青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第5回 感想あらすじレビュー「栄一、揺れる」

2021/03/15

代官の暴虐に怒る栄一13歳。朝から晩まで働いて稼いだ百姓の銭を事も無げに取り立てる悪政に、怒りを燃やします。

世を憂いているのは尾高惇忠も同じく、このままでは清国のようになると悲観し、書物を栄一に渡してました。

無我夢中で読み、栄一は正義感に目覚めます。

ここで家康が「今の教科書に載っていない」として士農工商を説明します。

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アヘン戦争を知った栄一はメリケンに魂を奪われると慌てふためき。

尾高長七郎はその知識を捕捉しながら、夷狄を倒すために剣を学ぶと語る。

そんな中、千代はまだ控えめな性格を見せ、兄たちへの心配を語ります。まだ幼い弟は、姉様は俺の嫁になると言い出します。微笑ましいですね。

 


姉・なかの縁談を阻むもの

渋沢家では、姉・なかの縁談が暗礁に乗り上げています。

相手の家にはオサキギツネが憑いているので避けたいのだとか。狐騒動で、渋沢家は持ちきりです。

狐を払うべく連れていけと言われ、栄一はなかのあとを追いかけます。

滝に向かってゆくなか。入水自殺するのでは?と栄一が慌てて止めます。

結局、破談となりました。

そのころ江戸では、疫病が流行。

徳川斉昭は夷狄の毒が深くなっていると憂慮します。

と、そのことを聞いた徳川慶喜は、父の暴走を不安視しています。

斉昭は、アメリカ、イギリス、ロシア相手に開国しようとする幕府の弱腰を罵るのです。

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すると下田で大地震が勃発。津波が発生して、波に呑まれたロシア船が転覆してしまいました。

それを喜び、ロシア人を皆殺しにする!と言い切る斉昭。

必死になって阿部正弘が止めようとしますが、斉昭には通じません。

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藤田東湖が家に戻ると、息子の小四郎がういうしく迎えます。

平岡円四郎と慶喜が来ておりました。

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東湖のところへは西郷吉之助(西郷隆盛)や橋本左内が訪れたそうで、慶喜も夷狄について尋ねます。憂国の志を語り合うのでした。

 


姉思いの栄一、迷信を暴き、激動の幕末へ

そのころ、栄一はなかの後ろを付いて回る日々を送っておりました。

怒ったなかが喜作に食って掛かると「狐憑きだというのは本当か?」と語られ……そんな姉について回る栄一まで「腰抜け」呼ばわりされるのでした。

千代だけがなかの傷心と栄一の行動に理解を示します。

傷心のなかには、栄一の父・渋沢市郎右衛門も状況を憂慮。翌日、二人で仕事の旅に出かけます。

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そんな中、栄一の家に祈祷師がやってきました。

「ほこらを建てろ」と言う口寄せに、きっちり年月を問いかけ、論破する栄一。神罰を下すと言う相手に、怖くねえと啖呵を切ります。勇敢さが際立っていますね。

なかは狐憑きだけど、玉藻前ほど美人ではないとからかう栄一。そんな伝説を知っている教養が光ります。

そしてその年、安政2年(1855年)秋。

安政大地震が江戸の町に襲いかかりました。

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「東湖! 東湖! 東湖!」

と半狂乱になって叫ぶ徳川斉昭

まるで死ぬことがわかっていたかのように探しまくる姿に一抹の不安を感じさせるのですが……。

地震で倒れた建物の下敷きとなり、藤田東湖は圧死してしまいました。

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総評

コロナ禍のニーズをよく学んでいる大河というのでしょうか。

アマビエが出てくるなんてびっくり!

美男美女のさわやかな笑顔。

国難に立ち向かう強い意志。

「士農工商」なんて教科書に出ていません――そんなトリビアを、忙しい現代人のためコミカルに説明してくれる。「大河で言ってたけどね」というトークがありそうですね。

難しく、暗く、見ていて気持ちが落ち込むようなドラマは、大河だろうと見たくはない。

そういう時代のニーズを理解した秀才タイプのドラマだと思いました。

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そういうほっこりニーズが、令和という時代なのでしょう。公式Twitterで史実と解説していたとか。

こうしたネタを選ぶセンスは素晴らしいと思います。瑣末な出来事ばかりを目立たせ、政治状況説明を省いていなければ……。

「実は史実です!」という小さなエピソードを刻んでふりかける手法は『西郷どん』の時もそうでした。

でも……それで良いのでしょうか?

