先週は参院選の影響で放送が19時台へ繰り上げでした。
関連ニュースとしましては…。
視聴率もワーストを更新しましたが、そのぶんBS先行放送は5%ジャストをキープ。合計すると20.1%となり、さほど落ちていません。
実は、選挙による繰り上げ放送の影響が本当の意味で出るのは、繰り上げの翌週です。
一週見逃した視聴者が「まぁいいか、別に続きを見なくとも」と視聴習慣をやめるか、やめないか。その差が出るのが今週の視聴率です。
ここで落ちなければ、本作は後半まで数字をキープする可能性が高いと思います。
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『真田丸 完全版ブルーレイ全4巻セット』(→amazon)
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大谷吉継はハンセン病ではなく皮膚病の一種
さて本編です。
ストレスのあまり聚楽第から失踪した秀次は、関白の座を放棄。ふらりと大坂城に来てしまいます。
きりに匿われた秀次。秀吉に弁明すべき、だらしないとズケズケもの言うきりに、秀次は「うるさい!」「うっとうしい!」と言い返します。
「私はみんなにウザい女って言われるし、癒やし系の言葉なんてかけないし、関白だろうとハッキリ言います。あなたが心配だから言っています!」
きっぱりそう言い切るきり。
はい、ここで私もきっぱり言いますが、そんなきりちゃんが大好きだぁ!
自分がウザいと嫌われても、相手のためになることをはっきり言う。こういう度胸、本当に好きです。
相手が次に言って欲しいことを察知して先回りする癒やし系の梅(黒木華さん)もよかったとは思います。
しかし私はもう断然きり派になってしまいましたね。
聚楽第で留守を守る信繁は、伏見城建設中の大谷吉継に報告へと向かいます。その伏見では、信幸が官位を返上したいとくすぶっています。
それにも関わらず昌幸は、
「伊豆守~」
「豆州と呼ばせてくれよぉ〜」
信幸をしつこく官名で呼びます。
いやがらせか。もうヤダ、こんなオヤジ。
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さらに昌幸はすっかり仕事のやる気を無くし、職場放棄をした後は信幸に任せてドコかへ向かってしまいます。
その先はなんと、吉野太夫の元なのですが……仕事放棄してキャバクラに向かう主人公・父って……。
信幸から、吉継が病気早退したと聞いた信繁は、自宅へと面会に向かいます。
そこで信繁を迎えるのは吉継の娘・春。侍女ではなく敢えて息女が出迎えるというのは、意識あってのことでしょうか。
春は信繁が去ったあと、照れくさそうに微笑んでいるので、少なくとも彼女は何か知っているようです。
信繁は吉継に事態を報告します。
吉継は咳き込み、発声もやや乱れているようで、体調の悪さを感じます。信繁から事態を聞き、吉継はどこかへ報告するためにと向かいます。
ちなみに本作の吉継は、ハンセン病であるという説は信憑性が薄いことから採用しないとのこと。
何らかの皮膚に影響が及ぶ疾患で、頭巾を被るようになるようです。
信繁の母ちゃん、やっぱり菊亭晴季の娘じゃない!?
