青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第22回 感想あらすじレビュー「篤太夫、パリへ」

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青天を衝け第22回感想あらすじレビュー
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あまりに脇が甘いのでは?

SNSや広報担当者が、例えば『麒麟がくる』や『鎌倉殿の13人』くらいのスキルがあれば、途中でストップをかけるはず。

そういう迂闊で傍の甘い投稿が、今年のSNS運用では目立ちます。

なぜか?

答えはNHKさんが自ら発信しておりました。

◆歴史が苦手な私が、コロナ禍で大河ドラマ「青天を衝け」の広報担当になった話。(→link

SNSの運用をはじめてから、今までずっと感じているのは、フォロワーの方々のありがたさです。ドラマ自体もとても熱心に応援してくださり、その熱量、パワーは本当にすごいと思っています。可能な限り、コメントはすべて読ませていただくようにしていますし、「#青天を衝け」でも頻繁に検索して、どのようなことがつぶやかれているか、参考にさせていただいています。おそらく、皆さんが思われる以上にドラマスタッフはコメントを見ていて、たくさん勇気づけられています。

印象的だったのは「今回初めて、大河ドラマを見てみようと思う」「歴史苦手だけど、見てみようかな」というコメントが多いこと。

実は、私も歴史がめちゃくちゃ苦手なんです。

歴史がめちゃくちゃ苦手とは……。

職員に様々な経験をさせるのは良いことかもしれませんが、なぜわざわざ苦手と称する方に担当させたのか。逆に得意な方はいくらでもいるでしょう。

NHK大河関連ともなれば、国民がそれを信じて拡散する可能性は高く、場合によっては間違った情報を飛び散らせてしまいます。

SNSの運用として、あまりに杜撰ではありませんか。

にしても、なぜここまで脇が甘いのか?

それこそ奇襲をかけられて大敗するような布陣で、見ていてヒヤヒヤさせられる。

空気も変わっていて、幕末史に詳しい層が、距離を置くようになってきた気配を感じます。

 


水戸天狗党ショックが終わらない

本編でも水戸藩士の態度に困り果てていましたが、なんだか現実とシンクロしているようです。

じわじわと暴かれております。

◆「383名斬首」の幕末の悲劇。天狗党の死は、敦賀でどのように受け止められたのか【青天を衝け 満喫リポート】(→link

墓石の並びをコの字型から現在の前列8基、後列7基の2列に変更し、石玉垣が増築される。

この修築には、幕末当時に天狗党と関わりのあった前田侯爵家(旧加賀藩主)、松平侯爵家(旧福井藩主)、酒井伯爵家(旧小浜藩主)や旧水戸藩士の香川伯爵家、そして一橋慶喜率いる追討軍に参加していた渋沢栄一(渋沢男爵家)が寄附を行なっている。

こうした慰霊をみても、栄一と天狗党の繋がりは消えていないとわかります。

しかも、栄一の場合は薄井龍之の嘆願を握り潰していた。天狗党生前に何かができたという意味で、より重い意味と責任があります。

劇中では天狗党を見捨てた経緯がロンダリングされ、「攘夷は古い!」と言い放っておりましたが、渋沢栄一は生涯ずっと天狗党にシンパシーを抱いていた水戸学の徒だとわかります。

藤田東湖を「先生」付でよび、もったいぶってその言葉を引用することもしばしばあった。

藤田東湖
藤田東湖は水戸藩を過激化させた危険人物だった?斉昭や西郷の思想に影響与える

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表層的なことだけ取り入れて方向変換を図っただけで、根底は何も変わっていません。

そしてこの慰霊が、敦賀であることにご注目ください。

実は水戸や関東では、慰霊を行うにせよ検証にせよ、ハードルがありました。

天狗党が現地の罪なき人を惨殺したため、反発が強かったのです。

親族同士ですら「天狗党を支持するか否か?」で別れ、絶縁になることがしばしばあったほど。

そんな天狗党がらみのニュースって、終焉の地である敦賀周辺からばかり出てきます。

水戸ではまだタブーなのかと思っていたら、こんな記事が。

◆斉昭への思い語る 竹中さんらトークショー 水戸(→link

これは大丈夫なのでしょうか?

『青天を衝け』は、史実を侮辱するドラマと捉えられても仕方ない描写が多々ある。根拠は……。

徳川斉昭の死がおかしい

→廁で心臓発作を起こし、暗殺の噂が立つほどの急死をした。それが史実なのに、妻に死ぬ間際チュー死をする捏造をかましました。アドリブにせよ、これにOKを出したのはあまりにひどい。

・そもそも斉昭が元凶

→天狗党と諸生党があそこまで荒れたのは、斉昭の危険な思想が背景にある。これは調べればすぐ突き当たることです。そういうことをすっ飛ばして斉昭顕彰とは?

