どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第38回「唐入り」

秀吉と茶々の子である捨(鶴松)が死にました。

その悲しさや怒りは唐入りに向ける――そんなイージーな動機で秀吉が安っぽく宣言すると、キンキン声でわかりにくいナレーションが続きます。

10万を超える大軍で朝鮮半島に渡って全戦全勝。

手抜きVFXで軍隊の様子が描かれたかと思ったら、直後に続くのが、いつものしょうもない宴会芸です。

どういうわけかこのドラマは、主演が踊ると「姿勢がいい! さすがジャニーズ!」とはしゃぐ声が入るとか。『歴史探偵』の名場面投票でも海老すくいが一位だったそうですよ。

◆ 「どうする家康」名場面総選挙 3位は「石川数正の出奔」2位は「瀬名の悲劇」1位は?(→link

そしてここでもまた雑に、豊臣秀次に関白が譲られたと説明されます。

政治的にも歴史的にも非常に重要な場面のはずですが、このドラマは徹頭徹尾、歴史の流れを軽視しますので、一瞬で終わりですね。

気がつけば秀長と旭も死んでいます。

◆ 「どうする家康」秀長&旭姫、静かなる幕引き…ネット悲嘆「過去一惜しまれる」秀吉“暴走”→三成ドン引き(→link

さすがに秀次は、そんな簡単に終わらせられない……と思うのですが、本作なら何でもアリなのでしょう。

 


どうする中国史理解不足

本作は、いろんな場面で説明が不足していますが、特に中国史に関する描写が絶望的です。

例えばこの一文。

「明国の征服、唐入りでございます!」

かつて家康が「唐」と口にしたら、信長と秀吉が「いや明でしょw」とコケにするしょうもない場面がありました。

江戸時代まで日本では中国をざっと「唐」と呼びます。

だから「唐入り」で問題はない。ゆえに、先の場面でも「明だしw」とバカにされる筋合いもない。

これは「宋剣」だのなんだの出てきた『平清盛』以来です。

『平清盛』からそうでしたが、磯CPが絡むドラマは中国史が不自然なまでに理解不足なのです。

ついでに言っておくと、淀殿が突然発した中国語も何だったんでしょうね。字幕にミスがあるし、「私の名前は茶々である」ならば「我叫茶茶」の方が自然なような気も。

 


どうする戦況報告

冒頭の戦況報告からして妙でした。

あれだけ武将がわらわらとやってきて、雑マップに駒だけ置いて本気で説明になると思っていますか?

人の生死がかかった戦場だということを真面目に考えていますか?

秀吉による雑な唐入りプランの説明も、何から何までほぼおかしい。聞いたことを記憶から焼き消したほうが良さそうだ……。

 


どうする浅野長政

浅野長政が「どうかしておる!」と叫ぶのもマヌケすぎます。

そんな大事な諫言をなぜ名護屋に集うまでしなかった? もっと早めに言えばいいじゃない。

浅野長政が諫言するという人選も、それこそ絶縁を叩きつけた伊達政宗からすれば失笑ものでしょうし、ただのアリバイにしか思えません。

とにかく、命を賭して提言する様子でもないので、まるで緊迫感がありません。

秀吉が刀を抜いたって『うわっ、こいつ、本気で刺すんだ!』と思った視聴者など、ほぼゼロでしょう。

要は全く意味がないシーン。どうしたら、こんなアホみたいな諫言にできるのか。

あれでは店員にキレ散らかしている悪質な客のようです。

 

どうする加齢演技

秀吉から老いを感じられません。

いくら白髪にしようが、顔にシミを作ろうが、動きがハキハキして、家臣たちを怒鳴り散らし、キビキビと剣を手に取っている。

まったく加齢ができていない。

それでも家康が全く歳を取ってないので、秀吉が相対的にはマシに見えますね。

 


こげん島津描写、もはやチェストするしかなか!

【文禄・慶長の役】で活躍したことで知られる島津軍。

本作のように脆弱な本多忠勝から、下手くそな鹿児島弁で何やら教えを乞うとは、これほど薩摩隼人への侮辱があっただろうか?

キエエエエエエエエエエ!

脳内で薩摩隼人が猿叫をしながら、ジゲン流で色々ぶっ叩き始めました。

朝ドラ『らんまん』では、明治初期の巡査が薩摩言葉を話す鹿児島県出身者であり、イントネーションも綺麗でした。

初代の警視総監(大警視)川路利良は、鹿児島出身者を多く警察官に登用しました。『らんまん』のスタッフはそれを把握していて、わざわざそうしたのでしょう。

できるドラマとダメなドラマの格差とは、あまりにも酷いものです。

こげん大河はチェストしてよか!

怒りのあまり、家康が「腹を召す(※自分に敬語を使う愉快な家康くん)」といった時は、思わず脳内でこう返してしまいました。

「臓物抜いて腹の中空にすっで、飯詰めて炊いて食ってにもし!」

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口直しには先日完結した『警視庁草紙』もおすすめです。

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川路利良はじめ、素敵な薩摩隼人が出ております。

 

どうするセキュリティ意識

なぜ今さら足利義昭を出すのか?

こんなしょうもない義昭を使い、秀吉を貶めることでしか笑いがとれないなんて、あまりにくだらない。

「将軍だ!」と威張っているくせに、供もつけずホイホイ来るってどういうことでしょうか。

そして家康と秀吉の前で、「トップに立つと周りが見えなくなる」とかなんとか、何やら良い話をする。

足元が見えてない秀吉にとって、それが良薬となるわけですが、あまりにもタイミングがよすぎませんか!!! 心の底からバカバカしくて、テレビを外に投げたくなるほど。

舞台出身の方だから、演じる役者さんはお上手です。

しかし、日頃身につけた経験値だけで回しているようで、役柄に入り込んでいないと感じる。

劇団出身の個性が強い役者さんって、SNSとかWEBメディアで「褒める」とドラマ通っぽい風情も出せるので、使う側としては便利なんですよね。

こんな定型記事が出がちです。

「過去の『作品A』で印象的だった****の演技が光る。別のドラマでは****役は****が演じたが、それとは異なる****な持ち味が生かされた。

SNSでは「********!」「*********」といった声も見られた。」

 


誰が望んだのか、女大鼠再登場は

千代が出てきたとき「女大鼠は二度と出ないで欲しい」と心の底から願っていました。

その夢はあっさり破られてしまった……。

彼女はいったい誰の需要なの?

劇中では何歳ですか?

どうやって海を渡ったの?

服部半蔵のネタも、全く面白くありません。役者のファンに向けた目配せであるのが見え見えで、こんな使われ方をするのが気の毒としか言いようがありません。

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