鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第28回「名刀の主」

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二人の妻がマウンティングの最中に別の人妻と

一幡を抱いたせつが、つつじの元へ行きます。

そして「鎌倉殿に合わせて欲しい」と訴えると、食事中であるつつじもこう返す。

「私も同じ思いです……うっ!」

つわりだと気づきながらも「何それ」と突き放すように口走るせつ。なんでもないと誤魔化そうとするつつじ。

「鎌倉殿はご存じなのか」と聞き、最後に「冷めてから食べると気持ち悪くならない」と一応の助言はします。

今週もマウンティングに忙しい正室と側室ですのぅ。

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ただ、二人とも夫の居場所を把握していないとは、いかがなものでしょう。

頼家は行き先を告げずにどこかへ姿を消す傾向がハッキリとあります。

人の上に立つ者のすることではありません。危険だし、気遣いが不足している。

決定的な暗君ではないようで、資質が欠落していることはこうした点からわかりますね。

頼家は、ゆうという女の膝枕をしていました。

その上で狩りの計画をペラペラと話している。

十日ほどかかるから夫を誤魔化すようにと言い合う二人。もう肩を抱き合い、親しげにしています。

義経が政子の膝枕をしていた時とはワケが違います。

相手は人妻。狩りは武士の力を示す機会と言いつつ、人妻の膝枕とはいったい何事なんでしょうか。

頼家は武士としてのふるまいという理論武装だけはしているけれども、自分の感情にひきずられて女とこうしています。本音と建前の薄寒い使い分けが露わになっていてきついものがある。

むしろ頼家がわかりやすく人妻に襲い掛かっている方が、愚かだと強調できます。

そうではなく、細やかなアプローチで「君主の器が無い」ことをジワジワ見せてきます。

このゲスな不倫に「待った!」をかけたのが、義時の息子・頼時でした。人の道に反していると訴え、

「うるさい!」と退けられ、頼時は仕方なく景時に相談。

頼時は景時が御家人で一番の知恵者だと思っております。景時は報告を誉め、義時を呼んでくるように急かしました。

 


おまえの妻を寄越せ!首を刎ねんぞ!

そのころ頼家は、ゆうの夫・安達景盛に妻を寄越せと頼んでいました。

それだけは勘弁して欲しいと弱々しく返す景盛。

彼はまだ幼いころ、金剛(頼時)と喧嘩していましたっけ。

なんでも頼家は通りで見て惚れたとか。道路清掃と迷い犬のお世話をしているときにでも見かけましたかね。すでに懇ろになっているので、テキトーな作り話かも知れません。

いずれにせよ「大事にするから譲れ」と頼む頼家。時連は傍観するだけ。頼時とは違うようです。

「できませぬ!」

そう断られた頼家は、外堀を埋めるために父・盛長に頼み込みます。

盛長は自分が伊豆に頼朝が来てから仕えていることを淡々と語り、鎌倉殿に異を唱えることはないと言います。

「しかしながらこればかりは、承服するわけには参りません!」

「わしに背くは父に背くことぞ!」

そう脅す頼家に、力づくで人妻を奪うことの不利を諭す盛長。

鎌倉殿の名に傷がつくと言います。

そして、家を焼き払われようが、鎌倉を追われようが、首を刎ねられようが、心変わりしないと訴える。

「お父上を悲しませてはなりません!」

「よう申した!」

頼家は目をぎらつかせながら、安達父子を連れ、いますぐ首を刎ねるよう命じます。

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これにはさすがに梶原景時も止めに入ります。

大きな分かれ道で、安達父子を討てば必ず騒ぎになり、御家人たちが黙っていない。そうした助言も「面白いではないか」と煽るように受け取る頼家。

頼家は禁じられるとムキになりますね。

ゆう以上にいい女なんてきっといくらでもいるでしょう。人間が持つ、相手に対する執着というのは本能でも何でもなく、性格に左右されます。

義時は、八重への思いを秘めたまま、持ち続けていた。義時ならば、思うだけで実力行使はしない。

義村は、さっさと切り替えができる。義村ならばこんなめんどくさいことになったら諦めるでしょう。

「いいかげんに目を覚ましなさい!」

御家人より早く黙っていないのは政子でした。

 


父上と同じことしただけじゃないか!