・天狗党や水戸藩士を軽んじるドラマの空気

→このドラマの周辺には、天狗党や水戸藩士を蔑ろにする空気が漂ってます。ドラマの描き方も問題があった。いつまでもトラブルメーカー扱いをするわ。ファンダムでは露骨にバカにして遊んでいる雰囲気もあるわ。祟られないか不安になってきています。

私は本作の背景となる史実を調べていて、水戸藩のことがしみじみ悲しくなりました。

薩摩、長州、土佐、会津。

こうした地元ならば、こんな史実理解不足を前提にしたイベントなんてないと思います。

史実の検証すらできないほど、水戸は何かが払底したということか……。

竹中直人さんはもしかすると、『風林火山』のGacktさん、『八重の桜』の綾瀬はるかさん、『真田丸』の草刈正雄さんを目指しているのかもしれませんが、厳しいのではないでしょうか……。

 


歴史ドラマを嫌々ながら作る弊害

今週は解説しようにも中身があまりになさすぎる。

そこで、劇中の幕府よりも危うい大河の存在について考えてみたいです。

◆【青天を衝け】志尊淳が持つ“柔らかな”雰囲気 演出担当語る「幕末の志士とは違う人種」(→link

朝ドラから再タッグとなった田中氏は「信頼している役者さん」といい「志尊くんが演じる杉浦は、前半戦までの人とは違う柔らかい雰囲気があります。栄一とは個人的な関係を築き、ビジネスではなく親友となっていきます。今までの人とは違う雰囲気が欲しくて、柔らかい感じの志尊くんに演じていただいて、幕末の志士とは違う人種と言いますか。そういう感じを志尊くんもよく理解してくれて、ナチュラルに演じていただきました」と志尊が持つ雰囲気に感謝。

本作スタッフとキャストのコメントを読むたびに、プロとしてやる気もないし、歴史を理解するという気力すらないと諦念が湧いてきます。

このコメントなんて、幕末に生きていた人を小馬鹿にしているんじゃないかとすら思います。

幕末の人をつかめないから、現代人ぽく見える役者に感謝している……ってなんでしょう。

「幕末の志士って、やっぱりこんなに鬼気迫る人たちなのか!」と見ている方が畏怖するようなシーンを描くのが、歴史作品の魅力ではありませんか?

そしてこれですね。

◆草なぎ剛「青天を衝け」夜中2時起床で4秒シーンのロケ「吹き替えで…」文句じゃない(→link

大河ドラマで乗馬シーンが数秒しか流れないなんてことはむしろ当然。

『麒麟がくる』のラストシーンが典型例でしょう。

あのドラマではそこまで乗馬シーンが多いわけでもない吉田鋼太郎さんが、乗馬レッスンをしていると聞き感銘を受けました。

仮に冗談だとしても、こういうやる気のないと思われても仕方ないコメントを、主演級が出すって士気にも関わる話でしょう。

『麒麟がくる』では、現代の剣道とは異なる古武術指導を受けた役者が、それこそ数秒間の場面をきっちり撮影していました。

しかし本作はそういうスタンスじゃないかもしれない。

本作の出演者には、学生時代に剣道経験のアピールをされる方が複数名います。現在のスポーツ剣道と幕末の真剣勝負では、動きが違うに決まっているのに、それをふまえない殺陣が多い。

「どうせ数秒だしいいっしょ」

そんな空気が蔓延しているから、やる気を感じさせないコメントが記事にされてしまうのかもしれません。

本作の出演者って、初夜アピールをした方といい、うっかり発言も多い。現場は大丈夫でしょうか?

 

VFXの予算と技術はどこへ消えたのか?

今週はスクリーンショット、予告を見るだけで嫌な予感がしました。

◆【青天を衝け】“パリ編”は成長する篤太夫に注目 グリーンバックの撮影も「楽しんでやってくれた」(→link

◆ 渋沢栄一、パリへ!「現代のVFX技術で、あたかも当時のパリにいるかのように再現した映像が見どころです」田中健二(演出)【「青天を衝け」インタビュー】(→link

このドラマは序盤の江戸の景色からして、VFX処理が甘くて気になってはいました。

PS4じゃない、PS3くらいに思えます。

ゲームでなく大河ドラマと比較すると、8年前、つまりは2013年『八重の桜』が幕末大河最高峰だとわかる。

あのドラマはかなりVFXに気合いを入れ、メイキング動画まで公開していたほどです。

NHKの幕末番組で使い回しをされる定番なのも理由があります。

そして、あれから8年を経てなぜ衰えたのか?

2015年、2018年、2019年でも困惑しましたが、今年もやはりどうしたものかと思ってしまう。合成しているとハッキリわかる。

このドラマは全体的に、映像の作りが手抜きをしていると思わされて、本当に悲しくなってくる。

近現代かつ中国、韓国を舞台にしたドラマの予告を置いておきますので、絶望を分かち合っていただきたい。

『君、花海棠の紅にあらず』(中国、2020)

 

『ミスター・サンシャイン』(韓国、2018、Netflix)

 

大河ドラマがいまだに東アジア唯一最高の時代劇だと思い込んでいる方もおられますが、今時の若者は韓流、華流時代劇を楽しんでおります。

そんなガイド『戦乱中国の英雄たち-三国志、『キングダム』、宮廷美女の中国時代劇』はお勧めです。

◆ 【書評】佐藤信弥『戦乱中国の英雄たち』(→link

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