青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第34回 感想あらすじレビュー「栄一と伝説の商人」

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青天を衝け第34回感想あらすじレビュー
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舟に刻して剣を求む

今週の漢籍タイムです。

先週頑張って『論語』を出し、スタミナが尽きたかもしれない本作製作陣はともかく、こちらはまだ弾が残っております。

舟に刻して剣を求む。『呂氏春秋』

ザッとこんな話です。

ある人が川を船で渡っている時、剣を落としてしまった。

「まずい! よし、船に落とした位置を刻むか」

そう言って船にマーキングをしました。

そして船が止まったあと、剣をその位置を参照して探しますが、見つかるわけもない。

昔の感覚で今の物事を判断しようとするのって、そういうことですよ。アップデートしようね!

渋沢栄一顕彰とは何か?

まさにこの「舟に刻して剣を求む」ではないかと思うのです。

もう世界的に行き過ぎた資本主義の是非すら問われ始めているのに、今年の大河はキャピキャピと“日本資本主義の父”を褒めている。

例えばこちらの記事。

◆渋沢栄一が新一万円札の顔にふさわしい理由 LGBTの学生を採用面接して悟った彼の凄さ(→link

渋沢栄一とあまり関係がありません。渋沢の話をする意味がない。

でもWeb記事はこういうことが好きです。見出しに入れておけばそれでPV稼ぎができますからね。記事の趣旨がボヤけてしまいますが、数字を前にしては些細な問題なのでしょう。

見落としていることがあります。

渋沢栄一が生きていれば、SDGsに配慮しただの、差別しないだの、そういう願望ありきの記事は実に多い。

それって渋沢のことをよく知らないだけでは?

SDGsについて言えば、日本の公害第一号である足尾銅山に渋沢は深く関与しています。

むしろ渋沢は公害隠蔽しそうです。世界的に『MINAMATA』が話題だというのに日本では渋沢顕彰。それが2021年大河です。

マイノリティに優しいかというと、別にそんなことはない。

試しに別の国で聞いてみればよろしい。

レオポルド2世を褒めちぎり、水戸学を信奉する渋沢が差別しないって?

冗談にもほどがあります。

要するに、渋沢栄一の実像なんてどうでもいいんですね。

万札になるし、大河主人公だし、話題だし、PV稼げるし。そういう諸条件が揃えば、筆というのは動かせます。

しかし、そのまま掲載する朝日新聞もどうなのやら。今年の大河と渋沢を褒めちぎる記事をよく掲載していますが、正しいからそうしているんですか?

マスメディアの使命とは、権力監視ではありませんか?

差別とからめてお札の顔を持ち上げるのであれば、性差別と戦った津田梅子の方が適切でしょう。

出自や性別やらで散々門前払いされて、それでも挫けなかったのが津田です。

津田梅子
6才で渡米した津田梅子が帰国後に直面した絶望~女子教育に全てを捧げて

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渋沢はテロ仲間のコネでホイホイ出世していて、とても現代人の見本になんてできません。

女癖の悪さや海外での低評価を持ち出すと、こう返されると想像もつきます。

「今の価値観で当時を裁いちゃいけないよ」

「妾ってセーフティネットだから」

それを言い出したら、世の中なんでもアリで、歴史から何も学べなくなってしまいます。

伊藤博文なんて若い娘や人妻にも平気で手を出す人物でしたが、もしも身内の人がその対象とされたら「時代だから」でヘーコラできるでしょうか。

女好きがもはや異常レベルの伊藤博文~女を掃いて捨てる箒と呼ばれ

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渋沢も、伊藤ほどではないですが、十分に常軌を逸した女遊びをしています。

そんな人物を大新聞が称賛しているのですから理解に苦しみます。

マイノリティへの配慮は、明治大正昭和の偉人ではなく、現代を生きる誰かから学ぶべきでしょう。

お札の顔であれば、イギリス50ポンド紙幣の顔となるアラン・チューリング。

ナチスドイツとの情報戦勝利に貢献し、コンピューターやAIの父と評されるものの、同性愛者であったがために自殺へ追い込まれた人物です。

彼を描いた『イミテーション・ゲーム』は若い世代にも人気があるベネディクト・カンバーバッチ主演。

若者と語るのであれば、大河より訴求力もあるかと思います。非常によい映画でした。

 


蓮は泥より出でて泥に染まらず

大河って、見どころのある役者が多いですよね。

秋に気高く咲く菊のような、そんな門脇麦さんが好きだという人もいる。

牡丹のように華麗で美しい。そんな川口春奈さんは多くの視聴者に愛されました。

でも私は、敢えて大島優子さんを推したい。

彼女の演じる兼子は、芸者でありながら妖艶とはちがう。

真っ直ぐに伸びた背筋、清らかさがある。アップにならなくてもいい。遠くからソッと見てもいい。そういうところがグッときます。

門脇さんのような菊は、物静かな美がある。川口さんは今が盛りの華やかさ。

でも、一人孤高な美しさがあるといえば、大島さんじゃありませんか!

なんかいきなり妄言を吐き始めたようで、元ネタはあります。

北宋の時代を生きた周敦頤(しゅうとんい)の『愛蓮説』です。

予独り蓮の汚泥より出でて染まらず、清漣に濯(あら)われて妖ならず……

私はただ、蓮が汚泥から生えているのに染まらず、さざなみに洗われても妖艶ではないところが……(大好きなんです)

これをもとにして「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という言葉がある。

大島さんはまさに泥の中から生えているにもかかわらず、染まらず、気高く咲き誇る。

そんな蓮のような美しさがありました。

役者は美形であることが条件です。

それは顔かたちの作りだけではありません。気品がある。芸者でありながらも凛とした佇まい。座っている姿だけでも美しかった。

安心しました。彼女自身に光るものがあるから、ああも美しい。

これが彼女にとって最初の大河でも、最後ではない。そう願っています。

将来的には淀の方でも、北政所でも、坂本龍馬の妻であるお龍でも。大物を狙っていける。そう思えました。

この兼子だけでも今日は見る価値があった!

感謝します。

 

※著者の関連noteはこちらから!(→link


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◆青天を衝け感想あらすじレビュー

◆青天を衝けキャスト

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文:武者震之助(note
絵:小久ヒロ

【参考】
青天を衝け/公式サイト

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