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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第22回「越前の出会い」】
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母の死に目にあえぬ伊周
藤原公任は、藤原実資の後任者として、検非違使別当になりました。
その公任が「藤原伊周が母に会いに戻った」と道長に告げます。
驚く道長。公任は左大臣に聞かずさっさと高階明順の屋敷をあらためてしまえばよいと言いながら、それでも優しいから、道長に聞いたのだと。
そして道長から「公任に任せる」という発言を引き出します。
「苦手だな、こういうの」
苦い顔でそう呟く公任。
彼も為時と同じく学究肌で真面目な人物ですので、罪人逮捕は向いていないのでしょう。
まるで内裏を追い出された犬のような、そんな姿の伊周が高階の屋敷にいました。
「母上!」
最期に一目だけでも会おうとする伊周の前に、公任が立ち塞がり、速やかに太宰府へ向かえと言い放ちます。
ここまで来たのに! せめて顔だけでも見せたい! 母は俺に会いたがっておる! と訴える伊周。
「ならぬ」
「頼む!」
そんなやりとりのあと、公任は深くため息をつきます。
「わかった。別れを告げて参れ」
すると清少納言が現れ、こう告げます。
「只今、御母君はお隠れになりました」
伊周はよろめき、がっくりと庭に膝をつきました。彼を愛していた母は、ついに会うことなく亡くなったのです。
伊周はまだ若く、未熟で、子どものまま権力に上り詰めようとした――それがわかる悲しい場面でした。
定子の腹には帝の子がいる
鈍色の喪服を身につけた道長は、高階邸を訪れます。
お悔やみの言の葉もないと丁寧に声をかける道長に、藤原定子が御簾の奥から礼を言います。
「亡き義姉上には幼いころからお世話になりましたゆえ」
そう誠意をもって語る道長。
ここまで対立したとはいえ、もとをたどれば兄の妻です。定子は帝の御心に背き続けた伊周の所業を許してほしいと訴えます。
そして道長をそばに呼び寄せます。
清少納言もこれには驚いているものの、定子の決意は固いものがありました。
「帝の子を身籠もっております」
父も母もいない。兄と弟も遠くにいる。高階の力は弱い。
帝の子をこの先どうやって産み育てていけばいいのか――そう途方に暮れているのだと。
「左大臣どの、どうか、どうか、この子をあなたの力で守ってください。私はどうなってもよいのです。されどこの子だけは……」
そう頼み込む定子の奇策です。
これがもしも兼家や詮子ならば、胎児を水にしようと呪詛でも毒でも用いかねません。
まひろならば、
窮鳥懐に入れば猟師も殺さず。『顔氏家訓』
と説明しそうなところです。
弱った鳥が自ら懐に飛び込んでくれば、猟師とて殺さない。道長にはそんな人としての優しさがあるとわかる場面です。
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帝が、道長からこのことを聞き、動揺しています。それも間もなく誕生だと聞き、高階の屋敷に行くと言い出す。
「お上、なりませぬ!」
道長は制します。勅命に背き、自ら出家した定子に会いに行っては、示しがつかない。
同じ行動をするにせよ、動機や心理背景を変えることで見方が変わってくる、そんな歴史劇の技法です。
ここで道長が兼家のような笑みを浮かべ、あえて邪魔しているようにしたら、悪いヤツだと思えます。
詮子のように冷たく毅然と言い放てば、冷酷に思えます。
道長の場合、根は優しいので、本当はこんなことをしたくないと伝わってきます。
帝は内裏に呼び戻すと言いだすものの、道長としては朝廷の安定を第一に考えて欲しい。
言葉はしっかりしているようで、顔が歪み、どれほど道長が苦しいのかが伝わってくる。柄本佑さんの演技が見事ですね。
「我が子まで宿している中宮に、朕は生涯会えぬのか! 朕は会えぬのか!」
「遠くからお見守りいただくことしかできませぬ」
そう告げるしかない道長です。
こう見ていると、道長を持ち上げているようで、次の瞬間、失望しているまひろの顔を映し、いきなり落としてきます。
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周明は何ものだ?
「越前のことは、越前でなんとかしろと……」
為時が絶望的な表情を浮かべ、まひろも「左大臣は随分頼りない」と呆れています。
彼女は一途なようで、どうなのでしょうか。
道長とあの廃邸で再会した際、告げることは何もないと無言で去って行ったこともあります。
彼女も薄々わかっているのでしょう。
父と道長の会話を横で聞いていたわけではないけれど、父がこうも悩むということは道長の密命がある。
そんな重要な密命なら、もっと細かく具体的に指示してよ! と、イライラしているのでしょう。
「左大臣としたことが、随分頼りにならないものでございますね……」
「そのようなことを申すな」
為時が嗜めると、周明が人に止められようとしながらも、強引に誰か引っ張ってきます。
「話があって来た! 朱様は通詞を殺してない! 証人だ!」
そうはっきりと日本語で話す周明。
彼は一体何者なのでしょうか?
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