麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第7回 感想あらすじレビュー「帰蝶の願い」

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麒麟がくる第7回
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でも、それを否定して国を豊かにすることだと、本作は突っ込んできた。やはり、今週も盤石。盤石すぎて、疲れます。

己の思いの全てを打ち明け、利政はこう語りかけます。

帰蝶に、その話をしてやってくれぬか。一度いやと言ったら動かぬ娘じゃ。まずわしの手には負えぬ」

そう打ち明け、うまが合う光秀に託されるのでした。

ここは、光秀本人ですら疑問を感じているかも。でも、彼にはそういう力があるのです。

そう言われて、光秀が利政の前から去りますと……。

「明智様! しばらく、しばらく! 若君がお話があるので、おいでになるようにと仰せでございます」

そう止められる。若君が話があるそうです。斎藤高政(斎藤義龍)ですね。ここで、光秀にそう告げる若侍も縁起がよろしい。こういう方まで素晴らしいというのは、現場に破綻がない証拠。よい作品ですな。

光秀が導かれるまま行くと、高政が呼びかけて来ます。

父上の和議にはのれぬと申し上げたことが絶賛されるのです。

帰蝶を嫁に出すなど、言語道断! 高政の意見に稲葉良通も同意しています。こういうことは土岐頼芸の意見を聞かねばならない。美濃の国衆はそういう意見だと、怒っているわけです。

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彼らは結局、帰蝶の心ではなく、国衆としてのプライドでそう考えていると。国衆を軽んじ、勝手に和議とは言語道断! 織田なんて守護でも、守護代でもない! そういう理屈なのです。

そう皆で集っているくせに、光秀がいなければ愚痴っているだけのようなのが、なんとも言えないものがありますが。

「帰蝶を決して父上のもとに返すな! 尾張に嫁にいかせてはならぬ!」

高政はそう語りながら、杯に酒を注ぎ、押し付けてくる。光秀はただただ、嫌気を漂わせております。帰蝶の気持ちを考えて! そういう切なさがそこにはあります。

 


信長という男を見てきてくれないか

そのころ帰蝶は、鏡に顔を映して笑っていました。

駒と化粧をしあっているのです。

駒は、白粉が濃すぎる、もっと紅をした方がよいといい、頬紅をつける。濃すぎると言いながら、ぼかすのです。

ここへ、十兵衛様が帰ってきたという声が響きます。浮かない顔色の光秀のもとに、帰蝶が向かいます。駒がこういう顔にしてくれたのじゃ、そう帰蝶がいうと光秀は旅芸人のそういう顔を見たことがあると返すのです。

「旅か。旅をしてみたい。船を乗り、海を渡り。伴をせよ」

扇をかざしそう言う帰蝶。
彼女は駒ほど素直じゃない。恋心があると見ていてわかるのに、そう光秀に言えないのです。

かわりに、こう遠まわしに言うしかない。

「帰蝶様……」

「申すな、何も……」

苦しげに言う相手に、帰蝶は本音を曝け出す。織田家の嫡男は三郎信長。尾張ではうつけという噂が流れているそうな。

しかし美濃では、誰に聞いても見たものはおらぬ。うつけかどうか、誰も知らぬ。

「十兵衛、見てきてくれぬか、その信長という男を。今なら尾張に入るのはたやすいであろう。十兵衛の目で見て、いかなる男か教えてもらいたい。十兵衛、そなたの目は、この帰蝶の目ぞ。しかと見て来て欲しい。万事それからじゃ……それからじゃ……」

帰蝶の恋心。そのことは言われるけれども。駒といい、恋心だけでは説明できかねるものを感じるのです。

切なさもあります。
けれども、それだけでもない。

帰蝶は猜疑心が強いのでしょう。今ならば、カスタマレビューをそのままは信じない系とみた。

「見て……もし、よきお方なら……嫁がれますか?」

光秀がそう絞り出す言葉。このやりとりを、駒も聞いています。

 


