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『光る君へ』感想あらすじレビュー第5回「告白」

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兼家、晴明に呪詛を命じる

権力簒奪に余念のない藤原兼家は、またしても陰謀に取り組んでいました。

安倍晴明に、弘徽殿女御が懐妊したのなら、呪詛せよと告げるのです。

「できませぬ」

きっぱりと断る晴明。兼家は褒美は望みのままだと言っても、晴明は断る。

褒美次第でなんでもするとお思いかもしれないが、帝の子を呪詛するとなれば命が削れてしまう。我が命がなければこの国の未来は閉ざされるのだと。

それを寝ぼけたことだと笑い飛ばす兼家。この国の未来を担っているのはお前ではない、私だとまで言い切りました。

しかもここで、晴明は人の気配を察知します。

兼家が灯りを消すと、背後に関白・頼忠はじめ公卿がズラリ!

命を削ってでも成し遂げ、この国の未来は我らが担うとふてぶてしく宣言する兼家です。

この兼家は、正親町天皇に対する織田信長以上に態度が傲慢に思えてきます。一体なんなのか?

それにしても、光の使い方が抜群にうまいドラマですね。

闇の中に何かが潜んでいるように思える。こんな灯りの下でならば、当時の人はあやかしをみてしまうだろう――そう思える闇があります。照明のもとで光る衣装も美しい。

呪詛の狙いが弘徽殿女御というのもおぞましい。

花山天皇の寵愛する藤原忯子のことであり、やつれた彼女に呪詛は効きそうだ。

実際に呪ったかどうかはさておき、兼家の悪意がますます際立つ。円融天皇に毒を盛ったことに次ぐ、悪意の増幅があります。

忯子も気の毒としか言いようがありません。

帝に愛されることは、当時の女性にとって最高の幸せであったはず。

それがこうも肉体を痛めつけられ、呪われるとは……。

 

満月の夜、再会を果たす

六条で、まひろと道長が向き合っています。

名を名乗る道長に、“三郎”じゃなかったのかとまひろが問いかけると、三郎は幼い頃の名前で、出会った時はそうだった、騙そうと思ったことはないと答える道長。

そして驚かせたことを詫びています。

まひろは、会って話したいから文を書いたと告げ、言葉遣いを改めると「“三郎”が道長様だから倒れたのではない」と明かします。

隣にいた男の顔のせいだ。

藤原道兼のことか? 兄を知っているのか? と戸惑う道長に対し、まひろは「6年前に母を目の前で殺した相手だ」と告げながら、当時の状況を説明します。

播磨国から戻り、官職がなかった父の為時。食べることにも事欠いて、下男下女も逃げ出す始末。

そんなとき、右大臣兼家から当時の東宮(今の花山天皇)の漢文指南役に任じられた。官職ではないものの食べていけると喜び、母は御礼参りに向かった。

ちょうどその日は“三郎”と会うと約束した日だった。

もしも「五節の舞姫」のとき、隣に“三郎”がいなかったら、あのとき「人殺し」と叫んだかもしれないとまひろが言います。

「でも“三郎”がいて……」

涙をこぼすまひろ。詫びる道長。彼女はさらに、兼家は為時に、東宮の様子を探らせていたことも言い出します。

謝って済むことではないけれども、一族の罪を詫びる道長。

「許してくれ」

「兄はそのようなことをする人ではないと言わないの?」

素直に受け止めず、そう返してしまうまひろ。

「俺はまひろの言うことを信じる、すまない」

そう言われても、まひろは“三郎”の謝罪が欲しかったわけではない。ならばどうすればよいかと聞かれ、まひろはこういいます。

「わかんない。“三郎”のことは恨まない。でも道兼のことは生涯呪う」

「恨めばよい。呪えばよい」

そう返す道長。まひろは自分を責めてしまいます。

あの日、私が“三郎”に会いたいと思わなければ。

あの時、私が走り出さなければ。

道兼が馬から落ちなければ。

母は殺されなかった。母が死んだのは私のせいだ。そう泣きじゃくるまひろ。

道長は愕然とします。あの日の約束を決めたのは道長でもある。道長にも責任があると言えなくもありません。

道長は六条から去る前に、直秀に名前を聞きます。

「直秀殿」

そう丁寧にいい、まひろを頼むと言い残し去ってゆきます。

「帰るのかよ」

直秀はそう驚くのでした。

 

業の深さが二人を引き裂く

そのころ東三条では、道兼が兼家に話しかけていました。

晴明がすごすごと去っていく姿が面白かったとのこと。悪事に何の躊躇いもありません。

そこへ踏み込んでくる道長。

「兄上、6年前、人を殺めましたか? お答えください」

道兼は、やっと聞いたか、見ておったか、と覚悟を決めたように言います。事件当日、血糊を浴びた姿を道長は確かに見ていた。

「虫ケラの一人や二人、殺したとてどうということはない」

「なんだと! 虫ケラはお前だ!」

咄嗟に兄につかみかかり、几帳ごと倒す。烏帽子まで脱げるほどの暴力ですが、殴られた道兼には不可解な思いがありました。

「父に告げたのは道長ではないのか?」

またミステリが増えます。密告したと思っていた道長は違った。道兼の従者は殺された。では目撃者は誰なのか。

兼家はそれに答えず、我が家の不始末を始末せねばならなかったと言います。

道兼はそのうえで、道長が原因だという。器量の小ささを揶揄されて苛立ったから殺したのだ。

と、兄弟が激しく罵り合っている中で、突如、父の兼家が笑い飛ばします。

「道長にこのような熱い心があると思っていなかった!」

個性豊かな我が子をとことん利用し尽くす、邪悪な父の笑いです。

道綱への言葉でもわかりますが、使えない奴ははなから期待しない。道長に利用価値があえるとみなしたからこそ、笑ったのでしょう。

悪の黒幕はこの男です。

まひろはふらふらと家へ戻ります。心配して家の外で待っていた父に抱きつき、泣き出すまひろ。

彼女の青い春は終わったのでしょう。

恋か、そうでないかもわからない。甘い“三郎”への思いは、苦い現実への失望として残りました。

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