どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第38回「唐入り」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第38回「唐入り」
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「孔明の罠だ」と焦ってこそ司馬懿

まだ諸葛孔明の話を続けまして。

『横光三国志』といえば「待てあわてるな 孔明の罠だ」と焦る司馬懿が有名ですよね。

なぜ司馬懿は焦っていたのか。それは彼が司馬懿だから。彼なりに高い知能を有すればこそ焦燥しました。そうでないものは自分が罠にかかったかどうかもわかりません。

「孔明の罠にかかっているかもしれませんよ」

先週、そう指摘したところ、憤りの反応を見かけ、納得しました。

孔明の罠は仕掛けられたことすら、仕掛けられた側は見抜けない。司馬懿でもなければそれすらできない。そこが怖い。

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その実例が、つい先日露になったので、見てみましょう。

 


二桃三士を殺す

諸葛孔明が口ずさむ「梁父吟」という歌があります。そこにこんな一節があります。

昔、斉の景公のもとに三勇士がいました。だんだんと増長する彼らに対し、宰相の晏子(あんし)は「功のあるものはこの桃を召し上がりなさい」と桃を2個与えました。

すると3人の勇士が2個の桃をめぐり対立し、ついには争いの末に全員死んでしまった。

ちなみに西洋では「不和の林檎」という類似した言葉があります。

需要に対し供給を絞ることで、不和を生み出す――古典的なやり口であり、それが見られました。

これがそうした反応の例でしょう。

◆ またしても株を上げた井ノ原快彦 山田美保子氏(→link

◆ ジャニーズ会見「望月衣塑子記者の暴走」を見た東京新聞記者たちの本音「迷惑なんですが…上層部は問題にしていません」(→link

◆ ジャニーズ会見「NGリスト」入りでも「望月衣塑子」記者に同情が集まらない理由(→link

あの記者がムカつく! 同情できない!

あの司会者さすが! 見事! 素晴らしい! 拍手しちゃえ!

どちらも孔明の罠――計略にハマっている時点で、司馬懿になれていない。

この下が司馬懿的な反応です。

◆加害企業ジャニーズ事務所に乗せられた報道陣の完敗だった…出席記者らが口を揃える"異様な空気"の正体 「指名NGリスト」「司会者」「拍手」…5つの謎を検証(→link

◆井ノ原快彦の"論点ずらし"に拍手が起きるl異様な会見…首尾よく終えたつもりの彼が残した"致命的な失言" 「一社一問ルール」「子ども」「被害者」を盾に場を仕切る狡猾さ(→link

◆「井ノ原氏に拍手」に感じた日本メディアのヤバさ(→link

◆井ノ原快彦を称賛する報道に疑問の声も「『偽善』そのもの」「話を自然にすり替え、危うい人だな」(→link

◆“いい人”井ノ原快彦の裏の顔…「NGリスト」にも開き直り、メディア操作どっぷりジャニーズの勘違い(→link

◆ ジャニーズ会見で質問者「NGリスト」のスクープがNHKから発信された意味は途轍もなく大きい(→link

◆ ”指名OK記者”駒井千佳子氏は10.2疑惑のジャニーズ会見を大絶賛 一方でNG記者の言動を糾弾(→link

この記者会見について言えば、短期間でコロコロと状況が変わりました。

そして変わるたびに自分は操られていたのか?と、司馬懿のように愕然とした方もおられたと思います。

あの場にいて拍手をした中には、何かに操られたようにそうしてしまった人もいるかもしれません。

孔明の罠は、自覚なしにかかるから恐ろしい。そこを踏まえておかねばならない。

ドラマを見る。SNSで感想を漁り、書き込み、ファンアートを投稿する。ニュースを見る。レビューを読む。

その過程で、誰かが何か罠を仕掛けていないとどうして断言できるでしょう?

 


徒らに虚名有るも、乃ち庸才なるのみ

徒らに虚名有るも、乃ち庸才なるのみ。『三国志演義』

司馬懿「馬謖ね。フォロワー多いからイキってるけど、中身ってもんがないよね」

司馬懿がこう毒を吐きたくなるような風潮が、世論を惑わせています。

それがこちら。

◆「主人公が嫌われると、朝ドラも嫌われる」身近にいたらイラッとしそうな『らんまん』主人公を演じた神木隆之介の「嫌われない才気」(→link

好感度しか見ない、頭を使うのは忖度といじめターゲット探しだけ。こういうのが嫌なんです。

ドラマ鑑賞の上でもガンです。

どんなにくだらなくてせせこましい人物だろうと、小賢しく好感度だけ稼ぐとか。人当たりがいいとか。それで人は騙されるもんだなと。

私はこれを昨今のドラマではなく、往年の名作『独眼竜政宗』を見て思いました。

友人がハマっていたのでソフトを借りて見たのですが、私には不思議なことがありまして。

伊達政宗よりも、最上義光の方が外交的によほど真っ当なことを語っていた。

政宗は勢いがあるけど、結構馬鹿げた言動をしている。義光はコテコテの悪党演技をしているけど、言っていることはまっとう。

なのに、反応としては政宗を応援し、義光を憎むものが多いとか。

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人間とは結局、ワインのラベルばかり見て、中身を見ないようなことをしているのでは?

態度より言動の中身が大事なはずなのに、誰も中身など見ちゃいないのか?

