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『どうする家康』感想あらすじレビュー第16回「信玄を怒らせるな」

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どうする定石破り

「敢えて定番を破ってこそ、シン・大河なんだよ!」

そうおっしゃりたいのですかね。

しかし、定石破りは『麒麟がくる』で既に通った道ではありませんか。

あのドラマは、キャストやビジュアルが発表されるたびに「あれ?何かイメージと違う……」という困惑が広がっていたものです。

『鎌倉殿の13人』執筆中であった三谷幸喜さんは、『麒麟がくる』に出てくる人物を見ると驚いてばかりだったとか。

中でも三谷さんが演じたこともある足利義昭には「こんな仏様みたいな像は想像もできなかった!」と驚いたそうです。

衣装もそう。織田信長は黒と赤のイメージが強いから、敢えて稲妻のような黄色系にしていました。

五行説を反映しただけではなく、既存路線を踏まえて定石破りをしたからこそ、あの作品は傑作となったのでしょう。インプット量が多いからこそできたことといえます。

一方で今年は、時代劇経験のない脚本家を起用しました。

「歴史は興味がない」と公言するような方ですので、時代劇に対しても何ら思い入れは無いのでしょう。

問題は、そんな人物に「前例のないもの」など作れないということです。

「定石破り」とは定石を知っているからこそ破れるもので、膨大なインプットを必要とします。

それが今年の脚本家にはない。回を追うごとに傷口は広がり深くなっていく、そんな残念な出来ばかりです。

しかも、直近の大河ドラマ『麒麟がくる』の逆張りなんて狙えば、旧来の像に戻るばかりでなく、脚本家にインプットが足りないから、ひたすら陳腐な造形となる。

何も新しくない。既存の像と比べると劣化しているようにすら思える。そんな行き詰まりにハマっていると感じます。

本作のチーフプロデューサーは新しい大河を目指したそうですが、何もそこまで冒険せず、『風林火山』の脚本家と主演コンビで徳川家康を作ればよかったのではないでしょうか。

何か新しいことをするにせよ、ある程度、前例を踏襲しなければ危険……というのは、今年の大河を見ていればわかりますね。

『麒麟がくる』のド派手衣装! 込められた意図は「五行相剋」で見えてくる?

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どうする戦国のプレハブ

徳川家の居城はいつまで経っても壁がない、工事中のように見えます。

雨が降ったら書類が全て水没するような場所で、どうして軍議をするのでしょうか?

軍議場面は使い回しが露骨すぎて、もう演じている側も、どこなのか迷っていそうで見ていて辛い。

劇中の源三郎よりも、現場の役者さんの方が辛いのではないかと思えるほどで心配です。

 


どうする人質

源三郎って誰? ああ、『真田丸』の真田信之ね!……ってなると思いましたか。

源三郎の説明があまりに雑でしょう。

要するに家康の弟が甲斐にいるから奪還しろということです。

母の於大も、金で動くんなら動けと急かしますが……。

ダメです。人質の使い方がまるでダメだ。

・そんな手段で奪還したらリスクが高すぎる

・そもそも、そんな手段で奪還できるほど甘くない

・わざとらしく捕らえていないで、裏切ったら殺害でよいのでは?

要するに、見せ場を作るための設定としか思えません。服部半蔵の出た回が受けたから、ねじ込んだのか?とすら思えてくる。

このドラマは、正しい描写まで視聴者から突っ込まれるという妙な現象が起きています。

いや、それはさすがに「突っ込む方が悪いだろ」と思うでしょうが、根本的に視聴者と作り手の間で信頼感の問題があるのでしょう。ドラマで描かれることが信じられないから、たとえ正しくとも疑われてしまう。

要は、視聴者との関係にヒビを入れてしまい、こうなると来年以降も引きずりかねない禍根を心配してしまいます。

それにしても、源三郎の使い方も甘いですよね。

松平広忠の首をギフト感覚で持ち込んできた、『麒麟がくる』の信長を思い出すと、今年はなんて優しいのかとすら思ってしまう。

源三郎の首は無理でも、指を切って、耳や鼻を削いで送るくらいできるのでは?

 

どうするわけのわからぬ赤い武田家

武田家が今週も意味がわからない。わざとらしい赤で揃えるのはなんなのか?

戦装束を揃える発想というのは、戦国時代にはない。

むしろ個人武勇を目立たせるために、個々人のセンスを強調することすらあった。

赤備えにしたって、上杉の朱槍にしたって、流行したからみんなしていい♪ って、もんじゃないでしょうよ。ああいう色を使えたのは限られた猛者のみ。だからこそ価値があり特別でした。

 


どうする兄弟愛

源三郎がいきなり出てきて、回想シーンをやられても戸惑うばかり。

「兄弟同然だった今川氏真のことは忘却の彼方だよね?」

この調子だと、瀬名と信康の死も、喉元過ぎればスッキリ!となりそうですね。

 

どうする所作指導

相変わらず不気味なメイクの千代の横で、布陣図を見る信玄。

駒を投げるところが決定的にひどかった。

ドラマ10『大奥』では、さほど長くない将棋の場面に専属の所作指導がつきました。

将棋の駒を置くだけにせよ、綺麗でないとそれらしく見えません。

それと比較すると、あんな汚らしく駒を投げるなんて、しょうもないとしか言いようがありません。

なぜ、あの武田信玄がこんなアホになっているのか……?

味噌をべろっと舐めたり、千代といちゃついたり、こんな不潔感漂う信玄は前代未聞です。

武田に何か恨みでもあるのでしょうか。

 


どうする歩き巫女

歩き巫女が修行僧を殺す場面がありました。

ほんと、大河とソシャゲを勘違いしていませんか?

「SR千代を使えば勝利ぃww」

という程度のひどいセンスであり、武田家にも、よほど人がいないのでしょう。

戦闘シーンも、ごちゃごちゃしていて何が起きているかわからないし、千代の不気味さだけは伝わってきました。

あの巫女集団、あんな衣装で真面目に戦う気があるんですかね。

こんな弱い武田軍団は前代未聞です。

信玄さん……崖の上で武芸の稽古をしている場合じゃないです、もうこれ以上、私の共感性羞恥を刺激しないでください!

なぜ、岩の上でいちいち雄叫びを上げるのよ……。

歩き巫女
どうする家康に登場した「歩き巫女」当時の宗教観からズレてません?

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どうする親子の情愛

於大が源三郎の枕元できゃんきゃん怒鳴り散らして、もう心から見ちゃいられない。

生きるか死ぬかで戻った我が子を、枕元で叱りつけるって、どんな鬼母よ。

本作は、年配女性を徹底的に貶めることが癖になって……いや、老若男女関係なく貶められていますね。

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