青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第34回 感想あらすじレビュー「栄一と伝説の商人」

渋沢栄一を持ち上げようとするあまり、完全に悪役とされてしまった大隈重信

栄一は、金儲けでなく国のために銀行を作った!と大隈に対して啖呵を切っています。

今日もまた、廊下で歩きながら話し、叫び、そして顔芸……。

いつもいつも歩きながら大事な話をしていますが、これは現実的にいかがなものでしょうか。

大隈はショッカー岩崎と結びつき、その悪どさを強調されていますが、結局、明治初期に金をたんまり儲けている点はそうだし、親族の優遇もしています。

「銀行は儲ける手段じゃない! あくまで国益のためにするんです!」

そんな栄一の言葉はまさしくブーメランではありませんか。

先週の『論語』推しもそうですが、明治になってからの本作は渋沢の経歴ロンダリングに費やされています。

幕末も酷かったものですが、結局は言い訳の連続だったりします。

しかも、銀行を作りたい業者から届いた贈り物は、しっかり家族で食べているんだから、どうなってんだ?と……。

「国益のため!」とシャウトするぐらいなら、「そんな贈り物はすべて送り返してしまえ!」と毅然とした態度のほうが、大河の主人公らしくありませんか。

時を同じくして、北国で飢え死にしそうな屯田兵や会津藩士が見たら血を吐きそうな、無神経な描写とも言えます。

この先、どれだけ綺麗事を言っても、袖の下もらっとるやないか、と突っ込まれたら終わりでしょう。

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安政の五カ国条約

そして今週も時間稼ぎのような、幼少期の回想シーンが始まります。

『八犬士』や『三国志』の遊び事をしていた時代ですが、この辺の詰めが甘いと感じてしまう。

本当に『三国志』が好きなら、少年たちが推し武将を叫ぶようにすればよいのでは?

近藤勇「やっぱり関羽だな!」

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さらに気になるのが、和室での所作です。

なぜ、こんなに立ちっぱなしなのか。

本作は「立つ・座る」という動きが本当に少ない。しかも和装と洋装で頻度が異なる。

まさかそんなことはないと思いたいのですが、和装での立って座るという一連の動作が指導されてないとか?

とか考えていたら、またまた徳川家康が出てきました。

「お久しぶり」だそうで、安政の五カ国条約の説明を始めました。

その認識が古いというか、間違っているというか、変な忖度がある……。

ですので、あの方にキッチリ説明してもらいましょう。

福沢諭吉「こんにちは、福沢諭吉です。何を忖度しているんでしょうか? では、ざざっと解説しますけどね」

【幕末の条約締結 事実はこう】

・幕府は諸外国勢力とできる範囲でフェアな条約締結をした

・しかし尊王攘夷と騒ぐかつての渋沢栄一のような志士どもは「条約締結そのものがありえない!」とギャーギャー大騒ぎ

・中でも慶喜の父である斉昭は「異人なんてぶっ殺せ!」と喚き散らして幕政を妨害

・「こうなったら殺すしかねえよな! 心即理!」と陽明学をかじっただけのイキリ志士たちがヘイトクライム殺傷事件をバンバン起こす

・「あァ? お前ら殺傷事件の落とし前つけろや!」と諸外国がねじ込んできて、どんどん条件悪化

・反撃されて袋叩きにあった長州藩は「すまん、イギリスさんの言う通りにする……」と低姿勢に

薩英戦争で引き分けた薩摩藩上層部も「イギリスどんと手を組んで討幕しもんそ」と方向転換

・新政府になってからも賠償金は支払い続ける

・過去の愚行が特大ブーメランになって日本そのものを直撃

・しかし、ありのままにそんなやらかしを描くと「明治維新って一体なんなんだ?」と疑念が湧くため、大河でもロンダリングの嵐

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てなわけで脳内福沢さんにお引き取り願いまして。

 

「攘夷なんかしたのが悪いでしょ」

パークスとサトウが出てきます。

イギリス留学経験のある伊藤が一応英語で対応します。

パークスが随分とおとなしいなぁ。

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そこはこうでないの?

