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もうすぐ来年の大河が始まることも逆手にとって、こんな話題性もアピールできるわけです。
そして恒例の、大河関連の史料発見です。
そしてまずは先週に関してちょっと書かせてください。公式サイトには、こんなコーナーもあるわけですが。
◆「大坂の陣」こぼれ話(→link)
やっぱりな、と思いました。
実際の通りに作ったら危険ですし、役者さんやエキストラさんに怪我などさせたら、もってのほかです。
ただし、そういう安全性の配慮は見ていてわかるんですよね。
咄嗟にかばって転んでいるなとか、この落ち方では死なないな、とか。そういう手加減はわかってしまいます。
先週の迫力不足は、兵士の「ワラワラ感」のなさも大きな要員ですが、「この程度では死なない」というのがわかってしまうのもあるかと思います。
この解決手段はやはりCGで人馬を作ってしまうことでしょう。
「うわっ、これは死人が出ているぞ!」
そう思ってしまうくらい生々しく危険な動きでも、CGならば安全ですからね。
ついでに書いてしまうと、エキストラはじめあまりに綺麗すぎた、というのもマイナスかもしれません。
あれだけ戦っても皆ピカピカで返り血もなければ、土埃で汚れてもいないのです。無双系のゲームのようですが、そんなところを似せなくてもよかったんですけどねえ。
人の生死が交錯する戦場があまりに綺麗で軽々しい描かれ方をするのはどうかな、と思います。
このへんの汚し方、戦場の生々しさという点では、『八重の桜』以下です。
あれは生々しすぎたのか、クレームも多かったそうですが。なかなかさじ加減が難しいところです。
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真田丸の活躍により幸村への信頼感の上がる大坂城内
さて、愚痴はさておき今週です。
真田丸で味方が散々苦戦した徳川家康は、次の手を使うことにしました。
頼みの綱であるイギリス製の大砲がすぐには届かないと知った家康は、大軍勢にかわるがわる鬨の声をあげさせる騒音作戦を提案します。
これがただの騒音ではなく、三十万人が三交代で怒鳴るわけです。
ちょっと想像もつかない数ですよね。
味方まで睡眠不足になりそうですけれども。自分の家の前で誰かが夜通し騒いでいることを想像すると、かなりストレスを感じると思います。
一方で大坂城の幸村は、豊臣秀頼に今後の策を語ります。
堅固な城に籠もり、相手の兵糧が尽き、寝返る者が出る者を待つという持久戦です。
秀頼はこの策に納得し、父の城を守り、父の築いた安寧の世を守り、そして父を超えたい、そのために幸村に側に居て欲しいと言います。
秀頼の言葉を叔母である秀忠の妻である江が聞いたら一笑に付すことでしょう。
江は「世はもはや徳川のもの、大坂の者たちはそれがわかっておらぬのです」と断言していましたからね(第四十二回)。
彼女の理屈に従えば、安寧の世を守るどころか乱しているのは、時代の趨勢が読めないお前だろう、と言うところでしょう。
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さらに素直な秀頼は、直すべき点があれば教えて欲しいと聞くのでした。
幸村は、大坂城の主として、自ら持つ発言力を意識して欲しいと助言します。
最終決定権は、あくまで茶々ではなく秀頼にあるわけです。秀頼は大きく頷きます。
心を閉ざした姉は誰にも本心を語らない
徳川勢の鬨の声を聞き、大坂城内は動揺しています。
侍女たちも怯えますが、ここで余裕を見せるのがいつの間にか修羅場を幾多もくぐりぬけ、すっかり古参兵のようなきりです。
ピンチでも空気を読まずにうろちょろしていた彼女も、今ではすっかり大物です。まあ、若い頃からふてぶてしさと度胸はあった気がしますけれども。
