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【『べらぼう』感想あらすじレビュー第18回鱗の置き土産】
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青本ランキング一位獲得だ
そんな蔦重のもとへ、次郎兵衛、歌麿、りつ、そして春町が寄ってきます。
手にしているのは『菊寿草』という青本番付です。
青本を全部読んでランキングつけた奴がいるんだとよ。
その番付を、西与が鶴喜に見せると「そんな酔狂なことを誰がしているのか?」と呟く。
太田南畝――またの名を四方山人、あるいは寝惚先生としても知られる一流の男でして、かつて平賀源内に才能を激賞されたかつての天才少年だそうですぜ。
そこにはこうありました。
「極上々吉 『見徳一炊夢』蔦や座」

『絵草紙評判記』/国立国会図書館蔵
そしてランキング一位は、あのまぁさんが腎虚の恐怖に耐えて書いた作品ですぜ。やったぜ!
まぁさんも喜び、こう叫び出します。
「平沢常富(ひらさわつねまさ)でございます!」
いや、本名を名乗っていいのかよ!
秋田藩としても、腎虚に怯える吉原通いの作家なんて、あんまりゆかりの人として言い出しにくいかもしれねえな。
まあ、それをいうなら源内も、意次も、定信も、誰しもそういうところはあるんだが。
ま、次回はまた舐め腐った武士が出てくることだし、それどころじゃねえな。
MVP:鱗形屋孫兵衛
蔦重との誤解が解けてよかったぜ!
人情の世界だ。これぞ江戸っ子って奴だな。さっぱりと恨みを忘れて洗い流し、自分の心意気を伝えていく。これぞ江戸の粋じゃねえか!
そう思うじゃねえですか。
でも結局、この人ァ、どこか詰めが甘いと思うんすよね。
それはどこかっつーと、蔦重との裏をちゃんと明かしてねえところでさ。
だってよぉ、西与、暗い目をして仇討ちするって言ってましたぜ。あいつも甘いけど、もう一人伝え忘れている奴がいねえか?
息子の長兵衛は裏をしっかりわかっちゃいるけど、万次郎にちゃんと伝えたのかい?
ものすごく爽やかな終わり方のようで、どうにも嫌な予感がするのよな。
表の置き土産はあの板木。
一方で裏の置き土産があるとすれば?
新章には入りやして、対戦カードは揃ってきやしたね。
鶴喜は実はそこまで強くもないし、実は受け身でもある。
一方で西与はなかなか立ち回りがうまく、当時人気絵師トップクラスの鳥居清長を擁しておりやす。
だいたいの道が通ってきたな。
総評
『べらぼう』はとんでもなくべらぼうなドラマだ!
勉強になるという意味では、近年の大河でも頭ひとつ抜けてまさぁ。
これはタイアップしている特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」はじめとしても含めてそういえますね。
なにせ43年ぶりに歌麿の『ポッピンを吹く娘』も呼び寄せちまうんだもの。大河ドラマの意図を引き寄せてきました。

『ポッピンを吹く娘』喜多川歌麿/wikipediaより引用
視聴率は低いものの、今回は二桁復帰ですぜ。低いっちゃそうだけども、大河は往々にして盛り返さねえもんすよ。ここにきて上向きになったというのはすごいことでやんす。
今回は出版談義で、今に通じるコンテンツビジネスが見えてきたと思うんですね。
鶴喜は別に全部の作家を潰すわけじゃない。ただ、相性はあります。こういう編集がつくとメンタルぶっ壊れると暗い目になった視聴者もいるんじゃねえかな。
中身を褒めるんでもねえ。クリエイターの特色を分析するんでもねえ。
ただの卵を産む鶏扱いされると、人間は精神がやられるんすわ。
これは時代や環境が変わってもそうで、ネットメディアはともかく過激な見出しをつけたりして、いろいろ工作するじゃねえすか。
なんつうかそういうのはよ、それでいいのかって思っちまうんすね。
このドラマのスタッフも春町先生タイプに思えてきます。
森下佳子先生は当初、蔦重が主役と聞かされて、なんでそんな人にするのかと唖然としたそうです。
何かこう、譲れねえモンがあったんでしょうね。
誰もが見たことのない斬新なものを作りたい。でもそうすっと能書きが必須だから、それをどうカバーするか? そこでの森下先生なんだろうねえ。
ものづくりへの妥協のなさがぎっちり詰まっていて、毎回ありがた山でやんす!
本当に毎週、痺れまさ!
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【参考】
べらぼう/公式サイト