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【『べらぼう』唐丸少年の正体は?】
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彼の絵には求められていた答えがある
『べらぼう』の序盤は吉原を舞台とします。
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葛飾応為『吉原格子先之図』/wikipediaより引用
そこで「遊郭という場を美化しているのではないか?」という批判もありますが、それに対するひとつの答えが歌麿の作品であると思えます。
歌麿は華やかな女郎の姿だけを描いたわけではありません。
蕎麦一杯分になるかならないかの値段で、線香が燃え尽きるまで体を売る――そんな女郎の姿を描いた作品もあります。
辛くともやめられない。
それしか生きる道がない。
そんな女の姿を、歌麿の筆は描き出したのですね。
女郎がどれほど辛い生活を送ってきたか。当時の人々はこれを黙殺できたのか。
その答えが歌麿の絵にあると言えるでしょう。
無視できたわけでもないが、だからといってこの「苦界」を破壊できるわけでもない。
涙が流れたあとを辿るように作品に残すことで、彼らはそのことを伝えようとしたからこそ、私たちは涙が流れていたことを知ることができています。
蔦重と次郎兵衛から話を聞き、幼い唐丸は言いました。
「女郎はまるで地獄だね」
地獄であることを見抜いていたからこそ、歌麿の作品はある。そうドラマを見ていて腑に落ちることに、大きな意義があるのでしょう。
歌麿の作品の意味を再発見し、そこにある悲しみや優しさを感じ取る――そんな機会を提供するとなれば『べらぼう』には大きな意義があるのではないでしょうか。
唐丸が歌麿だとすると、彼の存在そのものが、写楽が消えた謎を解く鍵となることも考えられます。
多くの人々にとって、写楽は消えた一発屋であり、実はそこまで語られることはありません。
しかし、歌麿は彼よりもはるかに売れずに消えた写楽に対し、悪意ある言葉を残しています。
歌麿は売れたことで、蔦重との関係も変わってしまいました。
出せば売れる。
そうなると、様々な版元が彼に声をかけ、次から次へと仕事が舞い込みんでくる。
次の売れ行きを探る蔦重も、歌麿と二人三脚でばかりもいられない。
そうして次第に距離が空いてゆく二人……。
それでも付かず離れずの関係を保っていたのに、写楽を売り出す時期となると途切れ、そして写楽が消えると歌麿もまた最晩年にあたる蔦重との仕事を再開するのです。
ドラマとしての作りにもヒントがある
ドラマの作り方としての論拠もあります。
2024年大河ドラマ『光る君へ』は、クリエイターであるまひろ(紫式部)と、彼女に大量の紙を提供し続け、作品発注者である藤原道長の関係が、“ソウルメイト”として描かれました。
2025年大河ドラマ『べらぼう』は、発注者である蔦屋重三郎と、クリエイターである喜多川歌麿の“相方”としての関係が描かれるとすればどうでしょうか。
『光る君へ』における藤原道長のキャスティングは、早々に発表されました。
幼少期の道長である三郎は、第1話から登場しています。
『べらぼう』の喜多川歌麿も、早々に発表されています。
そして幼少期の歌麿が第1話に登場しても不思議はないと思えます。
喜多川歌麿役の染谷将太さんは、『べらぼう』と同じチームが手がけた2020年大河ドラマ『麒麟がくる』において、主役の明智光秀と深い愛憎で結ばれる織田信長を演じていました。
その染谷さんが大々的に演じる喜多川歌麿です。
このチームであれば、主役の相方に染谷さんを抜擢することは、確信的であると思えます。
唐丸は喜多川歌麿である――一流の絵師となり、蔦重とまた同じ家で、布団を並べて眠る。顔を突き合わせて作品作りについて語り合う。
そんな展開に期待を込めて、喜多川歌麿説であると私は結論付けます。
では、唐丸の再登場はいつになるのか?
東京国立博物館で開催される「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」開催にあわせた、4月20日、16回頃と推察します。
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『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』公式サイト(→link)
この特別展では横浜流星さんと染谷将太さんが、揃って音声ガイドと広報アンバサダーを務めるのです。
ドラマの外でも“相方”を務める蔦重と歌麿(唐丸)――さあ、伸るか、反るか。
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【参考】
べらぼう/公式サイト