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軍師連盟/amazonより引用

歴史ドラマ映画レビュー

三国志長編ドラマの傑作『三国志〜司馬懿 軍師連盟〜』は鎌倉殿ファンにもオススメ

北条義時が主役はアリなのか?

2022年の大河ドラマが『鎌倉殿の13人』に決まったとき、そんな声があがりました。

義時の事績を考えれば、どう描いたって悪役ではないか?

視聴者の支持を得られるのか?

しかし、そんな疑問が呈されると同時に「意表を突かれた」という意見もありました。

これは国際的な流れかもしれません。

お隣・中国では、司馬仲達の字(あざな)で知られる司馬懿が主役のドラマが作られました。

劉備が建国した蜀は滅びてしまう上に、曹操の魏ですら乗っ取られて終わる『三国志』の憂鬱な幕引き――その簒奪を実行に移した司馬懿は、中国でもほとんど人気がありません。

そんな腹立たしい奴を主役にしてどうするのか?

まさに義時と同様のポジションで忌み嫌われていた……はずなのに、いざドラマ『三国志〜司馬懿 軍師連盟〜』が始まると、大いにヒットしたのです。

 

同作の名前を初めて聞く方、あるいは中国作品に興味のない方は、いぶかしがるかもしれません。

なんじゃこの作品は?と。

しかし『鎌倉殿の13人』を大いに楽しまれた方、あるいは『三国志』ファンの皆様に自信を持ってオススメできます。

これまで険悪で好かれないタイプの悪役が主人公として歴史を新たな視点から提供してくれる。

その魅力を北条義時と司馬懿という主人公の立場から考察していきたいと思います。

 

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北条義時と司馬懿の特徴比較

北条義時と司馬懿――より悪辣な簒奪者は果たしてどちらか?

そんな話を始めたら「もっと建設的な議論をしてくれ」と返されそうな気がします。

強さや賢さを比較するならともかく、スカッとしない悪役対決なんて悪趣味だ。

そう言われてしまいそうですが、単純な英雄気質でない二人だけに面白味もあります。

※以下は司馬懿の関連記事となります

司馬懿
ボケ老人のフリして魏を滅ぼした司馬懿が恐ろしい~諸葛亮のライバルは演技派

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まず二人がドラマでどんな描き方をされているか?

両作品を比べてみたいと思います。

◆二人とも青年期は野心家ではない

両者の性格は似ていると言えます。

どちらもさしたる野心はなく「好きなことをして生きていければよい」と謙虚に考えている人物です。

それを義時の場合は義兄となった頼朝に仕える。

司馬懿の場合は曹操に脅迫まがいのスカウトを受ける。

積極的に何かをしたくてスタートを切るわけではありません。

◆問題を片づけ、身を保とうとすると、周りが斃れていく

野心家でもない以上、積極的に上を目指したいワケでもありません。

それだけに為政者からは使い勝手が良く重用され、そのせいで嫉妬や政治闘争に巻き込まれ、火の粉を振り払っていると、気がつけば周りが死屍累々。

本人も望まず、はたから見ても到底憧れない、シチュエーションが続きます。

◆実は性格もそこまで悪くない

結果的に政権の簒奪者となるため悪しき様が語られがちですが、本来は野心的でなく、それゆえ性格もそこまで悪くありません。

明るく陽気なパリピ気質ではない。しかし堅実で常識的と言いましょうか。自ら積極的に悪事を働きに向かうわけではありません。

友人or配偶者or部下にしたいか?と問われれば、どちらでもよさそうに見える。

むしろ彼らの周囲にいる脇役の方がトラブルメーカー揃いですね。

◆主君の代替わりで苦しむ

義時の場合は頼朝時代。

司馬懿の場合は曹操と曹丕時代。

このころはまだ悪くありません。

問題は義時にとっての頼家時代、司馬懿にとっての曹叡時代です。

代替わりで騒動に巻き込まれるのは不可抗力であり、そこまで悪くないのでは?と思えます。

◆わけのわからないユーモアセンスを発揮する

北条義時と司馬懿のドラマにユーモアがあります。

そんなことで笑ったところで、あくどいことには変わりはないかもしれない。

メンタルケアのつもりか、ただの手癖かわかりませんが、どちらもすっとぼけたユーモアセンスがあります。

そのせいで義時と司馬懿にはかわいげすらあるのですが、だからどうしたんだ?とも言いたくなったりします。

司馬懿が女物の着物を諸葛亮から贈られ、それを堂々と着る場面は必見です。なぜか笑えるのです。

◆強いのか、弱いのか? 賢いのか、抜けているのか?

史実の北条義時は武勇では目立つことがなく、強さがわかりにくいと評されます。

ドラマでも踏襲しており、戦場では別の人物の方が目立ちます。

司馬懿は魏では強い部類に入るとはいえ、本人も妻も、本来は文官だから戦いたくないと嘆くほど。

諸葛亮に勝てないこともあり、そこまで強いようには思えません。損な役回りと言えるでしょう。

戦場での華やかさではないものを持ち合わせているのが、この二人といえます。

『軍師連盟』は、結局、最終回までスカッとしないドラマであり、むしろジワジワと不快感のような感情が広がりました。

それでも面白い――そんな境地に至ることができます。

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