真田屋敷では、久々に嫁・稲と対面した薫が礼儀を教育中です。
人と話すときはアイコンタクトをしろと指導する薫。
それに対して稲は「チッ、うっぜーな」という態度で、まだ心を開かないようです。
稲は嫁いでからずっと山吹色の着物であるにも関わらず、薫は出番のたびに衣装が替わっているような。
「やっぱり私は都の女、やっぱり都は最高よね、私に合っているわ~。私は菊亭晴季の娘なのよ~」
嫁に対して上機嫌でマウンティングする薫。それを稲は冷ややかに見ております。
この二人に加え、おこうも上洛した様子。
大坂城に潜伏中の秀次は、ずっときりとドコかに潜んでいるようです。
そこで偶然耳に入ってきた茶々と、無邪気に遊ぶ拾の声。
ますます顔色が悪くなる秀次は、成り行き上、真田屋敷に匿われることに。
真田屋敷では信幸、薫、稲たちが秀次を迎えます。
ここで信幸が「関白殿下は公家とお会いする機会が多いですよね。うちの母も実は公家の娘なんです」と余計なことを言い出します。
どなたの娘かと首をひねる秀次に、稲がさらに「菊亭晴季の娘でしょ」と付け加えます。
秀次の正室は菊亭晴季の娘・一の台です。
つまり薫と姉妹ということになるのですが、このあたりで不穏な空気が流れ出します。
薫は経歴詐称がばれた焦りか、「そういえばおいしい落雁が!」と必死で誤魔化します。
このあたりは薫の出自に関する説をからめてネタにしています。
薫は菊亭晴季の娘とする説もあるのですが、いくらなんでもそんな名門の姫君が地方大名の陪臣に嫁ぐだろうか、と疑問視され信憑性は低いとされていました。
ただし京都出身であるということは確定しています。
武田信玄正室である公家出身の三条夫人についてきた侍女あたりではないか、というのが現在の定説です。
そうした説をうまく取り入れ、ドラマにしているわけです。
稲は薫の出自詐称を見破り、書状で徳川に知らせることにします。
そこへおこうが入ってきて、その書状を真っ二つに破き、「真田の内情を伝えるのがあなたのお役目なら、それをおしとどめるのが私の役目」と啖呵を切ります。
稲はその態度に怒り、さらにはお前が信幸の前妻だということも知っているぞ、とおこうを問い詰めます。
それでもおこうは怯みません。
「私は真田家をお守りするだけでございます!」
そう言い切るおこう。元々真田の姫ですもんね。この二人にも一波乱ありそうです。
生命力の象徴・きりを諦めたということは……
大谷吉継は関白不在を隠蔽し、公式行事をキャンセルしたと信繁に伝えます。
信繁は秀次の娘・たかに偶然出会い、パーデレ(神父)からもらったというあるものを託されます。
たかとの会話の直後、信繁は秀吉から呼び出されていると伝えられます。
信繁は秀吉に呼び出された秀次に報告し、たかに託されたものを渡します。
中身は板に描かれた美しい聖母子像と、ロザリオでした。秀次がキリシタンであるとは明言されていませんが、ストレスをためた彼は異国の神に救いを求めていたようです。
秀次はマリア像を眺めその美しさを称えると、これをきりに渡して欲しいと信繁に託します。
そのうえで、きりを側室にする話はなかったことにしたい、と彼に告げます。
この秀次の行動は、後で信繁による解釈で説明されるのですが、それだけではない作劇上の意味もある気がします。
何度もこのレビューで書いてきた通り、きりは生命力の象徴のような存在です。
そのきりを求めることをあきらめた秀次は、生きることを放棄したのではないでしょうか。
もし彼がもっと強ければ、貪欲にきりを求め、生き延びて彼女を愛したいと思ったのではないでしょうか。
冷や冷やしながら信繁が秀吉の前に参上すると、秀吉は商人から買ったという「呂宋(ルソン)壺」を手にして上機嫌。
秀吉は大谷吉継の娘・春との縁談を持ち出します。
どうやら秀吉は、信繁を豊臣の味方としてつなぎとめたいようです。
しかし話はこれで終わりません。三成が信繁を書庫に呼び出し、秀次の件を報告しろと迫ります。
言わなければ三成自身が秀吉に伝えるぞ、私が知っているということは太閤だってもう知っているぞ、と脅す三成。
やむなく信繁は真相を話すことに。
秀吉は案の定怒り、秀次を呼びつけ説教してやると言い出します。
茶々はあきれ、寧も「あの子に関白は向いていないのだから別の役職につけたら」とうながします。
しかしもう豊臣の成年男子は秀次しかいない、と言う秀吉。
秀次は大事な人材なのです。
振り回されっぱなしの人生は秀次だけじゃなく兄・信幸も
