麒麟がくる感想あらすじ

麒麟がくる第39回 感想あらすじ視聴率「本願寺を叩け」

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光秀、倒れる

光秀を気遣い水を差し出しつつ、久秀が迎えます。

「十兵衛,無事であったか」

久秀も、近頃の殿には困ったものだとこぼす。

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佐久間殿はじめ、譜代衆は苦労が絶えない。

光秀はそれを聞いていないどころか、倒れてしまいました。

「十兵衛、十兵衛、しっかりしろ十兵衛! 医者じゃ、こっちにも医者を!」

大変なことになりました。

夜、伝吾と利三が慌てて光秀を運んでゆきます。行き先は京都、光秀の館です。妻の煕子と娘のたまが慌てて迎えます。

どうやら受けた傷は浅いものの、毒が入ったのか、弱ってしまった。

しかも大坂の医者は仏罰を怖がって治療をしない。そこでやむを得ず京都まで連れてきたそうです。

こういう戦闘時の傷は金創(きんそう)と言います。

刃物や武器による負傷ですね。細菌感染の危険性が高く、破傷風になりかねない。細菌の知識はなくとも、この手の傷は時に発熱を伴い、大変危険であるという認識は昔からありました。

部屋に運ばれてゆく十兵衛。煕子は着替えず、供もつけず、裸足で東庵の元へ走ってゆきます。

東庵と駒が館へ向かう中、東庵は草履が脱げて慌てる。けれども優しい煕子がそれすら待てない。彼女の慌て方が生々しいのです。

館にたどりついた東庵は、光秀の脈をとります。

そして苦い口調になる。

「これが十兵衛様の脈とは、信じとうはないが……」

駒は鍼を打とうかと尋ねています。

心配そうに、夫の容態を確認する煕子。

「熱があまりに高すぎる……医者としては尽くすが、あとは神仏に御加護くださるよう……」

東洋医学の医療考証が盤石な本作です。光秀の体内でバランスが崩れ、もう手の施しようがないのでしょう。

煕子は決意を固めた目をしてから、一礼して外に出て行きます。

胸をおさえうずくまるところからは、彼女自身の体調もよくないと思えるのですが。

長女の岸も戻っていました。荒木の義父上から許可を得て、戻ってきたのだと。

この荒木の義父上は荒木村重のことです。

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煕子は東庵先生も来たからには心配がいらないと返すものの、煕子は少し辛そうな様子を見せます。

心配する岸に、少し走ったからと言う煕子。父上の側にいるように、たまも安心すると告げます。たまは姉の姿を見て少しほっとしているようです。

 

着物、紅、鏡、そして髪の毛を売っていた

雷鳴が響く中、光秀はこんこんと眠り続けます。

一方、煕子は神社で夫のために祈り続ける。

彼女の胸には、夫から「この十兵衛の嫁になりませぬか」と告げられたあの日、越前で子ができて喜び合ったことが浮かんでいます。

世も更けてゆく中、駒が神社に向かい、倒れている煕子を助けます。

「奥方様、奥方様、いかがなされましたか、奥方様!」

「ありがとう、もう大丈夫……」

そう返しつつ、夫の容態を尋ねる煕子。少し落ち着き眠っていると聞いてやっと安堵しています。

駒は今夜ほど取り乱した奥方様を見たのは初めてだと言います。

越前へ向かう時でも、気丈であったのに。

そう告げると、あれは強がっていただけと煕子が返す。この家を守るのは、武家の妻である私の役割なのだと、自分に言い聞かせ……本当は怖くて仕方なかったけれど。

そんな煕子の頬を涙が一筋、すっとこぼれる。

煕子は数珠を駒に見せます。越前で見せた、光秀の父の形見である数珠です。手放さずに済んだのかと駒は懐かしそうにしています。

煕子は駒に感謝をします。駒が質屋でものを売ることを教えてくれたおかげで助かったと。

着物、紅、鏡、色々なものを売った。売るものが何もなくなったら、髪の毛を切って売ったこともあると告げます。

髪を売ったという言葉に、駒は驚いているのです。

「思ったより高う売れたのですよ、ふふふ……」

数珠をぎゅっと握りしめる煕子。それは自分自身の誇りと、夫への愛を確かめるような仕草でした。

彼女が売ったという着物、紅、鏡、そして髪の毛は、全て女性の美しさの象徴です。

外見よりも、内面で深く思いあう夫妻。これみよがしに名場面として処理するのではなく、ここにきて煕子の逸話として無理なく印象的に入れてきました。

天晴れ見事です。本作のおそろしいところは、死が近づいてくる人が透き通っているように見えてくるところ。

谷原章介さんの三淵藤英もそうでしたが、木村文乃さんも儚い美しさがあります。

といっても、最期の最期まで生命力や生きる執着心があると、その限りでもない――本木雅弘さんの斎藤道三がそうでした。

さて、信長と光秀はどうなるのでしょうか。

 

