秀吉と茶々の子である捨(鶴松)が死にました。
その悲しさや怒りは唐入りに向ける――そんなイージーな動機で秀吉が安っぽく宣言すると、キンキン声でわかりにくいナレーションが続きます。
10万を超える大軍で朝鮮半島に渡って全戦全勝。
手抜きVFXで軍隊の様子が描かれたかと思ったら、直後に続くのが、いつものしょうもない宴会芸です。
どういうわけかこのドラマは、主演が踊ると「姿勢がいい! さすがジャニーズ!」とはしゃぐ声が入るとか。『歴史探偵』の名場面投票でも海老すくいが一位だったそうですよ。
◆ 「どうする家康」名場面総選挙 3位は「石川数正の出奔」2位は「瀬名の悲劇」1位は?(→link)
そしてここでもまた雑に、豊臣秀次に関白が譲られたと説明されます。
政治的にも歴史的にも非常に重要な場面のはずですが、このドラマは徹頭徹尾、歴史の流れを軽視しますので、一瞬で終わりですね。
気がつけば秀長と旭も死んでいます。
◆ 「どうする家康」秀長&旭姫、静かなる幕引き…ネット悲嘆「過去一惜しまれる」秀吉“暴走”→三成ドン引き(→link)
さすがに秀次は、そんな簡単に終わらせられない……と思うのですが、本作なら何でもアリなのでしょう。
どうする中国史理解不足
本作は、いろんな場面で説明が不足していますが、特に中国史に関する描写が絶望的です。
例えばこの一文。
「明国の征服、唐入りでございます!」
かつて家康が「唐」と口にしたら、信長と秀吉が「いや明でしょw」とコケにするしょうもない場面がありました。
江戸時代まで日本では中国をざっと「唐」と呼びます。
だから「唐入り」で問題はない。ゆえに、先の場面でも「明だしw」とバカにされる筋合いもない。
これは「宋剣」だのなんだの出てきた『平清盛』以来です。
『平清盛』からそうでしたが、磯CPが絡むドラマは中国史が不自然なまでに理解不足なのです。
ついでに言っておくと、淀殿が突然発した中国語も何だったんでしょうね。字幕にミスがあるし、「私の名前は茶々である」ならば「我叫茶茶」の方が自然なような気も。
どうする戦況報告
冒頭の戦況報告からして妙でした。
あれだけ武将がわらわらとやってきて、雑マップに駒だけ置いて本気で説明になると思っていますか?
人の生死がかかった戦場だということを真面目に考えていますか?
秀吉による雑な唐入りプランの説明も、何から何までほぼおかしい。聞いたことを記憶から焼き消したほうが良さそうだ……。
どうする浅野長政
浅野長政が「どうかしておる!」と叫ぶのもマヌケすぎます。
そんな大事な諫言をなぜ名護屋に集うまでしなかった? もっと早めに言えばいいじゃない。
浅野長政が諫言するという人選も、それこそ絶縁を叩きつけた伊達政宗からすれば失笑ものでしょうし、ただのアリバイにしか思えません。
とにかく、命を賭して提言する様子でもないので、まるで緊迫感がありません。
秀吉が刀を抜いたって『うわっ、こいつ、本気で刺すんだ!』と思った視聴者など、ほぼゼロでしょう。
要は全く意味がないシーン。どうしたら、こんなアホみたいな諫言にできるのか。
あれでは店員にキレ散らかしている悪質な客のようです。
どうする加齢演技
秀吉から老いを感じられません。
いくら白髪にしようが、顔にシミを作ろうが、動きがハキハキして、家臣たちを怒鳴り散らし、キビキビと剣を手に取っている。
まったく加齢ができていない。
それでも家康が全く歳を取ってないので、秀吉が相対的にはマシに見えますね。
こげん島津描写、もはやチェストするしかなか!
【文禄・慶長の役】で活躍したことで知られる島津軍。
本作のように脆弱な本多忠勝から、下手くそな鹿児島弁で何やら教えを乞うとは、これほど薩摩隼人への侮辱があっただろうか?
キエエエエエエエエエエ!
脳内で薩摩隼人が猿叫をしながら、ジゲン流で色々ぶっ叩き始めました。
朝ドラ『らんまん』では、明治初期の巡査が薩摩言葉を話す鹿児島県出身者であり、イントネーションも綺麗でした。
初代の警視総監(大警視)川路利良は、鹿児島出身者を多く警察官に登用しました。『らんまん』のスタッフはそれを把握していて、わざわざそうしたのでしょう。
できるドラマとダメなドラマの格差とは、あまりにも酷いものです。
こげん大河はチェストしてよか!
