永禄11年(1568年)7月――。
足利義昭の一行は美濃・立政寺に到着しました。
織田信長が義昭を歓迎し、丁寧な所作で深々と頭を下げます。
「織田信長にござります」
出迎えを大儀であると労う相手に、信長は「末長くお仕えする覚悟でお待ちしておりました」としおらしい。公方と呼ばれた義昭は、まだ将軍ではない、公方と呼ばれるのはまだ早いと言うのですが。
「畏れながら我が心の内では、既に将軍にございます。公方様にございます」
そう信長は訴えます。
染谷将太さんは永遠の子どものような顔と話し方ができますから、それはもう愛嬌がある。たまらないものがある。
それから信長は、公方様にふさわしい品々を揃え、お待ちしていたと見せるのです。
そこにあるのは大量の豪華な品に金!
さすがは織田の財力です。なんと銭は一千貫!(一億五千万円)
その金額を聞いて、義昭は驚きます。
「一千貫か! これだけあれば、一万の貧しき民が一月は過ごせよう。そなたの心遣いが身に染みる」
そう聞いた瞬間、信長の熱意と出迎える気持ちがシューッと萎んでいくようなものがあります。
やはり染谷さんはうまい。思っていることがそのまんま出る信長を演じております。
信長はここで、試すような不敵な顔色を見せつつ、太刀を手に取ってご覧くださるように言います。
美濃・関の刀鍛冶に打たせた業物だそうです。
しかし、武器を手にするように言われて、義昭は顎を撫でて困惑しております。
思い出しましょう。鉄砲を美しいと言った光秀のこと。手にした刃で松平広忠の首を切り裂いた信長のこと。
人間の大半は、先天的に殺人をするようにはできていない。
ゆえに、殺傷力のあるものを持つとなれば恐怖や嫌悪感がある。
銃を手に取ったところで、ちゃんと殺傷できない――それは徴兵制を大々的に導入したナポレオン戦争後以降明確にされました。逆に「どうすれば人を殺せるようになるのか?」ということも考え、人は心理学を進化させてゆくことになる、と。
一方で武士はその感情を克服すべく、規範を叩き込まれている。光秀と信長もそうなのかどうか?
あくまで人を殺さないようにできているのは人類の大半です。ごく少数、先天的な例外を持つ人間がいたとしてもおかしくない。
誰が本作ではそうなのか……。
義昭の不甲斐なさに憤る信長
岐阜城では、信長が小馬鹿にするように光秀に言います。
あの銭は貧しい者に施すものではない。戦に備えるため。まるでわかっておらぬ。そう不満そうなのです。
そのうえで、刀を抜いてご覧になった顔をあざける。鼠が蛇に睨まれて仰天したような顔だと言います。
「そなたに聞いていたゆえ、さほど驚きはせぬが、あれが武家の棟梁では……」
三淵も細川も困っているだろうと言う信長の口調からは、性格の悪さが滲んでしまっている。
個人的怨恨もあるんじゃないですかね。
彼は「うつけ」と呼ばれて、誰からも褒めてくれぬと言っていた。
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もしも、周りに聞けば「褒めてたでしょ!」と返ってくる気はしますが、彼は褒め言葉よりも、貶す言葉が十倍か百倍くらいでブッ刺さると。人間誰しもそんなものでしょうが、信長は深く、深く、深く……ブッ刺さる。
そんなことで武家か!
そう周囲から叱られた苦い思い出が蘇る。尾張の大名ですらそんだけダメ出しされたのに、公方様があんな調子かよ! 本当に笑うしかねえなこりゃ!……信長が抱いたのはそういった感情では?
信長の少年時代は暗かったと思います。
信長は、儀礼においてはとても折り目正しく、覚えた通りにしているロボットめいたところすらある。がんばって、武家らしく振る舞えるよう、マニュアル通りにプログラミングしたのだとは思う。
それなのに褒められないんですね。努力ポイントより、ミスしたところをあげつらいやがって! こういう気持ちに突っ込んでいく。
この信長、貶してはいけませんよ……全部覚えて、倍返しだ!
半沢直樹は現代人だし、相手を殺傷しないけれども、信長はそうじゃない。
そんな義昭をかばう光秀
光秀はここで、義昭をかばいます。
6歳で出家してから23年間、29になるまで僧侶として暮らしてきた。武家として育てられたことはない。
突如、戦に行けと言われても、心も体も動かない。よくぞ戦をすると決意したと、むしろ褒めなきゃ。
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こう見ると、光秀は優しい。
けれども、優しいだけかどうかはわからない。
「そうは言っても、生かすも殺すも、信長様次第……この先どうしますか?」
光秀の言動は、いつもゆらぎがあって、どこかおそろしさと魅力がある。
信長は、何も変わらない、そなたと話した通りにやると言い切ります。
都で幕府を立て直す。将軍のもと、諸国をまとめ、大きな世を作る。大きな世だ。それでよかろう!
