どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第22回「設楽原の戦い」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第22回「設楽原の戦い」
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どうする瀬名無双

「はぁはぁはぁはぁ」

散歩したあとの犬みたいにうなされる信康。

露骨に企む五徳。

この二人の描き方が気持ち悪くて仕方ありません。

年齢差を感じさせない親(信長)と子(五徳)が、やたらとベタベタしながら何かしあう。

どうやら我が子を通して「信長vs瀬名」というカードにしたいようですね。

大河における戦国内助の功路線は、『おんな太閤記』以来定番です。

過去には『利家とまつ』や『功名が辻』がありました。

そういうものを超越して、架空戦記・瀬名無双になっています。覚醒して欲しいのは家康であって、瀬名ではありません。

どこまでニーズを外していくのか。『レジェンド&バタフライ』のネタ使い回しだし。

レジェンド&バタフライ
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信長が五徳に対して気持ち悪いセクハラをする描写も、不快なのでやめてください。

岡田准一さんをドS王子にすればいいwww って、いつの時代の感覚ですか?

 


どうする“見えざるピンクのユニコーン”

「クソレビュアーは伏線がないっていうけど、あるじゃない!」

そんな声が聞こえてきました。実は先週あったそうです。

◆「どうする家康」亀姫が手にした“漬物石”=あの贈り物?ネット考察「石を継ぐ者」第7話→ロングパスか(→link

家臣団がプレゼントした石だってよ。

そんなもんこの後の展開に関係ありませんね。

伏線伏線いうならば、敢えてもう一度、しつこく問いたいことがあります。

なぜ、真田昌幸を出しませんか?

このあたりが『真田丸』との圧倒的な差でもあります。

あの作品では「武藤喜兵衛というえらく強い侍大将を知らないか」と、徳川家康が真田昌幸に尋ねる場面があります。昌幸はシラを切る横で、幸村が緊張感を滲ませていました。

あれは武藤喜兵衛は真田昌幸の、真田家督相続前の名前で、要するに本人なのに黙っている昌幸の厚かましさ、それに焦る幸村、実は知っているのではないかと考えてしまう家康、そういう攻防が実に見どころでした。

完全に室内のスタジオ撮影であり、血は一滴も流れません。それでも緊迫感に満ちていた。

刀の柄に手を掛けているような、一歩間違えたら血の雨が降りかねない攻防を会話で繰り広げているからこそ、魅力的なのです。

伏線だの、会話劇の妙だの、そういうものはまさしくこういう場面を言います。

それに引き換え、女の子が石を貰ったところで何なのでしょう?

『八犬伝』の村雨でもあるまいし、その石を巡っての死闘も何もないでしょうよ。亀が石を持っていようが、だから何なの?としか言いようがない。

そういう点と点をつなぐことを“見えざるピンクのユニコーン”と呼びます。

「見えないのになんでピンクだってわかるんだよ!」

そんなツッコミ込みの呼び方です。そういうことを言われたところで困るだけなのです。

 


どうするBL

ちょうどこの間、歴史好きの方と話したときのこと。

嬉しそうに朝ドラ『らんまん』で、歌川国芳が重要な役割を果たしたことを語っておりました。

わかります。数多いる浮世絵師の中でも、歌川国芳は武者絵が得意です。

現在まで名が通っている武将のイメージに彼は寄与してきた。ゲーム会社ならコーエーテクモさんが特別なように、国芳もそうなりますよね。歴史好きと猫好きならば、国芳は特別です。

そんな朝ドラ『らんまん』は、BLもといブロマンス描写でも突き抜けてきました。

◆ 神木隆之介さん×志尊淳さんスペシャル対談vol.2 第9週&10週を振り返り(→link

こちらの記事から引用します。

神木:その後の第48回(6月7日放送)で、初めて竹雄に「万太郎」って呼ばれたときはさ、なんか気持ち悪かったな(笑)。ここでは絶対、二人の関係性をいちゃついてるような関係性には見せたくなかったんだよね。竹雄って、どう考えても嫁じゃん! っていう立ち回りだから、友情に見せるさじ加減が難しかった。