大坂方はやがて、相手が挑発しているだけで攻めては来ないと悟ります。
塙団右衛門直之は野良犬の真似をして「尻尾を丸めた野良犬どもめ!」と言い、皆の笑いを誘います。この野良犬の真似が妙にうまいのです。
幸村は茶々とも話しますが、彼女はまったく戦に興味がない様子。
茶々の居室から去り際、幸村は茶々の妹である初(常高院)から呼び止められます。
彼女は茶々の抱えた「心の闇」を語るのでした。
二度の落城、父母、兄、義父の死を目にしてきた彼女は、どこかこの城とともに焼け落ちることを望んでいる、姉を救って欲しいと。戸惑う幸村に、姉は本心を語る人ではないとほのめかします。
秀吉が茶々を側室にした回(第十九回)は、ラストが暗い演出でした。
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今しみじみ思うのは、秀吉は茶々を側室にすべきではなかった、ということです。
茶々が悪いわけではないのでしょうが、その心に巣くう闇は豊臣を暗い運命へと導くことでしょう。
これもまた運命の分かれ道です。
浅井三姉妹でもっとも影が薄いと言われがちでもある初ですが、姉よりずっと幸運でした。
天下人よりそこそこの大名夫人になるほうが人間としては幸せな人生を送れたわけです。
秀吉は茶々を日本一幸せなおなごにすると口説いていましたが、それは結局無理だったわけです。
生きていたーッ! 怪我は完治しておらずとも昌幸への忠義は失わず
一方、江戸の真田屋敷では、真田信之と平野長泰が大坂へ食料を密輸する手はずを整えています。
七本槍として、せめて豊臣に尽くしたいと語る長泰。柄にもないけどよ、と泣き落としにかかります。
彼が一番身軽でこんな危険極まりないことができるのは、おそらく最も出世コースから外れたからだと。大名になっていたらそうそう危険なことはできないはずです。
妻のこうから道中で食べる干飯を渡され、信之もいよいよ出立します。
その前に稲が立ちふさがります。苦悩する稲ですが、奥の手がありました。
コツコツと杖を突く音を響かせ、出浦昌相が出てきました。真田家の家老です。
「大坂に行ってはなりませぬ!」
生きていたーッ! 生きていたのは知っていたけど、史実ではあるけど、やはりこうして見ると灌漑深いぞ、出浦さん! 家老なのにその赤と黒のあやしい服はどうかと思うぞ出浦さん! やったぞ出浦さん!
昌相は家康暗殺未遂事件(第三十一回)で負った怪我は完治していません。
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後遺症に苦しみつつも昌相は信之を止めます。
かつての彼ならばむしろノリノリでどうすれば家康の首を取れるか提案しそうなところですが、彼が危険な賭けをしてもよい相手は、真田昌幸ただ一人ということでしょう。
昌相に忠義は昌幸に捧げられています。彼は信之の危険な賭けや思いはどうでもいいのです。今、念頭にあるのは、昌幸が残した真田の家なのですから。
詫びて立ち去ろうとする信之に、昌相は何かを投げつけます。
このあと信之は足止めされたららしく長泰だけが旅立ちます。
信之は鳥もちをかぶって「なんだこれは!」と苦しんでいます。
粘着テープ式ネズミ取りに引っかかった猫のような惨状です。どこまでも不憫なお兄ちゃんです。
春は息子・大助の武勇にヒステリックな反応
大坂城では、真田家の面々が大助初陣の武勇を褒めて浮かれています。
しかしただ一人春は、この先が長い大助に危険はことをさせるな、嬉しくない、そういう危険なことは老い先短い奴にやらせろ、と激昂します。
なかなかきついことを言う春ではありますが、息子の将来に思いを馳せる彼女が、その息子が死へと向かうときにどんな反応をするか、今から不安になってきます。
「つまり、
わしがやれってことか?」
春の言葉に内記はそう突っ込み大笑いします。