そうカラリと言い切ります。
上洛のため、六角承禎と一戦交えねばならない。
妹・市を嫁がせた浅井長政も上洛をしたいから、うまく使う。浅井長政とも話しあうのだと。
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ここで、信長が妹夫妻のことを淡々と語るところが、本作の渋さだと思いますね。
いちいち視聴者に「あの浅井ですよ!」とアピールせんでもいい。ついてきたけりゃ来い。そういう無愛想さがいい。
そのうえで、光秀を使い倒そうとします。
◆光秀のミッション!
・京へ登り、三好一族の兵数を調べる。地味なようで、本作は兵数算定が大好き。光秀は道三の前で数珠の数え方を答えて以来、その才能があります。
・朝廷が三好達をどう見ているか探ってもらいたい
既に、木下藤吉郎は京に潜入済み。光秀が誰かわからない顔をすると、「猿ヅラのあのおしゃべり」と言います。ここで光秀も思い出す。
光秀は京都へ向かうのでした。
藤吉郎が若狭の鯖を売りながら
信長の中で何かは変わった。
信長は、マニック・ピクシー・ドリーム・公方様(※悩める信長の前に現れる夢のような公方様!)として義昭を想像して、そんなドリーム公方様が喜ぶ外さないプレゼントをせっせと用意した。
苦労して得た美濃・関の刀鍛冶なんて、それこそ自信満々だっただろうに。
でも、公方様は全然理想通りじゃない。だったら……もう、どうしたっていいじゃないか? まあ、使える限りは使うけど。
そう、使える限りは。
京では、木下藤吉郎が若狭の鯖を売っております。
京都は魚介類が貴重ですからね。元が物売りだけに、片肌はだけて声を張り上げ、実にうまく売っております。
佐々木蔵之介さんは、この役のために生まれてきたように馴染んでいる。京都出身ということもあるのか。すっと馴染んでいる。
あれだけ美形であるのに、猿ヅラにしか見えないし、営業センスも抜群だとわかります。
それに所作がゆるくて、光秀のように常に芯が通っているように見えません。なまじ時代ものですと、芯が入っていない所作はむしろマイナスになる。けれども、豊臣秀吉ならば絶妙なの役作りとしか言いようがない!
これでは諸大名から侮られるだろうということまで、身のこなしからわかってしまう。すごいものがあります。
山伏に変装した光秀がここで目の前に立つ。そんな二人の背後を、三好の兵が歩いてゆきます。
藤吉郎は、その姿ではかえって目立つと、空き家に向かいます。
空き家で秀吉は、一方的に話し始めます。
殿は人使いが荒い。もはや京では、織田様が足利義昭を擁して京に登ってくるという噂で持ちきりなんだとか。織田のものとわかれば、即「コレ」(斬首)だと首に手刀を当てます。
「もっとも! その噂を広めたのはそれがしですが! アハハハハハハっ!」
信長と秀吉の雇用関係から見えること
藤吉郎は、乱破を使って「10万で攻める」と広めたそうです。
光秀は感心しております。目に見えぬ敵ほど気味が悪いものはない。上策だと。
藤吉郎は浮かれています。次の戦は千人の兵を持たせると言われた。成り上がり者に千人の兵! そう喜ぶ。
信長は恐ろしいことを平気で命じてくる。
城を三月で作れとか。敵の城に乗り込んで、その大将を味方にしろとか。
たがあとで、ちゃんと褒美をくださる!
そう藤吉郎はウキウキしています。
藤吉郎は家が貧しく、幼い頃、麦飯をいっぱい食わせてやると言われて針を売りました。
それでも一度も食わせてもらったことはない。何百本、何千本売っても。いつもそのことを思い出すのだそうです。
それに比べると、信長様は必ず約束を守ってくださる! わしを褒めてくださる! そう喜ぶ藤吉郎です。
これはおもしろい描き方だし、まさしく本作ならではの新解釈だ!
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秀吉が信長の草履を懐で暖めていた。そんな逸話がありますよね。出世したければ、上司に心遣いを見せよ。そういうライフハックではありませんか。
それを本作は逆にする。
【人材が欲しければ、きっちり給与を払いましょう】
【人材を引き留めたければ、契約内容を守りましょう】
精神論、温かい草履のようなサービスは全否定。
こういう番組をNHKが作るのは、ともかく偉いと思う!
