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【青天を衝け第5回感想あらすじ】
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慶喜パートをメインにしてもよいのでは?
狐憑きは必要だったのか?
『八重の桜』の八重パートくらいに栄一パートを圧縮してもよかったのでは?
そう思える展開ですが。
いつになったら慶喜と栄一が合流するのかな?
と言いますと、これがなかなか厳しい。
この二人の絆は、むしろ明治以降、最晩年の『徳川慶喜公伝』執筆がらみの気がします。
ゆえに「バディ」とまでは言えない。
◆ 草なぎ剛がカギを握る「青天を衝け」の命運 吉沢亮の最強の「バディ」となれるか(→link)
慶喜が人生最大の決断をした明治に時代が変わるころ、渋沢栄一は海外にいてその場に立ち会っておりません。
その当時のバディはむしろ幕末三舟(勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟)あたりが適任でしょう。
なぜ勝海舟は明治維新後に姿を消したのか?生粋の江戸っ子77年の生涯
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山岡鉄舟~西郷を説得して無血開城を実現させた生粋の武人53年の生涯
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栄一としても、あまりにあっけない慶喜の決断に不可解なものを感じていて、謹慎所で語りかけた。
しかし、慶喜はその問いをはぐらかし答えません。
これは慶喜の性格も大きい。
彼はスフィンクスのようで、なかなか本音を語らず、不可解な印象を与えます。
魅力的で聡明なようで、どこか冷酷。打ち解けられない。一体何を考えているのか? そういうモヤモヤ感は残ります。
「慶喜には悲哀がある! これぞ草彅剛さんの真骨頂!」
そういう感想も見かけますが、はなから幕府が滅びるとわかって行動していたとすれば、幕臣から「ふざけてんのか」コール間違いなし。
確かに途中で何もかも嫌になって投げたと思われる言動もないわけでもない。それが慶喜の難しいところですが、そこをありのままに描いたらブーイング待ったなしだと思いますよ……。
その点『八重の桜』の小泉孝太郎さんは素晴らしいものでした。
栄一は納得できない思いがあったからこそ、慶喜の名誉回復や伝記編纂に取り組んだという見方もできます。
ただ、資本主義の父と銘打って明治の世を生きるとなれば、そういう懐古路線を描くのは迷走になりかねません。
明治の世を作ることを描くと言いながらやっていることは趣味に生きる慶喜と、懐古主義の栄一。そんなチグハグなバディはないでしょ?
初動からしてどこかずれております。
よりにもよって、なぜ渋沢栄一を大河の主役にしたのか?
謎は深まるばかりです。
低刺激歴史劇でほっこり安心
こんな記事もありました。
◆ 吉沢亮の『青天を衝け』が世界的人気の海外ドラマに学ぶべき点とは(→link)
豪華な役者がイイ!と褒めちぎってる上記の記事も、後半部では「説明ゼリフ」が多すぎる点をさりげなく批判しています。
その上で海外ドラマから学ぼう、と指摘しているのですが、ぶっちゃけ無理では?
13歳設定少年の半裸で盛り上がる――そんなガラパゴス個性が本作の売りですからね。とてもじゃないけど海外ドラマに学べるとは思えません。
というのも、序盤で流血がないことからもお察しでしょう。
過去大河を振り返るなんてごめんだ。けれども、初回で人が撃たれたり、兵士が燃え上がりながら転げ回ったり、茶に毒を仕込んで飲ませる横で歌ったり、連歌会で暗殺未遂をやらかしたり、一回の間に複数名が暗殺されたり、生首が箱詰めプレゼントになっていたり……そういうエキサイティングな場面が盛り沢山だった年はよかったと思いますよ。
2010年代の『ゲーム・オブ・スローンズ』大ヒット以来、やはり歴史ものは謀略と惨殺が最先端! 祝言結婚式で惨殺だ!