鬨の声が毎晩響く中、堀田作兵衛は城内で畑すら作っています。長期戦を覚悟しているわけです。
夏になれば青物がたっぷりできると見通しを語りますが、これもまた伏線でしょうか。
一方で挑発されっぱなしでおそらく睡眠不足であろう牢人たちはストレスをためていました。攻め手の徳川秀忠も、遅々として進まない戦況に苛立ち、攻めてはどうかと遅々に進言しています。
しかし家康は焦っていません。彼はありとあらゆる手を使うつもりです。
この家康の、焦らず余裕綽々の様子がまさにラスボスです。
憎たらしいと同時に、これは倒せないと思わせます。
幸村調略のため真田信尹が城内へ 祖母の葬儀以来の再会果たすも
まず第一手は真田信尹(のぶただ)です。
しばらく徳川から遠ざかっていた彼はわざわざ呼び出され、甥である幸村を調略するよう依頼されるのでした。
幸村を調略するために、家康が提示した石高はなんと十万石。信之以上です。
まさに破格のスカウト提案ではありますが、信尹はそんな勧誘は無駄だとわかりきっているため、甥の知略と忠義を褒め称えた上で、きっぱりと断ります。
しかし家康はしつこく、やむを得ず引き受けることに。久々に聞く叔父上の美声、端正なたたずまいは相変わらずです。
信尹は甥の子である真田信吉・信政の陣を訪れ、そこから佐助に連絡を取ります。
信尹は城内に入ると、幸村と酒を飲み交わします。
二人の再会はとりの通夜以来とのことです。世間話や互いの消息を確認しあう二人。
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ここで注目したいのが、信尹が「信政は兄をたてることを知らん」と危惧しているところでしょう。
人生の大半を、昌幸という厄介な兄をたててきた彼が言うと説得力が違います。
ちなみに信尹は昌幸と同母兄弟ですが、生年が同じという説もあるらしく、そうなると双子か、あるいは相当近接した年の差になるわけです。
若い頃は自分こそが真田家当主に向いていると信政のように不満を募らせていたかもしれませんし、兄には到底かなわないと感服していたかもしれません。
いずれにせよ、そのような人生を送ってきた彼からすれば、信政の態度は幼稚なものでしょう。
信尹は去り際、幸村に家康からの書状を渡します。
「読まんでいい」
そんな一言を添えて。
幸村は即座に書状を破き燃やします。
信尹はそのまま調略失敗を家康に報告するのでした。
家康は失敗にさほど落ち込むわけではなく、何やら楽しそうですらあります。家康としてもこの手は成功したら儲けもの程度の認識なのでしょう。
裏切り者の織田有楽斎がイイ仕事をしよる……
第二の手は、城内の裏切り者である織田有楽斎を使い和睦工作をすることでした。
有楽斎はスパイとして大変優秀です。
彼が和睦を持ち出すとセットで大蔵卿局もついてきて、秀頼に働きかけますからね。
なぜ片桐且元を追い出して、こいつは処断できないのでしょうか。逆ならよかったのに。
秀頼は有楽斎と大蔵卿局コンビに抵抗をしますが、結局は折れてしまいました。
見せ場が持てなかった牢人たちは怒り出します。
幸村は有楽斎に佐助をつけ、動向を監視。
和睦を覆せないかと大野治長に頼まれ、最終手段である茶々の説得に向かいます。自分でどうにかできないのが治長の哀しさ。
茶々は本心を明かします。
秀頼と一緒にいられればいい、城を手放してもいい、どこか遠くの小さな国に行き皆で暮らせればそれでいい、とのこと。
だからそれは、第四十回で片桐且元の提案を聞き入れていればよかったんですよ(江戸に人質として行くから母子が別れてしまいますが)。
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幸村はそのことは士気低下を招くから黙っていて欲しいと懇願し、和睦を覆すよう茶々に頼みこむのでした。
茶々は秀頼や大蔵卿局のもとに向かい、和睦案をひっくり返します。