大河ではなく朝ドラでよくかましがちな話ですが。勤務契約だのなんだの曖昧にして、やる気アピールをやらかしがちではないですか。
サービス残業は思いやりみたいな、しみったれた世界観。
あんなものを受信料で朝から流していたら、悪徳経営者をつけあがらせるだけでしょうに。ヒロインが勤務契約違反だからと雇用主に厳重抗議をした『半分、青い。』、労働交渉する『なつぞら』、賃上げ要求をキッパリできる『スカーレット』はだから好きなんです。
甘っちょろい話をするな、戦国ものなんだから。それはそうです。契約内容や人材確保でもそうだ。当然のことだ!
ただ、気をつけましょう。信長の配下としてやっていけるのは、あくまで秀吉くらい実力があればこそ。
もっとゆるい勤務がよい方は、織田家は不向きでしょう。
最悪の場合、信長から箇条書き折檻状付き解雇にあいます。
信賞必罰が厳しい環境にあうかどうかは、あくまでその人次第。信長は、よくも悪くも人類皆平等だと割り切れます。
情愛で気前よく家臣に褒美を与えてはいない。褒美に見合う働きをせねば、命で返せと言いかねないおそろしい人物です。
東庵&駒との再会
織田がトンデモナイ大軍を引き連れてやってくる――そんな噂の成功は、藤吉郎にすれば“してやったり”でしょうけど、京都の人々からすれば、噂は恐ろしいもの。逃げ出す人でごった返しています。
そんな中、着替えた光秀は東庵の家を目指してゆきます。
藤吉郎もくっついてくる。
「暫し待たれよ」と止めても、藤吉郎はなんとしてもついていきたい動きを見せる。
藤吉郎は、佐々木蔵之介さんが見事でずっと見ていたいようで、見るのが嫌になるような。うますぎますよね。イライラする。何か企んでいそうで、怖いものがある。
これが彼の個性であり、知性であり、力なのだろうけれども、だからこそ、それゆえにゾッとする。
東庵は、流気丸と黄連丸という薬が切れていると忙しそうにしています。
そこで光秀を認め、何年ぶりかと驚いているのです。
そこへ駒も入ってきます。
「駒殿、変わりはないか?」
「何も変わりは……」
「うむ。それはなにより」
こう会話を交わし、光秀はすすめられるままにあがります。
そこへ呼んでもいないのに藤吉郎が入ってくる。この野郎……。
東庵と駒は、以前会ったことを覚えています。藤吉郎のおそろしいところって、笑顔でズケズケあがりんできても許せるところなんですよね。そりゃ、乱破を使わせますよ。人の心の壁を破っていきます。
ここで藤吉郎は、駒と再会して感無量。
シリアスになるとそこは佐々木さんなので美形に見える。あの折、字を教わったおかげで、今のわしがある。織田信長様の元で、立派な侍になれた。そう言い切るのです。
けれども、ここでどこまで本気なのかよくわからないのが怖い。
なんせ人たらしですよね? 駒の心に一番グッとくる言動を選択して、さらりと出している可能性はあるとみた。
もう三好勢に囲まれている!?
東庵がオロオロと困惑しています。
ここは療治をするところ。今、療治をしておるのは三好様のお身内でした。
光秀が行き先を言わないのが悪いのか。藤吉郎の声がでかすぎるが悪いのか。ともあれ大ピンチだ。
ギョッとしつつ、藤吉郎はお一人かどうか確認します。
こいつのことだから、暗殺くらいできそうではある。けれども表に5、6人いると知り、殺すよりも殺されないことを考え始めるんですな。
小刀を握りしめる藤吉郎に、東庵は「ここは療治をするところ!」と釘を刺します。殺人現場になったら困るのです。
光秀は駒殿に聞きたいことがあるといい、やっと要件を伝えられました。
東庵は患者に早くしろと呼ばれます。
藤吉郎が外に出てキョロキョロとしていると、侍が話しかけてきます。
三好長虎の配下で、懐の小刀を見咎めております。本作は武器の携帯をきっちり確認しており、かつては光秀も鉄砲持参であったために細川藤孝と斬り合いになりました。
かくして藤吉郎は、京の街を逃げることに!
本作はこういう街の風景をきっちりと映します。
光秀は駒と二人きりになります。伊呂波太夫から息災だと聞いていたと光秀。「変わらぬな」と言います。
駒は、変わったという。
美濃にいた頃は泣き虫だったけど、今は泣かぬようになったと。
これに対し、もともと駒殿は強いと言う光秀。強くはない、大人になっただけだと返す駒。
二人は特別な関係で、サウンドトラックにも「光秀と駒」という曲があります。セットで紹介されることも多いものです。
そういう二人なのに、皮肉なすれ違いが出てきている。
注意したいのは、恋愛感情はないということです。光秀は元々ない。駒は、あったものがもう消えたし、そこまでときめくわけでもない。
光秀は、足利義昭の上洛に対する朝廷の反応を知りたい、そのために伊呂波太夫に会いたいと言います。
ここで駒がハッとして、織田様と足利様の上洛を目的としているのかと聞いてきます。
どれだけ理屈があろうとも戦の原因となってきた
「そのために来た」
「京で三好様と戦をなさるのですか」
「戦は避けたいが……」
「でも、戦になる。この京がまた火に包まれ、多くの人々が家を焼かれ、巻き添えになり……そうですね?」
「やむを得ぬのだ。この世を治めるには、戦のない世にするには、幕府を立て直さねばならぬ」
「皆そう申して、戦をしてきたのです!」
ここは予告にもあった。本作の真髄であると思います。
駒は何か? いらないのではないか?
