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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第22回「設楽原の戦い」】
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どうする血を恐れる武士ども
鉄砲による殺戮シーンで、信康のPTSDを描きたいようですが……。
「これは戦でございますか? なぶり殺しじゃ!」
って、何ですか、その薄っぺらい説明セリフは。
『麒麟がくる』では、信長の右腕として戦ってきた光秀が、松永久秀の前でたまりかねたように「戦はしたくない!」と叫んだ。
『鎌倉殿の13人』では、穏やかで淡々としていた畠山重忠が、「戦など誰がしたいと思うか!」と叫んでいた。
本作には、そういうメリハリが全くありません。
ストーリーをきちんと組み立てるのではなく、作り手が昔見聞きした映画やドラマ、あるいは漫画にアニメなどを“つぎはぎ”したようなトラウマ表現でウンザリです。
これほどまでに罰当たりなドラマもそうそうありません。手抜きがモロにわかる。
だって、討ち死にがこんな感じですよ。
「はぁはぁはぁううぐううぅああああああああ|」
わざとらしくうめき、ドタッ! ぶっ倒れる。
一体リアリティは何処へ?
どうするどこの大名家もオープンカフェ
織田家も、徳川家も、オープンカフェで宴会をします。
セットの使い回しとLEDスクリーンがわかってしんどい。
佐久間信盛が全部セリフで事情を説明するあたりがもう無茶苦茶でした。
大半の戦国大名はセリフの中だけで敗退するようです。
東北からは蘆名を出さず伊達だけ出すあたり、どういう知識をベースに組み立てたのでしょうか。
願わくば政宗は出て欲しくないので、まさか渡辺謙さんがらみの方を引っ張り出したりしないように祈ります。
しかしこの信長、毎回、意識高い社長系ろくろ回しなポーズ(Web広告やインタビューであるポーズ・画像検索してください)をとりますよね。
戦国武将というより、ネット広告動画に出てくる宣伝担当者みたいだ。
「動画とゲーム内容が違う……そんなことってありませんか? でも『どうする家康』は大丈夫! タップだけで楽々クリア! いますぐダウンロード!」
みたいなやつですね。
そして、アイスクリームフレーバーを表現しているような衣装の、徳川家のオープンテラスに移動。
衣装がアイスクリームという以外は大差ない。日本全国こんな調子ですかね。東北の南部家だろうが、越後の上杉家だろうが、オープンテラス軍議していそうで素敵♩
上杉家をチラッとでも見せて欲しいかも。上杉謙信が温度差で倒れたという説に説得力が生じますからね。
あ、出すとしてもアニメで結構ですよ。予算も限られていますし。
どうする“伏線無視”
信長が信長が重々しく、家康と信康に「仕えることを許す」と語ったわけですが。
どうして瀬名がその場にいるのか?
あれだけアホな勝頼を「信玄を越えるか」と言われても意味不明。みんな弱いように思えます。
人間の印象だけで話が進みますが、兵糧とか、城の位置とか、討ち死にの数とか、そういう話はないのですか?
他ならぬ秀吉が、信長の物量勝ちだと説明していたじゃないですか。
だったら、勝ち負けを左右する物資の調達について語って欲しい。
首実検をしたからには、家臣の討ち死にが多かったことも把握していることでしょう。
「あの真田を二人も討ち取ったぞ、もう終わりだ!」
ぐらいわざとらしく説明してもよかったのでは?
その弟・武藤喜兵衛が真田家を継いで昌幸となり、家康を苦しめる。こういう大事な伏線はないんですよね。
どうする“幕府”
ラストの城攻めで、家康が山の中で軍議をしています。
このドラマは卑劣な手段を覚えたものだ。
屋外キャンプ状態で軍議をしちゃおう。椅子に座らせて、背景にLEDスクリーンを置けばオッケー♪ そういうことでしたか。
なぜキャンプ感覚で軍議をするのか疑問でしたが、陣幕すら用意できないのでしょう。
そういうひどい軍議のあと、オープンテラスで家族団欒してる。まるで昭和のアニメのようでつらい。
そして改めて考えたい。
陣幕すらない将軍がいかに哀れであるか。
幕府とは何か?
中国の戦国時代に、王命を受けた将軍が、遠征地で陣幕を張る。それを「幕府」と呼びました。
要するに、天皇という主君から命令を受けて、将軍が政治を代行している。名目上はそうなります。鎌倉時代はこういう定義がなく「関東」という認識だったとか。
江戸幕府を開く徳川家康が、陣幕でなくLEDスクリーンを背景に軍議をするとは、なんと情けない……あまりの惨めさに泣けてきました。
どうぞ「クソレビュアー号泣!w」と面白がってください。
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