青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第35回 感想あらすじレビュー「栄一、もてなす」

前アメリカ大統領・グラントの来日が決定。

不平等条約を解消すると言い出すのは、さすがに話をデカくしすぎでしょう。

井上馨「えっ? 鹿鳴館外交って教科書に出てないの?」

津田梅子「私だってお札の顔になるのに」

山川捨松「こんなものは忘れて『エドの舞踏会』(→amazon)でも読んだ方がいいですよ……」

そんな疑念はすっ飛ばし、またも文化祭が始まりました。

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ハグとか花飾りとか

グラントの来日を前にして、渋沢家の女たちが西洋式の礼儀を習うことに。

ヒアウィーゴー!とかなんとか、演出のノリが昭和過ぎて戸惑うばかり。今週も共感性羞恥を刺激する大河の始まりです。

渋沢家では女性がマナー指導を受けていますが、そもそも和装の所作が曖昧だったので、どう変化をつけるのでしょう。やはり文化祭としか思えません。

それでも、千代とよしが西洋式の挨拶で握手にハグだ!

握手はともかくとして、いくら当時の西洋人でもそれほど頻繁にハグをするでしょうか。

英国を舞台にした『ダウントン・アビー』がNHKでも放映されてましたが、あのドラマでしょっちゅうハグをしておりましたっけ。

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確かにダウントン・アビーはイギリスです。しかし当時のアメリカはいかにイギリスに近づくかを模索していました。

そこで「アメリカ人は下品だな、すぐハグだとさ」なんてイギリス人から言われたら歯ぎしりしちゃう場面。

やはり今年のNHK大河は西洋人のイメージがおかしい。

第二次世界大戦後のカリフォルニア人みたいな漠然としたイメージでゴリ押ししている気がします。朝ドラでも雑な作品ではそういう傾向が顕著で、嫌気がさしていたものです。

彼女たちの会話にしても「イケメンにきゅんきゅん!」みたいな軽薄なことしか喋っておりません。まさに文化祭の女子高生ではないですか。

当時の女性に対するリスペクトがまるで感じられません。

栄一が歓迎文を読んでいます。

歌舞伎とか、明治天皇を招くとか、ワクワクと企画をしており、東京府民から寄付も集まっているそうです。

毎週くどいですが、屯田兵あたりからすれば無残な話です。

彼等が生きるか死ぬかの生活をしている最中に、

「外国からお客様来ちゃう! 皇族もお招きしなきゃ! レッツパーリー!」

と浮かれているのですから。しかも寄付で賄うんですね。国賓を招くのに寄付とは、明治政府のガタガタ財政が見えてきます。

山川浩「原資が寄付金で宴か……想像するだけで鬱……」

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そうした政府の姿勢に反対する者もいて、壮士が反対演説しています。思わず彼らに感情移入してしまいます。

それに対し、渋沢の娘・うたが怒っています。

彼女の立場から怒るのは仕方ないにしても、手を振り回したり、大仰に立ち上がったり、行儀が悪くて明治のお嬢様に見えないのが辛い。

屏風の向こうでは、千代が頭に花つけていました。

洋の東西を問わず、装飾品は既婚や未婚、年齢が反映されます。設定が生花か、造花かも気になるところ。生花だと小型花瓶で水分補給をせねばなりません。

しかし根本的なこととして、既婚者で大きな娘がいる千代が、頭に花をさすでしょうか。

橋本愛さんが若くて美しいからでしょうけど、劇中の年齢を考えればお粗末な演出にしか見えません。

なぜ本作の人物は年相応の振る舞いにならないのでしょう。

 

グラント校長先生と文化祭

グラント一家がやってきました。

ショッカー岩崎がドン・キホーテで買ったような星条旗を振り回しつつ、悪だくらみをしています。

一方、生徒会代表の渋沢栄一くんは、グラント校長先生のおもてなし。

千代の花飾りだけでなく、栄一もすでに若くはなく、劇中では約40歳のはずです。

それがどうしたことでしょう。どう頑張っても三十過ぎには見えず、スピーチからも威厳が感じられません。

グラント校長が、鬼教師パークス先生みたいに怖くなくて良かったですね。

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文化祭は続きます。

ドレスに着飾った女性たちの衣装の出来が、とにかくお粗末。『八重の桜』の使い回しはできませんか?

しかもヘアメイクもおかしい。

『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶさんだって夜会巻きにしているのに、なぜ大河でそれができないのでしょう。

この時代は男女ともに前髪を作らない方がそれらしく見えます。

明治村感満載のパーティ会場はもう仕方ないにしても、お粗末な小道具、安っぽい衣装でどんどん血の気が引いていきます。

もう恥ずかしくなってくる。これではグラントに三流国家扱いされてしまいますよ。

パーティ会場に入った栄一も、やはり生徒会長にしか見えません。

まさかそんなことはないと思いますが、千代たちの安っぽい和服はポリエステル着物ではありませんよね?

所作指導も相変わらずです。

「歯を見せて笑う」とは前フリがありましたが、ジュリア夫人があそこまでニッコリするものでしょうか。そもそも本作の女性は幕末から歯を全開にして笑っているのでなんとも。

オーケストラ音楽もなんだか音が軽く聞こえるし、ダンスにしても「時間ぎりぎり間に合わせました感」がすごい。体育祭のフォークダンスのようだ。

いっそ『ジンギスカン』をBGMにしたらよいのでは?