怒りのあまり、家康が「腹を召す(※自分に敬語を使う愉快な家康くん)」といった時は、思わず脳内でこう返してしまいました。
「臓物抜いて腹の中空にすっで、飯詰めて炊いて食ってにもし!」
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川路利良はじめ、素敵な薩摩隼人が出ております。
どうするセキュリティ意識
なぜ今さら足利義昭を出すのか?
こんなしょうもない義昭を使い、秀吉を貶めることでしか笑いがとれないなんて、あまりにくだらない。
「将軍だ!」と威張っているくせに、供もつけずホイホイ来るってどういうことでしょうか。
そして家康と秀吉の前で、「トップに立つと周りが見えなくなる」とかなんとか、何やら良い話をする。
足元が見えてない秀吉にとって、それが良薬となるわけですが、あまりにもタイミングがよすぎませんか!!! 心の底からバカバカしくて、テレビを外に投げたくなるほど。
舞台出身の方だから、演じる役者さんはお上手です。
しかし、日頃身につけた経験値だけで回しているようで、役柄に入り込んでいないと感じる。
劇団出身の個性が強い役者さんって、SNSとかWEBメディアで「褒める」とドラマ通っぽい風情も出せるので、使う側としては便利なんですよね。
こんな定型記事が出がちです。
「過去の『作品A』で印象的だった****の演技が光る。別のドラマでは****役は****が演じたが、それとは異なる****な持ち味が生かされた。
SNSでは「********!」「*********」といった声も見られた。」
誰が望んだのか、女大鼠再登場は
千代が出てきたとき「女大鼠は二度と出ないで欲しい」と心の底から願っていました。
その夢はあっさり破られてしまった……。
彼女はいったい誰の需要なの?
劇中では何歳ですか?
どうやって海を渡ったの?
服部半蔵のネタも、全く面白くありません。役者のファンに向けた目配せであるのが見え見えで、こんな使われ方をするのが気の毒としか言いようがありません。
どうする兵站
文禄・慶長の役は兵站がお粗末すぎて、話にならないほどでした。
しかし本作は、兵法における兵站なんて考えたこともないのでしょう。その道でプロ中のプロである石田三成が「殿下は間違ったことないもん!」って言ってますからね。何を寝言ぬかしてんのか。
秀吉の強みは、武功ではなく、インフラ整備等に強い人物を登用したところにあらわれています。
それが文禄・慶長の役のように、あまりにも杜撰で無計画な出兵をしたことが、後世、謎とされるところです。
本作に限っては、謎でもなんでもない。制作陣が「兵站」のことを考慮してないようで、その軽視っぷりは絶望的です。
「マザーセナの教え」にも、それは現れていましたね。
徳川武田間で数年間に渡って続いたとされる「鉄砲の空撃ち=戦をしたフリ」が話にならない。
当時の火薬は、海外から原料を調達せねばならない。空砲で無駄にするだけでとてつもない金がかかります。
それこそ金をドブに捨てているようなものであり、数年間も続けるって冗談にもほどがある。
そんな大事な現実すら、本作の制作陣は無視してしまう。そりゃ兵糧の計算なんてできるわけありませんよね。
『パリピ孔明』のスタッフに兵法を教わったらいいと思いますよ。
どうする衣装
淀殿や秀吉の衣装は、センスが変わりましたね。
突拍子も無い衣装デザインがどこかで批判されたのか、それとも現場責任者の考え方が変わったのか、徐々に変化していってます。
個性は消えました。でも、はなから、こちらでよかったんですよ。
今後は最後までストック衣装でいいです。もう、ピント外れの個性は発揮しないようお願いします。
どうする理論破綻
秀吉の唐入りが支離滅裂なのは、史実通りなので仕方ありません。
しかし本作は、それに輪をかけて意味がわかりません。
動機①日本の民のために戦う
→まあ、わからなくもない
動機②朝鮮の民のために戦う
→は? えっ?
動機③明の民のために戦う
→はああああああああ!?
「お前(明)のためにお前を殴る!(=唐入り)」by秀吉
秀吉はさほどに狂っている――小うるさいピアノのメロディを背景に、それを表現しているんですかね?
ここまで支離滅裂で頭の中がおかしいと、宇宙から妙な電波でも受信しているんじゃないのか?と思えてきました。
ならばいっそSF時代劇にしたらどうでしょう?