秀頼は、決定権はあくまで大坂城の主たる自分であると主張しますが、茶々はその秀頼を産んだのは自分だ、まことの主はこの私だと一歩も譲りません。
秀頼は幸村に助けを求めますが、幸村は素知らぬふりをしています。
呆然とした秀頼は、幸村にすがるように問いかけます。
そなたこそが私が大坂城の主だと言ったではないか、己の言葉の重みを知れと言ったのはそなたではないか、と。
幸村は父譲りの胡散臭い表情を浮かべて述べます。
「確かにそうは言いましたが、戦をするためにここにいるんですから、その意志にあなたが背いたら全力でひっくり返しますよ」
秀頼の胸中はいかばかりでしょう。不信の種がその胸中に植え付けられたのではないでしょうか。
家康の甘いウソに居場所を漏らす葛藤の豊臣忠臣・片桐且元
イライラの貯まった牢人たちはストレス発散のために、夜襲をかけようとしています。
厨でイワシの酢漬けを食べつつ、発案者の団右衛門を囲んで毛利勝永、後藤又兵衛、長宗我部盛親、明石全登、木村重成らが語り合います。
このうち元親、全登を除いた面々で討って出ることに。
このやりとりを元親は幸村に報告。
止めるかと思ったら、幸村もまた持ち場の真田丸を離れ、夜襲に参加するのでした。
今までの憂さ晴らしとばかりに、敵に襲いかかる面々。
槍が折れても大暴れする又兵衛、「名刺を置いて去って行く」自己顕示欲の塊である団右衛門。
先週暴れる場面がなかった組が、今週はがんばります。
幸村も、先週とはうってかわって黒い甲冑を身にまとい、指揮官というより前線の異常に腕が立つ兵士として暴れ回ります。
堺雅人さんの殺陣、いいんですよねえ。かつては剣豪の塚原卜伝を演じたほどです。
徳川軍に、いよいよ秘密兵器であるイギリス製大砲が届きました。
家康は且元を呼び寄せ、茶々の居室を聞きます。そればかりは言えないと固辞する且元に、家康は甘い言葉をささやきます。
「いや逆だって。女の居室を狙うなんて卑劣じゃん? むしろ当てるとまずいから聞いているんだって!」
ミエミエの嘘ですが、且元は見事にひっかかって天守南側だと吐いてしまいます。
家康は当然、天守の南を狙い撃ち。
城内ではきりの後輩であるお寸が「あなたは私のあこがれです!」とわかりやすい死亡フラグを口にするのですが。
次の瞬間、CGで描かれた大坂城上空を、カルバリン砲の砲弾が飛んでゆきます。
このカルバリン砲が活躍したのが、イギリス海軍がスペイン海軍を大敗させた1588年(天正十六年)アルマダの海戦です。
軍艦に搭載する大砲ですから、飛距離はかなりのものです。
カトリックは×でプロテスタントが◯な理由
明石全登は徳川幕府の切支丹禁令に苦しんでいますが、徳川幕府が対立していたのはカトリック教国のスペインやポルトガルでした。
戦国時代には日本に多数の宣教師が来日しており、これにも理由がありました。
当時ヨーロッパではプロテスタントが勢力を伸ばしつつあり、カトリックは危機感をつのらせ、キリスト教徒にとっては未開の土地で信者を増やそうとしたわけです。
このことが日本の為政者の反発を招いたのですが、同じヨーロッパ人でも積極的に布教しようとしないプロテスタントの国ならば別でした。
イギリスやオランダは徳川幕府と友好関係を保っていました。
のちにイギリスは来日を辞めてオランダのみが通商関係を結びますが、江戸初期にはイギリスと貿易をしていたわけです。
そうして購入したのが、この大砲。
一発の砲弾が多くの人の運命を狂わせるという不吉なナレーションとともに、砲弾は茶々のすぐ側の屋根を破壊します。
茶々本人は助かったものの、お寸はじめ数名の侍女が崩れ落ちた天守閣に潰され即死。
茶々はこれに驚くどころか、どこか恍惚とした表情で息絶えた侍女に近づいてゆきます。
きりが必死で止めますが、その茶々の頰には淡い笑みすら浮かぶのでした。
茶々は子供が父母の元へ駆けよるように、死を求めて進んでしまうのです。
