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【「天は人の上に人を造らず」学問のすゝめ】
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向上心無き者を許さない
福沢は、中津藩の下士で13石という低い身分の生まれだった。
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そして彼は確かに、生まれや男女の性別などにおける差別を否定している。
「生まれながらの貴賤上下に差別なく」
「抑(そもそ)も世に生まれたる者は、男も人なり女も人なり」
しかし、それはあくまで生まれながらの話であって、その後、勉強をした人と、しなかった人との間に生じた貧富の差までは言及していない。
むしろ、それが現実であるという認識だ。
完全な平等主義といえないことは、別の著書『福翁百話』でもうかがえる。
そこで福沢は、人を「最上等」「中等」「最下等」の3種にわけている。
ランクに応じて人を3種類に分けるなんて、現代ならばトンデモナイ!と憤る方もいるだろう。
「公私両様の為めに力を尽くすもの」
福沢が分けたランキング。
これは貧富や貴賤の生まれなどを示したものではない。
以下の通りである。
◆最上等……活発に働き、家にも世にも処し、「公私両様の為めに力を尽くすもの」
◆中等……「この世に有りて大に益するに非ず、無くて大に不自由を覚ゆるに非ず」というべき者
◆最下等……屈強の身体を有しながら、他人の厄介になるばかりで時に他を害して欲を逞しくする者
要は、潜在能力を持ち、チャンスがあったにもかかわらず、社会や人の役に立とうとしない向上心の低い人間を嫌ったのである。
福沢は、自分自身が身分の低い地位から欧米で実学を学び、地位や名誉を高めていった。
それだけに勉強をしない者には容赦がない。
現代は、明治時代と比べて、格段に多くのチャンスが転がっている。
まずは自分で動き、次世代へ繋げていくことが大切であろう。
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川和二十六・記
【参考】
福沢諭吉『福澤諭吉著作集第3巻学問のすゝめ』(→amazon)
平山洋『福澤諭吉』(→amazon)
福沢諭吉事典編集委員会『福沢諭吉事典』(→amazon)
福澤諭吉/齋藤孝『現代語訳 福翁自伝 (ちくま新書)』(→amazon)