中国では今そのジャンルが隆盛しています。
ただし、SFを描くとなると、逆に時代考証をシッカリしないと、とんでもない世界観になってしまいます。本作のスタッフなら……。
中国の傑作SF『三体』は素晴らしいそうですよ。WOWOWで放送予定のようですね(→link)。
どうする所作の汚さ
『鎌倉殿の13人』では、義経が政子に膝枕する場面で、何度も指導が入ったそうです。何気ないシーンのようで、かなり大変だったとか。
それに引き換え、今年は指導をしているのでしょうか。
淀殿の膝枕であおぐ場面のぎこちなさときたら、全然リラックスしているように見えないのです。
所作指導は『大奥』にでも取られましたかね。
先日、2025年大河ドラマ『べらぼう』に多くの『大奥』スタッフが参加していると発表され、安堵しました。
同時に、なかなか残酷な宣言にも思えました。
「再来年の大河には、今年の大河スタッフも大勢参加します!」
そんな風に張り切って言われたら、絶望しますもんね。
つまり、今年は時代劇制作陣の一軍が『大奥』に投入され、大河では人材が不足しているのでは? なんてことも考えてしまいます。
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どうする時間稼ぎと素材の破壊
重要場面での説明は駆け足で、気がついたら多くの人が退場している。
ペース配分が無茶苦茶。
そうかと思ったら、どうでもいい話が引っ張られたりするのが本作の特徴ですが、今回の放送でその最たるシーンとなったのが大政所の場面でしょう。
秀吉の母・大政所と、妻・ねねの会話。
要するにこれは、彼女らの卓越した演技力に頼りたいからなのでしょう。
誰がどう見ても「お上手」としか言いようがないですが、せっかくの演技も陳腐な脚本と演出、BGM、安っぽいセットで、ドラマの完成度としてはどうにもなりません。
つくづく最高の素材を台無しにする作品です。
どうする廊下で偶然出会う
駄作ドラマは偶然に頼る!そうじゃないと話が進まない!
そんな法則がありますが、本作で露骨に使われているのが
・廊下で偶然出会う
というシーンですね。
直近では、家康と三成が星を見上げて出会う場面は、あまりにバカバカしいご都合主義でした。
それに続き、今回は淀殿と家康が廊下で出くわすって、これは現代のオフィスドラマでしょうか。
もうどうしようもない淀殿
上目遣いで「母に似ている」という淀殿を見ていると、めまいがしてきましたね。悪い意味で。
ここから「ワタシって母にそっくりだからw」とわざとらしい誘惑をしてくる淀殿は紛れもなく、史上最悪です。
デッサンが狂ったような部屋にいる淀殿と家康。
家具もろくにないし狭いし、何か開発に失敗したアニメかゲームを彷彿とさせます。この部屋は何かすごく上位の場所のようですが、私には控えの間くらいにしか見えません。
それにしても見ているだけで苦痛を覚える場面でした。
淀殿が家康の手を握ってこれだ。
「まことの父はあなた様なのかもと」
「父上だと思ってお慕いてもようございますか? 茶々はあなたさまに守っていただきとうございます」
史実では、浅井長政の慰霊をするなど父思いだった淀殿に、どれだけ侮辱的なことを言わせるのでしょう。
第二子妊娠の父を家康だと匂わせているんだとしたら最低であり、吐き気がします。
この場面、大河ドラマ史上ワーストに入る可能性を感じます。
しかもここでチベットスナギツネみたいな顔をして、側室だと自称した阿茶が来るのは何なのか。側室という用語はこの時代に本人が使うものですかね。
俺を取り合う美女ども!
というオッサンの妄想ですよね。
考えれば考えるほど気持ち悪い。
「父だと思って慕う」とアリバイじみたことを言わせながら、家康の側室と張り合わせるということは、性的な含みを持たせているということでしょう。
初恋相手の娘が、その母親にそっくり!
その彼女が、母親と同じ顔で迫ってくる……って、どこの18禁作品ですか?
ギリギリの下劣な匂わせは、もう勘弁してください。
特にジャニーズ関連では、性的な匂わせの批判が、今まさに燃え盛っているじゃないですか。
◆ 変更は「ジャニーズ」だけ? 喜多川氏が“確信的”に名付けた「キンキ」「キスマイ」「セクゾ」にも嫌!の声(→link)
◆ジャニーズのタレントグッズに批判再燃「キモすぎ」「性的消費」「ほんとうに下品」と不快の声あいつぐ(→link)
大河ドラマでも、こういう下劣なことで話題をさらうことはしばしばありました。
最近の作品ですと、一例がこちら。
◆竹中直人の“キス死”は台本になかった! NHK大河「青天を衝け」人気を支える名優たちのアドリブ合戦(→link)
台本にないのに、いきなり性的な接触をするというのはハラスメントです。
実際に徳川斉昭の死がどんな状況だったか?(※暗殺説が流れるほど唐突に、トイレで頓死しています)
それを踏まえていれば、こんなアドリブをして、かつOKが出るわけもありません。
それなのに、バズればいいとばかりにやらかす現場。
褒めそやすメディア。
私には疑念しかありませんでした。
こういう下劣なお遊びはもう笑って許されないどころか、コンテンツの寿命を縮める可能性があるのです。
どうする女狐路線
秀吉の唐入りの理由は色々言われていますが「淀殿が女狐だった!」とは、たまげました。
意味がわかりません。
顔を突き合わせながら秀吉に凄むだけの家康も決定的にバカです。
なぜ理論だてて説明できないのか?