そういう意見はありますが、ちょっとそれは制作意図を理解していないのではないかと思うのです。
駒のような存在はいる。
『マッドマックス 怒りのデスロード』では、主人公・マックスの脳裏に、少女の幻がフラッシュバックします。あの少女は、マックスが救えなかった誰か、何かの象徴なのでしょう。
駒もそういう無垢なる少女像であり、光秀が失ってはならぬものなのです。
彼の父が救った駒。その願いに反するということは、自分の存在そのものを否定してしまうような厳しいものがある。駒は、生きた人の姿をした運命なのでしょう。
駒は訴えます。
もし、十兵衛様が昔と変わらぬ十兵衛様ならば、足利様に申し上げて欲しい。刀を抜かずに上洛してくだされと。織田様に申してくだされ。私たちの家に、火をつけないでくださいと。
お花畑だの、ウザいだの言われるかもしれないけれど。駒の願いこそが、平和を願う気持ちなのだと思います。やはり本作からは戦争の臭いがしますね。
駒は、こういうお話をしたくはありませんでしたと言うしかない。
それはそうでしょう。かつて自分を救った大きな手のひらをしたお侍の息子であり、運命の人。麒麟を連れてくる人。そんな光秀が、麒麟どころか戦を連れてくるなんて、あまりに苦しい話です。
生々しい戦争の臭いが漂ってくる
駒はここで太夫のところへ案内すると告げます。
ひぐらしの鳴く中、光秀は遊女が客引きをする場所へ向かいます。
生々しいですよね。戦と娼婦、性暴力の関連性はどうしたって否定できない。
戦が近いということは、彼女らには稼ぎ時でもある。ほんとうに生々しい戦争の臭いをさせる……。
そんな街のある家に、伊呂波太夫がいました。
本作は、尾野真千子さんをどれだけ魅力的に撮影するか、そこに本気を出していると思います。
彼女は横顔、ちょっと傾けた顔がともかく魅力的で、ここでのその横顔ショットは先行映像でもお目見えしていました。
気持ちはわかります!
無言で横顔から正面を向くところがほんとうに素晴らしい。
そんな伊呂波太夫に、光秀は一座に聞いたらここにいると伺ったと告げ、丁寧に挨拶をします。そのうえで、駒は表の橋で待っていると告げる。
伊呂波太夫はここで家の人に「その気になったら一座に訪ねておいで」と言います。主には話をつけてきたとか。
なんでも踊りが上手い子がいるから、一座に入らないかと誘いに来たそうです。
その踊りがうまい子というのが、本当にまだ幼い。そばには白髪頭の老婆もいる。
圧巻の生々しさ。あの遊女の姿を見れば、この少女がこれからどうなるか、そしてこの白髪頭の老女がここまでどうしてきたか、想像がつきます。
外に出て、光秀からここへよく来るのかと尋ねられ、伊呂波太夫は生い立ちを語ります。
よくでもないけど、来ている。私の母親が、あそこで私を産んだという噂があった。なんとなく、時折来て、ここが私の里なのかと。
その母親の名もわからず、全て人伝てに聞いた話で、はっきりしているのは近衛様の門前に捨てられていて、近衛様に育てられたこと。
「ここへ来て、いつも思うのです。世の中は、醜いか、美しいか、どちらかだと……」
そう語る伊呂波太夫。
NHKがえらいところに問題提起してきました。
身を売る存在はいつの時代だっている。
それをどう捉えるか。そこは人間の意識次第。
かつては『吉原炎上』といった、そういう女性の喜怒哀楽を生々しく見せる作品がありました。
それがいつからか。貧乏だから身を売る奴なんていないという建前になったのか、次第に見なくなってゆく。
で、気がつけばバニラトラックが走り回り、花魁ファッションだのなんだのと……カジュアルに消費されるようになって、苦界という言葉は消えたようではある。
そりゃ、池端さんは怒りますよね。気持ちはわかる。そりゃいかんでしょ。
『鬼滅の刃』読者の小中学生の方が、妓夫太郎と堕姫によって吉原の悲惨さを知っているようじゃ、情けないってことです。
堺を仕切る大商人・今井
光秀と太夫に駒も加わり、三人で話し始めます。
伊呂波太夫は知っていました。
朝廷は、三好が勝つか、織田が勝つか、息を潜めて見ている。織田様が勝てば、すぐにでも義昭を将軍にすると。その証が欲しいのであれば、朝廷のしかるべき方に引き合わせると言います。
「お高くつきますが……」