その男は漁船に乗ってやってきた

尾張・熱田へ向かう弥平という人物。藤田伝吾からこう言われています。

「昨日話した男だが、熱田に参りたいのだが、初めてで道がわからぬというので……」

「何卒お願いします!」

そう言われて、その男が出てきます。

変装した光秀でした。やはり長谷川博己さんは、こういう身なりでも似合うのでした。

そのうえで、光秀は弥平に道すがら聞くのです。

なんでも、熱田の市場には尾張中のお偉方が来て、織田の殿までお忍びで来るとか。織田の殿様も来る、何度も見たけれども、肝心のターゲットはこうです。

「若君の信長様は聞かねえなぁ」

そう確認しつつ、熱田の市場へ。
公式サイトでセット公開するほど、賑やかな場所です。

あの堺のような活気がある、港のある市場です。そこで、光秀はある人物を発見します。

「おい」

「十兵衛様!」

菊丸でした。

光秀は戸惑いつつ、口を閉じるよう仕草をします。そして二人は浜辺に来るのです。

菊丸は、織田信長を知っております。やはりこんなところに何日いたところで、お目にかかれるかわかったものじゃない。そうこぼす光秀に、菊丸は意外なことを言います。

お顔を拝見したいのならば、造作もない。このところ毎日、お供を連れて毎日漁に出られる。船で港から出るから、港で待っていれば戻ってこられるそうです。

「まことか?」

光秀は戸惑いつつ、腕組みしつつ待ちます。

うーん、これはうつけですわ。スケジュール把握して、危害を加えられたらどうするつもりだ!

かくして、海から船に乗って上機嫌そうな信長が。

光秀は唖然とした顔で見ております。

 

MVP:帰蝶

タイトルに入るだけあって、ここは彼女で。

帰蝶の恋心! きゅんっ……そういうまとめ方はできますが、相手が光秀となるとそうはいかないとは思うのです。

帰蝶には、それは恋心はある。けれども、駒との対比でわかりやすくなりますが、そのことに本人すら気付いているようで、もやもやしている。そんな戸惑いがそこには感じられます。

そのまんまの恋心ならば、すがりついて嫁ぎたくない、そなたを好いている、そう訴えてもよさそうなものですが。帰蝶はそれすらできない。

光秀の目で相手を確かめろと、理詰めで強がってしまう。そこが父そっくりでもあります。

帰蝶は高政よりも、あきらかに父に似ている。高政が国衆の感情に共鳴して反発するのに対して、帰蝶は自分の感情すら見ないようにして、あくまで理屈を求めてしまうのです。

帰蝶の女心。光秀は男らしい。そういう誘導も、気をつけた方がよいとは思います。

高政は、感情を掬い取る母に似た。彼の母・深芳野は美貌の悪女とされてはいる。

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傾国の美女とは、その見た目だけの美しさだけではなく、相手の心に寄り添う巧みさがある点は見逃してはなりません。高政はそんな母に似て、周囲の心に寄り添うことのできる人物です。

帰蝶はそうではなく、父同様、自分の感情すら見ないようにして、理屈さえあれば決断をしようと思いつめている。

この対比は、帰蝶の嫁ぐ織田家にもあります。

信秀は、平手政秀のように感情に寄り添う相手に信頼を寄せている。

じゃあ、信長はどうなのか?
利政のように、感情剥き出しトークを求めているがゆえに、一致しないのではないか? そこを見てゆきたいのです。

 


総評

敵を知り己を知れば百戦あやうからず――『孫子』です。これこそが、本作を見るうえでは大事なポイントだと思えます。

本作を見るときは、その人物が【感情重視型】なのか【理論重視型】なのか、その点に注目するとわかりやすくなるとは思います。

RPG。
特撮。
漫画。
そういう要素と本作を惹きつけるニュースはある。特撮とタイトルの一致は、公式否定されましたが。

そういう深読みではなくて、スタッフなり本編が、ずばり持ち出している中国古典と引き合わせたらどうでしょう?