若い頃のお前は違った――そんな、オッサン同士の青春話で改心させようって、町内会の運動会じゃないんだから。
朝鮮半島に大軍を送って殺し合いをさせる、そんな酷い現実が行われているんですよ。
『麒麟がくる』の明智光秀や、『鎌倉殿の13人』の三浦義村とは説得力が大違いだ。
くどいけれど本作の制作陣は、『パリピ孔明』スタッフの爪の垢を煎じて飲ませてもらった方がいい。
どうする“マンモーニ”アピール
信長もなんだか教育虐待を受けていたようなことを言い出した。
秀吉もそう。母親の言葉がここで重なります。
とんだマンモーニ(ママっ子)だと『ジョジョの奇妙な冒険』だったらプロシュート兄貴にぶっ叩かれていそうっスねーーーッ!
こうした状況は、今まさにテレビ局の上層部にいる年代、エリート層の手癖なのでしょう。
本物の苦労なんて知らず、せいぜいが親に理解されなかったとか、受験勉強が大変だったとか、モテなかったとか、その程度の経験しかしていない。
そういう自分達の昭和後期平成のセンスだけで世の中を解釈して、歴史的な理解とか、世相とか、一顧だにせず生きてきた。
だから「そうだ、トラウマだ、親のせいにしちゃえ!」とやらかすんですね。付き合いきれまへん。
ライトノベルの売り上げが激減していると、先日知りました。
今どき、本物の若者はそんなもん読んでいない。買っているのは、20年前に若者だった層である。
そりゃそうでしょうね。悪役令嬢だの、転生だの、物語のフォーマットが2000年代を彷彿とさせます。
何の進歩もしないまま、自分たちは永遠に若いと勘違いし続けている。
そうやってアップデートを怠った結果放たれる、救い難い悪臭が漂っています。そんなコンテンツに本物の若者は魅力を感じませんよ。
どうしようもない“等身大”の像
本作は「等身大の徳川家康が斬新!」だそうです。
なんじゃそりゃ……と敢えて突っ込まず話を先へ進めますと、等身大とは今まさにテレビやメディアの上層部にいるエリートが考える等身大なのでしょう。
SNSアカウントでグラビアアイドルやエッチなイラストを共有し、暇さえあれば生意気な女叩きに勤しむ、頭の中は忖度とエロとゲスなことばかり。
そんなものが家康の等身大だなんて、一部世代の妄想だけだと気づいてください。それをNHKで1年間に渡って垂れ流し続けるなんて、本当に酷いものです。
先日放送終了した『らんまん』は、魅力的な自由民権運動家・早川逸馬という人物が出てきました。
あれは主人公と同世代、幕末生まれにとっては”等身大“の若者像である「壮士」です。
それが一世代あとまでくだると「青年」というアンニュイな若者像が等身大となる。夏目漱石の小説に出てくるような像になります。若者像とは時代ごとに異なるのです。
歴史が好きな製作者は、そういう当時の”等身大“を考えられる。
しかしこのドラマとその周辺は一切できない。自分の周囲しか好きじゃない。
自己弁護と正当化がしたいだけで、歴史のことなどどうでもいいのでしょう。
◆「神君」でも「たぬき親父」でもない等身大の“松平元康”。「戦場から離脱した大将」という描写をどう受け止めるべきなのか?【どうする家康 満喫リポート】1(→link)
パクってどうする!
