麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第27回 感想あらすじ視聴率「宗久の約束」

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宣教師だって神だけではない

ここで駒が、おずおずと今井宗久のことを言い出します。

薬のことで、二条のお寺に行った時、私の丸薬に興味があると話しかけてきた人だ。

駒が丸薬の販売を断ったと知ると、伊呂波太夫はもったいないと言います。

駒は決意を固めています。

会合衆が三好様から離れるとなれば、戦の継続が難しくなる。戦はお金で動く。明日、お寺に行って会うことにする。光秀のことも誘ってきます。

これも、なかなか……また世界史に話がうつりますけど、日本に来る宣教師は、神の教えを広めたい心清き連中扱いをされるわけじゃないですか。

でも、そういうことでもない。

宗教改革でプロテスタントに対抗して信者を増やしたかったし、お金のことも関係があります。

儲からない国に布教する意味はないし、奴隷貿易にも手出しする。

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戦が金で動くというのも、その通り。

十字軍なり、三十年戦争なり、宗教由来でおそろしい殺し合いをしたことも当然ある人類ですが、このあたりから露骨な金儲け戦争にシフトしてゆきます。

人間の主要動機が、マネーになってゆくと。正義のための戦争がないなんて、そんなのはとっくの昔からそうなっている話でもありました。

ここをふまえまして。

しらけきった顔の信長を思い出したい。澄んだ眼差しの光秀のことも。

信長は義昭のことだって、算盤を弾いて見ている。

儲かるか、儲からないか。義だの麒麟だのどうでもいい。そういう意味では、彼は時代の変革をかぎ取って行動している。

問題は光秀。一体どう感じているのか……。

 


「喉が渇いていたもので」

今井宗久との会談となります。

茶を点ててもらい、飲み干す駒。正座はしているものの、作法はそこまでしっかりしていない。

味を聞かれて「喉が渇いていたもので」と返すあたりが彼女らしいのです。

姫君でもない。茶の作法なんて知らない。ただ純粋に飲み物として味わう。そういうマナーです。

かつて茶道は、男性のものでした。

女性でありながら茶道を好み、極め始めたパイオニアにあたる人物が、2013年大河『八重の桜』主人公・新島八重です。

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八重は男だけのものである鉄砲を手にして、性差をのりこえました。茶道でも同じことをしたのです。

そんなわけで素朴な態度を取る駒に、大事を持ち込んだのならば喉も乾くと宗久は返す。駒は薬は命を守るもの、その薬を売りたいという方が、三好様の戦に武器や金を出すのはおかしいと言います。

これも素朴かつズレている。宗久は金儲けのために薬を売るわけでしょうから。

宗久も自分とて古き美しき都が再び火に包まれるのは見たくないという。こうして茶を点てている方がよほど正しいと返します。

嘘ではないとは思う。彼は割り切れる。生きるためなら矛盾でも飲み込めるのです。

ただ!

宗久は言う。三好を切ったところで、織田が勝利して自分を支えてくれるのか、わからぬからには踏み込めない。

駒は引き下がります。

戦こそ割りが合わない。勝ったら敵として攻めてくるかもしれない。三好の手助けをしたとなれば、織田を敵に回しかねない。だからこそ、戦からは身を引いた方がよいと駒は言います。

そうなんですよね。

何かの支援、こと戦争の支援となると、危険ではある。現代ならば、敵対勢力からテロリズムの標的に加えられかねない。

戦争は儲かるとはいえ、命あっての物種とは言ったものです。

駒は確かに大人になった。理想主義を貫くために、相手の弱みにつけこみ交渉するほどまでに成長したのです。

演じる門脇麦さんもどんどん成長してゆく。

 


織田の戦を切り盛りしているのは……

宗久はここで、一緒においでになったお方もそう申されているのか?と言い出します。

そして、明智十兵衛様がここにやって来ます。

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互いに名乗ると、まずは宗久が帰蝶様からよう伺っていたと言い出します。

帰蝶様は、馬の鞍だの鉄砲をよくお買い上げくださっている。織田様の戦の切り盛りをしているのは、帰蝶様ではないかと、堺ではもっぱらの噂だそうです。

帰蝶……やはり、こわい女ですね。

女なのに、紅白粉でも衣類でもなく、戦道具か! まずはそうなりかねない。そういうジェンダーだけではなく、人間の本質です。

義昭は刀を見ただけでも怯えるのに、帰蝶は買い付ける。その鉄砲の先には、玉に当たって死ぬ人がいる。

それでも、帰蝶は買い付ける。

夫への愛だのそういう次元ではない。もっとおそろしい本質が帰蝶にはある。

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そんな帰蝶が、もっとも頼りにされたお方が明智様だと聞いていると宗久は言います。

けれども光秀は「それは……」と口籠るばかり。光秀と帰蝶の恋愛感情ありきでの感想がよくあるのですが、両者ともにそこまでウエットなものはないと思いますが。

帰蝶は特にミスリードをされている。光秀のことを話して初恋を思い出しているのか、そういうことでなく。殺人の道具を平然と買い付ける。そういうところが、蝮の娘としての本領でしょうに。

 

織田有利と見る今井からの要求

それはさておき、と話の枕を終える宗久。

堺の商人の興味関心は、異国との商い。それが守られるのであれば、三好だろうと織田だろうとよい。

白い猫でも黒い猫でも、鼠を取ってくるのがよい猫。宗久は金儲けのためならば、正義もどうでもよい、そういう根っからの商人でした。

その上で、めざとく織田有利と見ている。

理由は将軍です。

三好の掲げた旗印こと足利義栄は、摂津で倒れた。

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まとまりにかける。商人は融通した金が回収できなければ、出せない。鉄砲は売らない。三好様から離れて良いと思っていると言い切る宗久。

そのうえでこう言い出します。

「ただ織田様には、お約束願いたい。私が好きなこの京の街に火はかけぬと。そして堺は守ると。その証に、鎧兜をされたままおいでにならぬこと、それをお飲みいただけるのであれば、手を打ちましょう。堺の会合衆も、否とは申しますまい。お駒さん、それでお駒さんもご納得かな?」

こう説明する間も宗久は茶を点てている。

陣内孝則さんが「俳優人生の中で最高のシーン」と語ったのもうなずける、超絶技巧が展開されます。

池端さんの、語彙が豊富で難易度が高く、ともかく長いセリフ。

それを言う間も茶を点てていました。

極めて優雅に、茶人ならば当然という優美な仕草でそうする。指先まで美しい動きで、そうしている。できている。これは本当によいものを見た!

ここで駒が、そうして点てた茶を光秀の前に置くと、彼は駒に目線を送りつつ、茶を飲みます。

武士の男性として、光秀は極めて端正な所作で茶を飲む。

背景の庭、衣装、ライティング、音楽。そして役者。何もかもがうつくしく、絵になる場面です。

ついでに少し。ここで茶に毒を入れて暗殺するかどうかでドキドキしたというネットニュースがありましたが、そういうのは【動機】の有無に注目しましょう。

斎藤道三の場合、相手を殺す【動機】はバッチリある。

けれども宗久が、むざむざと金儲けのチャンスを殺しはしない。【動機】がないのです。

それにここで暗殺するとなれば、駒も始末せねばならない。いろいろ面倒でしょう。

道三の場合、効率よく暗殺する仕掛けをいくつも用意していました。

こういうことを考えていくと、実生活で何かと騙されにくくなるかと思います。

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