森長可

森長可(右)と、信長の信任厚かった父の森可成/wikipediaより引用

織田家

鬼武蔵と呼ばれた森長可~信長お気に入り蘭丸の兄は戦国無双の暴れん坊だった

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ノリノリで越後深くまで攻め込んだ、その時に!

先にも触れた甲州征伐で天正10年(1582年)に武田氏が滅ぶと、長可は海津城に入り信濃の統治をはじめます。

この地域には武田の旧臣もいて一揆が起きたりしますが、これを2日で鎮圧すると土地の有力者から人質を確保。

そして信濃を拠点に越後攻めを始めます。

越後ですから相手は上杉家ですね。

まさしくノリノリの織田家……というところで戦国史最大の事件が起きます!

本能寺の変】です。

すでに越後深くまで進軍していた長可は一転大ピンチ。越後から撤退し、信長の仇を討つと決意します。

ところが、信長の死を知った信濃の国衆は、ここぞとばかりに裏切りまくって、長可は行き場が無くなり、海津城の人質を盾にして木曽方面へ撤退します。

唯一裏切らなかったのが出浦昌相(真田丸で寺島進さんが演じた武将)という人望のなさでした。

それでも日和って終わらないのが人間無骨の恐ろしさです。

木曽義昌による自身の暗殺計画を知ると【ニセの到着予定日を記した書状】を義昌に送り、前日深夜に城門ぶっ壊しで城に乱入!

木曽義昌
武田を裏切った木曽義昌の生き残り策~信濃にはもう一人「表裏比興の者」がいた

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義昌の息子を盾にして旧領である岐阜・金山まで撤退しました。

なお、旧領とは弟・蘭丸のもので、本能寺の変で亡くなったため長可が領主に。

裏切りの連鎖で周囲は敵だらけになってしまいましたが、各個撃破で攻めまくり、わずか1年弱で周囲の統一に成功しました。

まさに戦マシーン!

 

中入り部隊で家康の本拠地を衝こうとしたら

そんな鬼武蔵にも最期は訪れます。

小牧・長久手の戦い】で豊臣秀吉についた長可は、小牧山の攻略で徳川家康の奇襲を受けズタボロに負けます。

小牧・長久手の戦い
小牧・長久手の戦いは秀吉vs家康の総力戦!一体どんな合戦だった?

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むろん、このまま黙っている人間無骨ではありません。

リベンジや!とばかりに岡崎城攻略の【中入り部隊】に第二陣総大将として参加します。

【中入り部隊】とは、徳川家康の本拠地をつくために派遣された、豊臣の別働隊です。

このとき秀吉と家康は別々のところにいて、秀吉は、留守になっていた岡崎城を攻め取ろうとしたのです。

ところが、です。

家康がこれを察知。

徳川四天王の一人・井伊直政の部隊が急襲すると、両軍はたちまち混戦に陥り、結果、森長可水野勝成の家臣に眉間を撃ち抜かれて戦死してしまいました(あるいは安藤直次に討ち取られたとも)。

あの人間無骨も、銃の前には呆気ないものですね……。

享年27。

戦場で、身分の低い武者の如く戦っていた長可は、

「まさか大将首じゃないでしょ」

と鼻だけ削がれて捨て置かれ、後に部下が金山へ持ち帰っています。

最後になりましたが……。

いかにも殺戮マシーン&脳筋なキャラに見える長可ですが、必ずしも頭脳がないワケじゃありません。

地元・金山では、塩と魚の専売を認める代わりに税をとるなど、巧みな政策を行っており、要は【性格がヤバめ】の武将だったようです。

戦場で会うはもちろんイヤ!

シゴト仲間としてもイヤ!

ここでは記しきれませんでしたが、他にも、同僚に暴言はいたり、同僚の奉公人を槍で突き殺したり。

それでいて実はバカじゃないってんですから、一歩間違えればサイコパスってやつで、日常ではあまり関わりたくないタイプです(´・ω・`)

つーことで、こんなワル査定にしてみました。

悪人度  ★★★★☆
影響力(権力)★★★☆☆
実は戦国無双度 ★★★★★

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文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
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【参考】
国史大辞典
峰岸純夫/片桐昭彦『戦国武将合戦事典』(→amazon
谷口克広『織田信長家臣人名辞典』(→amazon
森長可/wikipedia
ほか

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