次回の予告編で、
「秀頼がお前の子のわけがない!」
と淀殿が秀吉に告げていました。
この言い方ですと「パクリ」と言われても仕方ないかもしれません。
華流ドラマ2011年『宮廷の諍い女』のオチでほぼ同じセリフがあります。
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『パリピ孔明』をみようか
『パリピ孔明』と『大奥』には感謝しています。
歴史ドラマを見たいという欲求を叶えてくれます。
『大奥』はシーズン1の時点で出来がいいと確認できていましたが、嬉しい誤算だったのが『パリピ孔明』です。
本作、淀殿の中国語にはゲンナリさせられる一方で『パリピ孔明』はディーン・フジオカさんですから、外すわけがない。
◆「パリピ孔明」ディーン・フジオカの劉備&中国語ナレーションにSNS沸く(→link)
しかも、です。あの孔明は、たとえやることが音楽フェスでの対決であっても、いちいち兵法を踏まえているから素晴らしい。
ドリンクの供給、照明、地形、そして心理などなど、兵法に必要な要素を踏まえており、見ていて頭がスッキリとするのです。
曹操は、陳琳の文章を読むと「頭痛が吹っ飛ぶ!」と喜んだそうですよ。
あのドラマを見ていると、まさにそんな気持ちになりますね。
兵法語りをしたいからこそ、歴史を学んでいるのだ! そう再確認できて嬉しくなるのです。
声聞情に過ぐるは、君子これを恥ず
声聞情に過ぐるは 君子これを恥ず。『孟子』
やらせレビューとか、「泣ける」連呼提灯記事量産とか。まともな神経の持ち主なら恥ずかしくてやれんだろ。
このドラマにまつわることは、何もかもが恥ずかしくなります。
例えば今週も旺盛な提灯ニュース。
◆【どうする家康】家康と家臣の絆に視聴者涙「殿と家臣団にマジほれた」「泣ける」(→link)
「マジほれた」とか「泣ける」とか、どこまで陳腐なのか。
ジャニーズ性加害問題でメディアの忖度が激しく問われているのに、相変わらず流される提灯記事にはため息しか出ません。
ジャニーズきっての人気タレントを主役に用いながら、ドラマが洒落にならないほどコケた――そんなことは何があっても許されないとばかりに、ニュースだけではなく、イベントも開かれています。
北条氏政がマザーセナ教徒だという捏造妄想をやらかしながら小田原でイベントを開いたことにも驚きましたが、50席という会場の小ささにも驚きました。ご興味ある方はニュース映像もご覧ください。
ちなみに放送前のイベントでは、
◆ 松本潤さん 大河「どうする家康」初回放送前にトークショー(→link)
静岡市・岡崎市・浜松市で3,000人でした。
3,000→50人って、もう軍団崩壊じゃないですか。桶狭間あとの今川、長篠の戦いのあとの武田よりもはるかに酷い。
ちなみに『大奥』の場合は
◆【放送時間変更】「大奥」緊急ファンミーティング 3月25日深夜に放送 2167人が将軍3人の“威光”にほれぼれ(→link)
シーズン1の終了直前に緊急のファンミーティングが開かれ、それでも2,167人も集まっています。
本当に人気のある作品であることが一目瞭然でしょう。
あるいは『らんまん』の場合も
確実に盛り上がっています。
それに引き換え『どうする家康』の体たらくときたら……。
どれだけ不人気でも、今はもう、とりあえずニュースを取り上げ、必死に誤魔化そうとしているとしか思えません。
もう今年の大河は終わった――。
肌でそう感じてしまうほど酷い状況になっているのに、SNSに目を向ければ、一部のファンたちが「批判する者は許さん! 異端者だ!」と言わんばかりの激烈さを見せている。
本当に今年は何なのでしょう。
大河は、来年以降も続きます。
今年はもう諦めるにせよ、将来に禍根を残すのだけはやめてほしいと願うばかりです。
借屍還魂
『パリピ孔明』のおかげで個人的にはノリノリ絶好調!
しかし、孔明のように兵法を用いて物事を語ろうとすると、人間関係に支障をきたします。
よほどの理解者でなければ、うざいだのキモいだの遠ざけられ、人間関係はどんどんミニマムになっていく……悲しいことですが、乱世ならばそれも致し方なし!
