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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第41回「揺らぎ」】
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清少納言の舌鋒
宮の宣旨が、藤原彰子に問いかけます。
「清少納言がやってきました。いかがしましょう?」
内々の会だから断るべきだ――そんな意見も出ますが、彰子は『枕草子』の書き手に会ってみたいとのこと。
お楽しみの最中にとんだお邪魔だと言いながら、敦康様から中宮に届け物があるとして清少納言がやってきました。
微笑みながら語りかける彰子に対し、慇懃無礼な態度で挨拶し、亡き定子皇后の女房であると名乗る清少納言。
届けものとは、つばき餅でした。
亡き院(一条天皇)も皇后も好きだったと好きだったと説明します。
『源氏物語』にも登場する日本最古級の菓子ですね。
懐かしみ、敦康親王の様子を彰子が尋ねると、敦康様はお健やかと言いつつ、こう続けます。
「もう敦康様のことは過ぎたことにおなりでございますね。このようにお楽しみにお過ごしとは思いも寄らぬことでございます」
赤染衛門が「今は歌を披露している、優れた歌詠みであるあなたも詠んではいかがか」と誘うのですが……。
「ここは私が歌を詠みたくなるような場所ではございませぬ」
そうきっぱりと断り、敦康親王には脩子内親王と私がついているから、たとえお忘れになられても大丈夫だと言い残し、去って行きました。隆家の名前はあがりません。
まひろは三白眼になって、ききょうを睨みつけます。ききょうも鋭い目線を投げかけ、去ってゆく。
彰子は悲しそうな顔をしています。
まひろは月の印がついた硯で墨を擦り、「清少納言」と書きます。
清少納言は、得意げな顔をした、ひどい人になってしまった……。
さらに続く痛烈な文は『紫式部日記』をご覧ください。
叢雲のかかる月のように
しかし、変わってしまったのはききょうだけなのか。
月を見る道長の姿も見えます。
この場面は、百人一首にとられたのこの歌も連想させます。
めぐり逢ひて
見しやそれとも
わかぬ間に
雲隠れにし
夜半の月かな
久々に再会して、誰かわからぬようになってしまった友。こんな人だったかと思ううちに月が雲に隠れるようにいなくなってしまった。
“友”とはききょうのことか。
それとも道長のことでもあるのか。
まひろと道長が眺める月が、今日は見えておりません。
左大臣様がおかしくおわすのだ
敦康が彰子のもとへやってきました。
つばき餅のお礼の文を頂戴し、飛んで参ったそうです。
彰子が美味しいつばき餅のお礼を言うと、御簾越しではお顔が見えないと言い出します。敦康の背後では行成が硬直しつつ行方を見守っています。
「ご無礼つかまつります」
そう御簾を超えて彰子のもとへ向かう敦康。
めくって入りつつ、光る君のような真似はしない、ただお顔が見たかっただけだと言います。
これにはまひろも、行成も、戸惑うばかりです。
道長は、この御簾を超えた顛末を行成から聞き、激怒。
超えても二人きりになったわけではない、しばらく話して帰っただけだと行成が擁護しても、信じられぬ!と怒り、敦康様が二度と内裏にあがれないようにしろと命じる道長です。
先帝の第一皇子にそんなことは言えないと行成が反論しても、それでも道長は、国母となる中宮に万が一のことがあったら一大事だとして一歩も引きません。
「恐れながら、左大臣さまは、敦康さまから多くの事を奪いすぎでございます。敦康様がお気の毒でございます」
「お前は私に説教するのか」
「左大臣様がおかしくおわします。失礼いたします」
あれほどまでに道長に心酔しきっていた行成が、こうも厳しく言い切るとは……。
これも諫言です。果たして道長はこれを聞きいれるのかどうか。
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