信繁と三成が秀吉の言葉を伝えるため真田屋敷に向かうと、秀次はもう高野山へ向かったあとでした。
高野山の青厳寺で、秀次は叔父のおかげでここまで来られたが、振り回され続けた人生だと振り返ります。
生まれ変わったらもう二度と秀吉の甥にはなりたくないと嘆く秀次。
そこで同行した信幸も、俺の周囲も無茶苦茶です、振り回されっぱなしです、と愚痴半分励まし半分の言葉を秀次に返します。
「大きすぎる父!(=昌幸、大きすぎるというか全てが無茶苦茶)
なぜか私の話は聞こえない祖母!(=とり、露骨な弟贔屓)
病弱なんだかよくわからない最初の妻!(=おこう、彼女は許してよ)
心を開かない二番目の妻!(=稲、本当に信幸かわいそう)
そして無茶苦茶怖い舅!(=本多忠勝、本当に、本当に信幸かわいそう)」
振り回されながら九十年も生きる真田信幸という男……。しかしこのあとすぐわかりますが、信幸の状況は秀次より断然ましなんですね。
そしてこの彼を振り回す面々の中に、弟・信繁は入っていない点も大事です。
信幸は秀次と語り合います。
そこで信幸は、「官位を返上する気はないな、あれは関白として私が行った数少ない仕事だから」と言われ、官位に対するもやもやが消え去ります。
さらに信幸はそろそろ信繁が来る、知らせがなくともわかると秀次に告げます。そこには豊臣の人々にはない、強い信頼があるのでした。
秀次が高野山に向かったことは、隠密行動でありながら人々の噂になりました。
秀吉はこのままでは面目がたたないため、謀叛の疑いがあったのだと世間に流布し、一月ほど謹慎し許すと決めます。
そして高野山に使者を送ることにしました。
この知らせを受け、徳川屋敷では「面白くなってきた」と家康や本多正信・その嫡男の正純がほくそ笑んでいます。
そこに入ってきたのは家康の子・秀忠です。
秀忠はほぼ無言で、ただ丁寧すぎるほど正純に頭を下げる所作だけが、不気味なBGMとともに映し出されました。
徳川秀忠……彼はどんな男でしょうか。
家康は正信に「お互い跡継ぎがいるのはありがたいことだ」と感慨を漏らします。
秀吉と家康の違いはまさにここで、家康はキャラが立って優秀で野心家の息子が多すぎたのではないか、と思えるほどです。
徳川幕府が二百年以上続いたのも、家康の子が多かったからでしょう。
たとえ将軍家がとだえても血のスペアである御三家・御三卿あたりから跡継ぎを迎えられたわけで、家康の子だくさんは歴史を変えたと言えます。
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俺を怒らせたらどんなに怖いか、あいつに見せ付けてやる!
高野山に急ぎ向かった信繁は、秀次に明日使者が来ると伝えます。
使者を追い返してくれと言う秀次を、信繁はなんとかおしとどめようとするのですが。
信幸と再会した信繁。
官位の件以来ぎくしゃくしていた兄弟ですが、やっとここで和解し、仲良くなります。
真田の兄弟は、いくら離れようと、こじれよと、結局のところ元には戻ります。
ねじれて戻ることができず、砕け散る豊臣の人間関係とは違うのです。
信幸や信繁とは異なり、もう決して直らない人間関係にからめとられているのが秀次。
秀次は聖母子像を長持ちにしまってきて欲しいと信幸に頼みます。
そのあと天井を見上げる秀次の目に、涙がいっぱいにたまります。
あの枇杷を抱えた純粋な秀次に、人をすぐ疑う癖をつけてしまったのは誰なのか。彼をここまで追い詰めたのは何なのか。そんな思いはよぎります。
信繁は秀吉の使者である福島正則を迎えます。
正則は秀次に好意的で「あいつはよくやってるよ」と語ります。
するとそこへ血相を変えた信幸がやって来ます。
三人が廊下を走ってゆくと、そこにあったのは血の中に転がる秀次の屍。秀次は切腹し、自らの命を絶ったのでした。
秀次はキリシタンであるとは明言されていませんが、少なくともその教えは知っているようです。
そしてキリスト教であれば、自殺は厳禁のはずです。もし彼がキリスト教徒であったならば、自ら天国に行く扉を閉ざしてしまったわけです。
破滅の予感をおぼえ、自分が死ねば周囲が災厄に巻き込まれるであろうことも感じており、さらに自殺は罪であるとわかっていながら、それでも耐えきれなかった秀次。
彼に対して、弱い、無責任だ、だらしない、もっとちゃんと考えろなどとは言いますまい。それはとても残酷なことです。
自殺した人を愚かと言いたくなる気持ちはわかりますが、言ってはいけないことだと思います。
秀次自害の知らせに秀吉は激怒!