回復した矢先に信長がやってきて……

竜胆の花が咲く中、煕子が額の汗をそっと拭っている。

と、光秀が意識を取り戻しました。

東庵が呼ばれて脈をとり、にっこりと笑います。髪に白髪が増え、堺正章さんも加齢表現をきっちりこなし、動きがゆったりとしてきました。

東庵がちっとも歳を取らないという意見も見かけましたが、それはちがうと思います。長生きでも、歳は取っていますとも。

光秀は苦しそうにうめきつつも、意識を取り戻したのでした。

それから数日後のこと。

秀吉に案内された信長がやってきます。左脚をまだ引きずっていて、そんな主君を光秀が出迎えます。

「もうよいのか?」

「は、ご心配をおかけいたしました」

二人はそう言い交わします。

この信長は、ともかく光秀が大好きなのだそうです。

だったらもっと気遣えと思いたくもなりますが、信長は絶望的にそういう気遣いが不器用。秀吉は調子よく「明智殿が思いの他元気そうで何よりでございます!」とサラッと言えるのですが。

信長は一方的に持論を展開する。

本願寺を叩くやり方がわかったそうです。毛利水軍が兵糧や玉薬を運んでいる。水路を絶てば本願寺は干上がる。毛利水軍を叩くには、今まで育てた九鬼水軍を使う。そう得意げに語ります。

これには光秀も「妙案でございます」と賛同します。

けれども、遅いんだってば!

なぜ天王寺砦でそれを冷静に思いつけなかったのか? 敵の物資面での優位を光秀たちは進言していた。気合いが足りない、なんてしょうもない根性論に飛びついて、数字の分析も無視してしまった。

用意周到なようでいて、なぜ迂闊になるのか?

軽装で自殺行為のような危険な真似をするのか?

信長の極端な性格――最悪の一面が見えてきます。

しかも、信長はまた杜撰なことを言い出すのです。

 

大和の守護問題がややこしい

原田直政の死で空いた大和の守護筒井順慶をつける――またもや信長がとんでもないことを言い始めました。

光秀は頬をひきつらせ、それでは大和を長く治めている松永様のお立場がないと指摘。

義昭公同様、火種を撒き散らすようなものゆえに、どうかお考え直しを!

そう言うのですが、これはある意味、義昭以下でしょう。

義昭は、狙って大和の動乱を作り出しましたが、信長はなんだかめんどくさいだけのように思えます。

ここで秀吉が、筒井でも松永でもない「第三の男」案、つまり自分を売り込みます。

こいつの場合、自分を推薦するから駄目です。不真面目すぎる。

そんな秀吉に対しては、信長も、大和の国衆が家柄を気にするからダメだと一蹴。

信長も秀吉も最悪だ……。

自分が気持ちよくなることしか考えていないというか、短絡的というか。

信長は、出自という秀吉のコンプレックスを踏んづけた。

秀吉も自分の出世のことばかり。もっと真面目に提案してください。それで誰かに恩義を売ってもよいでしょうに。

なんだか三英傑のうち二人がアッパラパーになったようにすら思えますが、これは個人が駄目になったというよりも、組織的にタガが外れて緩んでいるということかもしれません。

光秀だって、具合が悪化してしまいそうな顔にもなります。

 

光秀娘のたまに信長にっこり

そんなタイミングで娘のたまが、高坏に菓子を持って入ってきました。

思わず信長はニッコリ。十兵衛に似て器量よしだと言い始めます。

「金柑頭め!」じゃなかったっけ?と思われるでしょうか。それは主人公補正、役得という見方以上に大きな要素があるはずです。

人は、恋をしている相手はとてつもなく美しく見えるものではないですか。

染谷さんも『スタジオパーク』で語っていました。信長はずっと十兵衛ラブ。宣教師も、明智家は皆美形と証言していました。

信長はうっとりとした眼差しでたまを長め、まだ嫁には行かんのかと言い出します。

そしてわしに任せろと言うのです。

「十兵衛、よいか」

「は……」

光秀もちょっと困惑しています。

信長としては大好きな十兵衛、そのそっくりな愛娘の縁談を用意して、親密度を上げたい! 張り切ってますね。

いかにも東洋的な家父長制度って、娘を身代わりにして大好きな男性に接近することがチラホラあるわけでして。また光秀が病になってしまわないかと不安です。

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すっかりたまにメロメロになってしまった信長。またここの染谷さんの表情がうまい。安土の城を見せてやると言い出しました。

新しいお城! そうはしゃぐたまに、城自慢を始めるのです。

高い山の上に聳えたち、どこからも見える。高矢倉よりも高い天守を持つ、日輪のように光り輝き、遠くまで一望できる城――。

それをそなたに見せてやる。皆も喜ぶ。そうニコニコと語る信長です。たまが夢のようだというと、夢の城だと信長は返します。

信長は安土城計画でテンションがあがったのか、普請奉行と話を詰めると言い出します。

光秀に対しては、ゆるりと登城しろと言いつつ、去り際にこう放ちました。

「大和の話じゃが、やはり筒井に任せる。よいな」

なんだか絶望的ですね……。

話を聞いていない。信長は子どもに戻りすぎて、極めてわがまま、駄々っ子になってしまいました。

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