込み、本拠地も「すわ落城か!」というところまできました。しかし……。
【福留の荒切り】で落城のピンチを回避
主君・長宗我部のピンチを聞きつけた吉田重俊が夜須から駆け付け、さらに福留親政という長宗我部家の重臣も援軍に到着しました。
この福留親政がとにかく強い強い。
例によって『信長の野望 革新』の能力は、こんな感じです。
【信長の野望 革新】
福留親政データ
統率64
武勇87
知略45
政治30
武勇、高っ!
この高い武勇が設定されたキッカケと思われるのが、この岡豊城の攻防戦なんですね。
援軍に駆けつけた福留親政は、安芸国虎さん&一条家の軍勢に斬りかかって37人(20人とも)を斬り伏せ、【福留の荒切り】と称された戦いぶりを見せたと伝えられています。
安芸国虎さんにとっては不運としか言いようがない。この憎き福留親政らの活躍により、落城寸前まで迫った岡豊城から撤退を余儀なくされてしまいました。
これまたちなみにですが、援軍を送ってくれた一条家の当主は、京都から下向してきた一条教房の孫の孫にあたる「一条兼定」というお方。
コチラの人物もまた、戦国好きの中で非常にコアなファンが付いていますね。
魅力の要素は“その弱さ”でしょうか。これまた『信長の野望 革新』から引用しますと、能力値はこんな感じです。
【信長の野望 革新】
一条兼定データ
統率2
武勇18
知略1
政治37
えっ!
久々に能力を確認して驚きました。いくらなんでも低すぎやしませんか!!!(笑)
一条兼定も当連載で取り上げても面白いかもしれませんので、詳しくはまた今度。
一条家は、一条房家(京都から下向してきた一条教房の子)の時に、一度滅亡に追い込まれた長宗我部家の遺児(後の長宗我部国親=元親の父)を保護。
長宗我部家の再興を手伝ったお方なんですが、その後、長宗我部家に滅ぼされることになります。何とも皮肉。
さて、話を安芸国虎さんにグッと戻しましょう!
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