そういう疑念を抱いたわけです。

ドラマとその反応を見ていてもわかります。

この記事では、役者のおかげで主人公にムカついていないと記されていましたが、そうではないのでは?

・男性

・知的エリート

・史実準拠で偉業を成し遂げた

こういうラベルつきボトルに入っていたら、中身に癖があろうと褒める――そんな心理ではないでしょうか。

逆に、近年の朝ドラで徹頭徹尾叩かれた主人公を見ていくと、共通点があります。

・女性

・学歴がそこまで高くない

・地方出身

・出身階層が高くない

なかなかグロテスクですが、地方出の低学歴女なんて叩いて当然だろう、そんな暗黙の了解が見て取れます。

これを踏まえて、なぜ『どうする家康』のベタ褒め意見が多いのか。

ジャニーズ+徳川家康

というラベルが、中身がないことをカバーしている、それだけのことでしょう。

パリピ孔明』を見ていてスッキリするのはなぜか。

先の理由とは別に孔明の性格があります。とにかく彼はアクが強い。適宜フォローは入るけど、なかなか狡猾なことをして罠にかけるんですね。

好感度が高くなるかというと、そうとも言えず、魯迅はこう言い切った。

「『三国志演義』の諸葛孔明、いろいろ罠仕掛け過ぎてキモい!」

でもまあ、そのキモさあってこその諸葛孔明なんですよね。

好感度だけで人を見て何をしたいのでしょう。

確かに、曹操の『求賢令』みたいに、

「才能あればどんなゲスでもいいぜ!」

とまでは思いませんけどね。

私は好感度は二の次で判断します。

日本の朝ドラヒロインには、海外ドラマの激烈ヒロインほど濃いキャラクターはいません。

日本のドラマ界、ひいては社会が好感度中毒でノリ重視、忖度ばかり考えている。

『どうする家康』にせよ、結局は“特定年代対象の好感度戦略”しかできていない。

数字を見て、ウケを狙うなら、歴史知識や培った教養を語るより、エロだの倫理をバカにしたりするほうが良いと勘違いした。

サブカルと共に青春を送っただけに「真面目ぶった奴らを茶化しておけば相手を“論破”できるしw 顔真っ赤www」みたいに振る舞う“伝統技能”を身につけた。

ゲスな発言しながら、自分が下劣だと扱われても構わないという覚悟もない。

そのくせ視聴者相手に居丈高な態度とって大物気取りをする。

そんなものは単なる安っぽいお仲間意識だと見抜かれているのに、振りかざす側は気づくことを拒む。

そんな現実逃避の成れの果てがこの作品です。

 

後生畏るべし

後生畏るべし。『論語』

『鬼滅の刃』でも出てきました。

なぜこの言葉に注目するのか? というのも2025年大河ドラマ『べらぼう』に期待を寄せているからです。

大河ドラマは戦国と幕末が定番とされるためか、2024年と2025年はハズレだの早速言われていまが、私はそうは思いません。

かつては三本柱で、江戸時代中期(綱吉〜吉宗時代)も定番。

江戸時代後期は抜けていたので、『べらぼう』はそこに切り込むから期待感も高まるんですね。

なぜ2025年になって、江戸時代後期を扱うようになったのか?

それは2022年に導入された「歴史総合」を意識しているのではないかとも思えます。

歴史総合を学校の授業で教える現場は大変なようですが、NHKEテレの番組を毎回見ていると、実に興味深い。田沼意次の重要性は、歴史総合であればこそより深くわかります。

武将や合戦だけに注目するのはもう古い。極論ですが、それは「コップの中の嵐」です。これからは地球規模で歴史を見ていかねば。

『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』という本があり、大変興味深い。第二弾も近日中に出ます。

これを読むと『青天を衝け』を無批判に見て喜ぶことが、勉強熱心な若い世代ではまずないだろうと理解できる。

あのドラマは朝鮮半島のことをほぼ扱っていない。それで渋沢栄一を礼賛している。ありえねーよ!

と、日韓関係を重視するならば、そうなるでしょう。

地球規模を俯瞰的に見る歴史観が、これからを生きる世代では当然のこととなる。となれば戦国武将の強さや何やらばかりを語っている見方はきっと古くなる。

そのかわりに、田沼意次の経済重視。幕府の外交政策。蝦夷地探検。樺太警護。そんな要素が注目される。そんな歴史観の転換点を感じています。そこにどうついていけるか?

そう考えていく上で、暗い気持ちになるのはこんな陰謀論です。

「太閤、くたばる」とタイトルにつけるほどわけのわからない本作。それは「特定の国の工作の結果だ」とする話です。

「半島のせいで秀吉が悪く描かれる!」というしょうもない陰謀論をいつまで言い続ければいいのか。

半島とやらの人はそんなことしなくていい。出来のいい李舜臣の映画でもドラマでも作ればいいだけです。

見てくれと言わなくても、まともな歴史劇に飢えた日本人観客はそちらに飛びつくでしょう。

 

最悪の大河が嫌ならば、NHKに直接意見を送りましょう。

◆NHK みなさまの声(→link

反応はありますよ。

その実例でも示します。

◆体操番組で出演者の衣装や動きの見せ方が新しくなりました!(→link

◆一部の出演者による性加害を容認するような過去のSNS発信などから、「性」をテーマとする番組への起用に批判や不安の声が上がっている。(→link

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文:武者震之助note

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どうする家康/公式サイト

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