ここでもきっちり要求する伊呂波太夫。明朗会計大河です。
光秀は、伊呂波太夫に依頼します。
三好は強い。
鉄砲を大量に持ち、京から兵を集めてくる。お金があるからなんでもできる。
光秀は、それほど金があるのかと、伊呂波太夫の説明に驚いています。
背後にいるのは、堺の会合衆――お金がいくらでも都合できるそうです。
とりわけ今井宗久がすごいらしい。鉄砲を握っているわ。明(中国)から船がくるだけで、一万貫は儲けが出るわ。
当時は、世界的にみて金があふれだし、パワーバランスが大きく変わりました。
背景にはスペインやポルトガルのアメリカ大陸への到達がある。
銀が溢れ始め、地球を回ってゆきます。
技術革新。人口増大。宗教や思想の変化。
世界史的に見て、当時大きな動きがあるのは、偶然ではなく必然でしょう。
そんな中、明の人口と物産は世界的に見ても垂涎の的でした。
カトリックの布教もこちらが当初の目的地でしたが、海禁政策のためにターゲットを変えたがゆえに、やがて日本に到着します。
明の海禁政策は重要です。それだけ金になるのならば、明と貿易したい! でもできない……ゆえに倭寇だ!
本作はなかなか手強いので、そういう金の動きや世界史のこともおさらいするとより楽しくなります。オススメはamazonプライムの『MAGI』ですね。
宣教師だって神だけではない
ここで駒が、おずおずと今井宗久のことを言い出します。
薬のことで、二条のお寺に行った時、私の丸薬に興味があると話しかけてきた人だ。
駒が丸薬の販売を断ったと知ると、伊呂波太夫はもったいないと言います。
駒は決意を固めています。
会合衆が三好様から離れるとなれば、戦の継続が難しくなる。戦はお金で動く。明日、お寺に行って会うことにする。光秀のことも誘ってきます。
これも、なかなか……また世界史に話がうつりますけど、日本に来る宣教師は、神の教えを広めたい心清き連中扱いをされるわけじゃないですか。
でも、そういうことでもない。
宗教改革でプロテスタントに対抗して信者を増やしたかったし、お金のことも関係があります。
儲からない国に布教する意味はないし、奴隷貿易にも手出しする。
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戦が金で動くというのも、その通り。
十字軍なり、三十年戦争なり、宗教由来でおそろしい殺し合いをしたことも当然ある人類ですが、このあたりから露骨な金儲け戦争にシフトしてゆきます。
人間の主要動機が、マネーになってゆくと。正義のための戦争がないなんて、そんなのはとっくの昔からそうなっている話でもありました。
ここをふまえまして。
しらけきった顔の信長を思い出したい。澄んだ眼差しの光秀のことも。
信長は義昭のことだって、算盤を弾いて見ている。
儲かるか、儲からないか。義だの麒麟だのどうでもいい。そういう意味では、彼は時代の変革をかぎ取って行動している。
問題は光秀。一体どう感じているのか……。
「喉が渇いていたもので」
今井宗久との会談となります。
茶を点ててもらい、飲み干す駒。正座はしているものの、作法はそこまでしっかりしていない。
味を聞かれて「喉が渇いていたもので」と返すあたりが彼女らしいのです。
姫君でもない。茶の作法なんて知らない。ただ純粋に飲み物として味わう。そういうマナーです。
かつて茶道は、男性のものでした。
女性でありながら茶道を好み、極め始めたパイオニアにあたる人物が、2013年大河『八重の桜』主人公・新島八重です。
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八重は男だけのものである鉄砲を手にして、性差をのりこえました。茶道でも同じことをしたのです。
そんなわけで素朴な態度を取る駒に、大事を持ち込んだのならば喉も乾くと宗久は返す。駒は薬は命を守るもの、その薬を売りたいという方が、三好様の戦に武器や金を出すのはおかしいと言います。
これも素朴かつズレている。宗久は金儲けのために薬を売るわけでしょうから。
宗久も自分とて古き美しき都が再び火に包まれるのは見たくないという。こうして茶を点てている方がよほど正しいと返します。
嘘ではないとは思う。彼は割り切れる。生きるためなら矛盾でも飲み込めるのです。
ただ!