そんなワケで、孔明のごとく兵法で世の中を見ていきましょう。
借屍還魂――屍を借りて魂を還す。
兵法三十六計の第十四計にあたります。
徳川家康の屍を振りかざし、自分たちの「承認欲求」と「自己実現」を取り戻す――それが『どうする家康』の計略でしょう。
今年の大河ドラマは話題性だけを考えている。
徳川家康の屍は利用されているだけ。
『鎌倉殿の13人』のように真っ当な大河ドラマは、北条義時以下、役者の生身を用いて歴史上の人物を甦らせることができます。
しかし今年の家康は屍のまま利用されている。
歴史はそのアリバイに過ぎない。
それが『どうする家康』です。
証拠としてこちらでも。
◆大物理事のジャニーズ事務所への「天下り」も…NHKが「ジャニーズ依存」を強めてしまった本当の理由(→link)
◆石原さとみ、吉田羊、米倉涼子…ジャニーズ “共演ゼロ女優” が躍進する!セクゾ菊池風磨はロケで奮闘もジャニーズ凋落は必至(→link)
NHKは公共放送でありながら、視聴率達成のため無茶な目標を設定しました。
それを手っ取り早く満たすのであれば、ジャニーズ起用が一番。
ただし、ジャニーズは共演女優に口を出し、女性人気と好感度を重視する。
そんな縛りがある中、ジャニーズ主演の相手役をゲスな悪女にするわけにはいきません。
そこでアリバイとなる史実を探し出し、『平清盛』以来固定ファンがいる磯CPに語らせます。
しかし脚本家は加減を知りませんでした。
彼は「歴史は勝者が語るもの」だから信頼できないとし、「そんなことよりも自分のフィーリング重視だ!バラフライエフェクトだ!」とかなんとか言い出し、「せっかくなら悪女否定から、もっと話をデカくしよう!」と思いついてしまった。
◆脚本家・古沢良太が『レジェバタ』に込めた想い「歴史に残らず、人知れず消えていく蝶の羽ばたきこそを描きたい」(→link)
だから、兵站を無視した空撃ち数年だの。
北条氏政が「関東の隅っこで、侵さず侵されずに引きこもっていただけ」なんていうマヌケで基礎知識が欠落したプロットが通ってしまう。
それでも本作は止まりません。
承認欲求。
自己実現。
史実なんてものはその遥か下にあるちっぽけなものに過ぎないのでしょう。
なんせNHKの公式メディアから、こんな自己承認欲求にまみれた記事を出すほどなのです。
◆大河ドラマ「どうする家康」は「平清盛」のリベンジ作!? 初回放送で見えた!今後の注目ポイントはココだ!(→link)
大森南朋演じる酒井忠次の海老すくいの3連発とか、ラストシーンで家臣たちに「どうする!」を連呼されるシーンなどはこれまでの大河ドラマにはなかった演出だった。
磯CPの意気込みが、そんなところからも伝わってくる。
意気込みが「酒井忠次の海老すくいの3連発」って……一体何をどうすればそんなことになりますかね。
求められるのは良い作品を作る気概であって「リベンジだ!」などという個人的な願望ではありません。
公共放送にあるまじき認識。
これでよく歴史を扱おうなどと思ったものです。
と、思ったら、ノベライズ担当者が明かしていますね。これはもう歴史の二次創作だと。
◆大河ドラマ『どうする家康』が若者世代を繋ぎ止める?ドラマ評論家・木俣冬が教えるNHKの仕掛け「二次創作化の世界に入ってきている」(→link)
まぁ、ノベライズ担当者の見解がどれだけ当てになるか、なんてわかりませんよね。
誰が何と言おうが、最低は最低では?
◆史上最低だけど最高だったNHKの大河ドラマ「いだてん」に金メダルを贈りたい(→link)
「孔明の罠だ」と焦ってこそ司馬懿
まだ諸葛孔明の話を続けまして。
『横光三国志』といえば「待てあわてるな 孔明の罠だ」と焦る司馬懿が有名ですよね。
なぜ司馬懿は焦っていたのか。それは彼が司馬懿だから。彼なりに高い知能を有すればこそ焦燥しました。そうでないものは自分が罠にかかったかどうかもわかりません。
「孔明の罠にかかっているかもしれませんよ」
先週、そう指摘したところ、憤りの反応を見かけ、納得しました。
孔明の罠は仕掛けられたことすら、仕掛けられた側は見抜けない。司馬懿でもなければそれすらできない。そこが怖い。
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その実例が、つい先日露になったので、見てみましょう。
二桃三士を殺す
諸葛孔明が口ずさむ「梁父吟」という歌があります。そこにこんな一節があります。
昔、斉の景公のもとに三勇士がいました。だんだんと増長する彼らに対し、宰相の晏子(あんし)は「功のあるものはこの桃を召し上がりなさい」と桃を2個与えました。
すると3人の勇士が2個の桃をめぐり対立し、ついには争いの末に全員死んでしまった。
ちなみに西洋では「不和の林檎」という類似した言葉があります。
需要に対し供給を絞ることで、不和を生み出す――古典的なやり口であり、それが見られました。
これがそうした反応の例でしょう。
◆ またしても株を上げた井ノ原快彦 山田美保子氏(→link)
◆ ジャニーズ会見「望月衣塑子記者の暴走」を見た東京新聞記者たちの本音「迷惑なんですが…上層部は問題にしていません」(→link)
◆ ジャニーズ会見「NGリスト」入りでも「望月衣塑子」記者に同情が集まらない理由(→link)
あの記者がムカつく! 同情できない!