豊臣秀吉" width="370" height="320" />
泣き崩れる寧を前にして「俺はあいつに精一杯のことをしたのに、あいつは裏切った! 悪いのはあいつだ、あいつに俺を怒らせたらどんなに怖いか、あいつに見せ付けてやる!」と叫びます。
秀吉は秀次の首をさらし、さらにその妻子の処刑を命じます。この命令に三成もひるみますが、秀吉に逆らえるはずもありません。
三成は秀吉にかわって、残虐な処刑を実施します。
晒された秀次の首の前で、三十余名の秀次の妻子、侍女が虐殺されました。
幼い子どもは母親の前で刺殺され、女性たちは辞世を詠んだあと斬首されました。
遺体は遺族による引き取りを許されず、大きな穴に投げ込まれ、その上に「秀次悪逆塚」と書かれた碑が置かれたと伝わります。
これには世間の人々が怒り、
「こんな仕打ちを関白妻子にするものではない、こんな政権は長続きしないぞ」
と落書がされたとか。
処刑された秀次の妻子には有力者の関係者も含まれていました。
秀次と親しかっただけで処分された、あるいはされかけた大名もいました。
秀次事件は豊臣の男子を減らしただけではなく、怨恨という大きな負債をも政権に背負わせることになりました。
隠しトビラの向こうに祭壇があり、そこには秀次の娘「たか」が
秀吉は、秀次の痕跡を消そうと決意したかのようです。
秀次が居住していた聚楽第も破却されることに。とばっちりで平野長泰も馬廻りを解任です。
あれだけ壮麗な建物を、怨恨で破壊してしまうのだから異常性がわかります。妻子の処刑にせよ、聚楽第の破壊にせよ、非効率的で手間暇かかるわけです。
秀吉はもうそんなことすら気にせず、自分の気持ちのためだけにそんなことをしてしまいます。
これから破却される聚楽第を歩く信繁と片桐且元。信繁は何かの気配を感じ、隠し部屋を発見。
蝋燭とロザリオが飾られた祭壇の奥にいたのは、なんと秀次の娘である「たか」でした。
信繁はたかの命を救うため奔走します。
今まで信繁が手を回してうまくいったことはありませんが、今回はどうなるのでしょうか。
信繁はある決意を秘めて秀吉の元へ。
秀吉は秀次を一人前の男にしてやりたかったとむせび泣いています。
いくら泣こうが彼のしたことはパワハラであり、人間性の破壊なのですが、それに気づかないところが悲劇なのでしょう。
このタイミングで信繁は、吉継の娘との縁談を受けると秀吉に言います。さらに妻にしようとしていた女を側室にしたい、と。
その女とは秀次の娘・たかなのでした。
秀吉は不快感を示し、さらに男子が生まれたら出家させろと言うものの、信繁の申し出を承諾します。
きりは秀次からもらった西洋婦人像を手にしながら「側室回避よかった♥」と能天気に言うのですが、信繁から「あの人は自分の窮地を察して、お前を側室にする話をとりやめたんだよ」と告げられ泣きじゃくります。
このタイミングで信繁は「追い打ちをかけるようだけど、俺、結婚するんだ。あと側室も娶るから」ときりに告げます。きりは思ったでしょう。
「やっと私を側室にするのね! 正室じゃないけど我慢してあげる」
って。ところがそこに現れたのは、なんとたか。
「なによぉ~~!」
大坂一帯に響き渡りそうな、きりの絶叫(エコーつき)。
やっぱりきりは最高です。
