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『光る君へ』感想あらすじレビュー第24回「忘れえぬ人」

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第24回「忘れえぬ人」
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帝は中宮を求める

詮子の元に帝が見舞いに訪れました。

大赦のおかげでよくなった。そう感謝を伝えると、帝も嬉しそうに「朕も父になった」と告げます。この上ない喜びだそうで、母上にも知らせできて嬉しいと言います。

帝の晴れやかな顔を初めて拝見したと言う詮子。

生まれてきた姫を内親王にすると語る帝に対し、どれほど幸せを奪い、追い詰めていたのかと反省の念を語り出します。

帝は親になったことで、母上の気持ちも分かった、お詫びなどいいと笑顔で返します。

さらに帝は「中宮を内裏に呼び戻す」と言い出しました。

瞬間、背後にいた道長が驚き、たしなめようとしますが、それを制して話を続ける帝。

「娘の顔を見ず、中宮を見ずに生きていくことはできない。公卿の反発はわかっていて黙っていたし、内裏に波風がたっても構わない」

中宮を追い詰めたのは自分であり、いま手を差し伸べねば後悔するだろうから、最初で最後のわがままだと押し切るのです。

こうなると道長としては帝の望みを叶えるしかありませんが、果たして公卿たちはどう反応するか。

道長は、藤原行成に事の成り行きを説明します。

帝がお幸せなら嬉しいと返されると、皆の心が帝から離れて政が進めにくくなると道長は困惑しています。

確かに実資様あたりが厳しい言葉で批判しそう。実資の言葉には力がある。

二人でそう頭を抱えていると、行成がアイデアを提案します。

「職御曹司(しきのみぞうし)はどうでしょうか」

内裏とは一定の距離を置けば、まだ周囲の者たちも騒ぎ立てずにいられるかもしれない。

その意見を受けいれた道長は、帝をそう導くよう行成に任せます。さしもの行成も困惑していますが、行成ならば帝も頷くだろうと言われて断りきれなくなりました。

「はっ!」

深々と頭を下げてしまう行成は、道長のことをどれほど好きなのでしょうか。

藤原行成
藤原行成は道長を助けて自らも出世~書と政務の達人は道長と同日に死す

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行成の交渉は上手くいったのでしょう。

その日のうちに定子が職御曹司に入ると、早速、そこへ出向く帝。内裏のそばにあるものの、わずかな距離だろうと帝は輿に乗らねばなりません。

定子が、娘の脩子を胸に抱き、帝に見せます。感激し、脩子に語りかける帝。

「愛らしいのう、中宮によく似ておる」

「帝にも」

ここで帝は、傍らに控える清少納言にも、中宮が世話になったと声をかけます。

「もったいなきお言葉にございます」

感激した声で返事をする清少納言。

この日から帝は政務がおざなりになり、連日、定子に通い続けます。

春宵苦短日高起 春宵 苦(はなは)だ短く 日高うして起く

従此君王不早朝 此(こ)れ従(よ)り君王 早朝せず

春の宵はとても短い 日が高くなってからやっと起きる

このときから皇帝は朝の政務を行わなくなった

白居易『長恨歌』

帝はまさしく、楊貴妃に溺れた玄宗のようになってしまったのでした。

白居易
『長恨歌』の作者・白居易は史実でどんな人物だった?水都百景録

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その悪影響は早速見られ、女房たちは「自分で髪をおろしたくせに図々しい」と陰口を叩き、公卿も苦りきって実資はこう嘆きます。

「前代未聞! 世に試しなし!」

あの聡明で政務に熱心であった若き帝が、女の色香に溺れてこうなってしまうとは!

彼らからすれば、定子は妖狐のような悪女でした。

 

さわとはめぐり会うことなく

藤原為時は、越前大掾である大野国勝のおかげで越前の政務がうまくいっていると上機嫌。

どうにも為時は人が良すぎるのか。

そこを越前生まれの国勝がうまく支えているようです。

彼が為時あての書状を渡して、その場から去ってゆくと、まひろ宛の文もありました。

まひろが目を通すと、それはさわの死を伝えるものでした。

行きめぐり たれも都に かへる山 いつはたと聞く ほどのはるけさ

誰もががいつかは都に帰るという。でも、今度はいつになったらなのか。それははるかに遠い先のことなのか。

嗚呼、私と会いたいと思いながら命を落としたのか……まひろはそう友を思います。

そして彼女は、都に戻って宣孝の妻になると父に宣言します。

「うん。ん? 今なんと申した?」

寝耳に水の為時。

まひろはさわのことに触れ、もう、生きていくのも虚しくなったと言い出します。

為時はそれはわかるが、それでなんで宣孝の妻になるのかと聞き返す。なんせ発想が吹っ飛んでいますからね。

まひろは先日、宣孝から妻になれと求婚されたと言います。

驚きのあまり、腰を痛めてしまう為時です。

 

宣孝なら、よい理由

寝込んでしまった為時は、まひろに問います。

確かに宣孝はよい友達だが、まひろに求婚とは錯乱したのか……。

まひろも驚いているのだと返します。

為時は、都で婿を取るならば、自分も国守となったことだし、以前よりよい婿が来ると言います。

「されど宣孝殿は……」

まひろは父上が不承知ならばやめておくかというものの、そこまでしたいわけではありません。

ただ、宣孝は年寄りなのにいまだに女にマメだから、まひろが辛い思いをするかもしれないと気遣っています。

それもまひろは承知していると諭しますが、まだ納得できない為時。

まひろはこう言います。

ありのままのお前を丸ごと引き受ける。それができるのはわしだけだ、さすれがお前も楽になろうと。

「うまいこと言いおって」

そう返すしかない為時ですが、それがまひろの胸にしみたのも事実。

思えば道長様とは向かい合いすぎて、見つめ合いすぎて、苦しかったのだと振り返ります。

愛おしすぎると嫉妬もしてしまう。しかし宣孝相手ならそういうことはない。楽に暮らせる。

幼い頃から知っているし、誰かの妻になることを大真面目に考えたくもないし、子どもも産んでみたい。

そう打算丸出しで語るまひろ。

まあ、こんな腹黒い女諸葛でもいいと思えるのは、そりゃ藤原宣孝ぐらいじゃないか?とも思えますよね。

ときめくつもりはもうない。ただ安定と出産のために結婚する。そう言い切りました。

やはりまひろは「おもしれー女」なので、そのおもしろさごと堪能できる相手でないと難しいのでしょう。

紫式部が当時の貴族として晩婚なのは、経済的な事情や年齢ゆえにとされました。

本作は性格の面倒臭さもそこに加えられています。

大石静さんも、まひろがいたら友達になりたくないと語っています。確かにわかりやすい可愛らしさはない。おまけに不気味でもある。

周明に騙されかけたようで、キッパリと理詰めで断りました。ああも相手の心を見抜き、さらには思い切り突っぱねるようなことをいう。それこそ不気味ではないですか。

そのくせ、父親に道長相手の恋を今さら全開で語る。聞いてる父の心がメタメタになりますってば!

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