MAGI感想

MAGI(マギ)感想あらすじエピソード1選ばれしものたち【長崎篇】

ヨーロッパでは、こんな言い回しがあります。

「国王陛下崩御! 新国王陛下、万歳!」

ナゼこんなことを言い出したのかって?
私はこう叫びたいからです。

「大河ドラマ終了! 新日本史ドラマ、万歳!」

2019年1月17日。
amazonprimeビデオにて天正遣欧少年使節をテーマとし、戦国時代を描いたドラマ『MAGI EPISPDE1』がスタート!

それは、大河終わりの始まりの日でした。

※amazonprimeビデオの視聴はコチラからどうぞ

 

大海原から始まる物語

戦国末期の16世紀――日本から遠く離れた土地で、群衆が歓呼の声をあげております。

「マギ! マギ! マギ! マギ!」

マギ――。
それこそ、人々が求めるもの。
目線の先にいるのは、異国の服を身にまとった三人でした。

ヨーロッパに渡った日本人少年三人。
彼らは聖書に登場する「東方三聖人」の再来、つまりはマギとして、熱狂的な歓迎を受けたのです。

天正遣欧少年使節
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おいおい、おいおーい!
ちょっと待ってくださいよーーー!

OPの時点で大河を倒す気が満ち満ちていて辛い><;

西洋人の大群衆。
立派な衣装。
ロケをしている西洋建築。
カメラワークに、照明効果。
そしてOPクレジットに重なる帆船!

帆船というのは、ものすごくお金がかかるものでして。
2011年大河『平清盛』でも予算的に大問題になったのが、木造船舶でした。

それがこうもアッサリと使われている(ように見える)!

つらい……この報道と重ねると、つらい!

値下げで30億円の赤字へ=受信料収入は過去最高-NHK予算

NHKがこんな木造船を浮かべることができるか?って、無理なことはご理解いただけるでしょう。

金食い虫の木造船なんて、VFXを駆使するしかないわけです。
その予算と技術も、あるかどうか……。

もう、アバンとOPで、amazonprimeビデオの凄まじい砲撃が、大河にむかって放たれいてる感覚です……下関戦争かっ!

そして、OPテーマがいいなあ、と思っていたら大友良英さんでした。
『いだてん』とこのドラマで、2019年は大河ドラマをWで作曲したようなモンです。

こうなると、音楽の差があるとすれば使い方です。

そして忘れてはならない。
NHKは、川井憲次さんすら、『花燃ゆ』と『まんぷく』で使いこなせていないことを。

つらい。
もう、本当につらい……。

 

血塗れの逃避行

1570年代、九州・日向での出来事――。

霧深い山の中、落人らしき一団がさまよっています。

赤子を抱えた女、幼子の手を引く女。
そんな中、一人の女が歩くことに堪えきれぬのか、倒れてしまいます。

武士が彼女を立たせようとするものの、あきらめるほかありません。

「ゆるせ」
武士は刀をスラリと抜き払うと、女を斬殺。
殺気を感じた赤ん坊が泣き始まると、別の武士が泣き止ませろと言い放ちます。

しかし、赤子は泣き止まない。
女は必死で泣き止ませようとするものの、無駄なことなのです。

武士は女の背後から、赤子ごと二人を刺殺するのでした。

「我が子を!」
傍らにいた女はそう言い尽くし、呆然としています。

赤子を殺した武士は、身分が高い服装をしています。
その我が子を、彼は殺した……女の横にいるまだ幼い少年は、呆然と見守るほかありません。彼も泣き叫べば、死んでしまうのです。

父らしき武士に急かされ、供の女に手を引かれ、逃げ出す少年。

ここでナレーションが、戦国時代の説明を始めます。
そうです、戦国ってそういう時代だった!

銃声を聞きながら、逃げ惑う二人。
しかし、その逃避行はあまりに辛いものでした。

女は木を背に座り込み、主君である少年に詫びると、懐刀で頸動脈を切断し、自害します。

なまあたたかい血が、少年の顔にかかります。
少年は一人、逃げ落ちるほかないのでした……。

これやで!
見たかったのに見られなかった大河ドラマ!
これなんやでぇええええ!

本当になんなんですかね。
私達は昨年一年間、何を見せられてきたんですかね。

序盤で暴れ馬を止めるヒロインだの、橋の上でヒロインを背負う主人公だの、そんなもんをなぜ大河ドラマで見せられなければならなかった?

こういう流血。
容赦ない時代。
それが見たかった。

比較的それが出来ていた2016年『真田丸』、2017年『おんな城主 直虎』でもここまで流血は見せませんでしたね。

そうだ、これが見たかった大河ドラマだ!

もう、ここからは辛いというよりも感涙が止まらなくなりそうです。

撮影にも、いちいちお金がかかっていて、技術もよいのです。
照明の薄暗さがいいんですよね。

最近の大河へのヘンなクレームとして、画面が暗いというものがあるんですわ。

別に海外ドラマと比較して、暗くありません。
むしろ明るすぎると思っておりました。

本作は、海外ドラマ基準の美術があります。

幽玄とした雰囲気が実に心地よいものです。

 

我々は血しぶきを忘れていた!

舞台は変わりまして、京・東山。
鷹狩りを楽しむ男がおります。

織田信長、その人です。

生きることは戦うこと、戦うことは生きること。そうナレーションで説明されます。

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大河では、今さら織田信長について説明しませんよね。
むしろ、あの信長だと新奇な演出を狙って、滑ることすらある。

ところがこれは海外展開もしますから、史実に則していながら、その事実を知らない人にズバッと紹介せねばならないのです。

そんな信長に頭を下げるフロイス

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この場面、信長の休むそばに地球儀があるのです。
視聴者への距離感説明でもあるのです。

二年の長旅を経て来日したフロイスに、興味津々の信長。
信長はフロイスの苦労そのものだけではなく、そこまでして布教したい情熱の元をたどりたい、そんな思いを含ませています。

当時はまだ壊血病に為す術もなく、大変な旅路でした。

信長は、近くにいる坊主への罵倒を開始します。
自分勝手な連中だ、バテレンも同じじゃないかと言うわけです。

このへん、脚本が見事ですね。信長の、宗教への態度をきっちりと見せてゆきます。

フロイスはそんなことはないと焦ります。

信長、ここで鯉口を斬り走ると、女の裾をめくって浮かれる不埒な男を斬首!

か、かっけええええええ!
この信長がカッコよすぎて、涙がにじみました。

そしてこういう一場面が、日本の時代劇ではもう難しくなっている。

女の脚が見えるほど生々しい狼藉、そして頸動脈がブシャーッと飛ぶ斬首。
斬首の後ろから信長が見えて来て、刀をすっと収める殺陣も美しさ!

もう、ご無沙汰なんですよ。

黒澤明監督作品の『椿三十郎』の決闘場面で、三船敏郎さんに斬殺される仲代達矢さんが、あまりに吹き出す血しぶきに本当にビックリしたそうなんです。

そういう血しぶきポンプ、もう大河じゃないでしょ?
時代劇でも、ご無沙汰でしょ?

飛ばそうよ、血しぶき!

『ゲーム・オブ・スローンズ』に負けてられないんですよ。
血しぶきなら日本も負けないって示してこそですよ!

本作の演出って、割と往年の時代劇らしさがあるのです。

それは一周回ってクール!
こういうのは残すべきだと、タランティーノだって見習ったモノ。こんな形で残るのならば、これは朗報以外の何ものでもありません!

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