能天気無神経と見せかけた強がりの笑顔、そこから泣きじゃくり、そしてエコーつきの絶叫で笑わせる。この人はもう、本作に不可欠のキャラクターでしょう。
信繁は秀吉が心変わりした後に危害を加えることを見越して、先手を受けます。
彼が頼ったのは豪商・呂宋助左衛門こと、納屋助左衛門。
現地で二束三文の壺を買い付け、高値をふっかけ秀吉や大名に売る助左衛門は、商売で権威に挑む反逆心の持ち主です。
権力者から弱いものを守るのならばいつでも歓迎であると快諾する助左衛門。
こうしてたかは、呂宋(フィリピン・ルソン島)行きの船に乗ることとなったのでした。
今週のMVP
豊臣秀次です。
先々週あたりからずっと秀次の瞳が脳裏に残っていました。
枇杷を抱えた初登場から今年の彼はひと味違うとは思っていましたが、ここまで秀次という人物像が印象に残るとは思っていませんでした。
切腹前、涙を目にためて天井を眺める表情、素晴らしかったです。
もう一人今週忘れてはならないのが納屋助左衛門だと思います。
彼の登場の仕方や台詞には少々無理があるようにも思えたのですが、そうしたひっかかりを吹き飛ばしたのは、さすが松本幸四郎さんだなと。
「裏MVP」はきりでしょう。
視聴者の憎しみを集めていた彼女ですが、回を追うごとに私は好きになってしまいます。
周囲の人に鬱陶しいと思われていると自覚していて、たとえ嫌われても、相手のためを思って耳に痛いことを敢えて言う、その性格。
きりは相手が聞きたいことを察知して言う梅とは正反対で、計算なし、まっすぐなんです。
そういう気持ちのよさが好きなんですよね。
この重苦しい回において「なによぉ〜〜!」のエコーでくすっと笑わせる彼女は本当に貴重だと思います。
総評
本作は家族のドラマであると強調されていました。
確かに家族のドラマです。日本の歴史を揺るがすドラマを、家族ドラマの延長上におさめました。
真田家ではありません、豊臣家のことです。
豊臣政権は何故滅びたのか。それが夏以降、じりじりと描かれて来ております。
かつて豊臣一族は、皆で集まって寧が焼いた里芋を楽しそうに食べていました(第十五回)。
それが今では崩壊し、軋んでいます。
その腐敗は死んでしまった秀次だけではなく、秀次の死を見ていた秀俊(秀秋)にも、そして何もわからないまま多くの死を背負ってしまった拾(秀頼)にまで及んでいます。
無邪気に遊ぶ拾は、自分自身が秀次を追い詰め、自らの婚約者(秀次の娘)すら殺してしまったと知るよしもないでしょう。
しかし彼自身は知らなくても、世間は知ってしまっています。
「家族で切り抜ける」と、有働アナウンサーがさわやかに読み上げるあのフレーズ。
その裏には、互いに信じ合えずに崩壊する豊臣家という家族の存在が浮かび上がります。
家族さえ団結していれば生き延びられるほど世の中は甘くありません。しかしこの厳しい世において、家族すら信じられない者に明るい未来などあるわけもないのです。
豊臣家を飲み込む、不信という黒い渦がはっきりと見えた回でした。
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著:武者震之助
絵:霜月けい
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