麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第20回 感想あらすじ視聴率「家康への文」

五十次という商人が、駒に半値で綺麗な反物を一反だけ売ると言ってきます。

彼の情報によれば、なんと今川が戦を始めるからと買い漁っているとか。

刃物、革も、味噌も売るものがないほど、尾張に送り込まれているそうです。

古来、戦争が経済を活発化することはあるものです。

日本が太平洋戦争後の不況を脱出したのも、朝鮮戦争あってのことです。

儲かるからって、喜んでいる場合なのか。麒麟の到来を待ち望む駒にとっては、嘆かわしいことです。

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何万という軍勢が、尾張へ攻め込もうとしています。

「また戦ですか……」

農民まで戦場へ引き立てられてゆく様子が映り、暗い顔を浮かべる駒でした。

 


師匠が光秀だから子供たちもついていく

そのころ、越前では――。

光秀は『論語』衛霊公第十五の十二の講義中です。

子曰く、人にして遠き慮(おもんばか)り無ければ、必ず近き憂い有り。

光秀は、こう教えています。

はるか先のこと、遠くのことを絶えず気を配れば、身近にあるものを上手に収めることができる。

これが今回のプロットの鍵になっています。

「麒麟」といい、本作は中国古典を徹底的に読み込み、それを骨にして作り上げているとわかります。

これは近年の大河に、ありそうでなかったこと。骨があるドラマですね。

光秀はここまで教えて、教え子たちに一礼をします。

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細かいことではありますが、こういうところがいい。教えていると見下さずに、きっちり礼を示す。こんな先生ならば、礼儀作法も身につきます。

「三尺去って師の影を踏まず」とは言ったものです。

気配りをして、師匠を敬えというのは美しいことのように思える。けれども、それに甘えて無礼な師匠だったら、そういう敬意は生まれないと思えるのです。

そしてこれも大事な点ですけれども、長谷川博己さんはキレ散らかすエキセントリックで無礼な人物よりも、こういう紳士の中の紳士が一番光ると感じます。

光秀はこの基礎ができているから、いつも秀麗です。

 


米を買うお金もなくて……

そんな光秀は、塾の先生を終えて家に戻ります。

すると煕子が出迎え、明智左馬助が尾張から戻ったといいます。

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煕子はとても礼儀正しく謙虚な女性ですが、「左馬助」は呼び捨てにしております。

これは当主夫人ならではのこと。落ちぶれていても、そこは節目ってものがあるのです。その左馬助は疲れているとか。

常が赤ん坊を抱いています。

光秀は母に帰参したと告げ、丁寧に挨拶。初孫を前にして、駒からの贈り物のことが語られます。

・赤子の肌荒れに効く薬草

・夜泣き対策の薬

赤子用に思いつく薬セットだとのこと。駒殿の薬ならよく効くと光秀は喜び、元気に育つよう我が子に語りかけるのでした。

それから、我が子を常に預け、離れの左馬助のもとへ向かう……その前に、煕子がこう声をかけてきます。

「十兵衛様」

煕子がそっと光秀に語るには、左馬助の湯漬けにする米すらないとのこと。

常が寺に借りに行ったものの、色良い返事をいただけない。申し上げるべきではないと前置きしつつ、駒からの薬草を質にいれることを提案してきます。

光秀は苦い顔をして、このままではいかぬと思うていた本音を漏らします。

そこに重なる。赤子の泣き声。

光秀、ピンチです。もう、仕事を選んでいられない!

またあの話なので、嫌いな方は数行飛ばしてくださいね。

ハセヒロさんが……こんな真面目で聡明なハセヒロさんが、妻子が苦しもうが、自分のやりたい道しかやらねえとオラつく――かつてそんな朝ドラがありました。

本作は、その真逆を突っ走るよき夫であり、誠実な父です。ハセヒロさんに幸あれとしか言いようがありません。今宵は祝杯ぞ!

 


生真面目な左馬助からの尾張リポート

左馬助はぐったりと寝ています。

「十兵衛様!」

ガバッと跳ね起きる生真面目さよ。父・光安そっくりですね。

演じる間宮祥太郎さんは、そこにいるだけで空気がキラキラするようなイケメンで、西村まさ彦さんの渋い個性とは、違います。

でも、そっくりに見えるのだから、役者ってすごいと思います。

光安も左馬助も、あくまで当主ではない一族だという遠慮が常にある。生真面目で、目立たないようにしてそこにいる。これもすごいことだと思うんですよね。

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そんな生真面目な左馬助は、疲れているところを見られて恥ずかしそうにしています。

たとえ二人の関係がいとこであろうと、当主にはきっちりと配慮。本作のよいところって、生真面目さをプラス、長所であるとして描いている点でもあります。

◆左馬助の出張報告タイム

帰蝶様は元気でも、尾張は大変なことに。

光秀が案じていた通り、国境の大高、鳴海といった城が尾張を狙う砦になっているようです。

光秀はここで、大高城が曲者だとわかる。

『論語』だけをマスターしているわけじゃない。兵法だってできるぞ!

この城は三河の兵で固められていると光秀は聞きます。

今川は尾張と戦をする時、必ず三河の兵を先陣につけると言うわけで、これも嫌な話なんですよね。

自分の兵力を温存するために、支配地の兵を使う話。第二次世界大戦イギリス軍のインド兵が好例でしょうか。ただし……リスクも当然あります。

戦わされる方があまりに酷使されるようであれば「なんであいつらのために俺らが血を流すの?」という疑念が悶々と湧いてきます。

第二次世界大戦であれば、インドもそうだし、オーストラリアもそう。

イギリスのために日本と戦ったオーストラリアは、頼りにならないくせに威張っているイギリスへの幻滅が募り、イギリスからの脱却を強めていくこととなります。インドと違って白人でありイギリス人の血を引く支配者という誇りがあったものの、それすらぶち壊す不満が鬱積したわけです。

光秀の見立ては正しいのです。

 

今川配下の主な三河武士は?

駿河の今川義元は、隣国の遠江、三河を支配下へ置き、さらに尾張への進出を目論んでいるのです。

なんだかんだで今川義元は凄い。このころの足利一門なんて下り坂が多いというのに、これだけ強いわけですから。

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しかし、それもこの先どうなるのか? そういう見どころです。

光秀は考え込んでいます。

これまた本作の見事なところですが。

なぜ越前から尾張のことを悩むのか? 目の前のことをなんとかしないよ。米すらないでしょ――と、そういうツッコミに対して、先ほどの『論語』で返しているわけです。

光秀は左馬助に、三河の主だった武士の中で今川義元の近い者の名前を聞いてきます。

しかとは存じませぬが……そう前置きしつつ、左馬助はあの名前を出します。

「松平竹千代……」

光秀は考え込んでいます。

記憶に蘇るのは、母を恋しがり、助けを求めてきた少年です。そうそう、尾張潜入指令で出会っておりました。

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ここで光秀は、左馬助をもう一度尾張へと送り込むと言い切ります。

左馬助、がんばれ!

役目は、帰蝶様に文を渡すことでした。
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