本作を見ていて心から楽しい!と思われる方はここでページを閉じてください。

「なんだか腑に落ちない……」と感じる方だけ、この先をお読みいただければと思います。

 


転生賢者の幕末ライフ

毎週、見ていて焦燥感が募り、いつの時代のドラマなのかと驚かされています。

狐憑きの話をここまでじっくりやる意味があるのか?

意図はわかります。迷信の打破でしょう。これについては後述するとしまして。

栄一はまだ13歳。でも無茶苦茶賢い。まるで「転生賢者の幕末ライフ」のようです。

13歳ということと、演者がそれよりもずっと年上であることと、演出と脚本の拙さが入り混じって無茶苦茶なものを感じます。

幼稚さと早熟さが混ざっていて、バランスが悪いのです。いちいち叫ぶし、発声もおかしい。

ただ、これがニーズに即した少年描写だとは思います。

『麒麟がくる』の松平竹千代は、冷静すぎてありえないと言われていましたっけ? あれはあれでリアリティのある描写でしたが。

要するに、演出が古いということも指摘したいところです。

 

動く顔文字のような演技と演出

演出がいちいちおかしい――それが顕著だったのは藤田東湖が亡くなった場面です。

「ちちうえーちちうえーちちうえー」

「とうこーとうこーとうこー」

って、いつの時代でしょうか?

昭和の名脚本家・笠原和夫のエッセイを思い出しました。

彼は、我が子が戦死した母を描くとき、そのリアリティを考えました。

戦死したと告げられた時は、涙一つこぼれず、呆然とするだけ。

けれども、帰り道で眺める景色は、我が子の遊んだ山であり川。

そう気づいたとき母の目から涙が溢れ出す。

そんな実際にあった話のように描こうとしたところ、制作サイドからダメだしをされました。

観客は【我が子の死を聞いた途端にワアッと号泣する母の像が見たい】というのです。

劇場型とでも言いましょうか。本作も、そういう演出のようです。

『麒麟がくる』において、息子・織田信勝(信長の弟)の死を嘆いた土田御前はどうだったか?

どうにも演出のレベルが落ちているようで気になります。

剣術関連は、怪我をしそうな危ない動きで見ていてヒヤヒヤします。なんだかコロナ禍の影響で撮影がずれ込んだ分、急ピッチで進められ、現場が不十分な準備のままで走っているような……。

家康の雑な士農工商論もどうしたことでしょう。

そういうことは予備校の授業のように解説するのではなく、噛み砕いてプロットに入れてこそ腕の見せ所ではありませんか?

一言でいえば禁じ手でしょう。あの場面で受けたツイートばかり拾って、作品そのものを好評とするニュースが目立ち、どうにも違和感を覚えます。

幕府の重臣たちが座らずにトークをしてばかりなのもちょっと理解できない。

スタンディングで話すブームでもあるんですか?

『花燃ゆ』でも武家女性が立食パーティもどきをしていて度肝を抜かれましたが、座って話せない理由ってなんでしょう。そのうち立ったままカナッペでも食べそうです。

まぁ、それが好きな人もいるとは思いますが。

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OPに新技術を取り入れたことはわかりますが、センスが古ければあまり意味がない。

流行とは、親世代がカッコ悪くて、祖父母世代がクールに見えるものなのだとか。

2020年代は、1970年代以前回帰がクールになります。一方で1980年代から2010年代のものはとてつもなくダサい。

本作はそういうダサさが滲んだセンスが漂っているのです。

そしてもうひとつ。VFX予算をOPに使いすぎました?

本編はあまりに手抜きがひどく、8年前の『八重の桜』よりレベルが落ちていません?

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やはり、他の方の感想はためになります。

あの給仕の場面は、演技あまりにがわざとらしくて、なんだかなぁ……としらけてしまいました。

古い漫画に出てくる、メシマズ女子みたい。あそこまでわざとらしく失敗するのか? ウケ狙いであざとい。

ただ、そこをもっと踏み込まねば!

