光る君へ感想あらすじレビュー

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第3回「謎の男」

まひろが指をさしたせいで、捕えられてしまった藤原道長

「その人ではない!」

と、まひろが叫んだものの、連行されてしまいます。

「俺は大丈夫だ」

そう力強く言い切る道長。

正体が露になれば釈放されるでしょうから、確かに大丈夫だろうとは思いますが、そもそも追われていた散楽の直秀とは何者なのか?

緊迫の展開から第3話が始まります。

 

道長、獄から解かれ、父に叱られる

美しいオープニングが終わると、道長はあっさりと釈放されています。

高貴な相手を盗賊と見間違えるのは何事か!と、捕まえた側がかえって厳しい尋問を受けそうな予感もします。

道長は平惟仲と共にあっさりと解放されました。

家に戻ると、父の藤和兼家が放免を相手にするなと怒っています。

放免とは、検非違使の下にいる捕縛担当者のこと。

兼家は、自分が屋敷にいたからよかったものの、もしもいなければ獄で嬲り殺しにされていたかもしれないぞ、とイラ立っています。

一方の道長は、兼家が屋敷にいてよかったとケロッとしている。

息子の服装にもイラ立つ兼家に対し、道長が「民の暮らしを知るためにこんな格好をしている」と答えると……。

「民の暮らしなど知らんでいい! なまじ知れば、思い切った政治はできぬ」

兼家はそう言い切ります。大事なのは一族の名誉。今がどういう時であるか、わかっているのか?と凄みをきかせます。

わかっておらぬかもしれないとトボける道長。

姉の詮子は帝に嫌われているのだから、厄介ごとを起こしたらいけないと兼家が釘を刺す。

懐仁親王にまで傷がついては困る。一つの過ちもあってはならぬ。そう滔々と語るのです。

藤原兼家には野望があります。

娘の藤原詮子が産んだ円融天皇の子・懐仁親王を一刻も早く東宮にして、さらには帝にする――そうして己は摂政になる。

そんな父の野望に対し、道長が呆れたように「もう右大臣ではないか……」と返すと、さらに語気を強める兼家。

「上を目指すことは我が一族の宿命である!」

道長が、自分は三男だとのらりくらりと返そうとすうと、兼家は「わしも三男だ!」と即答。たしかに、そうでしたね。

【参照】
(父)藤原師輔
(母)藤原盛子

(長男)藤原伊尹
(次男)藤原兼通
(三男)藤原兼家

道長が「お腹に虫が……」と父をからかい、騙されたと知ると兼家はこうだ。

「うつけもの!」

似ているのか、似ていないのか、よくわからない父と子です。

藤原兼家
藤原兼家の権力に妄執した生涯62年を史実から振り返る『光る君へ』段田安則

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撫民仁政への道はまだ遠い時代

兼家と道長のやりとりは、彼らの置かれた状況を説明するシーンとなっていました。

説明台詞の分量も多くなりますが、親切設計とも言えるでしょう。丁寧に描いておかないと、付いてこられない視聴者も多いかもしれない。

様々な要素がギュッと詰まった場面ですので、当記事でも解析してみましょう。

・「撫民仁政」の欠如

『鎌倉殿の13人』と比較したい場面です。あの作品では、北条政子北条泰時と共に施餓鬼で民に施す場面がありました。

民なんてどうでもいい!という兼家の態度と比較して、随分と優しい。

兼家のような京都の貴族からは、民衆を思いやる気持ちが欠如している様子が浮かんできます。

・理念がない兼家

兼家はともかく出世することが大事です。

出世して、実現したい政治ビジョンはない。理想の政治像があった北条泰時と比べると、出世しか眼中にないように思えます。

・三男の野心

儒教理念を徹底し、長幼の序を重視した江戸時代とは異なるとわかる、三男同士の会話です。

こうしてみてくると、当時の貴族は何なのか?と思えてきます。

平和といえば確かにそう。けれども陰湿というか、これならいっそ拳で殴り合った後にわかりあえる――そんな坂東武者が相対的にマシに思えてきます。

まぁ、坂東武者は殴り合いどころか、首の取り合いになるからそこは忘れてはいけませんけれども……。

 

“三郎”は無事なのか?

東三条にいる詮子は、道長のことを面白がっています。

兼家が道長の従者である百舌彦を解雇しようとしており、道長は必死に庇おうとしている。詮子もとりなし、道長は甘えます。

「姉上、お助けください」

「わかったから」

弟に頼られてうれしそうな詮子。可愛らしくて仕方ないようですね。

詮子はどうやら、道長が誰か思い人に会いに行ってトラブルに遭遇したのかと興味津々。

百舌彦は秘密を知っているのかと聞くと、その上で身分の卑しい女は慰み者だから捨てるようにと言います。姉上、なかなかキツいですな。

父上も姉上の言うことなら聞くから、と百舌彦の救出を訴える道長は、同時にまひろの顔を思い出します。詮子の見通しも、実は当たっているのかもしれませんね。

そのまひろは、梟の声が響く中、家の中にいるしかありません。三郎のことが心配になって部屋を出ていこうにも、乙丸が見張っています。

月を見るだけだと言い訳しながら見上げると、屋根の上にいた直秀が声をかけてきました。

「見るな。声を上げるな」

そう前置きしながら、あいつは無事だと告げる直秀。“あいつ”とは、まひろが心配している男のことです。

ここからが面倒くさいまひろの本領発揮だ。

朝になると、似顔絵を描いて太郎に渡します。四条万里小路のあたりにいる、身の丈六尺以上の“三郎”を探して欲しいとのこと。

藤原か? 源か? と太郎が尋ねても、それはわからないと返すまひろ。

貴族じゃないのかよ、と太郎がぼやいています。

「早とちりしないで」

無事かどうか知りたいだけ。高辻富小路の絵師のもとにいるかもしれないと似顔絵を渡すまひろです。

歌は上手いが絵は下手だと面白がる太郎の頬を、まひろがつねる。

面倒くさい。恋心なのか、なんなのか、規定ができない。反応が本当にかわいらしくありません。直秀が念押ししても「お待ちください!」とかなんとか動揺しつつ言いそうなもの。

それを「あの男はああ言ったけど、確かめないと納得できない!」として太郎を使おうとする。しかも、テキパキと相手の特徴を告げていて、恋愛感情じゃないという。

頬を赤らめたり、目を潤ませながら頼みでもすれば、わかりやすくてかわいい女になると思うんですよね。

けれども、このかわいげがない、面倒くさいところが紫式部として重要だと思います。

紫式部
紫式部は道長とどんな関係を築いていた?日記から見る素顔と生涯とは

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本当にいいヒロインです。

素晴らしい!

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