有村俊斎(海江田信義)

有村俊斎(海江田信義)/wikipediaより引用

幕末・維新

有村俊斎(海江田信義)は長州に嫌われたから出世できなかった?残念な功績に注目

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海江田信義(有村俊斎)
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たしかに海江田にも言い分はあります

マトメますと……。

1. 西郷の居場所をバラして、流罪のきっかけを作る

2.「寺田屋事件」で説得に失敗

3.「生麦事件」でイギリス人を殺し「薩英戦争」のきっかけを作る

薩英戦争で鹿児島に押し寄せるイギリスの軍艦/wikipediaより引用

幕末ファンから、ときに「無能」と称されてしまいますが、それもむべなるかなという結果が出てしまっているのです。

むろん、海江田にも言い分はあるでしょう。

1.そもそも西郷が軽挙妄動

2.興奮しきった若手薩摩藩士を誰が言葉で説得できる?

3.イギリス人そのものも悪いし、事前にイギリス人を止められなかった藩士も悪い

そんな風に見ることもできるワケで、海江田を責めるのもどうかなぁというところです。

ただし、桜田門外の変に関わった有村兄弟は、さすがにマズイ。ヘタをすれば薩摩藩の命運が途絶えていた可能性だってあります。

そして海江田4つめのザンネンな功績。

それは薩長同盟にも関わるものでした。

 


大村との対立で暗殺疑惑→新政府で出世できず

薩摩藩と長州藩は、京都における争い(禁門の変)等で、激しい対立関係にありました。

しかし、薩長同盟前夜ともなると、徐々に雪解けの気配も見えてきます。

よく知られた坂本龍馬中岡慎太郎の他に、薩摩藩でも村田新八桂久武小松帯刀らも長州藩との和解に尽力するわけです。

が、当然ながら例外もおり、その代表格が海江田なのです。

戊辰戦争において海江田は、東海道先鋒総督参謀として従軍していました。

ところが、長州藩の大村益次郎のやり方にブチギレて、大変なことになります。

「お前は戦をなんも知らんじゃね」

「こん長州もんが、斬い捨ててやう!」

海江田は長州藩から危険人物としてマークされたほど。

大村が暗殺されると、海江田が犯人じゃないの?とすら噂されました。

大村益次郎/国立国会図書館蔵

海江田は「大村を殺しておらん」と否定するのですが、長州関係者は納得しません。

明治維新以降、海江田があまり出世できなかったのは、長州藩から危険視されたせいだとも言われています。

武功ではなくて、こんな歴史ばかりが残ってしまうというのも残念ですが……。

 


西郷と距離感あったゆえの長生きか

前述の通り、明治維新後の海江田は長州藩から嫌われたこともあり、大きくは出世できませんでした。

鹿児島に戻ってからも、西郷と親しくなるというより、島津久光との距離が近くなります。

そのせいでしょうか。

明治10年(1877年)【西南戦争】には不参加。

西南戦争開戦のキッカケ
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むろん彼らを憎んでいたとかそんな安直な理由ではなく、翌明治11年(1878年)に大久保が暗殺されると聞き、その死を悼んでおります。

彼自身は明治39年(1906年)に死去。

享年75でした。

『西郷どん』に出てくる郷中仲間の中で海江田は最も長生きしました。

西郷の仲間といっても全員が優秀であったわけでもなく、海江田はそれなりの能力だったのかもしれません。

島津久光と距離が近く、西郷の関連作品ではマイナス評価されがちですので、そのへんも考慮しておく必要がありそうです。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
泉秀樹『幕末維新人物事典』(→amazon
『国史大辞典』
ほか

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