とは言ったものの、そうならない理由も想像できてはきました。

天安門事件以降、日本の中国古典を含めた隣国への興味関心は薄れたとされる。薄れた層が社会の中高年となった今、かつてないほどの中国古典軽視が定着したのでしょう。

三国志』のようなコンテンツは例外としても、『水滸伝』のようなコンテンツすら沈没したというのは、かつてないことなのだとは思います。

まーたクソレビュアーが、中国古典のことでいばり散らしやがった!
そう思われるかもしれませんが、そこを起点として考えたいことはある。

感情か?
理論か?

これは現在、一番注目したい点ではないかとますます確信を深めました。

21世紀ともなれば、人間はだいたいのことを確信できたのだと思いたいわけです。

それがどうにもまだ途上のようです。脳なり、心理はまだまだ。人間の心なんて、有史以来意識していたようで、実はまだ未解明な部分も多い。そこまで本作は踏み込んできたと思える。

光秀の持つ力そのものがそう。本作のすごいところは、その力は古典的かつ先進的だと見せているところです。

光秀はわかりにくい!
真面目なようで「はぁ?」と相手に返せる、そういうところがあって。

そして、三英傑までも不可解なのが本作のおそろしいところです。

例えば、キャストビジュアルの藤吉郎――のちの豊臣秀吉を見てください。ちょっとイケメンすぎない? そんな印象を持たれたでしょうか。

ここが、本作のおそろしさだと思える。「そう思った」ということであれば、秀吉はもっと不細工だという先入観があったということになる。

この「先入観」が厄介です。

人間、ましてや戦国時代当時となれば、身分が卑しいものは不細工だと思うもの。秀吉が造形的に本当に不細工であったか? 実はなかなかわかりにくいのです。佐々木蔵之介さんだろうと、身分ゆえに実像より不細工だとと思われた可能性は考えなければなりません。

本作の怖さとは、そういう偏見から「誰も自由になれない」とつきつけてくるところではないでしょうか。さすがに三月ともなれば、そう思えてきてしまう。

今、世界そのものが大変な事態にある。こんな時期に、本気でドラマの感想を書いている場合なのかと自問自答もしてしまう。けれども、必要なことだとも思える。それもこれも、本作だから。本作は、思考を鍛えるトレーニングなのです。

今日の放送を見て、予言をしたくなりました。

初登場の信長。バッシングは予想できます。

「なんだこりゃ!」

そうなるのではないでしょうか。キャスティングの時点でそうです。納得できないというコメントは散々見てきた。

でも、私は逆です。むしろ最高だと思った! 染谷将太さんのためにも、そう言いたい。

すごいと痛感したのは、予告でぬぼーっとした変な顔を見せていたこと。これが本作信長だと思う。

信長は、なまじ集中力を発揮できるだけに、それがオフになるとぬぼーっとアホな顔になるんだ。顔芸をするけど、それはハイテンションだけではなくて、ぬぼーっ顔もあるんだ。

磯智明チーフプロデューサーが「染谷将太さんは打席に立てばホームラン」と言っていると知り、確信しましたよ。『なつぞら』でも制作統括してましたよね。やっぱり『なつぞら』の神っちは、昭和のアニメーターになった織田信長なんだと。

何を言ってるんだ?
そうなるかもしれませんが、あの『なつぞら』の柴田泰樹は、真田昌幸が昭和十勝の牧場主になったらどうなるか、そういう造型だったわけでして。彼だけがそうではないとも思います。

なまじ、大河と朝ドラという二枚看板をレビューする羽目になったからわかるのですけれども。半端ないほど前進したい誰かが、複数、NHKという日本の公共放送ドラマチームにおられるのではないでしょうか。

むごい話だとも思う。
染谷さんがどんだけ、従来の信長像から外れているか。そう叩く投稿は想像がつく。そのうえで先回りをしているとも。

私は毎週殴られるようなものですから、日曜は予定を入れず、昼寝時間も確保します。それほどまでに、本作は恐ろしい。そこは認識したい!

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文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
麒麟がくる/公式サイト


 



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