彼女の死は目前に迫っているのですが、それこそが彼女が求めてやまない安息なのかもしれません。
MVP:茶々
久々に登場した出浦昌相と真田信尹もよかったのですが、最後の場面で彼女に。
砲弾で圧死した侍女に這い寄ろうとする姿は鬼気迫るものがありました。
この人はずっと、小谷落城から死にとらわれていたというのが本作の解釈なのでしょう。
その闇に本人すら無自覚で、同じ経験を共有する初でないとわからないというのがなんとも恐ろしく、哀れなのです。
次点は出浦昌相。
昌幸に忠義を尽くし、さらに乱世に戻そうと何度もしてきた彼。どうやって真田家の家老として丸くおさまるのか気になるところでした。
昌幸の忠義があればこそ、ああした行動を取るわけです。
昌幸の策には命と真田家を賭けることができても、信之にはできないわけです。
しかしそもそも昌相が死にかけたのは、石田三成に載せられた昌幸による、極めて雑な家康暗殺計画のせいだったわけでして。
昌相の言う「昌幸の策は計画性があったし先が見えていた」という台詞は、ある意味この人が言ってはいけない……昌幸にのめり込み過ぎていて、客観的に見ることができなくなっていた、そう好意的に解釈しましょう、ってことで。
もう一人の次点は、真田信尹です。
この今まで無名だった人物に、見るからにただ者ではないという雰囲気を与えているのは、演じているのが栗原英雄さんだからこそです。
彼もまた『あさが来た』の五代友厚と同じ効果が出ています。
即ち、今まであまりお茶の間では有名でなかった役者が、これまた一般の人には知られていない人物を演じることで、ミステリアスかつ新鮮な印象を与えるというものです。
久々に見た彼は本当に素晴らしかったです。
総評
本作の持ち味はまさにジェットコースターです。
持ち上げて落とし、持ち上げて落とし。
先週かつてない高みに私たちを導いて「これ勝てちゃうかも!」と思わせておいて、今週のコレですよ。ひどい!
しぼんだと言えば、これで和睦になれば、あの真田丸セットもお役御免であるわけで。予告編を見ているとどっと虚しさが押し寄せました。
超高速関ヶ原でも痛感しましたが、斜め上のリアリティ狙いで、主人公の味わう虚しさを視聴者にまで味わわせようとしていませんか。
私は嫌いじゃないんですが、決して嫌いじゃないんですが、この意地悪さとカタルシスをそう簡単に味わわせない本作って、相当あくが強くありませんか。
このあいだ三谷さんが朝日新聞で伏線について書いたそうですが、今週は伏線バラ撒きの回でした。
秀頼の父を超えたいという決意、春の大助への言葉、秀頼の幸村への不信感。
そういったものがこれから先、痛みとともに突き刺さってきそうです。
大坂編の主役は幸村だけではなく、茶々もそうなのだと思った回でした。
勝つために、生きる望みをつなぐためにここに来た幸村や仲間たち。
しかし茶々は本人でも無自覚のうちに、死を望んでいるというおそろしさ。
そんな茶々の破滅願望を見抜き、きりが目を光らせています。危ういバランスの中、まだ大坂城の面々は持ちこたえています。
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著:武者震之助
絵:霜月けい
スポニチさんに以下の記事が掲載されておりました。
◆「真田丸」最終回は大河異例の無題!屋敷CP「皆さんが副題を付けて」(→link)
真田丸では毎回、漢字2文字で『◯◯』という副題が(今回であれば『砲弾』というように)付いておりますが、最終回は『無題』ということだそうで。
視聴者一人ひとりに決めて欲しい――という粋な図らいです。
てなわけで武将ジャパンでも最終回のコメント欄にて募集させてもらいます! よろしければご意見いただければ幸いです。
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【参考】
真田丸感想