食事の給仕を、まださして親密度もあがっていない者にさせる武家の棟梁(慶喜)。太平の世が続いたということかもしれません。

『麒麟がくる』では、茶や汁物に毒を仕込む場面が何度もありました。毒殺の危険性があればこそ、江戸時代の大名も毒見役経由で食事をしていたものです。

それがあの場面では、むしろほっこりしていた。

ほっこりして萌える〜……そういう楽しみ方って、広まりすぎて過剰になっていると思えるのですが、どうなのでしょうね。

 

迷信の是非を描くことは否定しませんが

狐憑きの長い話は、合理的かつクールに迷信を否定する栄一を描きたかったのでしょう。

けれども、これがどうしたって昨年の『麒麟がくる』に遠く及ばないのはどうしたものでしょう?

織田信秀が熱田神宮の神官を連れて戦場に来る一方、その嫡子である信長は仏間で暴れ、母に叱られても反省しない。それどころか、仏罰を楽しみにしてしまう。

信仰心にあまりに無頓着な信長は、帝すら気に入らないとなれば、追い詰めるようなことをしでかす。

迷信を否定するどころか、歯牙にも掛けない傲慢な信長は【理】で動く。

そんな【情】を軽視する信長に懸念を覚える光秀。

そんな対比がうまくプロットに組み込まれていたものですが、今年はこんなところですかね。

「迷信否定してかっこいい〜!」

まあ、わかりやすいって言えばそうですけど……。

 

“青天の呪い”と進撃の水戸藩

迷信は否定しよう、そう、栄一のように!

しかし、このドラマが始まって以来、渋沢栄一と関係の深いみずほ銀行で大きなトラブルが起き、ゴメンナサイでは済まされない事態に陥っているようです。

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それにあの迷信否定は、深刻な事態をもたらしかねません。

斉昭の攘夷ぶりが暴走しています。この手のナショナリズムとヘイトは表裏一体かつ陰謀論にもツッコミかねません。

水戸藩や一橋家を描くとなれば、ここはどうするのか?

しかも、現実において危険なナショナリズムと陰謀論が結びついて、ニュースになっております。

Qアノンによる議会を襲撃事件を思い出してください。あれが成功して議員なり大物に犠牲者が出ていたら、どうなっていたか? その結果、政権に大打撃が与えられたら?

序盤の見どころになる【桜田門外ノ変】もそういうことなんですね。

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冷静に考えたらやってはいけない話なのですが、日本人はこれでテンションが上がった。

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このあと京都守護職になった会津藩と、その配下の新選組についてはこんな誤解があります。

「あいつらは幕末でも際立ってクレイジー! 拷問、同士討ち、おそろしやー!」

いや、そんなわけありません。むしろ松平容保は「言路洞開」、話し合いで解決したいと当初考えていた。

それが京都にいる連中が殺人、遺体損壊、拷問……リアル『ゲーム・オブ・スローンズ』のようなことをやらかしているから、抵抗するしかなくなったんですね。

その源流を辿っていけば、暑苦しいあのMアノン、エルディア復権派のグリシャ・イェーガーじみたテンションの水戸藩にいきつくわけで。

まぁ、水戸藩は内部抗争で自滅し、明治以降に必要な人材が枯渇してしまったのですが。

問題は「桜田門外ノ変」です。

「テロはあかんけどさぁ……アレのおかげで維新に向けて突っ切れたのは確かだよね。井伊直弼を悪党ってことにすりゃいいんじゃね?」

こういうノリでモロに歴史修正をされてしまった経緯があります。

暗殺に対しては否定的な司馬遼太郎ですら、この一件は例外にするくらい。

しかし、それではいかんでしょ――という高い志のもと井伊直弼を再評価する動きもあった。

記念すべき大河ドラマ第一作『花の生涯』とその原作です。

それがどうでしょう。半世紀経て、水戸藩の賛美が再び始まった。Mアノンを称えてる。

想像してみてください。Qアノンのシャーマンがイケメンにされて、正義のために戦う設定を。

当時の会津藩士である山川浩が「あの頃の尊王攘夷思想やべえ……神風吹いたら勝てるとかそういうレベルでイカれてた」と回想しています。

幕臣の江間政発だって「ぶっちゃけ、敵をぶち殺す理屈として後付けるするためのモンだったな」と指摘。

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みずほ銀行は、ミスを繰り返したあまり、経営陣の進退まで問題になっているそうですが。

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NHKは大丈夫でしょうか?