あの司会者さすが! 見事! 素晴らしい! 拍手しちゃえ!
どちらも孔明の罠――計略にハマっている時点で、司馬懿になれていない。
この下が司馬懿的な反応です。
◆加害企業ジャニーズ事務所に乗せられた報道陣の完敗だった…出席記者らが口を揃える"異様な空気"の正体 「指名NGリスト」「司会者」「拍手」…5つの謎を検証(→link)
◆井ノ原快彦の"論点ずらし"に拍手が起きるl異様な会見…首尾よく終えたつもりの彼が残した"致命的な失言" 「一社一問ルール」「子ども」「被害者」を盾に場を仕切る狡猾さ(→link)
◆「井ノ原氏に拍手」に感じた日本メディアのヤバさ(→link)
◆井ノ原快彦を称賛する報道に疑問の声も「『偽善』そのもの」「話を自然にすり替え、危うい人だな」(→link)
◆“いい人”井ノ原快彦の裏の顔…「NGリスト」にも開き直り、メディア操作どっぷりジャニーズの勘違い(→link)
◆ ジャニーズ会見で質問者「NGリスト」のスクープがNHKから発信された意味は途轍もなく大きい(→link)
◆ ”指名OK記者”駒井千佳子氏は10.2疑惑のジャニーズ会見を大絶賛 一方でNG記者の言動を糾弾(→link)
この記者会見について言えば、短期間でコロコロと状況が変わりました。
そして変わるたびに自分は操られていたのか?と、司馬懿のように愕然とした方もおられたと思います。
あの場にいて拍手をした中には、何かに操られたようにそうしてしまった人もいるかもしれません。
孔明の罠は、自覚なしにかかるから恐ろしい。そこを踏まえておかねばならない。
ドラマを見る。SNSで感想を漁り、書き込み、ファンアートを投稿する。ニュースを見る。レビューを読む。
その過程で、誰かが何か罠を仕掛けていないとどうして断言できるでしょう?
徒らに虚名有るも、乃ち庸才なるのみ
徒らに虚名有るも、乃ち庸才なるのみ。『三国志演義』
司馬懿「馬謖ね。フォロワー多いからイキってるけど、中身ってもんがないよね」
司馬懿がこう毒を吐きたくなるような風潮が、世論を惑わせています。
それがこちら。
◆「主人公が嫌われると、朝ドラも嫌われる」身近にいたらイラッとしそうな『らんまん』主人公を演じた神木隆之介の「嫌われない才気」(→link)
好感度しか見ない、頭を使うのは忖度といじめターゲット探しだけ。こういうのが嫌なんです。
ドラマ鑑賞の上でもガンです。
どんなにくだらなくてせせこましい人物だろうと、小賢しく好感度だけ稼ぐとか。人当たりがいいとか。それで人は騙されるもんだなと。
私はこれを昨今のドラマではなく、往年の名作『独眼竜政宗』を見て思いました。
友人がハマっていたのでソフトを借りて見たのですが、私には不思議なことがありまして。
伊達政宗よりも、最上義光の方が外交的によほど真っ当なことを語っていた。
政宗は勢いがあるけど、結構馬鹿げた言動をしている。義光はコテコテの悪党演技をしているけど、言っていることはまっとう。
なのに、反応としては政宗を応援し、義光を憎むものが多いとか。
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大河ドラマ『独眼竜政宗』は渡辺謙さんの出世作で名作だ!同時に悲しき誤解も産んだ
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人間とは結局、ワインのラベルばかり見て、中身を見ないようなことをしているのでは?
態度より言動の中身が大事なはずなのに、誰も中身など見ちゃいないのか?
そういう疑念を抱いたわけです。
ドラマとその反応を見ていてもわかります。
この記事では、役者のおかげで主人公にムカついていないと記されていましたが、そうではないのでは?