宗久は言う。三好を切ったところで、織田が勝利して自分を支えてくれるのか、わからぬからには踏み込めない。
駒は引き下がります。
戦こそ割りが合わない。勝ったら敵として攻めてくるかもしれない。三好の手助けをしたとなれば、織田を敵に回しかねない。だからこそ、戦からは身を引いた方がよいと駒は言います。
そうなんですよね。
何かの支援、こと戦争の支援となると、危険ではある。現代ならば、敵対勢力からテロリズムの標的に加えられかねない。
戦争は儲かるとはいえ、命あっての物種とは言ったものです。
駒は確かに大人になった。理想主義を貫くために、相手の弱みにつけこみ交渉するほどまでに成長したのです。
演じる門脇麦さんもどんどん成長してゆく。
織田の戦を切り盛りしているのは……
宗久はここで、一緒においでになったお方もそう申されているのか?と言い出します。
そして、明智十兵衛様がここにやって来ます。
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互いに名乗ると、まずは宗久が帰蝶様からよう伺っていたと言い出します。
帰蝶様は、馬の鞍だの鉄砲をよくお買い上げくださっている。織田様の戦の切り盛りをしているのは、帰蝶様ではないかと、堺ではもっぱらの噂だそうです。
帰蝶……やはり、こわい女ですね。
女なのに、紅白粉でも衣類でもなく、戦道具か! まずはそうなりかねない。そういうジェンダーだけではなく、人間の本質です。
義昭は刀を見ただけでも怯えるのに、帰蝶は買い付ける。その鉄砲の先には、玉に当たって死ぬ人がいる。
それでも、帰蝶は買い付ける。
夫への愛だのそういう次元ではない。もっとおそろしい本質が帰蝶にはある。
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そんな帰蝶が、もっとも頼りにされたお方が明智様だと聞いていると宗久は言います。
けれども光秀は「それは……」と口籠るばかり。光秀と帰蝶の恋愛感情ありきでの感想がよくあるのですが、両者ともにそこまでウエットなものはないと思いますが。
帰蝶は特にミスリードをされている。光秀のことを話して初恋を思い出しているのか、そういうことでなく。殺人の道具を平然と買い付ける。そういうところが、蝮の娘としての本領でしょうに。
織田有利と見る今井からの要求
それはさておき、と話の枕を終える宗久。
堺の商人の興味関心は、異国との商い。それが守られるのであれば、三好だろうと織田だろうとよい。
白い猫でも黒い猫でも、鼠を取ってくるのがよい猫。宗久は金儲けのためならば、正義もどうでもよい、そういう根っからの商人でした。
その上で、めざとく織田有利と見ている。
理由は将軍です。
三好の掲げた旗印こと足利義栄は、摂津で倒れた。
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まとまりにかける。商人は融通した金が回収できなければ、出せない。鉄砲は売らない。三好様から離れて良いと思っていると言い切る宗久。
そのうえでこう言い出します。
「ただ織田様には、お約束願いたい。私が好きなこの京の街に火はかけぬと。そして堺は守ると。その証に、鎧兜をされたままおいでにならぬこと、それをお飲みいただけるのであれば、手を打ちましょう。堺の会合衆も、否とは申しますまい。お駒さん、それでお駒さんもご納得かな?」
こう説明する間も宗久は茶を点てている。
陣内孝則さんが「俳優人生の中で最高のシーン」と語ったのもうなずける、超絶技巧が展開されます。
「宗久が、光秀にとんでもない要求を突き付けます。武士にとっては受け入れがたいものですが、宗久にも商人としての覚悟がありますから。そして、撮影前からめちゃくちゃ練習した僕の茶道の所作と長ゼリフにも注目です!」(陣内孝則)#麒麟がくる
今夜放送!
[総合/BS4K]夜8時 [BSP]午後6時 pic.twitter.com/zZqfeFvebv— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) October 11, 2020
池端さんの、語彙が豊富で難易度が高く、ともかく長いセリフ。
それを言う間も茶を点てていました。
極めて優雅に、茶人ならば当然という優美な仕草でそうする。指先まで美しい動きで、そうしている。できている。これは本当によいものを見た!