母親・北条政子の登場に、誰が呼んだのか……と狼狽する頼家。

安達父子に手出しするなと叱りつけると、口出しするなと頼家は反発します。

「自分の言っていることがわかっているのですか?」

「思いあっていれば誰の妻であろうが関係ない!」

そう言い切る頼家。

ちなみに『御成敗式目』では不倫が禁止されます。まだそのあたりは明文化されていないのがそれ以前の坂東なのでしょう。

「同じことをせつやつつじの前でも言えますか? 二人をここへ連れてきて」

政子は頼家の感情に最も刺さりそうなことを言う。

そして政子の影のように控えていた義時も声を張り上げます。

「恐れながら申し上げます。藤九郎殿ほど頼朝様や鎌倉殿に忠義の心を持つお方を私は知りません。こんなことで首を刎ねるなど、許されることではございませぬ!」

「頭を冷やしなさい、頼家」

母と叔父に強い口調で言い切られ、もはや為す術ない若い主君。

それにしても、尼姿の政子の美しいこと。凛としていて力強い美貌ですね。

完敗した頼家は、恨みがましく景時に当たります。覚えておけという相手に、景時はこう返す。

「覚えておきます。では」

頼家は納得できません。

「父上も同じことをしてきたではないか! なぜわしだけ!」

いや、それは違う!とおそらく全国の視聴者様もツッコミを入れられたでしょう。

頼朝の女遊びは確かにひどい。

けれども夫が生きている人妻は選んでいなかった。しかも忠臣親子の妻と知った上で奪い取るような真似などしていない。

たしかに亀は夫が生きておりましたが、関係を持った当初は頼朝本人も知りませんでした。亀は漁民の娘ですので、身辺事情など知らなくて当然ですし。

さらに、思いを遂げられなかった比奈については、比企側が選んで差し出そうとしていたほどで、鎌倉殿の相手としては安全です。

これは来年の大河でも覚えておきたいところでしょう。

秀吉と家康を比較すると、どちらも女性関係は派手に見えます。

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しかし家康は、手をつけても問題ない安全な相手を選んでいる。

秀吉は伝説化している部分もあるとはいえ、大名の夫人や姫に手出ししようとした話がいくつもあります。

英雄色を好むだの、女遊びは本能だの、とは言われますが、理性でコントロールできる部分もあるわけです。

そういうことを踏まえてか、景時は「困ったお人よ」とこぼすのでした。

 

署名を集めて景時を訴えよう!

頼家の一件を受け、景時は策を練ります。

結城朝光に死んでもらう――。

義時がそれを聞いて驚いていると、謀反は思い描いただけでも謀反と重々しく言います。

厳しく始末することで、見せしめにする。そうして鎌倉殿の権威を示すと言うと、大江広元ですら止めに入ります。

あまりの厳しい処分に、義時は何か気づきます。

もしかして、安達盛長父子の一件が関係あるのか。

ありました。あの一件で損ねた信用を取り戻すためにも、見せしめにして御家人の引き締めをする。頼朝時代から何度かあったことで、最初の犠牲者が上総広常でしたね。

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手を下したのは景時本人ですから、そのことをよくわかっています。

それに結城朝光は、頼朝乳母の一人である寒河尼の子でもあります。となると同じ立場で重用されている比企一族への牽制にもなるといえる。

ただ、結城朝光の罪があまりに軽すぎて、とても良い手には思えません。常軌を逸するような厳しい処罰は御家人を萎縮させるか、あるいは反発させるかもしれない。

これも結局のところ、判断基準の曖昧さを感じるところでして。

頼家は叫んでいました。父と同じ女遊びをして何が悪いのだ!と。

厳密に言えば父と同じではないと説明するのも面倒ですし、「不倫はいけません」とルールを明確に決めたらよろしい。女遊びにせよ、綺麗な遊び方とそうでないものはある。

この結城朝光の件だって、「ともかく謀反である」と雑に決めつけずに、どこまでがよくて、どこからが悪いのか決めるべきところでしょう。

坂東武者にルールを教えた『御成敗式目』の制定って、実に偉大なことだとわかります。

動いたのは実衣でした。

朝光と親しい畠山重忠。それに和田義盛三浦義村もいます。義時も困惑。

梶原景時に御家人の気持ちを伝えたらどうか?という流れになったとき、義村がこう言います。

「弱いな。それじゃあいつには響かねえよ」

人数を集めて訴状にする。そして鎌倉殿に訴える。

坂東武者が新たなフェーズに入りました。もっと前なら即座に殺し合いだった可能性もありましょう。

ここで肝心の実衣が何かを察知し、「胡散臭い」と義村にキッパリ言います。

そんな風に言い切る実衣にしても、そう言われて「あんたの頼みだろ」と怒らない義村も変わっていますね。

義村はむしろ自分は裏に回ると言い切ります。

重忠も手伝うと言うと、義村は裏に回るには見栄えが良すぎると返します。

「そうですか……やはり見栄えが」

おっと、自覚はあるようだ。

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義時はあまり大事にしたくないから、4~5人でいいと釘を刺します。

いや小四郎さんよ、手加減するなら義村と義盛なんて飛び道具使っちゃダメでしょうよ。

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