大河は2015年(大麻逮捕)、2019年(オリンピックの呪い)、そして2021年もなんだか危うい。

朝ドラでも、2017年下半期モデル企業がとんでもないことになりましたっけ。

オカルトだけとは言い切れない、背景にあるテーマ選出の甘さ。

大丈夫でしょうか?

 

今週もキュンキュンしちゃった?

本作に必須のキュンキュン要素。

毎週きちんと取り込んでいるので安泰でしょうか。

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“キュン死”は死語に入りかけているようですが。

性的なハメの外し方を“やんちゃ”でマイルド化させるとは……。

下半身に人格がない、権力やら金銭やらをちらつかせて性的関係を迫り放題だった人物を“艶福家”と呼ぶ。

いずれにせよ、21世紀に残したい言葉ではないでしょう。

当時の価値観だのなんだの言い訳は必ずしも当てはまりません。

新島襄のようなプロテスタントからすれば、日本の政治と経済大立者による激しすぎる女遊びなんて話にならない。

福沢諭吉は当時から「東洋も西洋もゲスはゲスだが、日本人はあからますぎる!」とキレまくっていた。

典型例として挙げられるのが伊藤博文ですね。

伊藤博文顕彰は当時から「あんな下半身に人格のない奴を褒めるのか?」という批判とワンセットでした。

明治天皇すら呆れる。あの鹿鳴館利用が下火になったのも、彼が性的暴行事件を建物内でやらかし、報道されたことが一因です。

渋沢栄一の伝記を書いた幸田露伴は、彼の女性関係を調べた結果、「あの人の話はやめましょう」と話を逸らすようになる。

「でも吉沢亮さんはイケメンだから……」

ってのも、どうでしょう。むしろ彼のイメージ悪化に繋がらないか、不安になります。

【ただしイケメンに限る!】という言葉もまた、程なくして死にゆく偏見でしょう。

今やハリウッドスターすら、性的暴行やDVで降板騒動が起きる時代です。

 

朝ドラ役者でセクシー&クールに

そういえば、先週のお風呂シーンを覚えてらっしゃいますか?

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あまりに突然のことで一瞬言葉を失った私ですが、少し考えてみると既視感もあったんですよね。

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「朝ドラのヒットのセオリーを大河でもやりましょう! 大河に女性層をひきこむためには、多くの課題があります。でも、だからこそ朝ドラのように楽しく、クールで、セクシーに、キュン死させるよう取り組むべきです! 朝ドラは女性向けである。その女性ファンを増やすためには、セクシーであればあるほどいい」

そんな深慮遠謀でしょうか。

しかも、渋沢栄一は昭和まで生きていますからね。

『あさが来た』の広岡浅子(演:波瑠さん)は言うまでもない。

がんばれば『わろてんか』から吉本せい(演:葵わかなさん)と小林一三(演:高橋一生さん)、『エール』から古関裕而(演:窪田正孝さん)と古賀政男(演:野田健次郎)だって(※かなり無理をすれば)出せてしまいます。

朝ドラオールスターをセクシーに出せばよいのではありませんか?

あ、でも『麒麟がくる』での疲れもまだありそうなハセヒロさん、染谷将太さん、尾野真知子さんには止めておいてください。

『鎌倉殿の13人』を控えた中川大志さんや片岡愛之助さんも準備がありますので、それ以外でどうでしょうか。

『風のハルカ』はもう定番ですね。

これは升毅さんも出るかな? 義理堅い役者さんが集まりそうです。

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ある朝ドラ脚本家は、もしも大河オファーが来ても引き受けないと言いました。

「お前ごときにオファーが来るか!」

そう散々叩かれておりましたが、あの人は賢かったと思います。大河で大失敗して、翌年に別の大河をみて、

「こういうもんだよな、大河って……」

とつぶやくようでは手遅れですから。

 

蠱毒の大河

朝ドラよりも、ここは大河ですね。

実は富岡製糸場関連をはじめ『青天を衝け』と距離が近いのは『花燃ゆ』です。

『八重の桜』からの綾瀬はるかさん八重役には無理があっても、『花燃ゆ』から井上真央さんが美和役として登板することは無理がありません。

『八重の桜』とキャストがかぶっていたのは『麒麟がくる』。今年はもういいでしょう。

むしろ『花燃ゆ』でいきましょう!