ここで駒が、そうして点てた茶を光秀の前に置くと、彼は駒に目線を送りつつ、茶を飲みます。
武士の男性として、光秀は極めて端正な所作で茶を飲む。
背景の庭、衣装、ライティング、音楽。そして役者。何もかもがうつくしく、絵になる場面です。
ついでに少し。ここで茶に毒を入れて暗殺するかどうかでドキドキしたというネットニュースがありましたが、そういうのは【動機】の有無に注目しましょう。
斎藤道三の場合、相手を殺す【動機】はバッチリある。
けれども宗久が、むざむざと金儲けのチャンスを殺しはしない。【動機】がないのです。
それにここで暗殺するとなれば、駒も始末せねばならない。いろいろ面倒でしょう。
道三の場合、効率よく暗殺する仕掛けをいくつも用意していました。
こういうことを考えていくと、実生活で何かと騙されにくくなるかと思います。
三好の罠だ
そして光秀は、岐阜城にやって来ました。
しかし、織田家臣団は激昂しています。光秀から宗久の言ったことを聞かされて、怒っているのです。
柴田勝家は、それは三好方の罠だと怒る。
商人の戯言を聞いていられるかと苛立つ。
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戦に勝利するだけではなく、人心をしずめる重要性――新しき将軍が穏やかな世を作るアピールを説くのです。
そんな言い回しも、かえって将軍家の使番のような物言いと言われてしまう。
むろん織田家臣団の気持ちはわからなくもない。
2、3万という大軍を率いているのに。美濃にだって斎藤龍興の残党がいるのに。そういうリスクとリターンを天秤にかけて怒るのは、当然のことだとは思います。
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佐久間信盛も、戦を甘く見るなと言い切る。ヒートアップの極みです。
この叫びまくる場面が、本当に意義があって。所作や和装、乗馬は文句なしでも、時代劇特有の発声にはまだ伸び代がある、そんな安藤政信さんと金子ノブアキさんが叫ぶわけです。
そんな中で、村田雄浩さんはベテランの貫禄がある。
存在そのものが宝玉のようです。
村田さんの発声を聞いて吸収して、彼らがこれからどんどん伸びて、時代劇が継承されてゆく。そういう大河ならではの空気が醸成されていて、眼福でした。ベテランと若手の演技の違いもぎゅっと濃縮されていて、見応えがあります。
「三淵、よい案じゃと思わぬか?」
「もうよい」
ここで信長が止める。
織田の一存で決めることではない、公方様にもお伺いして決めると宣言します。
信長は、自分が興味を持っていないことは、なるべくエネルギーを使いたくない性格なのでしょう。
その上で、内心侮り始めた公方様パワーを使うことにした。
本作の信長は、はっきり言って性格が悪いとかよいとか通り越して、ひたすら癖が強くて変ではあります。しょうがない。そういう性格なんだ。
そして立政寺へ。
面倒なことは省きたいだけと、うっすらと舐め腐った表情にも出てしまった信長。素直な義昭は、鎧兜をつけない上洛に満足しています。妙案だと喜んでおります。
義昭は、上洛して京都の人々におそれを抱かせないようにしたい。京都を平安にできると約束したい。だからこそ、喜んでしまう。
「三淵、よい案じゃと思わぬか?」
そう聞かれ、相手は観音のような微笑みを浮かべます。義昭を演じる滝藤賢一さんが妖精なら、谷原章介さんは観音だ……。
「まこと公方様にふさわしい上洛となりましょう」
信長は、考えはいかがかとふられ、公方様の思し召し通りに行われるべき、我らは付き従うまでとしおらしく答えます。
ああ、この新解釈信長が、染谷さんでよかった。
これから先、何度そう思うことやら。素直で無邪気な子どもの顔をできるから、染谷さんで圧倒的に正しい。でも腹の底は……。
このあと、廊下で光秀は信長を追いかけます。信長はしらけきった顔で、父の教えを思い出しています。
戦に出たら、勝って馬を降りるまで兜を取るなと教えられた。またこいつは、そういう親の教えをきっちり額面通りにとらえて……。
柴田勝家の言い分を是とすると。そのことをそなたの腹に秘めておけと言います。
怖い。
あの無邪気な素直さも全部計算していて、腹の底では苦いものと軽蔑と、ドロドロした感情を溜め込んでいる。
それは何も相手への敬愛ゆえでもない。
案じているのは、上洛したあとのことだから、近江で六角を討つ。それにしたって、宗久の手筈通りなら三好も援助できず、造作もなく勝てるはず。そう確信しています。
義昭に仕えるのか信長の家臣となるか
信長はそして続けます。
「いまひとつ、大事なことがある」
「は?」
「こののちのことに関わることじゃ。十兵衛……そなたは義昭様のお側に仕えるのか、それともわしの家臣となるか、今、それを決めよ」
はい、信長、いきなりオファーだ。しかも今決めろって!
光秀、どうする?
「私の心は決まっております。将軍のお側に参ります」
ここで信長、ショックを受けた顔をしている。
それでも切り替えて、こう言います。
「残念だがわかった……以後そのように扱う、よいな」
なんだかものすごいものを見た。
信長はショックを受けてはいるのですが、それだけでもない。
光秀は、ストレートすぎる。
もうちょっと言葉を濁すとか、顔で残念そうにするとか、言い訳を考えるとか、いくらでもあると思います。以前は越前の暮らしがあるとは言えたのに。
信長は面倒くさくて変な性格ですが、光秀も何かがズレている。かなり不思議な性格です。
両者ともにズレているので、なかなか理解が難しいかもしれない。高政相手にもなかなかきついことを言っていたっけ。
信長はショックを受けているけれど、ちょっと気持ち良いかもしれない。
のらりくらりと言い訳するよりも、素直に殴られた方がめんどくさくなくてよいかもしれない。
わけがわからん二人だし、演じる長谷川博己さんと染谷さんも、わけがわからんとは思う。
というのも、あの岐阜城での罵倒しあうバトルを思い出しまして。
声を聞いていると、二人とも楽器か、小鳥みたいで。無理して声を出して演じると言うより、するっと出ているような不思議なものを感じました。
この人ら、ほんとうに、いったい何なんだろう?
