どうする家康感想あらすじレビュー

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第22回「設楽原の戦い」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第22回「設楽原の戦い」
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どうする酷い衣装!

今週も恒例の衣装に文句を言う時間です。今回はスペシャル版で。

説明セリフと苛立ちだけを見せる徳川の軍議。やはり本多忠勝の長ラン陣羽織が嫌すぎて絶望します。

そして、こんな私みたいなクソレビュアー(※『いだてん』でこう呼ばれて以来、私のお気に入りの呼び方)に対しても、SNSで意見をくださる方がいて驚きます。

「『麒麟がくる』をやたらと誉めているけどおかしい! あのドラマだって衣装はおかしかった!」

わざわざ画像付きで検証する方がおられるんですね。

確かに『麒麟がくる』は衣装が批判されました。しかしそれは色合いが派手すぎるというもので、衣装そのものというよりは画面調整の問題でしょう。

現に序盤のうちに調整されると、そうした声はおさまりました。

正確にいえば、衣装そのものではなく、色彩設計の問題です。

『麒麟がくる』のド派手衣装! 込められた意図は「五行相剋」で見えてくる?

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それにあくまでクレームは色合いに伴うもので、シルエットや質感がおかしいという類のものではありません。

『麒麟がくる』の衣装プロセスは、こんな流れです。

斬新な織田信長にしたい

ならば定番の赤と黒は避けよう

五行説を踏まえつつ、稲妻を思わせるイエロー系にしよう

松永久秀は、斬新でポップな遊び心も入れたい

そんなセンスを感じさせる伝統色と、模様を取り入れよう

このように、あくまで良識、伝統の範囲内で探っています。

それが『どうする家康』の場合は違う。

「家康は優しく見せたい」
「地元をアピールしたい」
「伝統よりセンス!」

という視点であることは、ネットでも拾える範囲で明言されています。専門知軽視ですね。

しかし、この時点でおかしい。武人や軍人は、衣装で優しさをアピールしません。そういうのはケアをする職業では?

自衛官募集の萌えポスターはさておきまして、現代の軍服だって「キュートであること、優しさをアピール」してませんよね。

以前も言いましたが、私は武者絵が大好きであり、ああいうものは見た瞬間にかっこいい、グッとくる、強そう、そんな要素が突き詰められている。

そういう観点からいくと今年はただひたすら無様、そしてリアリティを感じさせません。

朝ドラ『らんまん』には、彰義隊の生き残りが出ております。

その彰義隊が江戸の街を闊歩して上野の山へ向かったとき、彼らは打裂羽織に義経袴だったとある。

これはどういうことか?

打裂羽織は背中のスリットが大きくは入っています。義経袴は裾に飾り紐がついている。

ただのオシャレではなく、打裂羽織は武器を腰に刺した時に引っかからない。義経袴は裾の紐を引っ張ると、ぎゅっと縮む。

つまり彼らなりの臨戦体制ということを示します。

なぜそんな話をしたかと言いますと、こういう歴史的な衣装の話となると、様々な意図も見えてくる。

要するに彰義隊は動きやすい服装をしたんだなと、構造を理解すれば読み解けます。

ところが、和装に興味がなかったり、機能性を度外視し、ただの面白さだけを狙うとおかしくなる。

要するに、動くのに邪魔だとか、何か引っかかるだろうとか。そこが気になって仕方ない。

武田信玄のモコモコ膨張和装のどこに機能性がありますか?

アニメやゲームといった、リアリティラインの低いコンテンツならば、まだアリといえます。

昔、女子プロレスラーが「格ゲーの女ども、あんな衣装ならポロリしまくって戦えんわ!」とつっこんでいましたが、ゲームだって技術が向上すると衣装にリアリティを求めるようになりますよ。

『戦国無双』も、『ストリートファイター』も、『バイオハザード』も、動きを邪魔しない、露出度の低いコスチュームになっていった。

では『どうする家康』の場合はどうでしょうか?

大河だから当然リアリティラインは高いはず。それが今年は大幅に落としてきた。その筆頭である千代なんて、あんな服装でアクションされても意味がわかりませんね。

とにかく機能美とデザイン性の融合がないのです。

だからこそ見ていて不愉快になるのでしょう。

もういっそ瀬名にビキニアーマーでも着せたらどうですか? それでもネットニュースは絶賛しますよ。

 

どうする『麒麟がくる』……って今更?

クソレビュアーの私に敵意を抱く方は、なぜか私の好きな作品を全否定したがる傾向があります。

だからといって『麒麟がくる』を否定したところで、『どうする家康』が傑作になるはずがありません。

『どうする家康』が素晴らしいなら、その良さを広めて、多くの方に視聴するよう薦めればよいでしょう。

一方、私は面白ければ面白いと書きますし、つまらなければその原因を突き詰めて、こうしてレビューに記します。

私は『貞観政要』の魏徴が好きです。ゆえに諫言は避けません。

号泣だの神回だの絵空事を書くのはごめん被ります。

本作については、一次史料や軍記を読んだアピールもしばしば見かけますので、そこに『孫子』や『貞観政要』を加えていただければ幸いです。

貞観政要
『光る君へ』で一条天皇も愛読の『貞観政要』は泰時も家康も参考にした政治指南書

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孫子
信玄や曹操などの名将たちが愛用した~兵法書『孫子』と著者の孫武は何が凄い?

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NHK大河ドラマという国民的番組ですから、多くの人から賛否両論が出て、今後さらなるブラッシュアップを踏まえた上で大河ブランドが続けば、皆が幸せになれる。

そのためにも、面白ければどこが面白いか、つまらなければ何がどうつまらないか、という意見は必要になるでしょう。

 

どうする距離感

家康が何か思いついて走っていくと、すぐに信長の陣にとうちゃこ♩ そういうのは火野正平さんの『こころ旅』で間に合ってます。

なぜ使者を用いないのか?

こういう時は使者に書状を持たせればよろしいのでは?

本作は、顔と顔を突き合わせる場面が大好きで、それでしか緊迫感を出せないと誤解しているようにも見受ける。

不潔感漂う秀吉のせいで何もかも台無しにされてしまいますが。

 

どうする海老すくいとダチョウ倶楽部

画面に出るだけで、最も顔を覆いたくなる海老すくい。

制作陣には、真顔で尋ねたいのですが、あれを本気で面白いと思っているのでしょうか?

だとすれば、とにかく絶望しかありません。

一回だけだったら、まだよかった。しかし、今回で何度目でしょう? あまりにしつこすぎて、バカという言葉以外に見つからない。

もしかして、昔のRPGでも意識しているんですかね。

酒井忠次 は 海老すくい を おどった!

武田軍 は 士気が 低下 し

酒井忠次の職業は戦士ではなく踊り子、と、こんな調子ですかね。無理矢理奇襲とかなんとか言っておいて、視聴者の印象に残すのは海老すくいだけ。

おそらく21時15分には「海老すくいにネット爆笑!」とでも記事が出ていたんでしょう。

ダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ」ネタもありましたね。

あれは簡単に見えて、実は職人芸のようなもので、一朝一夕に真似をするのは非常に難しい――ということが今回の映像でよくわかったはずです。

本当にこの制作陣は、毎回毎回、茶室で放屁して笑い転げるようなセンスを披露しますよね。大河などではなく、身内の飲み会でやってください。

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