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【貞観大噴火】
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最後の大噴火は300年前の江戸時代
現在、記録上最後の大噴火である【宝永の大噴火】が起きたのは、五代将軍・徳川綱吉の時代(宝永四年=1707年)です。
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この噴火で特徴的だったのは、溶岩が流れなかったことと引き換えにするかのような火山灰の多さです。
噴火の直後はもちろん、その後、何日も灰が降り続いたため、江戸ですら昼間から明かりをつけなくてはいけないような状態だったとか。
これだけ灰が降り続くと、当然農業や人体にも被害を及ぼします。
田んぼや畑が灰に埋まってしまって食べ物を作れなくなったり、用水路が埋まってしまったために生活がままならなくなったり、灰の吸引によって呼吸器系を病んだ人もいました。
運の悪いことに、既に生類憐みの令その他もろもろで評判の悪くなっていた綱吉ですから、この大噴火についても「これは天罰に違いない!」「ダメ将軍のせいで俺らがこんな目に遭うなんて!」と散々な言われよう。
一応全国から少しずつお金を集めて、被災地救済を試みているんですけどね。
半分近くは幕府が使ってたみたいですけど(ボソッ)。
昔は「休火山」なんて呼ばれていたけど
それから三百年以上も噴火していないので、現代ではしょっちゅう「富士山ヤバイ、超ヤバイ」と言われているわけです。
さらに南海トラフ巨大地震の震源域が富士山と近いので、噴火と地震が連動したと思しきケースも多く、貞観大噴火や宝永大噴火の際も前後に大きな地震が起きています。
東日本大震災が起きたとき「1000年に一度の津波」という表現をされましたが、その1000年前の地震というのが貞観大地震=貞観大噴火と連動して起きたとされている地震なんですね。
こうなると穏やかではありません。
そういうわけで、現在宝永大噴火の記録を元にしたハザードマップ(どこにどのくらいの被害が出るかを表した地図)が作られています。
周辺地域の方はお馴染みでしょうか。
◆富士山火災防災協議会へGO(→link)
現代ではさまざまな精密機器や交通機関その他が火山灰で被害を受けると予測されているので、灰がさほど降らないとされている地域でも注意が必要です。
文明の進歩で対抗できるかと思いきや、逆に違う問題が出てきてしまうというのは何とも皮肉なものです。
昔の人たちが自然災害=神の思し召しと考えたのもわかる気がしますね。
日本で育った皆さんに今更言うまでもないかもしれませんが、地震だけでなく、活火山には本当に気をつけたいところです。
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長月 七紀・記
【参考】
山賀進『科学の目で見る 日本列島の地震・津波・噴火の歴史』(→amazon)
国立天文台 (編集)『理科年表 2019』(→amazon)
国史大辞典