才能があるからと言えば簡単だけど、それだけではないだろうし。もちろん台本を受け取って、どうしようか考えて、練習して、ものすごい努力をしているのだろうけれども。それでも天衣無縫というか、するりと役になりきっている感がある。信頼感が毎週あります。
そしてその年の9月、近江の六角承禎を攻めて織田が勝利。
ここで合戦シーンが入ります。
倒れている兵士もおりますし、一瞬ですけど手間がかかっております。
そして上洛が見える。
悲鳴をあげて屋内へ退避する京都の人々。窓の隙間から怯えて外を見る民の顔まで迫真に迫っており、これまた丁寧な仕事です。
かくして織田信長は武装することなく、足利義昭を奉じて京へ入りました。
三好勢は既に京から去り、京は戦火に巻き込まれることはありません。
室町幕府が再び動き出す瞬間でした。
MVP:今井宗久
彼はひとりの人物というより、概念を象徴するような存在感がありました。
それはカネ――。
人を殺傷するものを売り捌く【死の商人】なんて、軽蔑されて当然のようで、そうでもない。これまたなかなか難しいものはあるのです。
遊郭のある街も出てきたことだし、やっぱり本作は、戦争のにおいがする。
それも戦国時代だけではなく、もっと普遍的なもの。
近代日本だって、全国各地で軍を呼ぼうとしました。
軍隊がいれば、軍需物資や兵士相手の遊郭で金が動く。
現代だって、軍需産業の金勘定は私たちの生活にだって関係があるわけです。
そういう普遍的な【死の商人】の顔を纏った今井宗久は、グロテスクなようで魅力的。
こんな概念がそのまま擬人化されたような、おそろしい人物像を任されて、陣内孝則さんがどれほど高揚したかと想像するだけで、いろいろ楽しくなってきます。お見事でした!
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今井宗久の生涯|信長に重宝された堺の大商人は秀吉時代も茶頭として活躍
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総評
今週も盛りだくさんでした。
歴史を動かし、世界史的にも人類の動機として前面にグイグイ出てきた、金の話がドーン!とある。
今井宗久とは、歴史の中の金という概念そのもので、最高以外の言葉が思いつかないほど見事でした。ものすごく勉強になるので、受験対策としても見て欲しい。そう思える力作です。
それだけでなく、主役である光秀、そして信長、秀吉らの人物像にもますます磨きがかかってきました。
本作の登場人物は、承認欲求が強いとは言われる。
人間そんなものではありませんか?
ただ、それぞれ何かがズレているとは思う。
光秀:承認欲求が極端に低い。皆無。帰蝶が誉めていたと言われようと困惑する。自己評価よりも、社会改革が大事なんだ!
秀吉:承認欲求というよりも、まぁ、金と食い物がないと飢え死にするし。そういう幼少期トラウマ由来のところはあるよな。
信長:理解が、欲しい……。
光秀以上に、信長の面倒臭さがグイグイ全開になってきている。
信長は承認欲求というか、要するに理解が欲しいのだろうと。幼い頃から、自分の行動原理が理解されず、うつけだのなんだの言われて、彼は傷つき疲れていた。
だからこそ、そういう自分を理解して欲しいと願っている。
帰蝶との結婚でその願いは叶った。
となると、復讐したい気持ちも湧いてくるし、人生を無駄にしたくない気持ちもある。
世短く、意恒(つね)に多し――人生短いのに、やりたいことはいつもミッチミチだよな!
そういう彼なりの価値観ゆえに、めんどくさいとみなしたものを露骨に利用したり、軽蔑する傾向を感じるのです。
義昭に失望した、ハッ、あいつの言うこと納得していないけど利用してやるからな! そういう気持ちはわかりやすすぎて、今週は圧巻でした。
染谷さんはともかくうまいので、義昭敬愛モードと、軽蔑モードで、セリフがなくとも表情だけでわかってしまう。
もう、わけがわかりませんよね。
いちいちカメラにうつった自分の顔を見て「しらけ顔だ〜」と確認できないわけでしょ?
でも、彼は的確に感情を表情にこめて出す。
役者ってすごいものです。
人間そのものを描いていて、ものすごくおもしろい。そういう特別なドラマです。
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【参考】
麒麟がくる/公式サイト


