来年の『鎌倉殿の13人』は、脈絡もなしに大量流血すると信じています。
データ解析で答え合わせ
本作の神通力もちょっと翳りが出てきたようです。あざとい狙いは指摘されています。
◆「青天を衝け」15・5%で「ポツン」と並ぶ 同時間帯3強で4週連続1位死守も…(→link)
◆NHK大河『青天を衝け』、吉沢亮に「美しい」の声続出も「話に入り込めない」「女性視聴者を狙いすぎ」と不満上がるワケ(→link)
予想通りとはいえ、危険な兆候はデータではっきりと出ているようです。ナルホドという分析です。
◆展開なきドラマの憂鬱~主人公・渋沢栄一の出身地からも見放され始めた『青天を衝け』の課題(→link)
↑
こちらの記事では、視聴者層を踏まえての分析に力を入れていました。
主役は女性に人気の吉沢亮だが、主婦層では粘っているものの、未婚女性は半減近くまで下がってしまった。
どうやら40代女性に支持されていても、それ以下はそうでもない様子。
若い世代はVODで韓流や華流を見ているのでしょう。あるいはドラマ以外にも魅力的なコンテンツがわんさかあってテレビなど見ている場合じゃありません。
「そんなはずがない! SNSでもみんなふんどし姿にほっこり!」
そんな印象を抱いているとすれば、典型的な【エコーチェンバー】でしょう。
また「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一を描くドラマなのに、その分野の関心層が大きく後退しているのは如何なものだろうか。
ビジネス番組好き、課長・部長などの管理職、さらに金融・サービスなどの三次産業従事者の下落ぶりが目立つ。その方面の物語がなかなか始まらないことへのいら立ちと見ることが出来ようか。
渋沢栄一と言えば、やはり起業・創業を始めとしたビジネスエピソードが魅力ですからね。
そっち方面の物語がなかなか始まらないことへのイラ立ちかもしれません。
実際、当初はSNSを見ても、そういう層が教養をアピールしつつ見ている感触がありました。書籍、ネットニュースも花盛りの様相ではありました。
しかし、いざ放送が始まってみるや……内容のレベルが低い、説明セリフが多い、女性向けお色気サービスと少女漫画もどきばかり。
となれば、この層は減衰あるのみ。一度離れた大河視聴者は、なかなか戻ってきません。
そして極めつけがドラマ好きの支持でしょうか。
そして最も気になるのが、ドラマ好きの視聴率急減だ。
初回11.3%から3話で7.9%と3割を失った。「ドラマとして面白くない」という声に、制作陣は真摯に向き合う必要がありそうだ。
「ドラマとして面白くない」とはっきり記されてしまいました。
以下の記事はSNSも絡めてデータ分析したものです。
◆ NHK大河ドラマ「#麒麟がくる」「#青天を衝け」Twitterでのハッシュタグ出現数を調査(→link)
興味深かったのは次の部分でしょう。
「#麒麟がくる」では、主演の「長谷川博己さん」が上位にランクインするも、以降は「信長様」「帰蝶様」などの役名が上位を占めました。
「#麒麟がくる」はストーリー中の登場人物に注目が集まっていましたが、「#青天を衝け」は、出演者に注目が集まる傾向にあり、出演俳優の女性人気の高さが、女性ユーザーによる反響数の増加を後押ししたようです。
ようするに本作は「PV路線ドラマ」ということですね。
作り手も理解していて、歴史というノイズは避け、徹底してほっこりきゅんきゅん路線でいくのでしょう。
ただ……こういうことは「経営者層やマネジメント層など、日本の未来を創るビジネスリーダー」を自認する層との食い合わせが悪い。
こういうビジネスリーダー層は、渋沢栄一大河ということで注目していましたが、露骨にほっこりきゅんきゅんをやらかすと、かえって嘲笑と攻撃に回りかねません。
ただでさえ、彼らは潜在的に女性と若手イケメンがお嫌いでは? 日刊ゲンダイさんほど露骨に出さなくとも、本音はそうでしょう。
それにしても不思議です。
ここまで露骨に役者の女性ファン頼みとなると、果たして渋沢栄一というテーマを喜んで映像にしているのかどうか?
数字が取れないからこそ、こういう保険をかけるようなことをしているのかと疑念を感じます。
「へえ、今年の大河見てるんですか? キュン死目当てですか、ハハッ」
全国各地で大河ファンの女性がこんなことを言われているのかと思うと、心の底からいたたまれません。
未来ある役者さんの経歴に傷がつきませんように!
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
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◆青天を衝け感想あらすじレビュー
◆青天を衝けキャスト
◆青天を衝け全視聴率
文:武者震之助
絵:小久ヒロ
【参考】
青天を衝け/公式サイト