私は本気で推してゆきたい。

蠱毒の発想ですね。来年以降の成功のため、今年ですべての厄払いをしておくのです。

見て見ぬふりをしている人が多数派ですけど、出演者バッチリかぶっているじゃないですか。

北大路欣也さんなんて、わざわざ家康にしてまで出すわけですよ。

これはもう実質『続・花燃ゆ』です!

それにしても北大路さんって、近年の大河が2011、2015、そして今年ですか……NHKはどうしてそんなことをしますか?

彼の徳川家康は思えば2011年以来。そう、『江〜姫たちの戦国〜』と同じです。

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慶喜パートをメインにしてもよいのでは?

狐憑きは必要だったのか?

『八重の桜』の八重パートくらいに栄一パートを圧縮してもよかったのでは?

そう思える展開ですが。

いつになったら慶喜と栄一が合流するのかな?

と言いますと、これがなかなか厳しい。

この二人の絆は、むしろ明治以降、最晩年の『徳川慶喜公伝』執筆がらみの気がします。

ゆえに「バディ」とまでは言えない。

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慶喜が人生最大の決断をした明治に時代が変わるころ、渋沢栄一は海外にいてその場に立ち会っておりません。

その当時のバディはむしろ幕末三舟(勝海舟、山岡鉄舟高橋泥舟)あたりが適任でしょう。

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栄一としても、あまりにあっけない慶喜の決断に不可解なものを感じていて、謹慎所で語りかけた。

しかし、慶喜はその問いをはぐらかし答えません。

これは慶喜の性格も大きい。

彼はスフィンクスのようで、なかなか本音を語らず、不可解な印象を与えます。

魅力的で聡明なようで、どこか冷酷。打ち解けられない。一体何を考えているのか? そういうモヤモヤ感は残ります。

「慶喜には悲哀がある! これぞ草彅剛さんの真骨頂!」

そういう感想も見かけますが、はなから幕府が滅びるとわかって行動していたとすれば、幕臣から「ふざけてんのか」コール間違いなし。

確かに途中で何もかも嫌になって投げたと思われる言動もないわけでもない。それが慶喜の難しいところですが、そこをありのままに描いたらブーイング待ったなしだと思いますよ……。

その点『八重の桜』の小泉孝太郎さんは素晴らしいものでした。

栄一は納得できない思いがあったからこそ、慶喜の名誉回復や伝記編纂に取り組んだという見方もできます。

ただ、資本主義の父と銘打って明治の世を生きるとなれば、そういう懐古路線を描くのは迷走になりかねません。

明治の世を作ることを描くと言いながらやっていることは趣味に生きる慶喜と、懐古主義の栄一。そんなチグハグなバディはないでしょ?

初動からしてどこかずれております。

よりにもよって、なぜ渋沢栄一を大河の主役にしたのか?

謎は深まるばかりです。

 

低刺激歴史劇でほっこり安心

こんな記事もありました。

◆ 吉沢亮の『青天を衝け』が世界的人気の海外ドラマに学ぶべき点とは(→link

豪華な役者がイイ!と褒めちぎってる上記の記事も、後半部では「説明ゼリフ」が多すぎる点をさりげなく批判しています。

その上で海外ドラマから学ぼう、と指摘しているのですが、ぶっちゃけ無理では?

13歳設定少年の半裸で盛り上がる――そんなガラパゴス個性が本作の売りですからね。とてもじゃないけど海外ドラマに学べるとは思えません。

というのも、序盤で流血がないことからもお察しでしょう。

過去大河を振り返るなんてごめんだ。けれども、初回で人が撃たれたり、兵士が燃え上がりながら転げ回ったり、茶に毒を仕込んで飲ませる横で歌ったり、連歌会で暗殺未遂をやらかしたり、一回の間に複数名が暗殺されたり、生首が箱詰めプレゼントになっていたり……そういうエキサイティングな場面が盛り沢山だった年はよかったと思いますよ。

2010年代の『ゲーム・オブ・スローンズ』大ヒット以来、やはり歴史ものは謀略と惨殺が最先端! 祝言結婚式で惨殺だ!

