大奥シーズン2医療編12回

大奥公式サイトより引用

ドラマ10大奥感想あらすじ

ドラマ大奥医療編 感想レビュー第12回 意次と定信の確執始まる

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ドラマ大奥医療編 感想レビュー第12回
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定信は田沼を憎む

松平定信は、徳川吉宗の孫です。

母は、吉宗の二女である田安宗武。ですので、このころは松平ではなく、まだ田安ですね。

祖母そっくりの質素な打ち掛け姿の定信は、田沼を褒めそやす者どもに嫌味を言います。

「あれだけ派手なものを見ていれば見栄えもする!」

定信は、質素倹約に努めた吉宗に仕えておきながら、あの豪華な出立は何かと苛立っている。

安達祐実さんという配役が見事ですね。

いくら吉宗と似た格好をしていても、彼女は小柄で、声は高く、むしろ愛くるしい。背伸びしているな……と見た瞬間にあからさまで、吉宗の上っ面だけを真似る姿は痛々しいほど。

田沼は家治に、赤面研究所を作る旨を提案します。それと同時にロシア船が接近していることも語ります。

もしもロシアに日本国内の事情が明るみになってしまったら、武力制圧されるのではないか――そう危険視しているのです。

ロシアというところが重要です。

フェートン号事件はイギリス、ペリーの黒船はアメリカ。

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しかし、幕府が最初に感じた脅威はロシアでした。

彼らは不凍港が欲しい。となると、南下するしかない。

このころ日本の植民地化を狙う国があったのか?というと、なかなか難しい問題です。

イギリスやアメリカのような国は、太平洋における捕鯨のため、船舶が立ち寄りができるところが欲しい。寄港地としての日本は、非常に魅力的な位置にあります。

プロイセンやベルギーぐらいの規模で、植民地獲得に出遅れた国は、色気は出すけれでも、そこまで本気でもない。

しかし、不凍港を渇望しているロシアは別格です。

実は最も怖い。アヘン戦争後は、たしかにイギリスも警戒されましたが、それまではロシアがぶっちぎりで危険な国でした。

その後、ナポレオン戦争が勃発し、ロシアが日本どころではなくなったところでフェートン事件が起き、イギリスの脅威が浮上します。

そうした史実の国防意識と赤面対策を結びつけた巧みな脚本ですね。

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一橋治済の奸計

田沼は賢い。

他の老中たちは、田沼が好きなようにすればいいと太鼓判。なんでも彼女の経済政策のお陰で幕府の財政、つまり金回りもよいとか。

そんな老中たちのいる場所へ、一橋治済がしずしずとやってきます。

吉宗三女・宗尹の子。つまり彼女も吉宗の孫です。

一橋家というのも恐ろしい。思えばこの家が、幕府の骨を抜くようなことをするわけで。

治済は、外国船の脅威もある時代なのだから、田沼に政務を一任すればいいと言います。

それから話題は、田安定信を白河藩松平家の養子にする件となる。

なんでも宗武は、自分の為せなかった将軍になる夢を定信に託していた。そのため定信が他家に養子になることは断固拒んでいる。

しかし、その宗武も亡くなったのだから、このままでは「定信は一生部屋住みだ」と治済は言い、田沼が本人に意思確認した方がいいと強く出てくるのです。

治済は懸念事項も言います。

あけすけな政道批判。祖母そっくりのいでたち。我こそは本道、上様は邪道だと言わんばかりだと。

かくして定信は白河松平家養子とされました。

この突如の裁定に定信は激怒! 田沼のはかったことだ!と恨みを募らせます。

安達祐実さんが、愛くるしい顔で凄まじい怒りですね。人が演じるドラマの凄みを感じさせます。

定信は伝説の中の吉宗しか知らない。

一方で田沼は、宗武がなぜ定信に将軍となることを託したのか、そのいきさつを見ていました。

「お家騒動につながらなければいい……」と案じる田沼は、その矛先が彼女の身に向かうとは思っていないのでしょう。

 

御台様との別れ

御台所の五十宮が「源内以外の学者からも知恵を募ったらどうか」と提案。

城外の学者にも声をかけることとなり、青沼の会に、新たな蘭学者が出入りするようになります。

そこには杉田玄白もいます。

青沼たちよりも最先端の蘭学書を持ち込む杉田ですが、青沼たちの反応のよさに驚いています。

かくして杉田も「赤面のサボン」作りに協力することとなり、みんなで盛り上がっていると、疲れたとして五十宮が部屋から出て行きます。

青沼は、五十宮のことを案じていました。

何か急いでいるようだ。顔色も悪い。

青沼が診察を希望すると、腹部にしこりがあると漏らす五十宮。もう長くないと本人はわかっていました。

どうして仰ってくださらぬのかと困惑する青沼に対し、敢えてそうしていたと五十宮が答えます。

仮に診察したところで、その後、治療ができなければ、青沼たちの蘭学が役に立たぬと思われてしまう。そうなってはいけない、と隠していたんですね。

なぜそこまで入れ込むのか?

と青沼が尋ねると「学ぶことが楽しかった」と五十宮が答えます。

将軍の姫の父ということになっているけれども、実の父ではない。別のお中臈との間の子を、気遣って実子扱いしてくれたのだと。

そのことに感謝しつつも、どこか寂しく、虚しかった。その穴を、学ぶことで満たすことができた。

仲間と共に机を並べて、学んで、語らって、赤面駆逐という高い志まで与えてもらった。虚しさを忘れることができたのだと。

青沼は、そんな五十宮の「ありがとう」に涙するしかありません。

互いが互いの心を埋めあった瞬間。五十宮は36歳の若さでこの世を去りました。

それでも蘭学講義は続いてゆきます。

玄白が蘭学書を持ち込むと、皆が真剣な顔つきで読み始めるのでした。

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