鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー

鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第3回「挙兵は慎重に」

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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第3回「挙兵は慎重に」
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りくにメロメロの時政

政子が大姫と遊んでいます。

後に、このころのことを政子は思い出すのでしょう。頼朝の愛を疑うこともない。大姫は、ただただ愛らしくてたまらなかった。

一方で頼朝は、以仁王挙兵には参加しないと決めます。頼政では人がついてこない。と、舅である時政の反応で彼なりに悟ったんですかね。

時政って、ただの田舎のおじちゃんのようで、役立つところがあります。

坂東武者の心を掴むという点では彼は素晴らしい。初回からお土産をたくさん配っていた。頼朝は舅を通して、そのことを学んでいるのでしょう。

嫡男の宗時が、宮様を見捨てるのかと動揺していると、頼朝は割り切った発言をします。清盛はいずれ死ぬ。死ねば都に戻れる。流罪はそんなもの。それで十分だと。

それなのにポジティブ宗時は、試されているのかと思い込む。これでは世の中を変えることはできないと言い切る。

下手をすれば宗時が主人公みたいに思えてきますが、現実問題、変えたいという気持ちだけで世の中はどうにもなりません。

時政は、りくとまた胸焼けするようなやり取りをしています。

りくの見立てでは、以仁王は失敗する。あれだけ仰々しく使いが触れ回っていたら情報漏洩して平家の耳に入ってしまう。うん、まあ、そうですよね。

「見抜くとは流石婿殿! 危ないところだった」

テンションが高くなる時政ですが、そんな夫をりくが煽ります。

「呆れた」

戦で手柄を欲しがるのが武士。機会を失い悔しがるどころか、安堵するとは。

そう鞭で叩いて、飴をちらつかせます。

「いずれ必ず佐殿には立ってもらいましょう。その横にはしい様……あなたにはこの伊豆は狭すぎまする。りくの見立てに間違いがございません……」

「そう?」

すっかりメロメロだな!

りくは悪女路線をまっしぐらのようで、そうとも言い切れないとは思います。

夫には大きな志があると励ます、いわばチアリーダーを務める女はむしろ望ましいものとされませんか? 時政が立派な役割を果たしていれば、りくも称賛されたかもしれない。

ただ、単純な時政の欲望を煽ったという点では、悪いと思えますけれども。

 

以仁王の挙兵はあっという間に鎮圧

義時が、木簡を手にして領内の情報をまとめています。そんな義時に頼朝は本音を明かす。

頼政が清盛を討ったら、源氏の棟梁になってしまう。となると、頼政の下にはつけない。頼朝は政治的な感覚があります。

本音と建前ですね。義朝の墓に首を供えるなんて、本気かポーズかわかりはしません。

義時が疲れつつ、自分にだけ本心を言うのは辞めて欲しいと言うと、頼朝は人に語れば考えがまとまると話す。いかにも迷惑そうな顔で、義時は戦にも政治にも興味がないとボヤく。

実はこの役目『麒麟がくる』の明智光秀も振られておりました。

斎藤道三がやたらと光秀を呼び出し、会話をしていたものです。単純な主人公補正ではなく、性格のタイプということでしょう。

ポイントは、聞かされる側がウンザリしていることと、ボールの返し方がうまいこと。必ずしも以心伝心というわけでもない。このウンザリ感がよいですね。

そして都から書状が届きます。

日付が5月22日と5月26日の二通。どうやら都も混乱しているようです。

書状の差出人は三善康信という朝廷の下級役人であり、彼の母は頼朝の乳母でもありました。

一通目「以仁王挙兵! 平家に計画を察知され挙兵。平家はすぐさま鎮圧の兵を送るも、頼政がついて勢いづく!」

これには皆大盛り上がり!

場面は6月2日ですので、宗時が都へ向かうと張り切っています。清盛に死なれても困るってよ。

では二通目は?

二通目「以仁王、即座に鎮圧……頼政は平等院で自害、以仁王も奈良逃走の途中で死亡」

同時に高笑いする清盛。

宗時が「信じられぬ!」と動揺していますが、いやいやむしろ当然では……としか思えません。

政子が挙兵しなくてよかったというと、頼朝がムッとする。

「つまらぬことを言うな!」

源氏のために志半ばで亡くなられたのだと言っています。

これには政子も謝罪するしかありませんが、でも、本当ですかね?