・男性
・知的エリート
・史実準拠で偉業を成し遂げた
こういうラベルつきボトルに入っていたら、中身に癖があろうと褒める――そんな心理ではないでしょうか。
逆に、近年の朝ドラで徹頭徹尾叩かれた主人公を見ていくと、共通点があります。
・女性
・学歴がそこまで高くない
・地方出身
・出身階層が高くない
なかなかグロテスクですが、地方出の低学歴女なんて叩いて当然だろう、そんな暗黙の了解が見て取れます。
これを踏まえて、なぜ『どうする家康』のベタ褒め意見が多いのか。
ジャニーズ+徳川家康
というラベルが、中身がないことをカバーしている、それだけのことでしょう。
『パリピ孔明』を見ていてスッキリするのはなぜか。
先の理由とは別に孔明の性格があります。とにかく彼はアクが強い。適宜フォローは入るけど、なかなか狡猾なことをして罠にかけるんですね。
好感度が高くなるかというと、そうとも言えず、魯迅はこう言い切った。
「『三国志演義』の諸葛孔明、いろいろ罠仕掛け過ぎてキモい!」
でもまあ、そのキモさあってこその諸葛孔明なんですよね。
好感度だけで人を見て何をしたいのでしょう。
確かに、曹操の『求賢令』みたいに、
「才能あればどんなゲスでもいいぜ!」
とまでは思いませんけどね。
私は好感度は二の次で判断します。
日本の朝ドラヒロインには、海外ドラマの激烈ヒロインほど濃いキャラクターはいません。
日本のドラマ界、ひいては社会が好感度中毒でノリ重視、忖度ばかり考えている。
『どうする家康』にせよ、結局は“特定年代対象の好感度戦略”しかできていない。
数字を見て、ウケを狙うなら、歴史知識や培った教養を語るより、エロだの倫理をバカにしたりするほうが良いと勘違いした。
サブカルと共に青春を送っただけに「真面目ぶった奴らを茶化しておけば相手を“論破”できるしw 顔真っ赤www」みたいに振る舞う“伝統技能”を身につけた。
ゲスな発言しながら、自分が下劣だと扱われても構わないという覚悟もない。
そのくせ視聴者相手に居丈高な態度とって大物気取りをする。
そんなものは単なる安っぽいお仲間意識だと見抜かれているのに、振りかざす側は気づくことを拒む。
そんな現実逃避の成れの果てがこの作品です。
後生畏るべし
後生畏るべし。『論語』
『鬼滅の刃』でも出てきました。
なぜこの言葉に注目するのか? というのも2025年大河ドラマ『べらぼう』に期待を寄せているからです。
大河ドラマは戦国と幕末が定番とされるためか、2024年と2025年はハズレだの早速言われていまが、私はそうは思いません。
かつては三本柱で、江戸時代中期(綱吉〜吉宗時代)も定番。
江戸時代後期は抜けていたので、『べらぼう』はそこに切り込むから期待感も高まるんですね。
なぜ2025年になって、江戸時代後期を扱うようになったのか?
それは2022年に導入された「歴史総合」を意識しているのではないかとも思えます。
歴史総合を学校の授業で教える現場は大変なようですが、NHKEテレの番組を毎回見ていると、実に興味深い。田沼意次の重要性は、歴史総合であればこそより深くわかります。
武将や合戦だけに注目するのはもう古い。極論ですが、それは「コップの中の嵐」です。これからは地球規模で歴史を見ていかねば。
『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』という本があり、大変興味深い。第二弾も近日中に出ます。
これを読むと『青天を衝け』を無批判に見て喜ぶことが、勉強熱心な若い世代ではまずないだろうと理解できる。
あのドラマは朝鮮半島のことをほぼ扱っていない。それで渋沢栄一を礼賛している。ありえねーよ!
と、日韓関係を重視するならば、そうなるでしょう。
地球規模を俯瞰的に見る歴史観が、これからを生きる世代では当然のこととなる。となれば戦国武将の強さや何やらばかりを語っている見方はきっと古くなる。
そのかわりに、田沼意次の経済重視。幕府の外交政策。蝦夷地探検。樺太警護。そんな要素が注目される。そんな歴史観の転換点を感じています。そこにどうついていけるか?
そう考えていく上で、暗い気持ちになるのはこんな陰謀論です。
「太閤、くたばる」とタイトルにつけるほどわけのわからない本作。それは「特定の国の工作の結果だ」とする話です。
「半島のせいで秀吉が悪く描かれる!」というしょうもない陰謀論をいつまで言い続ければいいのか。
半島とやらの人はそんなことしなくていい。出来のいい李舜臣の映画でもドラマでも作ればいいだけです。
見てくれと言わなくても、まともな歴史劇に飢えた日本人観客はそちらに飛びつくでしょう。
最悪の大河が嫌ならば、NHKに直接意見を送りましょう。
◆NHK みなさまの声(→link)
反応はありますよ。
その実例でも示します。
◆体操番組で出演者の衣装や動きの見せ方が新しくなりました!(→link)
◆一部の出演者による性加害を容認するような過去のSNS発信などから、「性」をテーマとする番組への起用に批判や不安の声が上がっている。(→link)
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文:武者震之助(note)
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どうする家康/公式サイト