志尊:俺は嫁だと思ってたけどな(笑)。

神木:ははは。でもさ、やっぱそこは寿恵子(浜辺美波)を立てないと。

志尊:でも我々(竹雄と寿恵子)はまだヒロインの座を争ってるわけだから、竹雄としては前に前に出なきゃなって(笑)。

神木:確かに(笑)。まぁヒロインが誰かは、視聴者さんが決めることだから(笑)! どのドラマでも、見方や映し方によっては「主役やヒロインじゃないけど、これはこのキャラクターの作品だったな」って感じることがあるしね。

この二人は、互いに思い合う関係性を演じることを自然にとらえていて、上の世代によくある照れやバツの悪さを語ったりしません。

『鎌倉殿の13人』で北条泰時を演じた坂口健太郎さんもそうでした。

源実朝から愛を告げられて突き放すことに、苦しいものを感じていたとか。

まず、男が男にそうされて気持ち悪いとか。男同士なら暴力的になるとか。BLというのはNL(ノーマルカップリング、男女のこと。差別的で古いので使われなくなっています)とは違うとか。

そういう意識がチラついているのは、2020年代としては差別的で古い。

そして『どうする家康』はまさしくそんな古臭いBLです。

以下のような擁護記事もありましたが、

◆NHK『どうする家康』の“BL描写”をやたら批判する人たちの勘違い(→link

古い感覚で語っていると思いました。少なくとも十年は古いのでは?

もう一点気になるのが、子役の家康に対して信長が相撲を強制的にとることを「セクシュアル」としていることです。

未成年を相手に性欲を抱く様を肯定的に描く時点で、一体いつの時代の感覚かと呆れるばかりです。

これがもし男女間なら自制が働いたかもしれません。

男同士ならアリでBLとはそういうものだと思っているのであれば、連日のように問題視されている「男性の性被害者軽視」に他なりません。

◆男性の性被害を認めない社会 元ジャニーズの告白、孤立させないで(→link

NHKがそんなドラマを放映することそのものが腹立たしいし、それを擁護する気も私には一切ありません。

 

席正しからざれば、坐せず

席正しからざれば、坐せず。『論語』

席が曲がっていたら、直したあとでないと座らない。

『らんまん』の話題を続けます。

先週、素晴らしいセリフがありました。

柳橋一の芸者から、江戸詰彦根藩士の妾として迎えられたまつという女性がいます。牧瀬里穂さんが演じ、しっとりとした姿を見せています。

そんなまつは、恋煩いになった娘の寿恵子を心配しています。

寿恵子は植物学に夢中で自分を顧みない万太郎はずるいと、母に訴える。

するとまつはこう返します。

「奥の手を教えてあげる。男の人のためにあんたがいるんじゃない。あんたはあんた自身のためにここにいるんだから。いつだって自分の機嫌は自分でとること」

要するに、セルフケアですね。

男でなく、自分が好きな浴衣を縫うとか、本を読むとか。寿恵子は『八犬伝』のファンだから、滝沢馬琴推し活をすればよいことも示されています。

女性の場合、男性に依存しすぎると不幸まっしぐらです。そう諭す意義のある言葉です。

こういう、いわばまっすぐな座布団を敷いてくれるのが『らんまん』だから、座っておいしく茶を飲んでお菓子を食べるような気分になれます。

一方、『どうする家康』は、まず座布団が曲がっているのでそれを指摘するしかない。

このまつの言葉で、先週の不快感が腑に落ちました。

◆「どうする家康」亀姫が癒やし枠に!“伏線”慣れぬ場所&クーデター中も爆睡 ネット和む「瀬名より大物」(→link

視聴者も、強右衛門も、亀に癒しを見出しているわけです。

しかし考えてみてくださいよ。

劇中の亀にせよ、演じる役者さんにせよ、まだ少女です。癒やし枠にするどころか、大人ならば守らねばならない存在でしょうよ。

こういう若い相手、特に女性をケア要因にするってそもそも正しいことでしょうか?

戦国武士が考えることでしょうか?

仲間を守る。武功をあげる。そんなことより癒やし枠萌え〜〜!

そうやって駆け抜けることの何が面白いのでしょうか。

亀という少女に対して勝手に癒やしを見出す感覚は、要するに現代人のものです。そういうどうしようもない感情に合わせることで、親近感をアピールする。

しかしあえて指摘しますが、知りもしない他人、しかも未成年を勝手に癒やし枠にすることは迷惑です。

道で見かけた中高生がかわいいとイラストを描き、勝手にSNSにアップする。写真に撮り、待ち受けにしてしまう。

そういうことをやられた側の気持ち悪さ、迷惑を想像できませんか?

