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【『光る君へ』における穢れ】
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穢れに触れると出仕できない
10世紀に成立した『延喜式』では【穢れ】のペナルティをこう記しています。
人の死:30日
人の出産:7日
六畜(牛・馬・羊・犬・鶏・豚)の死:6日
六畜の出産:3日
それ以外にも、穢れとされるものはあります。
弔葬・問病
月事(月経)
殺人
改葬
傷胎(流産)
失火
喫肉(肉を食べる)
食五辛(ニラ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ショウガを食べる)
一条天皇は猫が子を産むと、産養(うぶやしない)を行いました。
出産の穢れではないのか?と一瞬思うところですが、猫は六畜に含まれないため、そうならなかったのでしょう。
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ともかく、相手が最愛の人であろうと、死によって穢れたら一ヶ月ほど出仕できなくなってしまう。そのため当時の公卿は死を避けたのだとわかります。
『光る君へ』の第12回では、藤原為時が妾(しょう)である“なつめ”の最期を看取る場面が出てきます。
為時はなぜそうしたのか?
もちろん愛はあったことでしょう。それだけではなく、一条天皇の退位により無官となっていたことも関係したと考えられなくもありません。
もう出仕の機会がないのであれば、そこまで【穢れ】に気を使わなくともよい状態でした。
人体の状態により穢れも変わる
前述の通り、人の死による【穢れ】は、30日の出仕停止となります。
これには「五体不具穢」というルールも存在しました。
要するに、パーツによって忌みの期間が変わるという解釈です。
当時は犬や鴉が死体をつつき、欠損した一部だけが落ちているようなことが珍しくありません。
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よって死体の鮮度や欠損状況を判断し、その期間を決めていたというのですから、なんともおぞましい話ですね。
「犬が子どもの足を咥えてかじっているけど、これは何日分に相当する?」
「遺骨を見た場合は、どうカウントするの?」
そんな相談をされたらたまったものではないと思われますが、なまじ過去のデータに詳しいため、相談を持ちかけられる人物もいます。
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ドラマでもそんな場面があれば、なかなか面白いことになりそうです。
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