「偉くなったな伊藤よー、オメー、なに対等の話を求めてんだ? お前らが大英帝国の国民を斬りまくって野蛮人アピールしたのが悪いよな? 殺人自慢をイギリスでまでしてたっけなあ?」

と、言ってもおかしくない。

しかし、イギリスからパシリ状態にされ、日露戦争まで突き進む明治政府の都合もまたロンダリングされます。

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ドラマの中では、一応、福地源一郎が「攘夷なんかしたのが悪いでしょ」とチクリと言っていました。

それならば天狗党とズッ友宣言していた渋沢栄一も真面目に反省しなければいけない場面。

しかし、栄一は例の一言です。

「おかしれぇ」

今回も来ました、チートコマンドの合図。

オラついてこの決め台詞を言い、ろくろ回しポーズで三白眼になれば、ほとんどのトラブルが解決するフラグです。

”chamber of commerce”こと商工会議所の出来上がりですね。

これでいいんでしょうか。

パークスらは議会制やもっとスケールの大きなことも含めていたのでは?

渋沢栄一が、まるで明治維新の森羅万象を司るような扱いが本当に理解しがたいです。

そしてまた、タップで経営するゲームのように、東京商法会議所ができています。

栄一、ガチャ運が素晴らしすぎるでしょーよ。

 

薩摩生まれのメリサンドル

東京商法会議所の部屋で冊子が配られました。

なんでしょう、この明治時代じゃない感は。小道具班も時間的にギリギリだとすれば、本当に可哀想です。

しかもズッコケそうになるのは、栄一が考えた人事をみんなで事後承諾しているような雰囲気だってことです。そこは話し合いで決める場面では?

会議室にいる彼等は、相変わらず文化祭準備のようなノリで、

「マジでショッカー岩崎を放送部ブース担当にすんのぉ?」

とかなんとか言い合ってる。嗚呼、青春だのぅ。

と思ったら、五代様がスカした態度で紅茶を飲む場面へ。

ショッカー岩崎の相談に乗っていますが、五代を出す意味がわかりま……いや、気づきました。この人は、薩摩生まれのメリサンドルだと。

メリサンドルとは大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てくる赤装束の巫女なのですが、いつも唐突に現れ、奥深い予言を告げて去ってゆきます。

五代が重々しく何か言うと、相手もうやうやしく受け取るシステム。

うん、やっぱりそういう使いなんでしょう。であれば納得できます。

※右の赤い女性です

場面は、書生が住み込んでいる渋沢家へ。

この場面もみんな立ちっぱなしで、ワケがわかりません。スタンディング状態で和室にいるものでしょうか。

もしかして足が痺れるから?

特に渋沢千代はメインキャストで、しかも大河三度目なのに、なぜ頑なに和装所作をしないのでしょう。横にいる人のほうがこなれている印象すら受けます。

そう思っていたらやっと千代が座った、よっしゃー!

千代はなんだかカッコつけたことを言います。発声は綺麗で、長いセリフの読み方も良い感じになってきました。もうすぐ退場なのが残念です……。

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そして夫婦の寝室トークへ。

貧しい者を救いたいと栄一。寝る直前まで整髪料ガチガチなのが気になります。

現代人のように毎日洗髪しているとは到底思いませんが、あまりに整いすぎていて不自然だなぁと目がいってしまう。

栄一はボソボソと話しながら回想シーンへ。

孤児たちが怒鳴られる場面が入るのですが、子役エキストラがまともな演技指導されず、放り出されたようで辛い。

不思議なのは、栄一がこの段階になって初めて不幸な子供たちの存在に気づいたような点ですね。

駿府の幕臣には一家揃って餓死するほど困窮した人もいました。

北国だってそうですし、江戸だって同じこと。

困った子供の実物を見るまで何も気づかないとか、どういうことでしょう。

だからこそ、こうした場面も渋沢栄一夫婦の善人アピールがしたいだけのように見えてしまいます。

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