来年の『鎌倉殿の13人』は、脈絡もなしに大量流血すると信じています。

 

データ解析で答え合わせ

本作の神通力もちょっと翳りが出てきたようです。あざとい狙いは指摘されています。

◆「青天を衝け」15・5%で「ポツン」と並ぶ 同時間帯3強で4週連続1位死守も…(→link

◆NHK大河『青天を衝け』、吉沢亮に「美しい」の声続出も「話に入り込めない」「女性視聴者を狙いすぎ」と不満上がるワケ(→link

予想通りとはいえ、危険な兆候はデータではっきりと出ているようです。ナルホドという分析です。

◆展開なきドラマの憂鬱~主人公・渋沢栄一の出身地からも見放され始めた『青天を衝け』の課題(→link


こちらの記事では、視聴者層を踏まえての分析に力を入れていました。

主役は女性に人気の吉沢亮だが、主婦層では粘っているものの、未婚女性は半減近くまで下がってしまった。

どうやら40代女性に支持されていても、それ以下はそうでもない様子。

若い世代はVODで韓流や華流を見ているのでしょう。あるいはドラマ以外にも魅力的なコンテンツがわんさかあってテレビなど見ている場合じゃありません。

「そんなはずがない! SNSでもみんなふんどし姿にほっこり!」

そんな印象を抱いているとすれば、典型的な【エコーチェンバー】でしょう。

また「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一を描くドラマなのに、その分野の関心層が大きく後退しているのは如何なものだろうか。

ビジネス番組好き、課長・部長などの管理職、さらに金融・サービスなどの三次産業従事者の下落ぶりが目立つ。その方面の物語がなかなか始まらないことへのいら立ちと見ることが出来ようか。

渋沢栄一と言えば、やはり起業・創業を始めとしたビジネスエピソードが魅力ですからね。

そっち方面の物語がなかなか始まらないことへのイラ立ちかもしれません。

実際、当初はSNSを見ても、そういう層が教養をアピールしつつ見ている感触がありました。書籍、ネットニュースも花盛りの様相ではありました。

しかし、いざ放送が始まってみるや……内容のレベルが低い、説明セリフが多い、女性向けお色気サービスと少女漫画もどきばかり。

となれば、この層は減衰あるのみ。一度離れた大河視聴者は、なかなか戻ってきません。

そして極めつけがドラマ好きの支持でしょうか。

そして最も気になるのが、ドラマ好きの視聴率急減だ。

初回11.3%から3話で7.9%と3割を失った。「ドラマとして面白くない」という声に、制作陣は真摯に向き合う必要がありそうだ。

「ドラマとして面白くない」とはっきり記されてしまいました。

以下の記事はSNSも絡めてデータ分析したものです。

◆ NHK大河ドラマ「#麒麟がくる」「#青天を衝け」Twitterでのハッシュタグ出現数を調査(→link

興味深かったのは次の部分でしょう。

「#麒麟がくる」では、主演の「長谷川博己さん」が上位にランクインするも、以降は「信長様」「帰蝶様」などの役名が上位を占めました。

「#麒麟がくる」はストーリー中の登場人物に注目が集まっていましたが、「#青天を衝け」は、出演者に注目が集まる傾向にあり、出演俳優の女性人気の高さが、女性ユーザーによる反響数の増加を後押ししたようです。

ようするに本作は「PV路線ドラマ」ということですね。

作り手も理解していて、歴史というノイズは避け、徹底してほっこりきゅんきゅん路線でいくのでしょう。

ただ……こういうことは「経営者層やマネジメント層など、日本の未来を創るビジネスリーダー」を自認する層との食い合わせが悪い。

こういうビジネスリーダー層は、渋沢栄一大河ということで注目していましたが、露骨にほっこりきゅんきゅんをやらかすと、かえって嘲笑と攻撃に回りかねません。

ただでさえ、彼らは潜在的に女性と若手イケメンがお嫌いでは? 日刊ゲンダイさんほど露骨に出さなくとも、本音はそうでしょう。

それにしても不思議です。

ここまで露骨に役者の女性ファン頼みとなると、果たして渋沢栄一というテーマを喜んで映像にしているのかどうか?

数字が取れないからこそ、こういう保険をかけるようなことをしているのかと疑念を感じます。

「へえ、今年の大河見てるんですか? キュン死目当てですか、ハハッ」

全国各地で大河ファンの女性がこんなことを言われているのかと思うと、心の底からいたたまれません。

未来ある役者さんの経歴に傷がつきませんように!


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【参考】
青天を衝け/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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