心の中で「やったぜ! 源氏のライバル消滅!」って思っていませんか? どうにも読めない奴ですねー。

政子が、妹の実衣と話しています。

「なんだったのか、振り回されっぱなし……ひとかたの方に嫁ぐというのはこういうこと」

実衣はわかっています。

「そう言いつつ、楽しそう」

そう、政子は楽しそうなんですよね。『麒麟がくる』の帰蝶を思い出します。

信長の妻である帰蝶は、どこか戦を楽しむようなところがあった。困難にオロオロするのではなく楽しんでしまう女性もいるんですね。

しかし、そういう女性は可愛らしくないからフィクションでは消されがち。

りくにせよ、政子にせよ、悪女とされてきた理由は、そのあたりにもあるのでしょう。

それから政子は、義時から米を減らせと言われていることを実衣に伝えます。

半信半疑でからかうような妹に、来年は食べられなくなるかもと釘を刺す。

「半分にしましょう!」

すかさず姉に続く実衣の幼さが、可愛らしいですね。宮澤エマさんはもう年齢を超越しているというか、すごい存在です。

 

挨拶に出向く北条父子 土産を踏みにじられ……

大番役を終えた大庭景親は、伊東祐親と話していました。

源頼政亡きあと、その地位に就いたのは平時忠。

目代は平兼隆(山木兼隆)に決まったと笑い合い、関東でも平家の力は増すばかりです。景親は伊豆に逃げた頼政の縁者を捕らえる役目を仰せ使っています。

ここも重要でしょう。

逃亡者逮捕と反乱鎮圧では装備兵数その他諸々が変わってきます。何よりも、気構えが。

さらには「頼朝はいずれ成敗される。あの男に見切りをつけた祐親は命拾いした」」と言い切る景親。祐親にしても、時政と頼朝の縁を切るよう促したいと言う。

三郎(宗時)と小四郎(義時)は外孫ですので。

確かに頼朝は謀反に関わってはいませんが、平兼隆は嫁を欲しがっているから政子と結婚させればいいと話がまとまってしまいます。

ここでも考えておきたい。政子には大姫がいます。そういう子持ちであっても、婚礼の支障にはみなされないんですね。

違う文化圏や時代からすれば「野蛮だ!」となりかねない価値観です。

かくして北条の生き残りをかけた政子の縁談が、北条家に持ち込まれました。

北条義時は考えを確認する。時政は、佐殿は放りだせない、死なばもろとも! と言い切り、これには北条宗時も大満足です。

時政って、基本的にあまり嘘はつきませんよね。狙っているのか、何も考えていないのか、よくわかりにくい人物像です。

しかし、敢えて波風は立てたくもなく、土産持参で挨拶に行くそうです。

ただし、その中身は新鮮お野菜セットときた。裏目に出なければいい……と不安げな義時と、聞いていられないと出ていく宗時。

それなのに時政は……焼いた茄子を食べたくなる!と上機嫌だ。

お野菜セットが土産であることに疑念は抱かないんですかね。さぞかし源頼政も困ったことでしょう。

当時の土産事情なんてそんなもん……でもありません。

京都や平家ならば、それこそ宋由来のお高いものがあります。

大河ドラマ『平清盛』には【清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)】という菓子が登場しました。

香料と餡子を使った唐由来のもので、それこそ坂東武者が見たら理解を超えていくような、ファッショナブルでとんでもないシロモノです。ちなみに現在も販売されております。

そういうもの知っている人が、新鮮お野菜セットを持ち込まれてどうしろというのか。

義時は、その辺りなんとなくわかっているようですが。

かくして伊豆国府へ挨拶にいく北条父子。義時がへりくだって土産を渡すと、相手……しかも本人ではなく家人がせせら笑います。

装束にご注目。北条父子と違い、京風です。

そして時政は、野菜を蹴られ、踏みつけにされる。床に顔になすりつけながら、「今回の謀反に関わったのではないか?」と言います。

野菜を荒々しく踏み潰しながら、少しでもその疑いがあればそなたは打首とまで言い切りおった。しかも目代様は山木の館に帰ったと言います。

野菜を拾い集め、持って帰りながら、時政はこう言います。

「厄介な婿殿をもらっちまったなぁ」

義時からすれば、今更気づいたのかと言いたいところでしょう。

それにしても、相手もやってしまいましたね。土産の対応にうるさい時政に、よりにもよってこんなことをするとは。

衝撃的な野菜演出のあと、義時はハッと何かに目を留めます。

木簡です。何かが書かれ、無造作に一箇所に集められてました。

 

父の祐親は平家の威光で意気揚々

八重のところに父の伊東祐親が来ております。

夫に下がっているように言いつける八重。彼女は、夫を夫と思ったことはないそうです。

父の祐親は、ますます平家の威光が高まると意気揚々で、川向こうの北条館を気にしているのかと聞いてきます。

いずれ父が正しかったことを知るだろうと言われた八重はこう返す。

「私はいつでも父上の言いなりでございます」

政子と比べると比較しやすい。

政子は大姫に近づかないよう時政に言い切りました。ホームコメディーのようで、当時の女性としての個性も表れています。八重にはない強さ。

新垣結衣さんの八重でよかったと思います。

いつものかわいらしい彼女ではない。かといって時代劇でおなじみのしっとりした大和撫子でもない。だからこそ八重らしいと思える。

父からすれば使い物にならない道具に育った娘です。

美形であっても上品でもないし、聡明でもない。かわいらしいうちに、どこぞのいい家に嫁がせようかと思ったら、流人との間に子を為している。

そういうどこか中途半端で残酷な、田舎の姫によく似合っていると思えます。こういう難しい役を演じる意義もありますから、この八重はいいと思います。

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