昭和ノリの再現でネットニュースで盛り上がるかもしれません。

※ウッハッ! ウッハッ!

ジュリアが虫に刺されていて、千代が手当をしています。

あれ? 千代は通訳なしで英語を理解できるのですかね。あれだけ足が腫れていれば、見たらわかるってことでしょうか?

と、その前に、こうした表現は根本的に間違っています。

洋の東西を問わず、当時は付き人・使用人が対応するもの。千代みたいに奥を仕切る人間には、あくまで主人サイドでの大事な役割があり、女中の仕事を奪ってはいけません。

『ダウントン・アビー』で伯爵夫人が虫刺されの対処をしますか?

 

栄一、不惑の40歳です

職員室では栄一がドヤ顔をしています。

コレラの蔓延は、千代の死の伏線でしょう。

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伊藤博文が栄一に何かを相談しています……と思ったら画面が切り替わり渋沢邸へ。

なんでもグラントは渋沢栄一の家にやって来ると言い出したようです。

大丈夫でしょうか。

渋沢邸の照明がやけに暗すぎます。

当時の雰囲気を再現したものなのか。それともただの手抜きなのか。その辺はわかりませんが、玄関でいきなり用件を話しだすと見ている方ですら「落ち着いて」と言いたくなる。

家に上がって食卓で説明すればよいのではありませんか。

しかし「やべえよ! 家庭訪問だよ!」と焦る栄一に絶望的です。

これが国賓を迎える成人男性の態度でしょうか。何度も言いますが彼はもう不惑の40歳ですよ。

慌てるばかりの栄一に対し、千代は落ち着いていました。

おもてなしの場所は、飛鳥山にしましょうと提案。

『デス・ノート』の「ジェバンニが一晩でやってくれました」急のチートです。

しかもチートコマンドは「ぐるぐる!」ときた。なんじゃ、そりゃ……。

まぁ脚本家からすれば便利ですよね。

場面の繋がりや歴史的な確認をせずとも、あの言葉さえ出しておけば勝手に話が進んでくれるのですから。

仮に現代人にしても、40歳で「ぐるぐる!」とか言っていたら、部下から相手にされないのでは?

本作は語彙力が低いだけでなく、尖っているワケでもないので、興をそがれるばかりです。

そもそも「急に訪問したい」だなんて、警備や予算の問題を考えたら大迷惑であり、美談でも何でもありません。

大津事件のことを踏まえると、ドラマスタッフは真面目に明治時代を学んだのか?と疑念ばかり湧いてくるんですよね。

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そして飛鳥山へ。

『いだてん』とほぼ同じセットを使い回しているように見え、まったくもって豪邸にも思えません。

なぜ、ここまでチープなのでしょう。

『アンという名の少女2』と比較すると本当に落差が厳しい。

 

栄一が、相変わらずの無能さを発揮して「フランスで覚えているのはおもてなしよりポトフ」とか言い出す。

現地滞在の折、予算を切り詰めて生活していたのは仕方ないにしても、思い出すのがポトフというのも辛い。

もちろん家庭の味が印象に残ってもよいとは思いますが、国賓をもてなす場面ですからね。それこそアントナン・カレーム考案の豪華なあれやこれや、思いつきませんか?

そして料理の場面へ。こういう無駄なことに金と手間はかけるけれど、考証はしていない。

それが今年の大河です。

 

外国人が和食に驚き!ただし……

急ごしらえで準備を整えた明治村……ではなく飛鳥山にグラントがきます。

栄一の子供たちがコーラスで出迎え。こんなおもてなしをされ、私がグラントだったらこう考えてしまうかも。

「全部渋沢さんの子でしょうか? それにしては年齢設定や数に疑念がある。なんだって? 私生児もいるだとっ!」

ゲスの勘ぐりですみません。もし渋沢栄一の子だとすれば、全員が嫡出とも思えないので、つい。当時のプロテスタントはそこのところに厳しいものですから。

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いざ、おもてなしの場面へ。

所作指導の時間がないんだろうなぁ、というシーンの連続で、文化祭の余興を延々と見せられている感じです。

グラントは、本当にこれを見て嬉しいのでしょうか。

日本スゴイ番組ではわからないものですが、日本人が考える「お・も・て・な・し!」って、実は外国人に退屈だと思われていたりするケースもしばしば。

相手が紳士的に合わせてくれているだけのことも多いのですが、畳み掛けるようにして渋沢成一郎が血洗島名物の「煮ぼうとう」を用意していました。

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大丈夫でしょうか……。

二日酔いの朝とか、徹夜麻雀の夜食に出てくるなら嬉しいのでしょうけど。

まんま家庭料理すぎて心配になるばかり。

当時の外国人が食べた和食評価は結構残っていて、確かに、細かい飾り彫りや何やらに感心した記録はあります。

しかし、それはあくまで贅と技術を尽くした一流の料理のこと。

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煮ぼうとうを出しても、喜んでいるのは深谷市民だけのような気がしてなりません。

例えば『八重の桜』では「こづゆ」が重要な使われ方をしていました。あれは会津出身者同士が「祝い事にはこづゆだべな」と食べるからよい。

国賓をもてなす場面で、それなりの菓子類やデザートではダメですか。

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