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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第24回「忘れえぬ人」】
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流されやすい、されど泳ぎのうまい道長
道長は明子の膝で「斉信にしてやられた……」とため息をついています。
藤原隆家が狙った矢は、本人へ向けられたものか、あるいは御車だったのか。
それだけでも罪の重さが違う。引っ掛けられたと悔しがっています。
伊周の失脚で空いた公卿のポストには、斉信が首尾よく収まっていた。そのことを思い返し、「人はそこまでして上を目指すのか」と嘆く道長です。
思えば道長は棚ぼた式の権力でした。
これも人それぞれで、公任あたりは葛藤があってそうそうできない芸当に思えます。
明子はそこが道長様の素晴らしいところだと誉めている。
それでも幼い頃からの顔馴染みなのに相手のことを何もわかっていなかったと悔しがる道長は「斉信が上手であったー」とマヌケな声で嘆く。
上に立つ者の周りは敵ばかり――明子は、父・高明のことを「よい人すぎた」と振り返っています。
彼女の言葉で心が少し軽くなったのか。道長は、味方を増やして乗り切ると人のよいことを言い出します。それを殿らしいお考えだと認める明子でした。
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源明子は道長の子を6人も産んでいた~高貴な血を引く子供たちは順調に出世できた?
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隆家のスピード復帰
そして藤原隆家が帰ってきました。
20日はかかるのに、空でも飛んできたようなスピード感だったそうで。馬を潰しながらの昼夜兼行で、体力を使い切って戻ってきたのでしょう。
こやつは本当に武士向きです。
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異国の賊を撃退した藤原隆家(伊周の弟)天下のさがな者と呼ばれる武闘派貴族だった
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「不可解なり……」
やはり実資たちは一条天皇の決定に不満そうです。
さて、その隆家は干したシジミを土産に道長のところへ顔を見せにきました。
酒を飲むか?と道長に言いながら、目の間に出したシジミをそのまま煎じて食べてみるように勧めてきます。二日酔い対策ですかね。
伊周も太宰府を発ったのか?
道長がそう聞いても、兄のことは知らん、私は兄とは違うと言い出しました。
兄は恨みをためる。私はすぎたことは忘れる。左大臣様の役に立てるのは私だとアピールしています。
道長も長徳の変についての“矢”について問いただします。
「院の御車を射たのはお前か、伊周なのか?」
これもあっさり自分だと認め、兄はビクビクしていただけだと言い、後にとんでもない大事になって驚いたのだとか。
道長が、院ではなく御車を射ただけだとそのとき弁明すればよかっただろうと問い詰めると、あのときは何を言っても信じて貰えなかったでしょ、と開き直る隆家。
そしてしつこくシジミを推してくるのでした。
判断のゆるさが政変を招いた?
言い方は悪いけれども、バカとマヌケのバッティングのせいであの悲劇は起きてしまいました。
隆家はある意味どうしようもないし、あの状況下では仕方ないとも思えてきます。
そもそも矢をそんな気楽に放つことがおかしい。
この事件はだいたいが隆家がけしかけたことが原因な訳なのに、すっかり忘れている。タチが悪すぎますよ。
道長もマヌケです!
道長が「民を思う善良な政治家として描かれている」という感想には疑念しかありません。
道長はマヌケな上に無能で、周りに流されやすく、自分の信念というものがおおよそありません。
道長と同じ立場に公任や実資あたりがいたら「待て、証拠があるかどうか、確認すべきだ!」となるでしょう。大事にしたらとんでもないことになるから、もっと慎重に勧めたはずです。
それを道長は曖昧な状況に流されてゆき、結果的に大変なことになった。
政治的理念もありません。
兄の藤原道兼には政治改革を進めるうえでのビジョンがありました。道長は共にそれを実現すると誓っていた割に、兄のことは忘却の彼方です。
長兄の藤原道隆もそこまで有能ではないけれど、父の残した言葉を実行に移す力強さはあった。
それがこの道長には芯がない。
今回も詮子と帝の意のままに動いています。そんなことだから権力を悪用されるのに、味方を増やすと呑気なことを言い、己の本質に向き合おうとしない。
道長はトップにいるよりも、ナンバーツーとしての方が有能なのかもしれません。
しかし、このドラマの面白いところは、政治的に有能な者は出世できないか、実行前に消えてしまう人物だと思えるところです。
政治改革の具体的なビジョンがあったのは、花山天皇や道兼でした。
実資、公任、行成、為時は為政者としての力がありそうなのに、くすぶっています。
これが宋ならば、こうした人物は科挙を経て官僚になっている可能性が高い。そこを踏まえると、まひろが宋に憧れる気持ちがわからなくもありません。
そして、こんなことを申し上げていると、私がアンチ道長だと思われそうですが、そういうわけでもありません。
政治家としてこんなにダメなのに、人徳がまるで蜜のように周囲を惹きつけているところが実に素晴らしい。
器が大きいのか、そうでないのか、わからない――つかみどころがない姿が魅力的でもあって、毎回わかったようでわからなくなります。
柄本佑さんはどこまで深いのか。彼でなければこうはならないと思えます。
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