とはいえ、思い当たることがあります。

また『麒麟がくる』を持ち出します。

あの作品では、光秀と駒が雨の夜、ひとつしかない寝床で一緒に過ごす場面がありました。

光秀は生真面目なので、一切の逸脱はありません。それが萌えだのドキドキだのやたらとネットニュースにあがっていました。

そういう漫画や何かで見たような、ドキドキシチュエーションの再現が好きな層がいることはわかります。

けれども池端さんは光秀の真面目さを持ち味と考えているわけです。ならば、お約束よりそちらを重視するのは当然と言えます。

しかし、どうにもそれが気に入らないのか、ネチネチ文句を言っている人もいる。

あの光秀は「きれいごとばっかで気に食わねー」「空気読め」とも言われていましたっけ。

繰り返しますが、戦国時代のドラマならば、その規範こそ重視されるべきものです。

作者の伝えたい人物の個性の方が重要なのは言うまでもありません。

歴史上の人物ならば、伝承として伝えられている大義を重んじる志だって大事でしょう。

未成年女子に癒しを見出したいなら、そういう漫画でも読みましょうよ。大河でやることですか?

結局のところ、未成年の異性に勝手な幻想を抱き、命まで落とすというのは一部現代人の歪んだ感性陥る罠です。

さまざまな背景が考察されていますが、要するに10代の頃にモテなかった自分を供養したいのだと思います。

そんな永遠に叶わない憧れを抱くだけならば無害? さてどうでしょうね。

私は、武功と仲間のために疾走する鳥居強右衛門が好きです。未成年女子に勝手に癒しを見出し、ヘラヘラ笑う鳥居強右衛門なんて求めていません。

大河ドラマに無理矢理ねじ込まれた挙句、視聴者はみんなそんな歪んだ思いを動機として提示されて感動しただのなんだの言われる。

私にとっては十分有害ですが。今年ほど大河を見ていると人に言いたくない歳はありません。昨年と大違いだ。

もうひとつ、セルフケアをする女性像のこと。男を待ち続けて泣き、ついには自害する女性は人気の定番です。

『鎌倉殿の13人』ヒロインであった八重は、そうした伝承が有名でした。女は男の愛なしでは生きていけないという“ファンタジー”ですね。

そのファンタジーから外れた結果、叩かれた典型例が『麒麟がくる』の駒に思えます。

「イケメン光秀に恋するチョロいかわいこちゃんだったくせに、足利義昭の愛人になって(なってません)、おまけになんかむずかしーこと言っててムカつく!」

こういうネットニュースなり考察なり感想なりをさんざん読みました。

駒は東庵という師匠から習った医療技術を活かし、人々を救うことに目標を見出している女性です。

それなのに「男にひっついた女以外ありえねー!」という偏見の持ち主からは嫌われていました。そういう古い意識をもって叩いていると伝わってきました。

案の定、そう言っている人の語る記事やSNS投稿を見ていると、胸焼けするほどミソジニーと偏見が多い。ヒロインが男性依存よりも自己実現に奔る朝ドラを何かの仇のように憎みがちな傾向も見て取れました。

やっている側は、自己が持つミソジニーと偏見に対してむしろ無意識かもしれない。そんな方には『アンチマン』(作・岡田索雲氏→link)という漫画をおすすめします。

今年の脚本家が描くヒロイン像は、そんな自己実現ができる駒が大嫌いな層にコミットしたんですかね。

女神のように降臨するにせよ、出てきたら死ぬにせよ、男にひっついてしか生きられない像というところは一致しています。

今年の大河はともかく低い方に流れる。

滝を登り、竜になろうとする鯉を嘲笑い、いいものを作ろうとする誠実さに欠け、大河と歴史をダシにして、怠慢さや狡猾さばかりが前に出ていて、大義がない。

天が見ているという謙虚な姿勢は感じられず、何もかもが歪んでいます。

そんな歪んだ席に座ることはごめん被りますので、私は今週も甘い言葉とは無縁です。あしからず。

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文:武者震之助note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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